(2017.12.30)
 喫煙者の社員130人→2年で全員卒煙。漫画 「ONE PIECE」のノリで達成した会社の戦略  「仲間」「ポジティブ」がキーワードでした
HUFF POST 12月28日
 
社員の4割が喫煙者だったのを2年でゼロにした会社がある。
 
リフォーム会社の「メッドコミュニケーションズ」(東京都港区)。
 
佐々木洋寧社長自ら音頭を取り、2015年11月から会社全体で卒煙活動を始めた。厳しい禁煙ルールを設けたわけではないのに、2017年12月までに全社員330人のうち、喫煙者だった130人全員が卒煙した。
 
たった2年で130人が成功した秘訣は何だったのか。
 
同社はリフォームが主な業務だが、顧客アンケートで「工事の間、煙草のにおいが気になった」という声が多く寄せられるなど、社員の喫煙にどう取り組むかが課題だった。
 
一方、喫煙する社員も悩んでいた。
 
「煙草をやめたい」と思っていたり、過去に禁煙したものの挫折したりする経験のある社員も多かった。仕事中も「現場ににおいが残っていないだろうか」と不安になりながら仕事している現状も分かってきた。
 
そこで佐々木洋寧社長自ら「会社で禁煙に取り組むことが、各社員の禁煙のきっかけになるのでは」と、会社ぐるみの卒煙の方針を打ち出した。
 
■役員が自らの禁煙経験を語る
同社の卒煙戦略は「仲間」「ポジティブ」がキーワードだった。まるで漫画「ONE PIECE」のようなノリである。
 
手始めに、「禁煙セミナー」を定期的に開いた。ただ、専門家による従来型のセミナー方式は採らず、元喫煙者の同社執行役員が講師を務めた。
 
たばこの害を強調するよりも、自分が禁煙を成功するまでどう試行錯誤して乗り切ったのか、冗談を交えながら自分の言葉で語った。
 
「禁煙の過程で、必ず不安な気持ちになるが、不安は禁煙のプロセスで当たり前にくると知っておけば、あっ、きた!と客観的に受け止められると説明していたので、社員もそういうものかと納得していました」(広報)
 
ほかに、禁煙するとこれだけお金が節約できるという経済的な効果や、これだけ家族のためになるという家族への効果も強調した。
 
また、禁煙を始めた社員には2万円の通院手当を支給、卒煙できた社員には、2万円の食事券を贈った。
 
■周りがやめると自分もやめる
1人が禁煙を始めると周りの喫煙者も禁煙を始めるようになり、支店を経て施工現場で働く人たちにも広がっていった。
 
とはいえ、禁煙は最後までやり遂げるのが本当に難しい。同社の場合、挫折しそうな社員が出たときに、まわりの上司や同僚が「一緒に頑張ろう」と声をかけて、再び吸い始めないように励ました。
 
そして12月、施工現場で働く職人さんが卒煙に成功。これで130人全員が卒煙に成功した。「会社の禁煙対策が始まっても、施工現場で働く喫煙者たちまでに届くのには時間がかかったが、現場で働く1人が卒煙に成功してから、周りに広がっていきました。みんなで禁煙に取り組んだのがよかった。1人ならこれほど広がらなかったと思います」(広報)
 
社員からは「『灰皿を探さずにすむようになった』『集中力が継続する』『においを気にせず、顧客に説明ができる』『仕事に集中できるようになった』などの声が寄せられています」(広報)としている。


(2017.12.29)
 受動喫煙防止法の廃案が逆に飲食店を苦しめる?
ニコニコニュース(ITmedia ビジネスオンライン) 12月28日
 
 厚生労働省が受動喫煙防止法案(健康増進法改正案)を巡り、30平方メートル以下の飲食店に限って喫煙を認める従来方針を改め、150平方メートル以下を喫煙可とする代替案を検討している。
 
 150平方メートル以下が喫煙可能になると、大半の飲食店で喫煙できることになってしまうため、この代替案が通った場合には、受動喫煙防止法は事実上、廃案になったことと同じになる。同省は東京オリンピックを契機に、先進各国と同レベルの受動喫煙対策を実施したいとの意向を持っていたが、飲食業界を中心に反対意見が根強く、これに抗しきれなかった格好だ。
 
 日本は公共の場で喫煙ができる数少ない先進国だが、喫煙率はもはや18.2%しかない(JT調べ)。若い世代の喫煙率に至っては毎年、着実に低下しており、近い将来、国民のかなりの割合が非喫煙者となるのはほぼ確実といってよい。だが、受動喫煙防止法が廃案、もしくは骨抜きになった場合には、飲食店の環境と国民の生活習慣には大きな乖離(かいり)が生じることになる。
 
 これまで非喫煙者は、店舗が喫煙可あるいは分煙が不十分であっても、他に選択肢がなく、たばこの煙を受忍するという形で飲食店を訪れていた。だが近年、テクノロジーの発達によって飲食店の利用者に新しい選択肢が提供されるようになった。それはデリバリーの利用である。
 
 以前から日本の外食産業の一部には「出前」というシステムがあり、自宅などへのデリバリーが行われていた。だがネットやスマホの普及によってサービス内容が大きく変わってきたのである。
 
 利用者はスマホを使ってあらゆる出前を一気に検索し、決済までできるようになった。しかも、自宅には(スマホやPCに入れた)YouTubeやNetflixといった豊富なコンテンツサービスがそろっている。わざわざたばこ臭い飲食店にいかなくても、自宅で食事やパーティを楽しめる環境が整っている。
 
●今後もデリバリー市場は拡大する
 自宅へのデリバリーの普及によって、居酒屋やバーといった業種がすぐに縮小するとは考えにくい。だがシェアリングエコノミーやAI(人工知能)技術の発達を考えると必ずしもそうとは言えなくなってくる。
 
 もしデリバリーによる飲食市場が拡大する見込みが大きくなった場合、ビルの空き室や空家など、いわゆる有休不動産をパーティールームに改装するケースも増えてくるだろう。ネットのインフラを活用すれば、こうしたパーティールームを検索して予約することはいとも簡単に実現できるし、AIを使えば、デリバリーと場所の確保を同時に行うこともたやすい。既存の飲食店から根こそぎ顧客を奪ってしまうという話もあながちうそではなくなってくるのだ。
 
 社会のネット化が進むとデリバリー市場が拡大する。これは各国共通の現象といってよい。米国では、好景気が続いているにもかかわらず、レストランの売り上げが鈍化するケースが目立つようになっており、外食産業は相次いで宅配メニューの強化に乗り出している。
 
 日本でも市場の流れに敏感な企業はすでに動き始めている。
 
 配車アプリ大手の米Uber(ウーバー)は、外食のデリバリービスである「UberEATS(ウーバーイーツ)」を、楽天も同様のサービスである「楽びん!」を提供している。LINEも2017年7月から、アプリ内で飲食店の出前メニューを注文できる「LINEデリマ」をスタートさせた。
 
 例えばウーバーイーツは、大学生などが空き時間を利用してアルバイトとして料理を運んでおり、都心部では自転車シェアリングのサービスをフル活用している。こうしたやり方であれば、事実上、無制限に業容を拡大することが可能であり、市場規模の拡大に合わせて柔軟な運営ができる。こうしたアルバイトの勤怠管理や、誰にどの料理を運ばせるのかといった判断はAI化によってさらに高度化するだろう。
 
吉野家やマクドナルドなど、飲食店の側も宅配メニューを強化している。近い将来、宅配サービスにうまく対応できた企業とそうでない企業には大きな差がついているはずだ。
 
●全ての話は密接につながっている
 スマホが普及したことや、シェアリングエコノミーという概念が登場したこと、あるいはAI技術が進歩したことは、それぞれが独立した話であり、直接の関連性はない。
 
 だが、新しい技術やサービスを背景にした一連の動きは、全て密接につながっていると考えた方がよい。つまり飲食のデリバリーへのシフトは単なる流行ではなく、構造的変化である可能性が高いということである。
 
 もしそれが事実だと仮定した場合、受動喫煙防止法を事実上、廃案にしてしまうことは、従来型の外食産業に対して致命的な影響を与える可能性がある。
 
 企業の経営は、現状と3年後、10年後を同時に考えなければならない。確かに一部の飲食店は、禁煙化することで顧客が減るかもしれない。だがそれはあくまで部分的な話であって、全体の動きとは異なる。
 
 こうした飲食店の経営が立ち行かなくなることが問題なのであれば、むしろ一時的な支援策を講じるなどの措置を検討した方がずっと効果的である。
 
 受動喫煙防止法の事実上の廃案という一種のガラパゴス的な決断が、新世代デリバリーサービスの普及を促すのであれば、それはそれで良いことかもしれないが、既存の飲食店が大打撃となるなら、これほど皮肉な話もないだろう。
(加谷珪一)


(2017.12.28)
 低所得の喫煙者に打撃 たばこ税増税で負担重く
東京新聞 TOKYO WEB 12月28日
 
 二〇一八年度の与党税制改正大綱に、たばこ税の増税が盛り込まれ、たばこが今後、大幅に値上げされる見通しになった。たばこは増税による値上げが続いており、平均価格は二十年前に比べ二倍近い水準。追い打ちの値上げは、喫煙率が比較的高い低所得者には強烈な打撃となりそうだ。 (白井康彦)
 
 「何年か先には一カ月のたばこ代は千円ぐらい増えてしまいそう。その分、生活費を削るのはすごく苦しい」。こう訴えるのは東海地方のアパートで一人暮らしをする五十代男性。
 
 注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断されている上に不眠症、うつの症状もあって会社勤めは長く続かなかった。七年前から生活保護を受けており、生活扶助費(日常生活費)は月七万二千円ほどだ。若いときに勤めていたパチンコ店が従業員にたばこを無料で配っていたことがきっかけで愛煙派に。以来、約三十年間、たばこを吸い続ける。
 
 最近愛用しているのは、加熱式たばこ。おおむね一日一箱のペースで、たばこ代は月額約一万四千円に上る。「食費を月一万円ぐらいに抑えざるを得ない」状況だという。
 
 禁煙を試みたことはあるが、成功したことはない。生活保護を受けていることを引け目に感じ、「周囲の目が気になって仕方ない」と男性。イライラした感情からたばこが手放せないという。二年前には、生活費が尽きてたばこが買えなくなったため、路上に落ちていた吸い殻を拾い集めて吸ったこともあった。「たばこを吸うと落ち着くんです。やめたくても、どうしてもやめられない」。男性がこぼした。
    ×  ×
 この二十年間、物価は安定しており、消費者物価指数も小動きだ。しかし、たばこは例外。平均的な小売価格の水準を示す価格指数(一五年平均=一〇〇)は、一九九六年平均が五三・三、二〇一六年平均が一〇一・二で約九割もの上昇だ=図。
 
 たばこ税増税は今後、段階的に実施され、紙巻きたばこ一本当たりの税額は二一年十月には今より三円増える。二十本入りの一箱四百四十円の商品は、増税分がそのまま小売価格に転嫁されると五百円になる。たばこ価格指数は、今よりさらに一割強上がりそうだ。所得に関係なく平等に値上げされるため、同じ喫煙者でも低所得者の方が負担は重くなる。
 
 一方、低所得者の喫煙率は高所得者に比べ高いとされる。厚生労働省が一〇年に実施した国民健康・栄養調査によると、男性の喫煙率は所得二百万円未満で37・3%、二百万円以上六百万円未満は33・6%、六百万円以上は27・0%だった。所得が低いほど喫煙率が高くなる傾向が見られた。理由ははっきりしないが、「低所得者はストレスの強い人が多い一方、禁煙に関する情報に接する機会が少ない」との指摘がある。
 
 七年前に禁煙に成功し、禁煙に至るまでの体験をブログにつづっている秋田市のファイナンシャルプランナー(FP)佐藤元宣さんは「ストレスがたまり、たばこに手が伸びることがあった。たばこ以外のはけ口を見つけておくことが重要だと身に染みて思った」と話す。「ただ、本人に努力を促すだけでは難しい。行政などが禁煙外来に通うことの有効性などを周知するべきだ」と強調している。


(2017.12.28)
 18年度に「受動喫煙対策推進官」を新設―厚労省  
ケアマネジメント オンライン 12月27日
 
2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、受動喫煙を防止するための強化策の検討が進む中、厚生労働省は18年度、新たな課長級の役職となる「受動喫煙対策推進官」を創設することを決めた。現在、同省健康局の健康課長が行っている関係機関との調整役などを担う。
 
厚労省はまた、内閣府が所管する「成年後見制度利用促進業務」を引き継ぎ、同業務を担当する課長級の「大臣官房参事官」を新たに設置することも決定。成年後見制度は、認知症の高齢者や知的障がい者ら、同省が所管するさまざまな業務にかかわる。新設する参事官は、こうした業務を横断的に統括する。
 
昨年5月の「成年後見制度の利用の促進に関する法律」の施行に伴い、同業務の事務部門が2年以内に同省に移管されることになっていた。


(2017.12.23)
 日経本社で火災、男性死亡=2階トイレ、破裂音も?東京
時事ドットコムニュース 12月21日
 
 21日午前10時50分ごろ、東京都千代田区大手町の日本経済新聞社本社から「喫煙所で出火した」と119番があった。東京消防庁が確認したところ、2階の男子トイレ内が約30平方メートル燃え、約1時間後にほぼ消し止められた。男性1人を救助し、病院に搬送したが、死亡が確認された。
 
 トイレの個室内から破裂音と共に火が出たとの目撃情報があり、警視庁丸の内署などが出火原因や男性の身元を調べている。
 
 同署などによると、男性はトイレの個室で心肺停止状態で発見された。目撃した清掃員の女性は「個室内でボンという音がして、火が見えた」と話しているという。
 
 同社によると、2階は飲食店やイベントスペースがあり、関係者以外も立ち入ることができる。現場は東京メトロ大手町駅近くの大規模ビルなどが立ち並ぶオフィス街。消防車など約20台が出動し、周辺は一時騒然とした。【時事通信映像センター】


(2017.12.22)
 「加熱式たばこ」受動喫煙 規制対象へ 厚労省
NHK NEWS WEB 12月21日
 
他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙対策について、厚生労働省は火を使わない「加熱式たばこ」を規制の対象に加える方向で検討を進めることになりました。
 
厚生労働省は3年後の東京オリンピック・パラリンピックの開催を前に、他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙の対策を強化する必要があるとして罰則の付いた新たな規制を検討しています。
 
この中で火を使わずにニコチンを含んだ蒸気を吸い込む加熱式たばこについて、健康に影響を及ぼすことが否定できないとして、紙巻きたばこと同様に規制の対象に加える方向で検討を進めることになりました。
 
病院や学校などの施設では利用を禁止し、飲食店についても原則、禁止するとしたうえで分煙体制の整った店では規制の対象外とする方向で検討することにしています。
 
加熱式たばこについては健康にどのような影響を与えるか十分な分析データがそろっていないということで、今後、データが集まった時点で改めて規制を見直すことにしています。
 
厚生労働省は今後、自民党などと協議しながら新たな受動喫煙対策をまとめた上で、健康増進法の改正案を早ければ来年の通常国会に提出する方針です。


(2017.12.18)
 増税で1箱500円時代に=20年前の倍、愛煙家に痛手−たばこ
JIJI.COM 12月17日
 
 2018年度税制改正大綱で決まったたばこ税増税を受け、紙巻きたばこは値上がりする見通しだ。増税分が全て価格に転嫁されると、日本たばこ産業(JT)の代表的な銘柄であるメビウス(旧マイルドセブン)は、21年10月に1箱500円となる。250円だった00年前後の2倍で、愛煙家には痛手となりそうだ。
 
 与党が先にまとめた税制改正大綱では、18年10月にたばこ税を1本当たり1円引き上げ、21年10月までに計3円増税する。メビウスは現在、20本入り1箱が440円で、今回のたばこ増税分は計60円になる。
 
 JTとフィリップモリスジャパン(東京)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(同)の大手3社は、財務省の認可を得た上で、小売価格に転嫁する公算が大きい。19年10月に消費税率が10%に引き上げられれば、さらに値上がりする可能性もある。
 
 しかし、世界的に見れば日本のたばこの税や値段は高いとは言えない。EY税理士法人(同)によれば、16年に最も売れた銘柄を国際比較すると、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国で最も安い。税額もOECD平均の半分以下だ。
 
 国内たばこ市場で1割程度のシェアを占めている「加熱式たばこ」も増税される。18年10月以降段階的に引き上げ、たばこ税の割合を紙巻きの7〜9割程度にする。
 
 ただ、増税分がそのまま価格に転嫁されるかは不透明だ。ある大手メーカーは「紙巻きと異なり、値上げに消費者がどう反応するか、知見がない」として、対応を決めかねている。


(2017.12.14)
  たばこ税増税 「賛成」51% NHK世論調査
NHKニュース 12月12日
 
来年度の税制改正で、自民・公明両党が「たばこ税」を増税する方針について、NHKの世論調査で聞いたところ、「賛成」と答えた人は51%で、半数を超えました。
 
NHKは今月8日から3日間、全国の18歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。調査の対象となったのは2178人で、57%に当たる1248人から回答を得ました。
 
来年度の税制改正で、政府・与党は、働き方の多様化に合わせて所得税の控除を見直し、仕事を請け負って働く自営業の人などを減税する一方、所得の高い会社員などを、原則、増税する方針です。これに賛成か反対か聞いたところ、「賛成」が39%、「反対」が17%、「どちらともいえない」が35%でした。
 
自民・公明両党は、社会保障などの財源を確保するために、「たばこ税」を増税する方針です。これに賛成か反対か聞いたところ、「賛成」が51%、「反対」が20%、「どちらともいえない」が22%でした。(後略)


(2017.12.13)
 厚労省案、都内9割の店「喫煙可能に」…都調査
Yomiuri Online 12月12日
 
 非喫煙者がたばこの煙を吸い込む受動喫煙対策を巡り、店舗面積150平方メートル以下の飲食店の喫煙を認めるとする厚生労働省案が実現した場合、「東京都内の9割以上の店で喫煙可能となる」ことが都の調査でわかった。
 
 一方、都が施行を目指す屋内禁煙条例のたたき台では30平方メートル以下の店で喫煙を可能としており、この案であれば、喫煙できるのは「3〜4割程度」にとどまるという。8日の都議会の一般質問で都側が答えた。
 
 都によると、今年7〜8月、都内2万店の飲食店を対象に店舗面積を調査し、一般飲食店3634店、バーやスナックなど遊興飲食店2824店から回答を得た。この調査の結果、150平方メートル以下の割合は、一般は92・3%、遊興が95・3%に上った。30平方メートル以下の割合は、一般31・3%、遊興46・2%だったという。


(2017.12.12)
 加熱式たばこ増税 紙巻きの7〜9割に 各社の税負担の差縮小
産経ニュース 12月9日
 
 政府・与党が、平成30年度税制改正で増税を検討している「加熱式たばこ」のたばこ税について、メーカー3社ごとの税率の引き上げ幅が8日、明らかになった。各社の税負担は現在、紙巻きたばこの1〜8割程度だが、見直しで7〜9割程度になる。商品の重さに課税していた現行方式を見直すことで、税額を紙巻きに近づける。増税分が価格に転嫁されれば、値上げにつながる。
 
 現行制度での加熱式の税負担は、最も低い日本たばこ産業(JT)の「プルーム・テック」が1箱あたり約34円で、紙巻き(1箱約245円)の1割超。見直しではこれを7割程度に引き上げる。ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「グロー」は約5割から8割程度、フィリップ・モリスの「アイコス」は8割弱から9割程度になる。見直し後は加熱式間で最大で約6倍もの開きがあった税額差が大きく縮まる。
 
 加熱式の増税方針は、来年度から33年度にかけ1本当たり3円増税する紙巻きの引き上げとともに、30年度の与党税制改正大綱に盛り込む。ただ、急速に普及が進む加熱式の市場への影響にも考慮して、加熱式の増税は34年度まで5年かけて段階的に行う方針だ。
 
 加熱式は現在、税法上の「パイプたばこ」に分類され、葉タバコが詰められたスティックやカプセルの重さの1グラムを、紙巻き1本(税額12・24円)に換算して課税されている。見直しは課税を葉タバコの量や価格などに基づく新方式に変更することで実現する。
 
 政府・与党は加熱式の価格が420〜460円と一般的な紙巻き(440円)とほぼ変わらないにもかかわらず税額が低いことや、各社のスティックの重さの違いによって製品間の税額差が大きいことを問題視している。


(2017.12.11)
 加熱式たばこ増税へ、5年間で紙巻きの7−9割の税率に−関係者 (1)
msnニュース(Bloomberg) 12月8日
 
 自民党税制調査会は加熱式たばこの課税方式を見直し、製品ごとに紙巻きたばこの7ー9割の税率まで引き上げる改革案を検討している。複数の政府・与党関係者が明らかにした。14日にも決定する来年度税制改正大綱に盛り込まれる見通し。
 
 関係者によると、葉タバコと吸い応えに影響する成分のグリセリンの重さを指標とした従量税を軸に、製品の価格を勘案して課税額を算出する。来年度から5年間かけて段階的に税率を引き上げ、各社の製品間の税率格差を縮小し、紙巻きたばこの税率に近づける。紙巻きたばこについては、4年間かけて1本あたり3円引き上げる方針だ。
 
 自民税調は8日朝、党本部で幹部会合を開き、加熱式たばこの税制改正について議論した。同党関係者から入手した資料は、葉タバコと「溶液」(グリセリン)の重量を指標としながら、価格も勘案し、「段階的に実施」すると改正の方向性を明記していた。
 
 自民党の宮沢洋一税調会長は同日午後に開かれた公明党との税制協議会終了後、一連のたばこ税改革を巡って「方向性としては同じような議論をしていた」と記者団に語った。
 
 加熱式たばこは新しく市場に出てきた商品のため税法上の規定がなく、現行では「パイプたばこ」に分類されている。葉タバコ1グラムにつき紙巻きたばこの1本と換算して税率を算出しているため、製品間でばらつきが見られる。政府・与党は加熱式たばこを新たに税法上に規定し、課税方式の再規定を目指す。
 
 紙巻きたばこの税率を100%とした場合、米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)の発売するアイコスは78%、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)のグローは49%、日本たばこ産業(JT)のプルーム・テックは14%となっている。
 
 JT広報の白須正人氏は取材に対し、「今後の動向を注視し、適切に対応していく」とした上で、「増税分を価格転嫁することを基本方針としている」とメールで返答した。
 
(第4段落に宮沢自民税調会長のコメントを追加しました.)
 
--取材協力: 黄恂恂 、 Lisa Du
 
記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 高橋舞子 mtakahashi61@bloomberg.net, 東京 Connor Cislo ccislo@bloomberg.net.
 
記事についてのエディターへの問い合わせ先: 下土井京子 kshimodoi@bloomberg.net, Takashi Amano


(2017.12.10)
 受動喫煙の規制強化を 医学会連合などが声明
日本経済新聞 Web刊 12月8日
 
 日本医学会連合や肺がんの患者団体など261団体は8日、受動喫煙の規制強化を求める緊急声明を公表した。厚生労働省が店舗面積150平方メートル以下の飲食店での喫煙を認める案を検討していることについて「国民ならびにオリンピック・パラリンピックで来日する人たちの健康を守ることはできない」と訴えた。
 
 声明では、厚労省が2016年10月に公表した屋内禁煙を原則とする当初案を支持する考えを表明。受動喫煙のない社会が、健康長寿社会の実現につながると強調した。
 
 厚労省は飲食店などに受動喫煙対策を義務化する健康増進法の改正案を巡り、店舗面積150平方メートル以下の飲食店での喫煙を認める案を検討している。記者会見した日本医学会連合の門田守人会長は「大幅な後退だ」と批判した。


(2017.12.7)
 東京都「禁煙」条例、来年2月提出へ 小池氏表明
朝日新聞デジタル 12月6日
 
 東京都の小池百合子知事は6日、飲食店などの屋内を原則禁煙とする受動喫煙防止条例案を、来年2月開会予定の都議会に提出する考えを明らかにした。6日の都議会で質問に答え、「2019年ラグビーワールドカップ開催までの施行を目指す」と述べた。
 
 都の条例案は、面積30平方メートル以下のバーやスナックなどを除く飲食店では屋内を原則禁煙とし、官公庁や老人福祉施設の屋内を、病院などは敷地内も完全禁煙とする方向で検討されている。


(2017.12.7)
 マカオ、新禁煙法違反6262件…1?11月累計=18年元旦から禁煙ゾーン拡大と罰金引き上げ
digital マカオ新聞 12月7日
 
 世界的な健康意識の高まりを受け、マカオでは屋内公共エリア及び公園などの大半を禁煙とする「新禁煙法」が2012年元旦から施行された。違反者には最高600パタカ(日本円換算:約8370円)の罰金が科せられ、マカオ政府衛生局(SSM)の法執行官(禁煙Gメン)が昼夜を問わず巡回取り締まりを行っている。(中略)
 
 2018年1月1日から改正新禁煙法が施行され、バス停周囲10メートルの範囲が新たに禁煙ゾーンとなるほか、違反者に対する罰金も1500パタカ(約2万0926円)に引き上げられる。


(2017.12.6)
 紙巻きたばこ、4年で1本3円増税へ…自民税調
ヤフーニュース(読売新聞) 12月6日
 
 自民党税制調査会は5日、「インナー」と呼ばれる非公式幹部会合を開き、紙巻きたばこを2018年10月から21年にかけて、1本当たり計3円増税する方針を固めた。
 
 同日開かれた公明党税調の幹部会合でも特に異論はなく、増税の枠組みが固まった。両党は近く税制協議会を開き、最終決定する。
 
 紙巻きたばこは18年、20年、21年に、それぞれ1円ずつ増税する。消費税率が10%に引き上げられる19年だけは、税負担が急激に増えないよう、据え置く。一般的な1箱20本入りだと、税で価格を60円押し上げる要因となる。
 
 政府・与党は国民の健康増進や歳入増を目的として、たばこ税の増税を検討してきた。紙巻きたばこよりも税額が低く、市場が拡大している「加熱式たばこ」は税制改正大綱に増税の方針を明記する方向だ。ただ、増税額や時期を巡り、自民・公明党間に意見の隔たりがあり、調整を続ける。


(2017.12.6)
 受動喫煙防止条例化へ 五輪見据え、千葉県内初 千葉市
千葉日報ニュース 12月6日
 
 2020年東京五輪・パラリンピックを見据え、千葉市が屋内を対象とする受動喫煙防止条例を制定する方針を固めたことが5日、関係者への取材で分かった。制定されれば県内初となる。大会前までの制定を目指して、今後、対象施設など具体的な内容の検討を始める。
 
 市議会定例会できょう6日から始まる代表質問で、熊谷俊人市長が表明する。関係者によると、罰則も含めて検討し、実効性ある条例の制定を進める。市民意見の募集なども経て、大会前までには制定できるよう議論を急ぐ。
 
 同市美浜区の幕張メッセでは20年、フェンシングなど五輪3競技と、ゴールボールなどパラリンピック4競技が行われる。国際オリンピック委員会(IOC)が「たばこのない五輪」を推進していることなどから、対策が喫緊の課題になっている。
 
 熊谷市長は今年7月の市議会定例会で、「徹底した対策に取り組んでいく必要がある。屋外への喫煙場所の確保など、喫煙者への対応も検討する」と答弁。9月議会では、20年までに条例を早期制定するよう求める陳情が採択された。
 
 市によると、受動喫煙防止条例は神奈川県と兵庫県が既に導入。市町村単位での制定は例がないとみられる。


(2017.12.6)
 市役所内、全面禁煙 来年4月実施へ 喫煙コーナー撤去、屋外に代替設備 東京五輪前にやっと本腰 /福岡
毎日新聞ニュース 12月5日
 
 福岡市は、市役所本庁舎(中央区天神)を建物内禁煙とする方針を固めた。庁舎内に6カ所ある喫煙コーナーを撤去し、代わりに屋外に3カ所の屋根付きなどの喫煙所を設置する考え。来年4月の実施に向け、市議会との調整を進めている。
 
 市などによると、全国20政令市のうち少なくとも12市が建物・敷地内を禁煙とし、九州でも北九州市と熊本市が実施。九州・山口・沖縄の県庁所在地でも、庁舎内を建物内禁煙にしていないのは福岡市の他は佐賀市と長崎市のみ。2020年の東京五輪を前に受動喫煙問題が注目を集める中、市の対応の遅れが市議会で指摘されていた。
 
 市の計画では、本庁舎内の6カ所と北別館の1カ所の計7カ所の喫煙所を無くし、西側ふれあい広場の南側2カ所に屋根付きでガラス張りなどの喫煙所を、東側玄関の北側にパーテーションで仕切った喫煙所を、来年3月中に整備する計画だ。
 
 市側は来年1月の実施を計画し、先月以降議会側に打診してきたが、「屋外喫煙所が3カ所だけで対応できるのか」など改善を求める声が上がり、話し合いを続けている。
 
 市庁舎の禁煙化については、9月議会で大石修二議員(公明)が市の対応の遅れを指摘。これに対し、高島宗一郎市長が国際大会の開催予定を引用しながら「原則屋内禁煙実現を目指し、まずは市役所本庁舎や関係施設について取り組みを推進したい」と、取り組みを進める考えを表明していた。【合田月美】


(2017.11.28)
 シンガポール、喫煙年齢18歳から引き上げ 19年から段階的に移行
Sankei Biz 11月24日
 
 シンガポールは、2019年から21年にかけて、段階的に喫煙年齢を引き上げる。たばこ法の改正案が11月に同国議会を通過した。それによると、現在はたばこの購入・使用・販売・供給が認められているのは18歳以上だが、この年齢を19年1月に19歳、20年1月に20歳、21年1月には21歳とする。喫煙率の低減が目的だ。現地紙ストレーツ・タイムズなどが報じた。
 
 同国のアムリン・アミン保健担当政務官は、引き上げの理由について、喫煙者の95%が21歳以下で、45%が18〜21歳で喫煙を開始しているという保健省のデータを挙げ、若者をたばこから遠ざけるのが狙いだと説明した。「喫煙開始年齢が早いほど、常習的な喫煙者になる確率が高く、後の禁煙も困難になる」としている。
 
 また改正案では、電子たばこ、電子葉巻、電子パイプの購入と使用や所有も禁じる。たばこ法では、既にニコチンを含む液体を蒸発させて吸引するための電池式器具は販売・輸入・供給を禁じるとしており、さらに一歩進めた格好だ。
 
 電子たばこなどは、たばこと比較して健康への影響が少ないとの説もある。しかし同政務官は、電子たばこのような模造品はニコチン依存につながる可能性があり、使用者がいずれたばこに移行する確率も高いとし、禁止が妥当との見解を示した。
 
 シンガポールは、1990年代には喫煙率が18%だったが、政府が規制強化に乗り出したため、ここ10年間は12〜14%で推移している。全面禁止も含む規制強化を訴える声も上がっているが、同政務官は「全面禁止は喫煙率が十分に下がってから」とした。
 
 改正案の国会通過を受け、保健省や関税当局など関連省庁は今後、違法たばこの流入阻止に注力していく。また、保健省が中心となり、受動喫煙に関するガイドラインを作成するほか、コミュニティーにおける受動喫煙低減のための措置も講じる方針だ。(シンガポール支局)


(2017.11.19)
 紙巻きたばこ販売、10月は14%減
日本経済新聞Web刊 10月17日
 
 日本たばこ協会(東京・港)は17日、10月の紙巻きたばこの販売本数が前年同月比14.1%減の121億本だったと発表した。販売金額は13.6%減の2639億円。各社が販売地域を拡大する加熱式たばこへの切り替えが進んでおり、販売の減少が続いている。


(2017.11.19)
 <受動喫煙対策>小池知事「一ケタ間違いでは」国の姿勢批判
ヤフーニュース(毎日新聞) 11月18日
 
 厚生労働省が受動喫煙対策を強化する健康増進法改正について、店舗面積150平方メートル以下の飲食店に喫煙を認める新たな案を検討していることについて、小池百合子知事は17日、「一ケタ間違いではないかと驚いた。国の姿勢が甘いものだとお知らせになったと受け止めている」と述べた。シンガポール出張から帰国後、羽田空港で報道陣に答えた。
 
 都は面積30平方メートル以下のバー・スナックなどを除き、原則屋内禁煙とする罰則付きの条例案を年度内にも都議会に提出する方針。「子どもを受動喫煙から守る条例」も来年4月に施行される。【円谷美晶】


(2017.11.18)
 谷口千枝世話人が学会賞を受賞
 
 子どもをタバコから守る会・愛知の谷口千枝世話人(椙山女学園
大学看護学部)が、11月4日―5日に開催された第11回日本禁煙
学会学術総会で、繁田正子賞と最優秀論文賞をダブル受賞しました。
 
 演題名は、「日本の禁煙治療における看護師の役割に関する実態
調査」です。
 
 繁田正子賞セッション プログラム
 
 写真のページを、会のWebページのトップページにリンクしました。 http://www.no-kidsmk-ai.com/event_photo_page/2017_05/Taniguchi201711.pdf


(2017.11.17)
 【報ステ】都内9割近くの飲食店で喫煙可能に?
ヤフーニュース(テレ朝NEWS) 11月16日
 
 厚生労働省は、30平方メートル以下の飲食店に限って喫煙を認める方針だったが、自民党の反発を受けて方針を転換し、店舗面積が150平方メートル以下の、より大型の飲食店でも喫煙を認める新たな案の検討に入った。新たな検討案は、大手チェーンの店や新規開業の店では認めないということだが、東京都内ならば9割近くの飲食店で喫煙が可能になる見込みだ。


(2017.11.17)
 受動喫煙 日本の対策「最低ランク」 英医学誌が警鐘
毎日新聞ニュース 11月10日
 
https://mainichi.jp/articles/20171111/k00/00m/040/069000c
 「日本は受動喫煙を巡る闘いに負けつつあるのか?」−−。世界4大医学誌の一つとされ、強い影響力を持つ英国の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」に、こんなタイトルの論説が掲載された。国内外の研究者が日本の受動喫煙対策の遅れに警鐘を鳴らし「日本の政治家は今、重大な岐路に立っている」と、決断を迫っている。
 
 論説では、世界55カ国が公共の場での屋内全面禁煙を法制化して15億人の健康が守られているのに対し、日本は飲食店や職場など多くの場所で喫煙が許されており「規制レベルは最低ランクの位置付け」と紹介。国民の大多数を占める非喫煙者の声が少数の喫煙者に負けているのが現状だとし、たばこ、外食、娯楽産業の圧力が強く、財務省がJTの33%の株を保有している事実もロビー活動を容易にしている可能性があると指摘した。
 
受動喫煙対策を強化する健康増進法の改正は厚生労働省と自民党が対立したまま見通しが立っていないが、論説は「健康的な国になるのか、喫煙者の楽園になるのかは、首相ら政治家のリーダーシップにかかっている」としている。
 
筆者の一人の津川友介・カリフォルニア大ロサンゼルス校助教(医療政策・医療経済学)は「受動喫煙対策は国際的な健康問題だ。たばこ規制枠組み条約を批准している日本が十分な対応をしていないのは大きな問題だとして掲載されたのだろう」と話す。【下桐実雅子】


(2017.11.12)
 社説 受動喫煙防止  もう先送りは許されぬ
京都新聞ニュース 11月5日
 
 受動喫煙防止を巡り「決められない政治」が続いている。
 対策強化に向けて政府が打ち出した屋内原則禁煙に自民党の一部議員が反対し、再三、折衝を重ねたものの妥協点を見いだせない。健康増進法改正案は国会に提出できず宙に浮いたままだ。国民の健康に関わる重大事にもかかわらず、対策強化に後ろ向きな自民党は時代の流れを見誤っていると言うしかない。
 政府は先ごろ、予防と検診の強化を柱とした第3期がん対策推進基本計画を閣議決定した。ただ焦点の一つだった受動喫煙にさらされる人の割合をゼロにする目標設定は断念した。並行して議論してきた受動喫煙対策を強化する法改正案の調整が難航しているためだ。
 第2期がん計画では受動喫煙を「2022年度までに行政機関と医療機関は0%、家庭は3%、飲食店は15%に減らす」目標を掲げてきた。厚生労働省の専門家会合は第3期計画に「家庭や飲食店でも受動喫煙ゼロ」を明記するよう求めている。
 副流煙を吸い込む受動喫煙は、煙の量は少なくても毒性物質の濃度が高い。肺がんや心筋梗塞などのリスクを高め、受動喫煙が原因で亡くなる人は国内で年間に推計1万5千人と交通事故死の約4倍に相当する。重く受け止めねばならない。
 政府は「望まない受動喫煙をなくす実効性のある健康増進法改正案を、可能な限り早期に国会に提出したい」(加藤勝信厚労相)との意向だが、これでは本気度に疑問符が付く。
 そもそも受動喫煙の対策強化は、国際的な潮流と言える。英国など50カ国近くが法律で公共の場所全てを屋内禁煙にしている。日本の対策は国際的に「最低レベル」に甘んじてきた。子どもを含めたばこを吸わない人の健康をどうやって守るか、日本人の良識が問われている。
 20年には東京五輪・パラリンピックが開かれる。「たばこのない五輪」は、今や世界の常識だ。国際基準にのっとった屋内完全禁煙を実現することは開催国の責務であるのに、無煙五輪に赤信号がともり始めた。
 法案化で焦点となっているのは、喫煙を例外的に認める飲食店の線引きだろう。厚労省は激変緩和措置が終了後、喫煙を認める例外を約30平方メートル以下の小規模なバーなどに限定したい考えだ。これに対し、自民党は受動喫煙対策の必要性を認めつつも、店頭に「喫煙」「分煙」と表示した上で、さらに例外を広げるよう求めている。
 規制は明快であるべきで、いったん例外を認めると、際限なく広がりかねない。後退に後退を重ねては国民の健康を守る効果は期待できない。
 喫煙権や営業権を軽視するわけではない。健康を損なう恐れがある以上、いや応なく他人のたばこの煙にさらされない権利は、より尊重されるべきであろう。
 五輪開催地の東京都は独自に公共施設や飲食店の屋内を原則禁煙とする条例制定を目指している。しかし競技会場は都内だけではなく、全国一律の対策が望ましい。特別国会は会期が限られるとはいえ、これ以上法案提出の先送りは許されない。


(2017.11.12)
 受動喫煙、厳格な規制を=自民議連
ヤフーニュース(時事ドットコム) 11月8日
 
 自民党の受動喫煙防止議員連盟(山東昭子会長)は8日、衆院議員会館で会合を開き、厳格な受動喫煙規制の実現に向け、早ければ来年の通常国会での関連法成立を目指す方針を確認した。
 
 東京都が飲食店では原則屋内禁煙とする条例制定を検討していることを踏まえ、政府にも厳しい内容の規制策を働き掛ける。


(2017.11.12)
 たばこ税、1本3円の増税で調整 自民税調では慎重論
朝日新聞デジタル 11月7日
 
 財務省は、来年度の税制改正で検討しているたばこ増税について、2018年10月から3年程度かけて1本あたり3円増税する案を軸に与党との調整に入った。
 
 現在のたばこ税は1本あたり約12・2円。販売面の悪影響を避けるため、財務省は18年10月に1本あたり1円引き上げた後、消費税率を引き上げる19年10月の増税は見送り、20年と21年に1円ずつ引き上げる案を検討している。従来の紙巻きたばこよりも税額が低い加熱式たばこも増税する方針で、年末にまとめる与党税制改正大綱に盛り込みたい考えだ。
 
 たばこ増税が実現すれば、1本あたり3・5円の増税を実施した10年10月以来8年ぶりとなる。1本あたり3円増税すると、1箱(20本)あたり60円の増税で、税収増は年間2千数百億円程度が見込まれる。小売価格の値上げ幅は、増税幅を上回ることが多く、前回の増税時は主要銘柄で1箱110〜140円値上げされた。
 
 ただ、7日に開かれた自民党の税制調査会の非公式幹部会では慎重論が相次いだ。増税幅や実施時期などをめぐり、調整は難航も予想される。
 
 たばこ増税は、消費増税時に導入する軽減税率で減る税収を補う財源としても有力視されている。受動喫煙を防ぐ観点からも増税を求める声がある一方、葉タバコ農家や愛煙家からの反発も予想される。増税がたばこ離れにつながり、税収増が想定を下回る恐れもある。


(2017.11.7)
  「臭くて煙くてしんどい」自民党両院議員総会は「喫煙可」…他の党の状況は?
ヤフーニュース(BuzzFeed Japan) 11月2日
 
9月28日に開催された両院議員総会の様子。
自民党参議院議員・小野田紀美氏が指摘した、同党の両院議員総会での受動喫煙。自民党の担当者は「特に区切りなどはしていない」部屋を“分煙”と言い切ります。「基本的には禁煙」という衆議院の建物内で、抜け穴になっている各党の控室。他の党はどのような状況か、取材しました。【BuzzFeed Japan Medical / 朽木誠一郎】
 
「衆議院は部屋の中でタバコ吸えるのですよ」とツイートしたのは自民党参議院議員・小野田紀美氏。
 
“これから両院議員総会ということで、衆議院の部屋に来ています。来ているのですが…忘れてましたけど衆議院は部屋の中でタバコ吸えるのですよ…臭くて煙くてしんどいですが吸っちゃいけない決まりじゃないからなんとも言えない…参議院は喫煙室じゃないとダメなのでカルチャーギャップですね。”(出典:@onoda_kimi)
 
他人のたばこの煙を吸い込む「受動喫煙」により、非喫煙者も「肺がん」や「脳卒中」、「虚血性心疾患」などの健康上のリスクがあることが、国内でもさまざまな研究により証明されている。
 
日本の受動喫煙対策が「世界最低レベル」と世界保健機関(WHO)から警告される中、健康増進法改正案を巡り、反対する自民党と厚生労働省の間で、意見がまとまらなかった経緯がある。
 
10月24日に閣議決定された「第3期がん対策推進基本計画」の議論においては、自民党側は厳格な受動喫煙対策には否定的で、政府は「受動喫煙ゼロ」の目標を事実上、断念したとも報じられている。
 
そんな中、党内から上がった、他人の煙を吸い込むことへの苦痛を訴える声。自民党はやはり、受動喫煙対策への意識が低いのだろうか。
 
「基本的には禁煙」の衆議院。しかし「各政党の控室」という抜け穴が。
 
もちろん、衆議院の建物内で自由に喫煙できるわけではない。BuzzFeed Japan
Medicalが衆議院と参議院それぞれの広報に問い合わせると、両院とも喫煙は基本的に、建物内の喫煙スペースでのみ可能ということだった。
 
ところが、抜け穴もある。衆議院の広報担当者は「各政党の控室」は例外で、「喫煙可能かどうかは、それぞれの政党の自治に委ねられている」と回答。参議院でも同様だった。
 
自民党の両院議員総会が11月1日に開催されたのは、まさにこの「各政党の控室」の1つ。最大政党の自民党に割り当てられた、大きな部屋だ。
 
そこで自民党に取材を申し込んだ。自民党の総務局担当者は「国会の運営に関することなので、ルールはそれぞれの国会対策委員会が決めている」と回答。
 
自民党の参議院国会対策委員会の広報担当者によれば、参議院については小野田氏の指摘のとおり「基本的に禁煙」だった。
 
1部屋だけ喫煙可の「5〜6人が入れるサイズの、煙を吸い取る機械のある、ボックスのような形状のブースがある」という。
 
では、衆議院はどうか。自民党の衆議院国会対策委員会の広報担当者は、取材に当初、「両院議員総会が開催されていた部屋は“分煙”されていた」と主張した。
 
“分煙”なら、なぜ小野田氏が指摘したように、煙が非喫煙者の方に漏れていたのか。その方法について質問すると「特に区切りなどはしていない」「区切りなんかしたら、会議にならないじゃないですか」(同担当者)
 
区切りなどがないのに、分煙と言えるのか。同担当者は「定義はわからない」として、明確に回答せず、次のように繰り返した。
 
「喫煙をされる議員の方には、後の方に座っていただくようにしています」「煙が来たという参議院議員の方は、そのことを知らなかったのでは」
 
衆議院の他の自民党の控室では、部屋ごとに喫煙と禁煙がわかれているそうだ。同担当者によれば「このような形式の“分煙”は、両院議員総会など、特別な機会に限られる」という。
 
他の党ではどうか。各党に「控室」での喫煙・禁煙の状況を問い合わせた。
 
取材は公明党、立憲民主党、希望の党、共産党におこなった。うち、公明党と共産党は担当者がそれぞれ、電話での取材に「両院共に控室は全面禁煙」と明言した。
 
立憲民主党は電話での取材に、「担当者が戻り次第、回答する」と回答を保留している。希望の党は電話番号やメールアドレスをサイト等に公開していないため、メールフォームで問い合わせ中だ。回答があり次第、記事に追記する。


(2017.11.2)
 「喫煙後45分間」も大学構内に立入禁止 北陸先端大が全面禁煙に踏み切った理由
exite.ニュース(スマダン) 11月2日
 
北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)が、10月1日より構内全面禁煙を実施した。全面禁煙に踏み切ったことに加えて「喫煙後45分間」の構内立ち入りも禁止。先進的な受動喫煙防止の取り組みにネットでは驚きの声が上がっている。どのような経緯があったのか、JAISTに話を聞いた。
 
話し合いを重ね、“構内全面禁煙”へ
JAISTの担当者によると、「これまで何度か大学のなかで受動喫煙防止の取り組みを考える話し合いがあった。従来の健康増進法に受動喫煙防止の規定はあったが、さらに2015年6月に改正された労働安全衛生法でも、職場の受動喫煙防止が努力義務として加わったことで、本格的に取り組むことになった」とのこと。また、東京オリンピックに向けた受動喫煙防止の動きもあり、改めて大学内で話し合いが行われ、全面禁煙に至ったという。
 
喫煙後45分間は立ち入り禁止
今回の全面禁煙により、構内に10数ヵ所あった喫煙所はすべて閉鎖。さらに構外で喫煙した場合でも45分間は立ち入りを禁止している。
 
「今年の3月に専門家を呼んで講演会をした際に、『喫煙後、45分間は肺から有害物質を吐出している』との説明があった。そのため、受動喫煙防止措置として、喫煙後45分間は本学の敷地内及びJAIST Shuttle(シャトルバス)車内への立ち入りを禁止している」と担当者。実際に、IQOS(アイコス)などの有害性物質が減っているとされる加熱式たばこも規制の対象としている。
 
JAISTだけでなく、東京オリンピックに向けて喫煙に対する規制が強化される流れは今後ますます大きくなりそうだ。


(2017.10.28)
 受動喫煙防止へ 企業実践例紹介 松江・日本禁煙科学会が総会
山陰中央新報社 10月29日
 
 「健康経営で生涯現役」をテーマにした日本禁煙科学会学術総会が28日、松江市内で始まった。職場での受動喫煙防止に取り組む企業が実践例を紹介し、訪れた島根県内の企業や自治体関係者ら約300人が、従業員の健康を増進して企業の持続的成長につなげる「健康経営」への理解を深めた。29日も。
 
 一般向けの無料公開講座では、特殊鋼を販売する天彦産業(大阪市)の樋口友夫社長が「会社の発展は社員の幸せから」と題し、社員第一主義の経営方針を説明した。


(2017.10.26)
 財務省、たばこ増税を検討 「加熱式たばこ」も
朝日新聞デジタル 10月25日
 
 財務省が2018年度税制改正で、たばこ税の増税を検討していることが分かった。19年10月の消費増税時に導入する軽減税率で、目減りする1兆円規模の税収の一部を穴埋めする狙いがある。ただ、愛煙家やたばこ農家の反発も予想され、調整は難航しそうだ。
 
 政府・与党は、年末に決める18年度の税制改正で、急速に普及が進む「加熱式たばこ」も増税する方向で検討している。財務省は従来のたばこも併せて増税する方向で、今後、与党との調整を本格化させる。
 
 たばこ増税が実現すれば10年10月以来となる。当時は1本3・5円、1箱(20本)あたり70円の増税となり、増税後の11年度の税収は、09年度と比べて約3500億円増えた。
 
 消費税率を10%に引き上げるときに飲食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率を導入すると、税収が約1兆円減ると見込まれている。このうち4千億円分は、低所得者の医療や介護の負担を軽くする「総合合算制度」を見送ることでまかなうが、残る6千億円の財源の確保が課題だった。たばこ税は、受動喫煙防止の観点から増税を求める声もあり、穴埋めの手立てとして有力視されていた。
 (長崎潤一郎)


(2017.10.26)
 子連れ客に「喫煙席」を勧めるファミレス、東京都から消滅するかも
Huffington Post 錦光山 雅子 10月25日
 
■東京都の「子どもを受動喫煙から守る条例」
 2020年の東京五輪までに屋内禁煙を、とWHOなどから求められながら、法整備がなかなか進まない日本。だが、国の法整備ではあれだけ禁煙に反対していた飲食店業界でも、東京都で条例化が進んでいることなどを背景に、独自に禁煙に踏み切る動きが加速している。2018年度のたばこ税の引き上げも検討されており、日本の喫煙を巡る環境は大きく様変わりするかもしれない。
 
 2017年10月5日、東京都議会は「子どもを受動喫煙から守る条例」を可決した。2018年4月から施行される。
 
 条例は子どもを受動喫煙による害から守るのが狙いで、以下の内容が柱となっている。
・子どもと同室の空間で喫煙をしないよう努めなければならない
・子どもが同乗する自動車内で喫煙しないよう努めなければならない
・保護者は受動喫煙を防ぐ措置が講じられていない施設に子どもを立ち入らせないよう努めなければならない
 
「罰則規定はないので強制力がない」「私的空間に介入」など、条例への批判はあるが、条例ができたことで、何がどう変わるのか。
 
■「喫煙席になさいますか」の問いかけは消える?
その一つが、飲食店での入店の案内だ。現状では、子連れ客にも「喫煙席になさいますか?禁煙席になさいますか?」と尋ね、大人が喫煙席を選べば、喫煙席に連れて行く。
 
 だが条例では、受動喫煙を防ぐ措置のない施設に子どもを立ち入らせないよう求めている。このため、従来の対応を見直すところが出てきている。
 
 ファミリーレストラン・チェーン「デニーズ」を展開するセブン&アイフードシステムの広報はこう説明する。
 
 「子連れ客にはどちらの席がいいか聞くことなく、禁煙席に座っていただくことになるだろう。もし吸いたい大人がいたら、1人で喫煙席に行って吸っていただく。すでに受動喫煙条例が施行された神奈川県では、そうした対応をしている」
 
 さらに東京都では、2019年に開かれるラグビー・ワールドカップの前に、飲食店も「原則禁煙」とする罰則つきの「都受動喫煙条例」の制定も目指している。
 
■加速する飲食業界の禁煙化
 加えて、ファミリーレストランやファストフード業界を中心に、食事席はすべて禁煙とする「全面禁煙」に切り替えるところが増えている。
 
 すでにロイヤルホストは2013年から食事席はすべて禁煙に、マクドナルドも2014年から全席禁煙としている。
 
 追随するかたちで、ケンタッキーフライドチキンを展開する日本KFCホールディングスも店舗の改装にあわせ、計約1150店の全席禁煙をすすめている。
 
 同社広報によると、直営店(約320店)はあと1,2カ月以内に全店で禁煙化が終わる予定だ。フランチャイズも9割以上は禁煙にした。「顧客の主体であるファミリー層に配慮した」(同社広報)という。
 
 デニーズも全400店の約1割程度で食事席を禁煙にしたほか、「家族が来ることの多い週末を全面禁煙にする店も増やしている」(セブン&アイ・フードシステムズ経営企画室)という。
 
■職場でも禁煙化は進む
 家族だけではない。職場でも禁煙化は進む。
 
 勤務中の禁煙や忘年会やの歓送迎会など従業員同士の懇親の場は禁煙とする「禁煙ポリシー」を設ける企業が、ここ数年増えている。
 
 全面禁煙のニーズが高まることから、禁煙化に消極的な居酒屋などでも禁煙化に踏み切るところが増えてくるかもしれない。


(2017.10.22)
 2020年から見える未来 ちぐはぐ禁煙、軌道修正 「路上」より「屋内」厳しく 加熱式たばこは公的機関で調査中、法施行までに判断
NIKKEI STYLE(日経産業新聞) 10月19日
 
 2020年の東京五輪・パラリンピック開催を控え、飲食店での対応などで注目される受動喫煙防止対策。対策の強化を軸とした関連法案の提出は17年6月に閉会した通常国会では見送られたものの、罰則付きの条例制定を目指す東京都の対応など今後の議論の行方に目が離せない。防止対策の考え方や海外と比べた日本の現状などを厚生労働省健康局健康課の正林督章課長に聞いた。
 
■面積30平方メートル以下の店は例外
――受動喫煙防止対策をめぐる背景や議論のポイントを教えてください。
 「15年に受動喫煙防止を盛り込んだ『オリパラ基本方針』が閣議決定されてから議論が活発になり始めた。03年に施行された健康増進法で受動喫煙の防止は努力義務とされていたが、それでは取り組みの限界がみえていた。東京五輪・パラリンピックの開催が近づくなかで、16年10月に厚労省としてたたき台を作り、17年3月に基本的な考え方を示した」
 
 「考え方では、施設ごとに異なる禁煙のあり方を盛り込んだ。小中学校や高校、医療機関は敷地内禁煙とし、公共交通機関ではバスとタクシーは禁煙とした。一方で、原則禁煙であっても、ホテルや企業の事務所など一部の施設には喫煙ルームの設置を認め、バーやスナックといった小規模な飲食店は例外として、喫煙を認める考えも示している。小規模店舗では公式見解で面積30平方メートル以下を例外とすることを打ち出している」
 
――先の国会では受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案の提出は見送られました。秋の臨時国会も冒頭での衆院解散・総選挙となり、審議の行方は不透明です。
 「焦点となったのは、飲食店の扱いだ。自民党内で一部から『過剰な規制』との声が上がり、意見がまとまらなかった。飲食店をひとくくりに禁煙にするのではなく、店に『喫煙可能』『未成年の立ち入りを禁止する』といった表示をすれば十分だとの意見もあった。禁煙にすることで客足が遠のくことを不安視する飲食関係者も少なからずいるようだ」
 
■違反者には行政指導、従わなければ過料
 ――違反した場合には厳しい罰則があるのでしょうか。
 「対策強化と聞くと、違反した時点で罰則と捉える人もいるかもしれないが、実際にはそうしたものではない。仮に違反した事業者がいた場合、まずは行政による指導や命令などで改善を促し、従わなかった際に過料という形となる。そうした点も含めて周知していく必要がある」
 
 「(6月に閉会した)国会での審議は見送られたが、施行時期は19年9月に開催予定のラグビーワールドカップに間に合わせたい。(衆院解散で)国会での審議の見通しは不透明だが、国民への周知など準備期間を考えると2年間くらい必要なので、できるだけ早く法案を提出できるようにしたい」
 
――歴代の五輪開催国では、受動喫煙対策が実施されています。
 「国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)は10年に『たばこのない五輪』推進で合意した。それ以降の五輪開催国はカナダや英国、ロシアなど軒並み『屋内禁煙』を実現している。ホテルなど宿泊施設や飲食店での喫煙室の設置も禁じられており、屋内の喫煙に関しては海外の方が厳しいともいえる」
 
 「一方で、海外では屋内での喫煙を禁ずる代わりに屋外での規制はない。対策は喫煙を禁止するものではなく、あくまで受動喫煙を防ぐという意味なので、理にかなっている。景観上の問題も無いわけではないが、屋外は煙が充満する屋内に比べて受動喫煙のリスクは下がる」
 
■路上規制している自治体と調整必要
――路上喫煙に関しては、東京都内では千代田区や新宿区、豊島区などが禁止しています。
 「日本では全国の1割強の自治体が路上喫煙を規制する条例を持つ。国としては受動喫煙を防ぎたいわけなので、条例のある自治体に対して、屋内禁煙との調和が取れるよう働き掛けを始めているところだ」
 
――今回の受動喫煙対策のなかで、「加熱式たばこ」はどのように位置づけていますか。
 「加熱式たばこは紙巻きたばことは異なり、熱した葉タバコから出る蒸気を楽しむ製品だ。火を使わないために煙や灰が出ないのが特徴で、日本たばこ産業(JT)などメーカー側も有害物質を軽減できるとしている。だが、全国的に普及し始めて間もないため、現在は受動喫煙防止の議論の対象から外している」
 
 加熱式たばこの人気は高く、日米英3社による商戦が活発になっている(東京都中央区の「アイコスストア銀座店」)
 
 「受動喫煙を防止する観点から現在、使用者がはき出す蒸気の影響を公的な研究機関に依頼して調べてもらっているところだ。規制の対象となるか、対象外となるかは影響を踏まえて法案の施行までに判断したいと考えている」
 
――東京都では5日、子どもを受動喫煙から守るための条例が可決・成立するなど、国に先行する形で受動喫煙対策に取り組む姿勢を示しています。
 「国が受動喫煙対策を進める中で、自治体も同様の動きを進めてくれることは歓迎すべきことだ。東京都が先んじて受動喫煙対策に取り組んだ場合に、国の施策にどういう影響があるかは結果をみてみないと分からない。あくまで国としては速やかに対策を進めることができるよう取り組んでいきたい」
 
正林督章
 1989年鳥取大医卒。都内の病院勤務を経て、91年旧厚生省入省。世界保健機関(WHO)での勤務経験もあるほか、健康増進法の制定、新型インフルエンザなどの感染症対策やがん対策などに携わる。15年から現職。54歳。
 
(湯前宗太郎)


(2017.10.22)
 外食各社、全席禁煙にカジ 日本KFCやデニーズ  家族客取り込み、アルバイトに配慮も
日本経済新聞Web刊 10月20日
 
 外食業界が分煙席を設けない全席禁煙にカジを切り始めた。ハンバーガーチェーンなど限られた大手が取り組んできたが、日本KFCホールディングスやファミレス「デニーズ」も新たに全店で禁煙に踏み切る。顧客のファミリー層、労働力のアルバイト層の多くが喫煙者を嫌っているとみており、取り込みに失敗すれば中期的な成長はできないと判断した。
 
 居酒屋大手のワタミは、一部の店舗で喫煙ルームを設け、全席禁煙にしている
 
 外食は禁煙強化に慎重論が根強い。飲食や飲酒と喫煙は親和性が高く、喫煙客の反発から短期的な売り上げ減少が避けられないためだ。ただ若年層の喫煙率が下がるなか、各社は将来にわたって来店してもらうため禁煙が不可欠とみている。
 
 東京都が屋内を原則禁煙とする条例案を来年2〜3月の都議会に提出する動きを先取りし、各社は全国の店舗に全席禁煙を広げようとしている。多くは席と別に喫煙スペースを設けるが、敷地内では一切吸えないようにするケースもある。


(2017.10.21)
 たばこ対策、衆院選公約に…「屋内は完全禁煙」世界基準だが、飲食店売り上げに影響?
ヤフーニュース(yomiDr.) 10月20日
 
「受動喫煙」死者、国内で年間1万5000人
 東京五輪・パラリンピックを3年後に控え、非喫煙者がたばこの煙を吸う「受動喫煙」を防ぐ対策が急務だ。受動喫煙による死者は国内で年間1万5000人との推計もあり、主要政党も衆院選の公約にたばこ対策を盛り込んでいる。多くの外国人観光客の来日が予想されるなか、世界基準の対策を打ち出せるか注目される。
 
IOCとWHO「たばこのない五輪」で合意、主要6党の公約では…
 国際オリンピック委員会(IOC)は2010年、世界保健機関(WHO)と「たばこのない五輪」を推進することで合意。それ以降に五輪・パラリンピックを開催した都市では、官公庁や飲食店などの屋内完全禁煙を実現している。
 
 主要6党の公約では、希望、公明、共産の各党は五輪を意識した表現を盛り込んだ。「開催国として国際標準」(希望)や「開催地で常識」(公明)、「開催国としての国際的責務」(共産)として、より強い規制を進める方針を示した。自民党は「法整備も含め徹底する」と宣言。立憲民主党と日本維新の会は公約で言及していない。
 
 厚生労働省が受動喫煙防止対策の強化案のたたき台を示した昨秋以降、意見が最も対立したのが飲食店への規制だった。
 
 厚労省案は、飲食店などは喫煙室のみ喫煙可とした上で、30平方メートル以下のバーやスナックは例外として喫煙を認めた。自民党は、飲食店の負担が増えるとして、100平方メートル以下の店舗では、店頭に表示すれば喫煙可とする案をまとめ、折り合いがつかなかった。
 
禁煙化した飲食店 「煙が苦手なお客さんが増え、売り上げも伸びた」
 国民健康・栄養調査によると、受動喫煙の機会が最も多いのが飲食店で42.2%に上る。対策は必須だが、禁煙化で売り上げが減ることを恐れる飲食店の経営者は多い。ただWHOは09年の報告書で、レストランやバーの調査結果を分析し、「全面禁煙にしても減収はない」と結論づけている。
 
 10年前に店内を禁煙化した横浜市のビアレストラン「横濱チアーズ」を経営する堀川秀樹さん(57)は「たばこを我慢できない人は来なくなったけど、煙が苦手なお客さんが増え、売り上げも伸びた」と話す。
 
 また、厚労省案や自民党案はいずれも喫煙の例外を認める内容だが、医学界は「例外のない全面禁煙」を求める声が主流だ。
 
健康影響…肺がんや脳卒中、虚血性心疾患などで「ほぼ確実」
 米カリフォルニア大が職場やレストラン、居酒屋を全面禁煙にした世界各地の研究を分析したところ、呼吸器の病気にかかる危険性が24%、狭心症や突然の心停止は39%、心筋梗塞(こうそく)などは15%下がることがわかった。一方、職場に限った禁煙の効果は限定的だった。
 
 日本内科学会や日本循環器学会など25学会が参加する「禁煙推進学術ネットワーク」も2月、こうした結果を踏まえて「部分的規制や分煙では効果が期待できない」として、「面積基準による例外や喫煙室の設置等の分煙は認めるべきではない」と声明を発表した。
 
 ネットワーク理事長の藤原久義さん(兵庫県立尼崎総合医療センター院長)は「分煙は、喫煙を推進する方策でしかない。科学的根拠に基づいて健康対策を進めるなら、全面禁煙しかあり得ない」と訴える。
 
 受動喫煙による健康影響は、肺がんや脳卒中、虚血性心疾患などですでに「ほぼ確実」とされ、厚労省研究班によると、国内で毎年約1万5000人が亡くなると推計されている。
 
 WHOは「公共の場所」を病院、大学、飲食店など8種類に分類し、国の法律等で全面禁煙になっている場所がいくつあるかでランク付けしている。日本は現在、中国などと並び、最低ランクに位置する。
 (森井雄一)


(2017.10.19)
 世界肺がん学会議が横浜で開催= 加熱式タバコの報告も〔GNW〕
時事ドットコム・ニュース 10月18日
 
【グローブニューズワイヤ】国際肺がん学会の第18回世界肺がん学会議が横浜で開催され、世界有数の肺がん研究者がCTスクリーニング、禁煙、中皮腫についての新しい知見を発表した。タバコフリージャパンおよび日本対がん協会の望月友美子博士は、日本で流行し始めている「加熱式タバコ」などの新型タバコ製品に早急に対応する必要性を訴えた。タバコ業界は、加熱式タバコなどは有毒放出物が90%〜99%カットされると主張しているが、著しい量のニコチンを含み、従来のように有毒の蒸気も発する。望月博士は「研究者や政府は、この製品の適切な規制をサポートする科学的エビデンスを提供するよう取り組む必要がある」と強調した。


(2017.10.15)
 たばこ販売、9月13%減 
日本経済新聞Web刊 10月14日
 
 日本たばこ協会(東京・港)は13日、9月の紙巻きたばこの販売本数が前年同月比13.8%減の124億本だったと発表した。販売金額は13.5%減の2699億円。喫煙者が減少していることに加え、各社が攻勢を強める加熱式たばこへの切り替えも進み、販売減に歯止めがかからない。
 
 日本たばこ産業(JT)が同日発表したJTの9月の紙巻きの販売本数は、同13.6%減の75億本だった。


(2017.10.8)
 選挙戦  「働き方改革」など法案棚上げ 「間に合わない」と関係者やきもき
産経ニュース 10月6日
 
 衆院選の公示が目前に迫る中、解散前の臨時国会で成立を目指していた「働き方改革」など重要法案が棚上げされ、関係者から「日程が間に合わない」とやきもきする声が上がっている。廃案になったのは計66法案。成立には国会に法案を提出し直す必要があり、衆院選後は急ピッチの審議が求められそうだ。
 
 昨年7月に起きた相模原市の障害者施設殺傷事件を受けて、措置入院患者の支援強化を盛り込んだ「精神保健福祉法改正案」も廃案になった。
 
 「監視強化につながる」として野党や障害者支援団体などが廃案を求めていたが、事件の検証・再発防止策検討チーム座長だった成城大の山本輝之教授(刑法)は「法改正は措置入院患者の医療を継続し、患者が地域に孤立しないよう安心して暮らせるようにするものだ」と法案の早期成立を訴えていた。
 
 働き方改革では、労働基準法改正法案の中で残業時間に罰則を設けたことが特徴だ。厚生労働省の幹部はNHK記者の過労死が明らかになったことに触れ、「過労で苦しむ人は今もおり、規制は待ったなしの状況だ」と力を込める。
 
 同じく、2020年東京五輪・パラリンピックを見据えた受動喫煙対策を強化する健康増進法の改正も臨時国会の目玉となるはずだった。喫煙室の設置などで厚労省は「周知期間に2年は必要」としており、日本禁煙学会の作田学理事長は「五輪が迫っているのに間に合うのか心配だ。日本は世界最低レベルで、何とか他の国と同様の喫煙対策をしてほしい」と望む。
 
 五輪後では、外国人観光客誘致の起爆剤としてカジノを解禁する「統合型リゾート(IR)実施法案」も臨時国会に上程される予定だった。IR実施法が施行されれば、ギャンブル依存症対策が強化される。


(2017.10.7)
 希望と都民ファが政策協定【17衆院選】
ヤフーニュース(JIJI.COM) 10月5日
 
 希望の党(代表・小池百合子東京都知事)は5日、衆院選に向けて同氏が率いる地域政党「都民ファーストの会」と、2020年東京五輪・パラリンピックに合わせた受動喫煙対策などを柱とする政策協定を締結した。
 
 小池氏は「首都が栄え、日本が栄えるために、都民ファーストの力も借りて、この戦いに立ち向かわなければならない」と述べた。


(2017.10.6)
 都の受動喫煙防止条例が成立 18年4月、国に先行
日本経済新聞Web刊 10月5日
 
 東京都議会で5日、小池百合子知事が実質的に率いる地域政党「都民ファーストの会」と公明党が共同提出した「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」が賛成多数で可決、成立した。家庭内での受動喫煙防止が柱で、施行は来年4月。国に先行して受動喫煙対策に取り組むことで、改革姿勢を示す狙いもありそうだ。
 
 受動喫煙防止条例で定められた努力義務
 家庭で子供と同じ部屋で喫煙しない
 受動喫煙の対策を講じていない施設、喫煙専用室に子供を立ち入らせない
 子供が同乗する自動車内で喫煙しない
 公園や学校周辺の路上などで子供の受動喫煙防止に努める
 
 条例は「子供は自らの意思で受動喫煙を避けることが困難で、保護の必要性が高い」と明記。保護者に対し、子供がいる室内や車内で喫煙しないことや、分煙が不十分な飲食店などに立ち入らせないことなどを求めた。いずれも努力義務で、罰則規定はない。
 
 私的な生活空間に踏み込む内容に、条例が審議された都議会厚生委員会では「家庭内の規制は慎重にすべきだ」との意見も出た。
 
 都は今回の条例とは別に、飲食店などの屋内を原則禁煙として、罰則を設ける条例を制定する方針。来年2〜3月の都議会に提出される見込みだ。小池氏は今定例会の所信表明演説で「都民の健康を確保する観点から、受動喫煙防止対策をより一層推進しなくてはならない」とした。
 
 受動喫煙を巡っては国際オリンピック委員会(IOC)が「たばこのない五輪」を目指していることから、都や国は2020年東京五輪・パラリンピックの開催までの対応を目指している。


(2017.10.5)
 子供いる室内など禁煙へ 都議会で条例可決
0テレNEWS24 10月5日
 
 5日に行われた東京都議会で、子どもを受動喫煙から守るための条例が可決・成立した。
 
 国に先行した受動喫煙対策として、都民ファーストの会と公明党が共同で提出した「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」は、賛成多数で可決・成立した。
 
 条例では、保護者に対し、子どもがいる部屋や車の中での禁煙や、子どもを分煙が不十分な飲食店などに立ち入らせないことを求めている。いずれも努力義務で罰則規定はなく、条例は来年4月に施行される。
 
 また、小池知事になって初めての副知事人事も議会で同意され、猪熊純子氏が副知事に就任することになった。東京都で女性副知事が誕生するのは22年ぶりのことで、女性政策をさらに進めていくねらい。


(2017.10.3)
 子の受動喫煙防げ 禁煙、自宅も努力義務 都条例案可決
朝日新聞デジタル 10月3日
 
 東京都議会の厚生委員会は3日、子どもの受動喫煙を防ぐために自宅などでの禁煙を努力義務とする条例案を賛成多数で可決した。5日の本会議で可決、成立する見通し。私生活の空間での喫煙に歯止めをかける都道府県条例は全国初となる。
 
 条例案は都民ファーストの会、公明党、民進党が共同で提案した。都議会で議員提出の条例案が成立すれば、2011年以来。
 
 条例案では、受動喫煙から守るためとして、子どもがいる自宅や自動車の中などでの禁煙を努力義務とする。当初、自動車内で「喫煙をしてはならない」とする案が検討されたが、反対意見に配慮し、努力義務とされた。保護者には、受動喫煙を防ぐ措置のない施設に子どもを立ち入らせないよう努力義務も課す。いずれも罰則はない。
 
 この日の採決では、都民ファースト、公明、共産が賛成し、自民は「行政が家庭内に踏み込むことには慎重であるべきだ」として反対した。(野村周平)


(2017.10.1)
 子どもの受動喫煙防止条例を議論
NHK NEWS WEB  首都圏 NEWS WEB 9月29日
 
東京都議会の委員会で、子どもを受動喫煙から守ることに特化した条例案が審議され、提案した議員が「子どもは自らの意思で受動喫煙を避けることは困難だ」として条例制定への理解を求めました。
 
東京都議会の都民ファーストの会と公明党、それに、民進党は、子どもがいる部屋や車の中などでの喫煙を避けるよう求める条例案を来年4月の施行を目指して開会中の定例議会に提出しています。
 
29日開かれた都議会の厚生委員会で、都民ファーストの会の岡本光樹議員が、提案の理由について「子どもは自らの意思で受動喫煙を避けることは困難で速やかに条例を制定すべきだ」と述べました。
 
このあとの質疑で、自民党の小宮安里議員が家庭内に介入するのは慎重であるべきだとただしたのに対し、岡本議員は「親が決めたことが当たり前という家庭では子どもの発言は認められにくいため、子どもと同じ空間で喫煙するのは良くないことだと規範を示すために意義があると思う」と述べました。
 
また、共産党の和泉尚美議員が、都民が都外で行動した場合はどうなるのか質問したのに対し「東京から一歩出たとたんに子どもの前で喫煙してもいいことにはならない」と述べ、あくまで罰則のない努力義務として、受動喫煙の防止に努めるよう理解を求めました。
 
条例案を提出した3つの会派をあわせると議席の6割を超えることから、可決・成立は確実な情勢で、都議会で議員提案による政策的な条例が成立すれば6年ぶりとなります。


(2017.9.30)
 子供の受動喫煙防止条例案、3日に採決見通し 都議会委員会
日本経済新聞 9月30日
 
 東京都議会は29日の厚生委員会で、小池百合子知事が実質的に率いる地域政党「都民ファーストの会」と公明党が共同提出した「子どもを受動喫煙から守る条例」案を審議した。子どもがいる部屋で保護者がたばこを吸わないことや分煙が不十分な施設に子どもを立ち入らせないことが柱。いずれも努力義務で罰則規定は設けない。10月3日にも採決する見通しだ。
 
 審議では「受動喫煙防止に反対する人はいないが、家庭内や私的空間を条例で規制するのが望ましいとは思えない」といった意見が出た。都はこの条例案とは別に、飲食店などの屋内を原則禁煙とし、罰則を設ける受動喫煙防止条例を制定する方針を示している。


(2017.9.23)
 【敷地内禁煙】郡山の対策に注目する(9月23日)
福島民報 9月23日
 
 郡山市が12月1日から市役所、公民館など市の公共施設の敷地内を禁煙とする。他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙を防止するためで、建物内だけでなく敷地内全てを禁煙とするのは県内の自治体では初めてだ。市民の健康増進や良好な施設環境づくり、喫煙者のマナー向上に向けて大きな前進となるか、成果に注目する。
 
 市は3月に市職員安全衛生委員会から受動喫煙防止に関する提言を受け、対策を検討してきた。7月に行ったインターネット調査で市施設の敷地内禁煙に「賛成」と答えた市民が82・3%、「反対」が9・2%だったことも踏まえ、12月からの実施を決めた。道路を除く市の公共施設が対象で、公用車内も禁煙とする。
 
 受動喫煙防止を巡っては東京都が2020年東京五輪・パラリンピックに向け、多数の人が利用する施設の屋内を原則禁煙とする罰則付き条例の制定方針を今月上旬に表明した。飲食店などを含めるもので、対策強化の法改正がなかなか進まない国に先んじた動きと評されている。
 
 ただ、都条例案は官公庁についても屋内禁煙としており、この点では敷地内禁煙を掲げる郡山市の対策は、より踏み込んだ内容と言える。他の自治体が関心を寄せ、各地に波及する可能性がある。先行例として着実な取り組みが求められる。
 
 成否は市民の理解にかかっている。市の対策は罰則を伴わない指針として制定されたこともあり、いかに多くの人の協力を得られるかが鍵となる。施行までの間、あらゆる機会を捉えて受動喫煙の健康への害と対策の必要性を繰り返し訴え、周知する努力が欠かせない。
 
 国立がん研究センターによると、受動喫煙で肺がん、脳卒中になる危険性は、受動喫煙がない場合に比べてともに約1・3倍になる。また、筑波大などによる大規模疫学調査で、受動喫煙にさらされる程度の高い人は、低い人に比べて大動脈の病気で死亡する危険性が二倍以上に高まることが明らかになった。健康被害は深刻だ。
 
 受動喫煙防止は国民の健康を守る上で重要課題だが、喫煙自体は違法ではない。嗜好[しこう]品として楽しんでいる愛煙家は少なくない。条例、指針などでの規制に対してはさまざまな考えがあるだろう。最後は個人の自覚とマナーに頼らざるを得ないところがある。一服の前に、まず周囲を気遣う−。煙ではなく、そんな優しい空気で満たされた社会にしたい。(佐藤研一)


(2017.9.22)
 東京都受動喫煙防止条例「ラグビーW杯までに」 都議会定例会 所信表明で小池百合子知事明言
産経ニュース 9月21日
 
 東京都議会定例会が20日開会し、小池百合子知事は冒頭の所信表明で現在検討中の受動喫煙防止条例に触れ「(五輪やラグビーワールドカップの)ホストシティとしての責務を果たすため受動喫煙防止対策を一層推進する」と述べた。その上で原則屋内禁煙の罰則付き条例をラグビーW杯までに施行させるとした。
 
 また、豊洲市場(江東区)移転問題では、追加対策工事や施設の使い勝手の向上をはかり「早期移転を加速させる」と語った。一方で移転時期については「業者の意向も尊重し早期に決定したい」との文言にとどめた。築地市場(中央区)再開発については民間の力を最大限に活用。来月スタート予定の検討会議で築地再開発の具体像を検討する。
 
 また、持続可能な都市として東京をさらに発展させるために、金融や環境で成長の基盤を築くと宣言。特区制度などの利用により海外のフィンテック企業誘致などを積極的に行い、「アジアナンバーワンの国際金融都市への歩みを進める」とした。
 
 環境対策ではCO2を出さない「ゼロエミッション東京」に向けて、電気自動車や燃料電池自動車などの普及を目指す。具体的には、マンションなどの充電設備や水素ステーションなどのインフラ整備に意欲を見せた。来月21日からのフランス・パリ出張にも触れ、先進的な温暖化対策を進める世界の都市連盟「C40」の会合に出席し、気候変動対策に向けた世界各都市との連携を深めるとした。


(2017.9.17)
 東京都が「禁煙」条例を施行へ、ホテル・空港・バスなど観光施設も対象、違反に罰則も
ヤフーニュース(トラベルボイス) 9月11日
 
東京都は東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、公共の場での喫煙を原則禁止とする「東京都受動喫煙防止条例」(仮称)を制定する方針を発表した。2017年9月8日に基本的な考え方を示し、10月6日までパブリックコメントを実施。条例の施行は、東京オリンピック前年のラグビーワールドカップ開催(2019年9月〜11月)に間に合うタイミングを検討している。

東京都では条例で、望まない受動喫煙の防止と未成年者の保護を定めるものとし、多数の人が利用する施設などでは原則的に屋内禁煙とする。観光関係で対象となるのは、飲食店やホテル・旅館、娯楽施設、百貨店、駅、空港ビル、船着場、バスターミナル、鉄道、船舶など。これらの施設は喫煙専用室の設置が可能だが、バスやタクシー、航空機は禁煙となる。

ただし、個人の住宅はじめ、旅館・ホテルの客室は対象外。また、シガーバーなどたばこの小売販売業の許可を受けて喫煙用に提供される場所も喫煙可能だ。

対象場所では施設の管理者に対し、「喫煙禁止場所の位置の掲示」や、「喫煙禁止場所への喫煙器具・設備を設置しないこと」「喫煙禁止場所で喫煙している人を見つけた場合、喫煙の中止などを求める努力をすること」などを求める。

違反の場合には、違反した喫煙者本人や施設管理者に対し、罰則を適用。勧告や命令を行なっても違反する場合には、5万円以下の過料を科す考え。東京都の受動喫煙防止条例の基本的な考え方は、下の東京都のホームページで確認できる。

▼東京都受動喫煙防止条例(仮称)についてご意見を募集します
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/09/08/
09.htm


(2017.9.17)
  <受動喫煙>ニッポンレンタカー全車禁煙 10月から九州で
ヤフーニュース(毎日新聞) 9月16日
 
 ◇「子供が酔う」歓迎の声/他社は静観
 レンタカー業界大手のニッポンレンタカーサービス(東京)が、10月から九州で乗用車・ワゴン車クラスを全車禁煙にする。受動喫煙対策への機運の高まりなどを受けて「たばこNG」の波が広がっている。しかし、公共空間がだめなら、せめて車の中だけでもと願う愛煙家もいる。業界他社は全車禁煙化を静観しており、対応は分かれている。

 「喫煙車だと子供が染み付いた臭いで酔ってしまうので、禁煙車を選んでいる。全面禁煙化はありがたい」。福岡市中央区のニッポンレンタカー営業所に車を返しにきた男性会社員(38)が喜んだ。東京から福岡に帰省した際は、よくレンタカーを利用するといい、この日も3歳の長男と一緒だった。

 ニッポンレンタカーでは、喫煙車にさまざまな脱臭・防臭対策をしているが「臭いが残っている」という苦情が多かったという。昨年11月に北海道で全車禁煙にしたところ、業績への悪影響は出ず、女性や観光客らから好評だったため、観光地の多い九州でも踏み切ることとした。

 同社は、九州で保有する乗用車・ワゴン車クラスの喫煙車を徐々に減らし、10月までにゼロにする。将来的には全国で全車禁煙化する方針だという。

 一方、愛煙家からは嘆きの声も漏れる。福岡市内の喫煙場所で紫煙をくゆらせていた熊本市東区の男性会社員(65)は「今や飲食店でも乗り物でも吸えない時代になった。一人になれる車の中までも禁煙になる世の中は困る」と話した。

 他の大手レンタカー会社はどうか。トヨタレンタカーや日産レンタカーは「ニーズもあるため」などを理由に現時点では喫煙車を残し、全車禁煙化に向けた動きはない。オリックスレンタカーは、加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」のみ吸える車の導入を検討している。

 九州看護福祉大の川俣幹雄教授(リハビリテーション医学)は「車内は空間が狭く、喫煙すれば臭いはもちろん、たばこの成分がいろいろなところに付着する。子供や持病がある人たちにとっては深刻な問題で、全車禁煙化の取り組みには今後も注目したい」と話した。
【遠山和宏】

 ◇公共空間や交通機関の主な禁煙化
1998年10月 大手航空会社が国内線で全席禁煙
2003年 5月 受動喫煙の防止を義務づけた健康増進法施行
     10月 福岡市が市中心部の天神と博多両地区の一部を
          路上禁煙地区に指定
  04年 3月 九州新幹線の「つばめ」が全国の新幹線で初めて
          全車両禁煙に
  08年 3月 福岡都市圏のタクシーで全車禁煙化がスタート
  12年 4月 JR九州は福岡、北九州両都市圏でホームの喫煙
          コーナーを廃止


(2017.9.13)
 「屋内は原則禁煙」 東京都が条例制定へ  5万円以下の罰則規定も?
ハッフィントンポスト 9月9日
 
他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙を防ぐため、東京都は9月8日、飲食店や公共施設などの屋内を原則禁煙とする罰則付きの条例を制定する方針を発表した。
 
2017年度中に都議会に条例案を提出し、ラグビーワールドカップが開催する2019年夏までの施行を目指す。
 
受動喫煙対策をめぐっては、小規模のバーなどを除く屋内禁煙に向けた国の法改正が進まず、都が先行する形になりそうだ。
 
都が公表した「基本的な考え方」で示された施設別の規制内容の概要は、以下の通り。
-----
・医療施設、小中高などの教育施設、児童福祉施設:敷地内の禁煙=健康影響を防ぐ必要性が高い未成年者や患者が利用するため。
 
・大学、体育館などの運動施設、官公庁や老人福祉施設:屋内禁煙=多数の人が利用し、他の施設では代替が難しいため。
 
・居酒屋やラーメン店などの飲食店、ホテル(客室を除く)、事業所(職場)、娯楽施設など:原則屋内禁煙(喫煙室の設置可)=利用者側に他の施設を選択する機会があるほか、嗜好性の強いためため。
 
・小規模のバーやスナック:禁煙の対象外=面積30平方メートル以下、主にお酒を提供する、従業員を使用しないか全て従業員が同意すること、未成年を立ち入らせない、といった条件付き。
 
・バス、タクシー、飛行機:車内禁煙(喫煙室の設置不可)
 
・電車、船:原則車内禁煙(喫煙室の設置可) 
-----
 都が示した対象施設などは、厚生労働省が受動喫煙対策として示した健康増進法改正案とほぼ同じ。
 
条例案には罰則規定も盛り込まれる見通しだ。違反した喫煙者本人や施設の管理者に対して、勧告や命令をし、改善されない場合は5万円以下の過料を課すことを検討している。通常のたばこに加えて、葉巻や加熱式たばこも対象とする。
 
小池百合子都知事は8日の記者会見で「受動喫煙が健康に悪影響を与えることは科学的にも明らか。屋内全面禁煙が五輪・パラリンピック開催都市の流れ」と述べた。
 
都内の受動喫煙対策では、9月20日からの都議会に都民ファーストの会と公明党が共同で、子どもを受動喫煙から守るための努力義務などを盛り込んだ条例案を提出する方針だ。


(2017.9.13)
 東京都が「屋内原則禁煙」条例を制定へ 加熱式たばこも禁止 小池百合子知事「子供への視点で受動喫煙防止に効果」
産経ニュース 9月9日
 
 2020年東京五輪・パラリンピックに向けて東京都は8日、公共施設や飲食店などの建物の中を原則禁煙とする罰則付きの受動喫煙防止条例を制定する方針を固め、基本的な考えを発表した。都は同日、都民の意見を反映させるパブリックコメントを開始。今年度内に都議会に提案し、19年に日本で開催されるラグビーワールドカップまでの施行を目指す。
 
 都内の受動喫煙対策では、今月20日からの都議会に、小池百合子知事が特別顧問を務める都民ファーストの会と公明党が共同で、子供を受動喫煙から守るための努力義務などを盛り込んだ条例案を提出する予定。小池氏は8日の会見で「(議員提出予定の)子供への視点を置いた条例と都の条例があいまって受動喫煙防止が効果的に行われる」と期待を込めた。
 
 都が示した考え方によると、医療施設や小・中・高校、児童福祉施設は敷地内も含め全面禁煙とし、官公庁や老人福祉施設、大学などは屋内禁煙で喫煙専用室の設置も禁止。客室を除くホテルや、職場、駅、飲食店は原則として屋内禁煙だが、飲食禁止の喫煙室を設置できる。また、30平方メートル以下の飲食店では「独立した喫煙室の設置が難しい」として、未成年を立ち入らせないことなどを条件に喫煙を可能にする。
 
 一般的なたばこや葉巻のほか、近年、人気が高まっている火を使わず煙が出ない加熱式たばこも禁止対象にする。
 
 厚生労働省が今年、医療施設や学校、飲食店などを原則禁煙とする法改正を目指したが、自民党などの反発で実現していない。受動喫煙を防ぐ条例は神奈川県や兵庫県にもあるが、都の担当者は「国や他自治体と比べてもかなり厳しい条例」としている。


(2017.9.7)
 禁煙応援します 自治体が「禁煙外来」受診者に助成金 「上限1万円」など
産経WEST 9月6日
 
 健康意識が高まる中、「禁煙外来」と呼ばれる診療機関で禁煙にチャレンジする人に、行政が治療費を助成する取り組みが広がっている。東京都荒川区が平成18年にスタートし、東日本の自治体を中心に拡大。西日本でも、大阪府吹田市が今年、府内で初めて助成制度を設けるなど広がってきた。専門家は「効果がある取り組み」と評価している。(張英壽)
 
 「禁煙外来」と呼ばれているのは、保険を適用して行う診療機関による治療。平成18年4月から保険適用が可能になり、禁煙にチャレンジする喫煙者に広まった。通常のプログラムは12週間の間に5回通院し、喫煙によって増える一酸化炭素濃度の測定や医師からのアドバイス、ニコチンを皮膚から吸収する貼り薬など禁煙補助薬の処方が行われる。
 
 国の平成21年の調査によると、禁煙治療を終えた1231人の9カ月後の状況を調べたところ、「禁煙継続」と答えたのは49・1%にのぼり、「失敗」(22・4%)や「1週間禁煙」(2・6%)を大きく上回っていた。
 
 こうした効果から、健康増進に取り組む自治体が保険適用の禁煙治療に対する助成制度を開始。荒川区が保険適用が始まった半年後の18年10月に制度を創設し、東京都北区も荒川区を参考に26年4月から導入。愛知県尾張旭市や茨城県牛久市なども取り組んでいる。助成額はいずれも上限1万円。年間10人台から数十人程度が助成を受けている。
 
 治療費は一般的な3割負担の場合1万3千〜2万円程度で、助成額は上限1万円とする自治体が多い。吹田市も他自治体の取り組みを参考に、今年度の予算に啓発費などを含む約120万円を計上。来年3月まで最大1万円の助成で100人を対象とした。8月末時点で、47人が治療開始を届け出。治療を終え所定の手続きを終えると助成金が交付される。
 
 吹田市立保健センターの担当者は「禁煙はきっかけがないと、なかなか踏み出せない。助成制度を利用してそのきっかけにしてほしい」と話す。
 
■やる気を起こさせると専門家
 日本禁煙学会の作田学理事長の話「行政による助成は目に見えて効果があると思う。助成額では1万円が多いが、治療費を考えればかなり大きな額で、やる気を起こさせる。会社なども、社員が禁煙治療の時間を確保できるようにするのが望ましい。治療によって禁煙に伴う疾患が減り、国や自治体の医療費が削減できれば、喫煙していた人にとっても国や自治体にとってもいい」


(2017.8.30)
 都民ファースト・公明 子どもの受動喫煙防止で条例案提出へ
NHK NEWS WEB 8月29日
 
東京都議会の都民ファーストの会と公明党は、来月開かれる定例議会に、子どもを受動喫煙から守ることに特化した条例案を共同で提出することになりました。
 
都民ファーストの会と公明党は、29日記者会見し、都内での受動喫煙対策を進めるため合同の調査会を設置したうえで、来月20日から始まる定例議会に子どもを受動喫煙から守ることに特化した条例案を提出することを明らかにしました。
 
具体的には、子どもは自分の意思でたばこの煙の被害を避けることが難しいとして、子どもが乗っている自動車の車内では喫煙を制限するほか、子どもがいる家庭内の部屋や、学校周辺の通学路、それに公園などでの喫煙を避けるよう求める内容となっています。
 
今回の条例案は、罰則のない努力義務にとどまりますが、30日以降、党のホームページを通じて都民から意見を募るほか、医師会やたばこの製造・販売業者などからヒアリングを行うことにしています。
 
都民ファーストの会都議団の山内晃政務調査会長は「子どもをたばこの煙から守る必要性を東京から発信し、受動喫煙の防止を進めたい」と述べました。
 
受動喫煙対策をめぐっては、今後、先月の東京都議会議員選挙で各党が掲げた、飲食店など建物の中を原則として禁煙にする罰則つきの条例の制定に向けても議論が活発になる見通しです。


(2017.8.30)
 敷地内禁煙  小中学校301校で達成 県まとめ /島根
毎日新聞ニュース 8月30日
 
 県は、今年度の県内の市町村庁舎や学校などの禁煙への取り組み状況をまとめた。公立私立の全小中学校301校で敷地内禁煙を達成。市町村庁舎などでも、ほとんどで施設内の禁煙が進んでいる。
 
 県は、2023年度までに(1)市町村庁舎や公民館で敷地あるいは施設内禁煙(2)小中高校で敷地内禁煙−−の実施を目指している。
 
 健康推進課によると、敷地内禁煙と建物内禁煙のいずれかの実施率は市町村庁舎は93・4%、公民館は98・2%、子育て支援センターと保健所は100%。高校は建物内禁煙が6・0%で、敷地内禁煙94・0%だった。【長宗拓弥】


(2017.8.28)
 禁煙か完全分煙、必須に=「健康優良法人」見直し−政府有識者会議
時事ドットコム 8月26日
 
 従業員の健康に配慮する企業を選ぶ「健康経営優良法人認定制度」について、政府の有識者会議が基準を見直し、職場での受動喫煙対策を必須とする方向で検討していることが26日、分かった。全事業所を対象に、敷地内の禁煙か完全分煙を認定要件とする。受動喫煙の防止に努めるよう定めた健康増進法より厳格な基準で、政府内には、海外と比べ遅れていると指摘される国内での対策が進むとの期待もある。
 
 健康優良法人制度は今年2月から始まり、これまでに計553社を認定。優良認定を低利融資の条件にする金融機関なども相次ぎ、企業側の関心は高まりつつある。新基準は、8月末に有識者会議で了承されれば、9月上旬に公表、来年2月の次回認定分から適用される。
 
 健康増進法は、学校や病院、職場など不特定多数の人が利用する施設での受動喫煙防止を「努力義務」としている。先の通常国会で、厚生労働省は「禁煙の義務化」など規制強化を盛り込んだ法改正を検討したが、飲食店の扱いをめぐり自民党内で調整が付かず断念した。
 
 ただ、有識者会議メンバーの間では「健康優良法人を認定するのだから、法律以上に厳しい基準にすべきではないか」との意見が大勢を占め、法改正を待たずに見直しを検討することになった。
 現行基準は、大企業と中小企業で必須項目と選択項目をそれぞれ設定している。大企業では「健康宣言の社内外への発信」「産業医が健康保持・増進の検討に関与」「健康保持・増進の取り組みの効果検証」など5項目が必須。「受動喫煙対策」は14ある選択項目の一つに含まれているが、見直し案ではこれを必須に格上げする。また、新たに「病気の治療と仕事の両立支援」を選択項目に追加したい考えだ。中小企業についても同様の見直しを検討している。


(2017.8.21)
 JTのCM、塩崎前厚労相が条約違反だと批判し波紋…所管の財務省「コメント差し控える」
ニフティー・ニュース(ビジネスジャーナル) 8月18日
 
 日本たばこ産業(JT)のテレビCMは、国際的なルール違反なのか――。
 
 塩崎恭久厚生労働大臣(当時)は、7月19日に放送された「Yahoo!みんなの政治」の『【政治ライブ】「受動喫煙対策」をどう考える、塩崎厚労相に聞く』のなかで、以下のように語っている。
 
 「日本はWHOの『たばこ規制枠組み条約』の批准国です。この中に、たばこ生産会社は政策に影響を与えてはいけない、宣伝もしてはいけないということになっている。
 
 日本ではJTのテレビCMが平気で流れている。これは世界から見ればびっくりする話なんです。たばこそのものの宣伝はしていませんが、喫煙ルームを映していますから、事実上たばこの宣伝と同じです。これは条約違反と言わざるを得ません。
 
 条約を仕切っている外務省が、きちっと、たばこ業界の監督官庁である財務省に言わなければいけないんだと思います」
 
 塩崎氏が言及しているのは、世界保健機関(WHO)の「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(以下、たばこ規制条約)だ。日本は2004年3月に署名し、05年2月に発効された。
 
 JTはテレビCMで分煙や喫煙マナーについて啓発を行っている。「ひとのときを、想う。」というキャッチコピーを耳にしたことのある人も多いだろう。しかし、それらの広告展開について、在職中の厚労相が苦言を呈したことになる。名指しされたJTに見解を求めたところ、以下のような回答を得た。
 
 「弊社では、マナー広告や企業広告は、会社の姿勢などを広く一般の方々に訴求するための重要な手段であり、製品広告とは目的、訴求内容ともに異なるものと理解しております。今後とも、製品広告や喫煙奨励との誤解を受けないよう十分配慮しつつ、引き続き適切な訴求を行ってまいる所存です」(JT・IR広報部)
 
●財務省、外務省も「問題なし」の姿勢
 では、塩崎氏も指摘しているように、たばこ業界の監督官庁である財務省はどうか。
 
 「ご指摘の報道があることは承知しておりますが、塩崎議員の発言について、コメントすることは差し控えさせていただきます。その上で、JTの広告と『たばこ規制条約』の関係につきましては、条約を所管する外務省に問い合わせください。
 
 製造たばこにかかわる広告につきましては、たばこ事業法第40条や同法に基づく指針で規定しており、JTの広告は、これらの規定に服しているものと考えております」(財務省広報室)
 
 財務省が言及する、たばこ事業法第40条および同条第2項に基づき、財務大臣指針「製造たばこに係る広告を行う際の指針」が04年3月に告示されている。
 
 同指針では、たばこ広告のほかに「喫煙を促進させるような販売促進活動等」も規制の対象としているが、「喫煙を促進しないような、企業活動の広告並びに喫煙マナー及び未成年者喫煙防止等を提唱する広告」などについては、対象外とする旨が明記されている。JTおよび財務省は、これに基づいて広告展開を行っているという姿勢だ。
 
 加えて、条約を所管する外務省にも話を聞いた。
 
 「『たばこ規制条約』の第13条(たばこの広告、販売促進及び後援)3項には、以下のような文言があります。
 
 『自国の憲法又は憲法上の原則のために包括的な禁止を行う状況にない締約国は、あらゆるたばこの広告、販売促進及び後援に制限を課する。この制限には、自国が利用し得る法的環境及び技術的手段に従うことを条件として、自国の領域から行われる国境を越える効果を有する広告、販売促進及び後援の制限又は包括的な禁止を含める。この点に関し、締約国は、適当な立法上、執行上、行政上又は他の適当な措置をとり、及び第二十一条の規定に従って報告する』
 
 外務省としては、我が国は、関係国内法令により、同条の義務を国内的に実施しているという認識です」(外務省国際保健政策室)
 
●「喫煙ルームが映るから条約違反」は誤解?
 JT、財務省、外務省のいずれも「問題なし」という姿勢だ。これについて、法律のプロはどう判断するのか。弁護士法人ALG&Associates執行役・弁護士の山岸純氏に聞いた。
 
 「『たばこ規制条約』は、まず第1条(c)にて、『たばこの広告及び販売促進』について、『商業上行われるあらゆる形態による情報の伝達、奨励又は行動であって、直接又は間接に、たばこ製品の販売若しくはたばこの使用を促進することを目的とし又はたばこ製品の販売若しくはたばこの使用を促進する効果を有し若しくは有するおそれのあるものをいう』と定義しています。
 
 その上で、第13条第2項にて、『締約国は、自国の憲法又は憲法上の原則に従い、あらゆるたばこの広告、販売促進及び後援の包括的な禁止を行う』と定めています。
 
 他方で、第13条第3項は『自国の憲法又は憲法上の原則のために包括的な禁止を行う状況にない締約国は、あらゆるたばこの広告、販売促進及び後援に制限を課する』とも定めています。
 
 ところで、日本国憲法は第22条で『営業の自由』という権利を保障していますし、第21条では『表現の自由』という権利を厚く保障しているので、条約の第13条第2項をそのまま適用して『包括的な禁止』を行うことは無理でしょう。
 
 そのため、条約の第13条第3項を適用して『あらゆるたばこの広告、販売促進及び後援に制限を課する』のが、日本国における『たばこ広告の規制』の現実的なところだと思います。
 
 次に、『たばこ規制条約』は最低限、次のことなどを実施するよう求めています。
(1)虚偽の情報などで、たばこが健康に悪くないという広告などをしない
(2)すべてのたばこの広告などに健康を警告する情報を設ける
(3)たばこを買いたくなる、買いやすいような仕組みを制限する
(4)ラジオやテレビでのCM、広告などを制限する
 
 たとえば(2)については、たばこの箱に『ニコチンにより健康に対する悪影響があります』などの文言を記載すること、(3)については、未成年者が自動販売機などで簡単にたばこを買えなくする、などの施策を意味します」(山岸氏)
 
 では、塩崎氏の「喫煙ルームを映しているから条約違反」という発言については、どうなのだろうか。
 
 「そもそも、現在のJTのCMの内容は『メビウス』や『セブンスター』などの商品ブランドを一切映していませんし、かつての映画やドラマであったように『俳優や女優がたばこを吸うシーンを映して、たばこを吸いたくなるようにする』ものでもないため、すでに『制限』をしていると考えることができます。
 
 そして、『喫煙ルーム』という存在は『虚偽の情報』であったり『たばこを買いたくなる、買いやすい』状況を後押したりするものとも考えられませんので、結論としては、条約には違反しないと考えられます。
 
 おそらく、塩崎氏は『喫煙ルーム』→『分煙』→『受動喫煙による健康被害を防ぐ』という思考過程ではなく、『喫煙ルーム』→『たばこが吸える』→『たばこが吸える環境、買える環境を促進する』と考えたのではないでしょうか」(同)
 
 8月3日の内閣改造で、厚労相は塩崎氏から加藤勝信氏に代わった。塩崎氏が強化を進めてきた受動喫煙対策のゆくえが、注目される。
(文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役・弁護士)


(2017.8.15)
 屋内全面禁煙に署名270万人=日医など4団体
ヤフーニュース(時事通信) 8月9日
 
 たばこの受動喫煙防止策をめぐり、日本医師会など4団体は9日、「屋内全面禁煙」を求める署名が約270万人に達したと発表した。

 4団体トップがそろって厚生労働省で記者会見し、日医の横倉義武会長は「たばこは全ての年齢に影響を与えるサイレント・キラー。例外や特例を設けない受動喫煙防止法が必要だ」と訴えた。

 他の団体は日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会。福井ト
シ子・看護協会会長は「妊婦が直接吸っていなくても胎児の成長が止まったり、小さい赤ちゃんが生まれたりすることが懸念される」と強調。日本は出生数の1割近くを2500グラム未満の低出生体重児が占めていることについて「先進国で一番多いのは日本」と指摘した。

 署名は5月から病院などで医療従事者や患者、その家族らから集めた。4団体は安倍晋三首相や加藤勝信厚労相に要望書を提出したいとしている。


(2017.8.15)
 四師会、受動喫煙防止強化求め要望へ - 全国規模の署名264万筆超集まる
ヤフーニュース(医療介護CBニュース) 8月9日
 
 日本医師会(日医、横倉義武会長)、日本歯科医師会(堀憲郎会長)、日本薬剤師会(山本信夫会長)、日本看護協会(福井トシ子会長)の四師会は9日、厚生労働省で記者会見し、政府や与党などに対して秋に召集が見込まれる臨時国会に受動喫煙防止強化策を盛り込んだ法案の提出を要望していく方針を明らかにした。要望の際には、四師会が5月中旬から実施した全国規模の署名が、同日時点で264万3023筆集まっていることを説明する。四師会の会長は10日午前にも、加藤勝信厚生労働相を訪ね、受動喫煙防止強化を求める要望書を手渡す予定だ。【君塚靖】

 日医が主導して実施した署名は全国民が対象で、署名に向けた趣意書と署名のための用紙は、医療機関の受付などに置かれた。署名は現在も集まっているという。9 日に会見した四師会の会長はそれぞれ、受動喫煙防止強化策については小規模飲食店などを建物内禁煙の対象から外すようなことはせず、例外や特例のない規制を求めていく考えを強調した。日医の横倉会長は、「特に働く若い人を受動喫煙による健康被害から完全に守るためには、日本全体で屋内100%全面禁煙とする国際水準の受動喫煙防止法や条例制定が不可欠」と述べた。


(2017.8.14)
 喫煙可の店、線引き先送り 健康増進法改正案
日本経済新聞Web刊 8月14日
 
 政府が受動喫煙防止に向けて策定した健康増進法改正案の全容が13日、判明した。喫煙を例外的に認める飲食店の広さが焦点だったが、改正案に線引きは盛り込まず、政令で規定することにした。法施行日は公布から2年以内とし、線引きはそれまでに決着させたい考えだ。政権内の対立点はいったん先送りし、2020年東京五輪・パラリンピックに向け、法整備を優先させるべきだと判断した。

 秋の臨時国会への提出を目指し、9月にも改正案を自民党厚生労働部会に示す。施行後5年をめどに「制度全般について検討を行う」との見直し規定も盛り込んだ。

 受動喫煙対策を巡っては、店舗面積30平方メートル以下のバーやスナックを除いて原則禁煙とする厚労省と、「分煙」「喫煙」を店頭に掲げれば面積150平方メートル以下の店には喫煙を認めるよう求める自民党が対立。政府は先の通常国会への法案提出を断念した経緯がある。自民党も受動喫煙防止対策の必要性は認めており、今回の政府案への対応が注目される。

 政府としては、原則禁煙にこだわった塩崎恭久前厚労相が内閣改造で交代。外国人旅行客が増える東京五輪開幕まで3年を切ったこともあり、態勢を仕切り直して法改正を急ぎたい意向だ。

 改正案は、多くの人が利用する施設での喫煙を原則禁止。施設管理者には灰皿の設置を禁じ、喫煙中止を求める努力義務を課した。違反者には都道府県知事が勧告や命令を出し、さらに違反を重ねた場合は罰金を科す。

 医療施設や小中高校は敷地内を全面禁煙とし、大学や老人福祉施設、体育館、官公庁は屋内禁煙とした。ただし、施行時に既に設置されている喫煙室は5年間、存続を認める。

 これ以外の飲食店や事務所、集会場などは屋内禁煙としつつ喫煙室の設置を認める。個人の住宅や旅館・ホテルの客室は喫煙可能とした。〔共同〕


(2017.8.14)
 受動喫煙対策 五輪相に抗議 禁煙学会「IOC裏切る」
毎日新聞ニュース 8月10日
 
 2020年東京五輪・パラリンピックの受動喫煙対策を原則禁煙ではなく分煙とする見解を示した鈴木俊一五輪担当相に対し、一般社団法人「日本禁煙学会」が10日、早急な撤回を求める緊急抗議声明を出した。「IOC(国際オリンピック委員会)、WHO(世界保健機関)に対する大変な裏切り行為」と非難している。
 
 IOCとWHOは「たばこのない五輪」を推進しており、4月には来日したWHOの生活習慣病予防部長が、政府に屋内の完全禁煙実施を求めた。声明は「世界から集まるアスリート、数十万人の観客が受動喫煙を浴びる国際的な問題。多くの人が集まる屋内での完全禁煙を守るのが五輪担当相の役目だ」と訴えている。
 
 鈴木氏は9日の報道各社のインタビューで、飲食店内の原則禁煙を掲げる厚生労働省に「与党と調整を」と注文を付け、五輪の受動喫煙対策は「禁煙を原則とするのではなく、徹底した分煙で実現すべきだ」と語った。【山田泰蔵】


(2017.8.10)
 全面禁煙、署名264万人 日本医師会、厚労相提出へ
日本経済新聞Web刊 8月9日
 
 受動喫煙対策を強化する健康増進法改正を巡り、日本医師会や日本歯科医師会などは9日、建物内を例外なく全面禁煙にするよう要望する約264万人分の署名を集めたと発表した。小規模なバーやスナックで喫煙を認める厚生労働省案より厳しい規制を求めている。
 
 日本医師会の横倉義武会長は厚労省で記者会見し「受動喫煙が原因で死亡する人は国内で年間約1万5千人と推計される。屋内の喫煙はマナーや嗜好ではなく、健康被害の問題だ」と強調した。署名は加藤勝信厚労相や自民党幹部に提出する。
 
 改正法案の内容を巡っては厚労省と、喫煙できる例外の拡大を求める自民党が対立。先の通常国会で法案提出が持ち越された。
 
 内閣改造で3日に就任した加藤厚労相は「実効性のある法案をできるだけ早期に提出できるよう取り組む」と述べ、秋にも開かれる臨時国会への提出を目指す意向を示した。〔共同〕


(2017.8.10)
 全社終日禁煙化!
産経ニュース 8月1日
 
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社
〜健康応援企業を目指す当社社員への取組み〜
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社(社長:高橋 薫、以下:当社)は8月1日(火)より、健康経営の取組みとして、全社を終日禁煙化し、社員の禁煙に向けた取組みをサポートします。
1.目的・背景
・タバコに含まれる有害物質は、がん・脳卒中・心筋梗塞などにかかるリスクを高めます。また、非喫煙者に対する受動喫煙の健康被害は、喫煙者同様、深刻な状況にあります。
・2020年にオリンピック・パラリンピックを控える日本は、世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)が共同で推進する「たばこのないオリンピック」に向け、受動喫煙対策の強化が求められています。
・こうした背景のもと、お客さまが健康になることを応援する「健康応援企業」を目指す当社は、社員の健康維持、増進を目的に、社内での喫煙環境の整備を行うとともに、禁煙治療費の一部負担など社員の禁煙に向けた取組みをサポートします。
2.具体的な取組み
当社ではこれまで毎週水曜日を禁煙デーと定め、本社ビルの喫煙所を閉鎖していましたが、8月1日(火)からは、全国131カ所の営業拠点を含む全社の占有スペースを終日禁煙とします。
また、社員の禁煙を、会社を挙げてサポートするべく、以下の取組みを行います。
(1)禁煙治療費の一部負担
医療機関に通院し、禁煙治療を行った社員を対象に健保から補助金を支給
(2)禁煙支援に向けた社内イベント、セミナーの開催
(3)本社喫煙スペースを健康増進スペースにリニューアル(予定)
3.今後について
お客さまが健康になることを応援する「健康応援企業」への変革を目指す当社は、その実現のために、まず社員一人ひとりとその家族の健康維持・増進が不可欠であるとの考えのもと、「健康経営」の取組みを加速させていきます。
以上


(2017.8.10)
 2017年の全体喫煙率18.2%、男性3割切れ継続・女性は9%にまで減少(JT発表)
ガベージニュース 7月29日
 
JTは2017年7月27日、同社が定点観測的に毎年実施しており、今年は2017年5月に実施した「全国たばこ喫煙者率調査」の結果を発表した。それによると2017年5月時点における全国の喫煙率は18.2%となり、前年比で1.1%ポイントのマイナスとなったことが分かった。これは計測値として確認が可能な値の中では2014年分以降連続する形で、4年目の2割を切る形となる。男女別では男性が1.5%ポイント減少の28.2%となり、観測を始めた1965年以降では昨年に続き2年目の3割切れとなった。女性は0.7%ポイント減の9.0%を示している(【2017年「全国たばこ喫煙者率調査」、男女計で18.2%】)。
 
今調査は1965年以降JTが毎年、定点観測的に実施しているもので、今回調査では前回同様に層化二段抽出法が用いられ、郵送依頼・郵送回収法で実施している。成人(20歳以上)の男女約3万2000人を対象に依頼し、今年は1万9875人の有効回答が得られた(有効回収率は61.9%)。喫煙率の算出の際には、回答者の性別・年齢階層において、成年人口構成比に合わせて補正(いわゆるウェイトバック)が行われている。(後略)


(2017.8.10)
 たばこの「ニコチン含有量規制」を検討、米国FDA、「常習性のない水準まで」
ヤフーニュース(ZUU online) 8月1日
 
米国食品医薬品局(FDA)が「たばこ製品に含まれるニコチンを常習性のない水準にまで減らす新規制」を検討していることを明らかにした。
 
発表を受け、大手たばこメーカーの株価は急落。ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)は6.8%、「マールボロ」のメーカー、アルトリア・グループは9.5%の下落を見せた(ロイター調査)。たばこ産業にとっては総額260億ドル(約2.8兆円)の市場価値が失われかねない、重大な転機となりそうだ。
 
■FDA長官「中毒の流行に取り組むためには、過激な手段を用いる必要がある」
米国では2009年、子どもたちを喫煙や間接喫煙から保護する目的で、たばこ規制法制「家庭内喫煙予防・たばこ管理法 (Family Smoking Prevention and Tobacco Control Act)」がオ
バマ政権下で成立した。今回の動きは、FDAによる強力なたばこ規制への権限を具体化したものだ。
 
スコット・ゴットリーブFDA長官はブルームバーグの取材で、「自分や専門家を含む多くの人々が、長年にわたりこの問題について考えてきた」と発言。「中毒の流行に取り組むためには、過激な手段を用いる必要がある」との意見に、深く同意する見解を示した。
 
FDAは健康被害の低減を目指す意図で、既存のたばこ製品の規制を強化すると共に、喫煙者に加熱式たばこや電子たばこなど「たばこよりも人体への害が低い可能性がある製品」への移行を推進する構えだ。
 
■ニコチンを減らせば中毒が減る?
たばこをやめられない原因はニコチンによる中毒である。ニコチンそのものに、がんや肺疾患、心臓疾患を引き起こす根本的な原因は確認されていないものの、たばこに含まれるほかの有害物質が健康上の害になることは周知の事実だ。
 
その点にFDAは懸念を示している。「ニコチンの水準をゼロにしたり、あるいはたばこの販売・喫煙行為を禁止することはできない」とする一方、ニコチンを中毒にならない水準にまで引き下げることで、大幅な規制見直しを実施する意向だ。
 
米国政府がこうした強行手段にでた今、欧州などでも同様の働きかけが強まるとの見方が、一部のアナリスト間で強まっている。
 
■「たばこ代用品」の安全性を見直す機会
米国の動きは、加熱式たばこや電子たばこに代表される「たばこ代用品」の安全性が見直されるきっかけにもなるだろう。
 
たばこ代用品の安全性に関しては、賛否両論が聞かれる。2015年に「たばこよりも95%人体への害が少ない」と発表した英国公衆衛生サービス(PHE)は、「代用たばこは100%無害ではない」ものの、タールやヒ素といった通常のたばこに含まれる有害物質の含有量が、極端に少ないメリットを挙げている。
 
しかし歴史自体が非常に浅いため、長期的な人体への影響はまだ明らかになっていない。
 
ゴットリーブF長官は「ニコチンは問題であると同時に解決策でもある」とし、「より人体に害の少ない製品を生みだすイノベーションの可能性を、認識する必要がある」と語った。
 
エドワード・ジョーンズ・インベストメンツでたばこ分野を分析しているアナリストのジャック・ルソー氏は、今後たばこメーカーが生き抜く上で「もっと安全で革命的な商品の開発を余技なくされるだろう」との見解を示している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)


(2017.8.7)
 一度も病院行かずに禁煙治療、条件付きで容認
YOMIURI ONLINE 8月2日
 
 スマートフォンやパソコンのテレビ電話などを使い、医師が患者の診療を行う遠隔診療について、厚生労働省は、禁煙治療を完全に遠隔で行うことを条件付きで認める通知を都道府県に出した。
 
 患者は一度も医療機関に行く必要がなくなり、禁煙治療を継続しやすい利点がある。
 
 禁煙治療は、たばこをやめたい人を医師が診察してサポート。イライラするなどのニコチンの離脱症状を和らげる薬などを使う。
 
 健康保険組合などの保険者が医療機関と連携して行うことを条件とした。遠隔診療が受けられるのは、そうした健保などの被保険者のみで、病院・診療所などが決める手続きに従い、情報通信機器を使って診察を受ける形となる。


(2017.8.7)
 都医師会 東京五輪に向け受動喫煙対策で要望
NHK NEWS WEB 8月3日
 
3年後の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都医師会は飲食店などの建物の中を原則として禁煙にする罰則つきの都独自の条例の早期制定を都議会最大会派の都民ファーストの会に求めました。
都民ファーストの会は新年度の都の予算編成が始まるのを前に、90の業界団体などから政策や予算の要望を受けていて、3日は東京都医師会の関係者が都議会に要望に訪れました。
 
この中で尾崎治夫会長は「3年後の東京大会に向けて、熱中症や感染症対策などいろいろ課題があるが、まずは受動喫煙防止対策を責任を持って進めてもらいたい」と述べました。そして、飲食店など建物の中を原則として禁煙にする罰則つきの都独自の条例や、子どもを受動喫煙から守ることに特化した条例の早期制定を求めました。また、喫煙可能な飲食店が完全禁煙に変更するためにかかるリフォーム費用を補助する新たな制度の創設などを求めました。
 
受動喫煙対策の強化は先月の都議会議員選挙で公明党や自民党、共産党などが公約に掲げていて、要望を受けたあと、都民ファーストの会の増子博樹幹事長は「罰則つきの条例案は時間がかかるが、子どもの受動喫煙対策は速やかに準備を進めたい」と述べ、子どもを受動喫煙から守ることに特化した条例の制定を優先する考えを示しました。


(2017.8.7)
 仏、たばこ1箱1300円へ 欧米諸国で値上げ相次ぐ
日本経済新聞Web刊 8月2日
 
 【パリ=白石透冴】フランス政府は2020年までに、たばこ1箱を今より約4割高い約10ユーロ(約1300円)に段階的に値上げする。税収増や若年層の喫煙率抑制が狙い。ほかの欧米諸国などでも値上げや包装の規制の導入が相次ぐが、闇市場での売買などの問題も生んでいる。
 
 フランスはノルウェーなどに続き、欧州で最もたばこが高い国の一つになる。06年に5ユーロだった1箱を現在の7ユーロまで段階的に値上げした経緯があり、今回の方針を受け販売店は反発している。周辺国ではドイツとイタリアが約5ユーロ、スペインが4ユーロ強などとなっている。
 
 世界保健機関(WHO)によると、フランスの喫煙率は15年時点で男性29.8%(日本33.7%)、女性25.6%(同10.6%)。仏政府は今年1月には箱の包装に一切の広告を認めず、代わりに喫煙で亡くなった人など、刺激の強い写真の印刷を義務付ける規制も始めている。
 
 先進国で同様の動きは相次いでおり、米ニューヨークでもデブラシオ市長が今春、1箱の価格を現在より2割上げて13ドル(約1400円)にする考えを明らかにしている。オーストラリアは20年までに現在より5〜7割高い40豪ドル(約3550円)まで上げる大胆な値上げを目指していると報じられた。
 
 ただフランスでは値上げをしても喫煙率は目立って下がっていないとの議論がある。安い周辺国から買ったたばこの取引も横行している。健康への害を伝える啓発運動や違法行為の取り締まりも欠かせない。


(2017.8.7)
 フランス たばこ1箱1,300円へ
ホウドウキョク 8月3日
 
 フランス政府は、たばこ1箱をおよそ1,300円に値上げする方針。
 
 フランス政府は今後、3年以内に、たばこ1箱を今より4割ほど高い、およそ10ユーロ、日本円でおよそ1,300円に、段階的に値上げする方針を明らかにした。
 
 これは、フランスでの喫煙率が、この20年間でほとんど減らず、たばこ関連による死者が毎年8万人に達しているため。
 
 これまでにない大胆な値上げとなり、フランスはノルウェーなどに続いて、ヨーロッパで最もたばこが高い国の1つとなる。
 
 ただ、値上げの具体的な時期などは決まっておらず、今後、議会で審議される。


(2017.7.26)
 日本生命、平成32年度までに全事業所の喫煙所撤廃へ 東京五輪に向け禁煙普及推進
ヤフーニュース(産経新聞) 7月26日
 
 日本生命保険が平成32年度までに全事業所の喫煙所を撤廃することが25日、分かった。
 
 2020年の東京オリンピックまでに全社を挙げて禁煙の普及を進め、社員の健康増進の取り組みをアピールする狙いだ。
 
 現在、大阪の本店に1カ所、東京本部に2カ所ある喫煙所は、平成30年度までに全て閉鎖する。31年度には全国の約100支社で、32年度には約1500カ所の営業拠点から喫煙所をなくす計画だ。
 
 同社は26年度から、健康経営の取り組みを強化。毎月2、12、22日は就業中の喫煙を禁止している。


(2017.7.26)
 NJ州、たばこ購入年齢を21歳に引き上げ 全米で3番目
CNN 7月25日
 
(CNN) 米ニュージャージー州のクリス・クリスティー知事は25日までに、たばこ製品を購入できる最少年齢について、これまでの19歳から21歳に引き上げる法案に署名した。21歳への引き上げはハワイ、カリフォルニアに続いて3州目。施行は11月1日から。
クリスティー知事は声明で、若い人々に、より多くの成熟のための時間や、喫煙が引き起こすであろう危険性について、よりよく理解するための時間を与えるなどと述べた。
クリスティー知事はまた、喫煙に関連した健康問題の低減は、州の医療関連制度に対する負担の軽減にもつながると指摘した。
ニューヨーク市も2013年、たばこの購入年齢を21歳に引き上げていた。
2015年の米医学研究所の研究によれば、全米規模で最少年齢を21歳に引き上げれば、2000〜2019年に生まれた人の中では、早期の死亡は約25万人減り、肺がんの人数が4万5000人減少するという。
ニュージャージー州の法律は、伝統的なたばこ製品とともに、電子たばこにも適用される。


(2017.7.24)
 低所得者ほどたばこを吸う 米で喫煙率 「貧富の差」が問題
日刊ゲンダイデジタル シェリーめぐみ 7月13日
 
 禁煙が進むアメリカでは、現在の喫煙率は史上最低の平均15%にまで下がっています。ところが、その喫煙率にも「貧富の差」があることが米国疾病対策センターの調べで判明し、問題になっています。
 
 学歴による喫煙率の違いの調査によれば、高校卒業資格のみのアメリカ人の4割がいまだに喫煙を続けています。また、地方に住むアメリカ人のたばこが原因による肺がんの罹患(りかん)率は、都市に住む人より18〜20%高いこともわかりました。
 
 たとえばニューヨークで普通に生活していると、たばこを吸う人にまったく会わずに一日が終わることは珍しくありません。レストランやバー、オフィスや公共の場所は完全禁煙で、喫煙できるのは自宅か路上のみとなっています。
 
 テレビではたばこが原因の肺がんで苦しむ患者のコマーシャルが頻繁に流れ、全米で最も高い税金となる1箱1500円という値段も、禁煙を促しています。市のウェブサイトには禁煙したい人のための情報が満載。低所得者が禁煙パッチを無料でもらえるサービスもあります。
 
 それに比べ地方の街では、ガソリンスタンドにはいまだにたばこの広告が掲げられ、1箱の値段も400円とニューヨークの3分の1以下です。
 
 特に産業が衰退して失業と貧困が進むエリアでは、ストレスのために喫煙する人が少なくありません。たばこメーカーは、あえてこうした地方の低所得者層をターゲットにしているという批判も高まっています。禁煙したい人へのサポートもなく、少数の非営利団体やボランティアがそれを賄っているのが現状といいます。
 
 ますます貧富の差が進むアメリカでは「健康格差」という言葉も生まれています。それに対し、米国疾病対策センターは独自の禁煙広告キャンペーンを始めていますが、ニューヨークのような厳しい禁煙法や税法の改正がない限り、その道は険しいといえそうです。


(2017.7.24)
 タバコ1箱1300円 「仏マクロン大統領」新政策の成否
アメーバニュース(デイリー新潮) 7月22日
 
 タバコ1箱1300円!
 
 6月の下院選挙で大勝利した仏のマクロン政権が、早速打ち出した新政策だ。
 
 「毎年8万人がタバコ関連で死亡しているとフィリップ新首相が国会で演説。『何もしないという選択肢はない』と値上げを打ち出しました」(外信部記者)
 
 もちろん財政赤字の穴埋め策でもある。現在、ジタンなどの代表的銘柄が20本入1箱7ユーロ(1ユーロ=約130円)。それを10ユーロへ約40%もの値上げとは……。
 
 今でも欧州平均より2ユーロほど高い。人口の約4分の1の喫煙者も、これでは黙っていられまい。
 
 「それが、意外に大きな話題にはなっていません」
 
 と話すのは、在仏ジャーナリストの広岡裕児氏。
 
 「仏では歩きタバコもポイ捨ても多いし、未成年者の喫煙も普通ですが、一方で屋内喫煙は絶対厳禁。喫煙文化が日本と違うので分かりにくいかもしれませんが、カフェでもテラスなら喫煙OKだったりするのは、ようするに受動喫煙の防止が重視されているのです」
 
 この流れが、近年はついに喫煙者自体の健康重視へと向かう。タバコのパッケージも、昨年から喫煙の害を大書したかなりえげつないデザインに統一されている。
 
 しかし、そうなると懸念されるのは密輸や密造だ。
 
 「貧困地区では粗悪な密造品が以前から出回っていますが、それこそ体に悪いので手を出す人は限られます。ただ、タバコの安いスペインなどから制限量を超えて持ち込むくらいは、普通の人でもこっそりながら結構やっています」(同)
 
 だが、さらに価格差が広がれば組織犯罪を育てることにもなりかねない。
 
 単純な増税案と思いきや、新政権の政策能力をはかる試金石となりそうだ。
 
 「週刊新潮」2017年7月20日文月増大号 掲載


(2017.7.23)
 受動喫煙対策 35知事「強化を」 「分煙」自民案支持なし
東京新聞TOKYO Web 7月23日
 
 受動喫煙対策を強化する健康増進法改正を、全国の七割を超える三十五知事が「必要」と考えていることが二十二日、共同通信の全国知事アンケートで分かった。改正を巡っては、飲食店の原則屋内禁煙を掲げる厚生労働省と、条件を緩和して喫煙、分煙を認める自民党が対立。通常国会への法案提出が先送りされたが、十四知事が厚労省案を支持したのに対し、自民党案はゼロだった。秋に想定される臨時国会に向けて実効性のある法案の取りまとめが求められる。
 
 アンケートは六月二十日〜七月四日に実施。全国の知事に受動喫煙対策について尋ね、四十五知事が答えた。
 
 独自に受動喫煙防止条例を定めているのは神奈川、兵庫の二県で、条例化を目指しているのは二〇二〇年に東京五輪・パラリンピックを控えた東京だけだった。北海道では議員提案による条例化が検討されている。一方、制定予定はないとした十知事のうち、九人が「国が法律で一律に規制すべきだ」と回答した。
 
 厚労省案を支持する知事が挙げた理由は「飲食店の従業員や利用者の健康を守るため」(高知)など健康を重視した内容が目立ち、「対策の効果を最大限とするためにも原則屋内禁煙にすべきだ」(佐賀)という意見もあった。厚労省、自民党のいずれの案も支持せず「その他」を選んだ知事からは「農業生産者や飲食店業の理解が得られる方策が必要」(岩手)、「業態できめ細かく判断すべきだ」(長野)といった声が寄せられた。
 
 独自に条例を制定してはいないが、青森、鳥取、広島などのようにがん対策推進に関する条例の中で受動喫煙防止の推進を掲げる自治体も多い。
 
<厚生労働省案と自民党案> 受動喫煙対策を強化するための健康増進法改正案は、飲食店への規制の線引きを巡り厚生労働省と自民党が折り合わず、調整が難航している。厚労省は昨年10月、原則屋内禁煙とするたたき台を公表したが、自民党は反発。これを受け厚労省は約30平方メートル以下のバーやスナックなどは例外として喫煙を認める譲歩案を示したが、自民党は150平方メートル以下に例外を認めるよう求めた。厚労省は先の通常国会での法案提出、成立を目指していたが、議論は平行線をたどった。


(2017.7.23)
 フィリピン全土禁煙 7月22より施行!
PRIMER 7月17日
 
大統領令No.26、フィリピン全土禁煙。この実施日について、保健省は、7月22日から施行すると発表しました。
 
(写真)公共の場所や屋内での、このような喫煙シーン。あと一週間で見られなくなります。
 
7月13日木曜日、保健省のエリック・タヤグ次官補は初め、施行日は7月15日と発表しましたが、後に、大統領令No.26の施行日は、施行規則があるかないに関わらず7月22日になる、と言うことを明らかにし次のように述べました。
 
「確認したのですが、大統領令No.26は、マニラブレティン紙に5月23日に掲載されました。大統領令は、新聞に掲載されてから60日後に効力を発揮します。つまり、施行日は、7月22日土曜日となります。」
 
大統領令No.26は、先の5月16日にドゥテルテ大統領によってサインされました。これは、フィリピン全土の公共の場所で、喫煙を禁止するものです。大統領令No.26に違反した場合は、公共法No. 9211、または、2003たばこ規制法に基づき、罰金を科せられます。
 
DSA(指定喫煙所)には、大統領令によって基準が定められます。例えば、喫煙所は特定の広さを持つことや、禁煙緩和地帯を設け、受動喫煙を予防することなどです。
 
大統領令実施後、保健省では、関係機関と共に施行規則を発表してゆくものの、その規則は、関係機関と同じにならない可能性があります。
 
なお、電子タバコは、この禁煙案に含まれていません。


(2017.7.23)
 12月からビリヤード場などの室内体育施設が全面禁煙に=韓国
ヤフーニュース(WoW Korea) 7月20日
 
 韓国において、来る12月からビリヤード場やスクリーンゴルフ場など“室内体育施設”での喫煙が禁止となる。
 
 20日、企画財政部と保健福祉部によると、12月3日から登録・申告体育施設のうちビリヤード場やスクリーンゴルフ場などの室内体育施設を禁煙区域に指定する。
 
 これに先立ち、国会は昨年11月、室内体育施設を禁煙区域に指定する国民健康増進法の改正案を議決した。その後、1年間の猶予期間を経て、全面施行されるというものだ。
 
 これに伴い、12月からは室内体育施設に禁煙区域を知らせる張り紙をし、これを守らなければ是正命令が下される。以後も禁煙区域表示義務を違反する場合、1次170万ウォン(約17万円)、2次330万ウォン(約33万円)、3次500万ウォン(約50万円)の過怠金が賦課される。室内禁煙区域を破って喫煙した場合は過怠金10万ウォン(約1万円)が賦課される。


(2017.7.22)
 都医師会 建物内は原則禁煙 罰則付き独自条例の制定を
NHKニュース 7月20日
 
東京都医師会は、東京都議会議員選挙で、主要な政党が受動喫煙対策の強化を公約に掲げたことを受けて、飲食店など建物の中を原則として禁煙にする罰則付きの都独自の条例をことし中に制定するよう求める考えを示しました。
今月2日の都議会議員選挙では、第一党となった都民ファーストの会をはじめ、主要な政党が、受動喫煙対策の強化を公約に掲げました。
 
これについて、東京都医師会の尾崎治夫会長は記者会見で「都で受動喫煙防止条例ができることはほぼ確実になった。問題は飲食店の取り扱いになるが、飲食店は食の安全と味で勝負すべきであり、たばこが吸えなくなると客が来なくなるという発想自体がどうかと思うし、狭い空間であれば煙の害はより出る」と述べました。
 
そのうえで、「例外を設けず、小さなスナックやバーも含めて原則禁煙にすべきであり、どこでも吸えないとなれば運用がシンプルで効果が最大になる。ラグビーのワールドカップが開かれる2年後までには実施できることが望ましく、逆算するとことし中には目星をつけてもらいたい」と述べ、飲食店など建物の中を原則として禁煙にする罰則付きの都独自の条例をことし中に制定するよう求める考えを示しました。


(2017.7.22)
 「たばこの害から47億人守る」 WHO報告書、 喫煙規制広がる
日本経済新聞Web刊 7月20日
 
 【ジュネーブ=原克彦】世界保健機関(WHO)は19日、世界各国・地域の喫煙に関する規制でたばこの害から守られている人が47億人にのぼり、10年前の2007年より4倍以上に増えたとする報告書を発表した。ただ、たばこ産業が全面的な規制を妨害しているとも指摘。日本については国がたばこ会社の一部を所有することへの懸念も示した。
 
 報告書によると、喫煙関連の規制でたばこの害から守られた人は世界の人口の63%に達し、07年の15%から大幅に改善した。WHOは主に新興国や途上国が「たばこ規制枠組み条約」で定められた規制を導入した効果が大きいとしている。
 
 WHOは世界の大手たばこ会社が各国・地域での厳しい規制作りを妨げているとも指摘した。たばこ規制を担当するケルスティン・ショッテ氏は記者会見で、日本政府が日本たばこ産業(JT)の株式を保有することに言及し、「会社の売り上げと国民の健康で利益が相反する特殊な状態にある」と語った。


(2017.7.22)
 喫煙の規制強化で47億人守られる WHO報告書
NHKニュース 7月21日
 
WHO=世界保健機関は公共の場での受動喫煙の防止など喫煙に関する規制の強化によって、たばこの害から守られるようになった人が10年前に比べて4倍余りに増えたとする報告書を公表し、各国政府に対し、一層の規制強化を呼びかけています。
 
WHOは19日、喫煙に関する各国の規制状況についてまとめた報告書を公表しました。それによりますと、公共の場での禁煙や他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙の対策の徹底、それに、たばこの税率の引き上げといった喫煙に関する規制の強化によって、世界の人口の6割余りにあたる、およそ47億人がたばこの害から守られるようになったとしています。
 
これは10年前の2007年と比べて4倍余りに増えていて、WHOはとりわけ低所得や中所得の国などで、公共の場での喫煙を禁止する法整備が進んだことなどが功を奏したとしています。
 
たばこが原因で死亡する人は世界で年間700万人を超えていて、WHOは「規制の強化は人々の命を救うことができるし、持続可能な未来への礎となる」として、各国政府に対し、一層の規制強化を呼びかけています。


(2017.7.21)
 「受動喫煙ゼロ」明記を=がん対策計画案で厚労相に−検討会メンバー
時事ドットコム 7月19日
 
 国の指針となる第3期がん対策推進基本計画案を検討してきた厚生労働省有識者会議のメンバーが19日、塩崎恭久厚労相と面会し、6月の最終会合で決めた「2020年までの受動喫煙ゼロ」の目標を計画案に盛り込むよう申し入れた。
 
 受動喫煙対策では、厚労省が小規模飲食店を除き原則屋内禁煙とする改正法案をまとめたが、自民党内で異論が噴出し、国会提出が先送りされた経緯がある。計画案も自民党厚労部会を経て閣議に諮られるため曲折が予想され、塩崎氏が直接意見を聴く機会を設けた。
 
 冒頭で門田守人・堺市立病院機構理事長が「満場一致でまとめたのでよろしくお願いしたい」と要請。塩崎氏は「受動喫煙で推計1万5000人が亡くなり、3000億円の医療費が余計にかかっている。全ての国民の命、子どもたちの未来を守るためにはなくさなければならない」と応じた。 
 
 メンバー20人中13人が出席。「ゲノム医療や免疫医療が進歩しているが、予防をないがしろにして治療に走るのは本末転倒だ」などの意見が出た。


(2017.7.21)
 [ オピニオン ] 産業春秋/米国の子連れ外食事情
日刊工業新聞 7月19日
 
 米シカゴに出張し、現地で評判の店で夕食をとることにした。レストラン&バーといった趣で照明は暗め。壁の大画面テレビは地元のプロ野球チーム・カブスの試合を放映している。
 
 名物のシカゴピザを頼む。40―50分かかるとの店員の笑顔に地ビールを注文して待つ。シカゴピザは皮は薄いが、上に乗る具材が大きく食べ応え十分だ。「日本でもいずれ流行しそうだな」と、酒の回った頭で考えた。
 
 まだ夜遅い時間でないせいか、周囲は意外なほど家族客が多い。小学生らしき子ばかりでなく、ベビーチェアに座る赤ちゃんもテーブルを囲んでいる。日本でも最近では居酒屋で子連れ客を見かけるが、バーコーナー併設のレストランで乳児が入れる場所はまれだろう。
 
 国民性の違いもあるかも知れない。ただシカゴのあるイリノイ州は屋内全面禁煙。だから安心して子どもと食事が出来る面もあるように思う。乳児を抱えた若い夫婦だって、たまには外食を楽しみたいはずだ。
 
 日本では「受動喫煙」防止策の意見が割れ、飲食店の禁煙も徹底できていない。それも若い夫婦が“子連れ外食”をためらう理由のひとつだ。気軽に子どもを連れて行ける場所を増やすことは、立派な子育て支援策だと思った。


(2017.7.20)
 動けアスリート たばこフリー五輪実現へ
BLOGOS 7月19日
 
為末 大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)
 
【まとめ】
・オリパラでソフト面のレガシー残すことが大事。受動喫煙防止はその一つ。
・子供の健康を守ること以上に重要な事はない。
・引退したアスリートがその決定プロセスに積極的に関わるべき。
 
2020に東京で五輪を迎えます。五輪はどんどんと巨大化し、これまでの例から決して簡単に儲かるイベントではないというのが明らかになって来ています。五輪そのものでは儲からないから、むしろ五輪を使ってどのようなことを実現するか、もっと大きなことを言えば五輪を使ってどのような国にするというビジョンを内外に示すのかが重要になって来ています。
 
その一環として、ロンドンあたりからレガシーという言葉をIOCも使い始めました。レガシーは遺産という意味ですが、ここでは五輪後に残るものという意味合いで使っています。
 
さて、現在日本で議論されていることの多くがハード面のレガシーについてです。たしかに大きなお金が動く話ですし、これは議論しておかなければなりません。たくさんの施設が作られますが、これが2020以降にしっかりと都民、国民にとって有益なものとしていかなければならないと思います。一方で、ソフト面のレガシーはどうなっていくべきでしょうか。
 
さて、受動喫煙防止策が現在自民党内で議論されています。エビデンスはほとんど出揃っていて、受動喫煙が健康に及ぼす影響は多少の違いはあれど、悪いという内容で一致しています。どういう理由があって議論が揺れているのかわかりませんが、50年ぐらい未来から見るととても小さなことで議論しているに過ぎないと思います。国民の、子供の健康を守ること、以上に重要視すべきことはないと思います。
 
ですので、おそらく2020以降から見れば十分に五輪のレガシーと言っていい内容と言えるでしょう。私はこの決定プロセス、または世論形成に引退したアスリート(なんなら現役も含め)が積極的に関わるべきだと思っています。
 
実はレガシーを作るということに関して、アスリートが関われることはそれほど多くありません。へーそんな施設になるんだという感想を持っている人がほとんどだろうと思います。現役選手は競技のことでそれどころではありませんし、引退した選手にはそんなに多くの機会は与えられません。
 
ですが、少なくとも大前提にアスリートファーストという言葉を掲げているように、アスリートの意見は本当は重視されるわけです。アスリートたちの声でルールを変えられる可能性があります。今回はその貴重なレガシーつくりに関われる機会だと思っています。
 
前回の国立競技場はだいたい50年ほど使われました。レガシーというのは50年後の未来を考えて設定するものだろうと思います。
 
私は現役選手としては五輪には関われませんが、50年後の私の子供の子供の子供あたりから、ありがとうと言われるレガシーを一つぐらい残したいと思っています。国民の健康に寄与する決定がアスリートの声の貢献によってなされたという事例は、元アスリートとして誇らしいことだと思っていいのではないでしょうか。
 
というわけで私は受動喫煙防止策に賛成します。ぜひ原案で進めていただきたいです。そして選手の皆さんにも声をあげていただきたいと思います。


(2017.7.14)
 (社説)受動喫煙ゼロ がん計画に目標明記を
朝日新聞デジタル 7月14日
 
 2022年度までの国のがん施策を示す「第3期がん対策推進基本計画」をつくる作業が、大詰めで難航している。
 
 焦点は、がん予防策の大きな柱であるたばこ、中でも他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の取り扱いである。
 
 厚生労働省が6月に公表した原案では、受動喫煙率の数値目標が「保留」とされた。社説でくり返し主張してきたように、国民の生命・健康を考えれば、「受動喫煙をゼロにする」という考えを、計画の中で明確に位置づけるべきだ。
 
 現行の第2期計画(12〜17年度)は、20年までに「受動喫煙の無い職場」を実現し、そのうえで22年度までに、過去1カ月間に受動喫煙を家庭で経験した人の割合を3%、飲食店で15%にするという目標を掲げた。
 
 しかし状況は厳しい。
 
 15年の国民健康・栄養調査によると、飲食店での受動喫煙率は41%にのぼり、11年の45%からほとんど変わっていない。職場の状況も同様で、数値はやや低いものの、11年の36%が31%になったにとどまる。
 
 厚労省の専門家協議会は危機感を抱き、第3期では職場、家庭、飲食店での受動喫煙すべてを、20年までにゼロにすることを目標とするよう求めた。
 
 だが、計画づくりと並行して厚労省がとり組んでいた、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案の国会提出が、自民党側の反対で先送りに。その影響で第3期基本計画での目標も宙に浮いた状態になっている。
 
 「達成できる見通しのない目標は掲げるべきではない」との意見があるかも知れない。しかし現状が問題だからこそ、あるべき姿を示し、政策を総動員して実現させる。そのための基本計画ではないか。
 
 飲食店や職場での全面禁煙はいまや世界標準だ。小池百合子東京都知事は、9月議会に受動喫煙対策の条例案を提出したい考えを明らかにしたが、東京だけやればよいという話ではない。国全体で取り組まなければならないテーマだ。
 
 がん対策としては、喫煙者そのものを減らす政策も必要だ。
 
 計画原案には禁煙を希望する人たちへの支援が盛り込まれた。15年の成人の喫煙率は18%で、いまの目標の「22年度に12%」になお遠いが、国民健康・栄養調査では喫煙者の半数以上が「やめたい」「本数を減らしたい」と答えている。
 
 公的医療保険を使った禁煙治療も現に行われている。禁煙に挑戦する人を支える仕組みの整備も忘れないようにしたい。


(2017.7.13)
 勤務時間中のタバコはNG 「健康経営」の取り組み広がる
日本の人事部 7月13日
 
従業員に対し、禁煙を呼びかける企業の動きが活発化している。
 
メガネの製造・販売を手掛ける株式会社オンデーズは、全従業員に対し、勤務時間中の禁煙を義務付けた。同社では、人事評価の対象にもなる社内の服装規定に「ニオイ」という目に見えないマナー項目を設けるなどして、禁煙の実施を徹底させる方針。 また、オフィス機器のリコーや、衛生用品メーカーのユニ・チャームなどでも、就業時間内の喫煙を全面的に禁止している。
 
こうした背景には、企業が従業員の健康に配慮する「健康経営」の広がりがある。従業員が健康に働けるサポートを行うことで、企業が負担している健康保険料が削減できるだけでなく、生産性向上や企業のイメージアップにもつながると考えられ、多くの企業が取り組みを始めているのだ。
 
勤務時間中の喫煙を禁止すれば、喫煙者の健康を促進し、非喫煙者の受動喫煙も防ぐことができるが、自分の力で禁煙を行うことが困難な社員もいるだろう。企業には、禁煙に取り組むためのサポート施策などを、あわせて進めていくことが求められるのではないだろうか。
 
(『日本の人事部』編集部)


(2017.7.13)
  「タバコは人権侵害を通じて作られている」  僧侶兼医師の来馬さんら、製造過程も批判
弁護士ドットコム・ニュース 7月8日
 
 東京・巣鴨の高岩寺住職の来馬明規さん
 
 2020年の東京五輪を前に、受動喫煙の防止に関する議論が進む中、タバコによる「人権侵害」について考えるシンポジウムが7月7日、第二東京弁護士会・人権擁護委員会の主催で弁護士会館で開かれ、50人以上が参加した。
 
 海外のタバコ農園を取材した毎日新聞記者の吉富裕倫さんや、「とげぬき地蔵」で知られる東京・巣鴨の高岩寺住職の来馬明規さんらが登壇し、受動喫煙だけでなく、タバコの製造過程も有害であることを訴えた。
 
 吉富さんは、インドネシアのタバコ農園での取材を紹介。貧しいために学校に行けない子どもたちがタバコ農園で働く「児童労働」の問題や、素手で作業しているため皮膚からニコチンを吸収して、頭痛やめまいなどの症状が現れる「緑たばこ病」の問題を指摘した。
 
 来馬さんは曹洞宗の僧侶であるとともに、循環器内科の医師でもある。禁煙マークのついた袈裟を着て、タバコの問題について取り組んでいる。来馬さんも、海外のタバコ製造過程や、喫煙による健康被害を例にあげながら、「タバコは人権侵害を通じて作られている。使用の是非を検討するまでもない」と主張した。


(2017.7.11)
 医師が警鐘!ニコチンは脳をダメにし、人生を奪い去る! --- 尾藤 克之
アゴラ 7月11日
 
80年代のバブル期。まだ喫煙率が60%を超していた頃、タバコは男子のモテアイテムだった。男性誌に取上げられる「カッコいい仕草」の上位は「タバコをくゆらせる所作」だった。そして、タバコが似合う男性として名前があがるのが、松田優作、柴田恭兵、矢沢永吉、奥田映二、天地茂など。たしかにサマになっていた。
 
しかし、高齢化、健康に関する意識の高まり、規制強化や価格改定が要因となり喫煙率は低下していく。現在、日本の喫煙率は、男女計で19.3%であり、男女ともに減少傾向にある。OECD加盟国平均は19.7%、最高がギリシャの38.9%、最低はスウェーデンの10.7%である(出典:Health at a Glance 2015)。
 
その後、タバコの害の理解促進、健康意識が高まったことによって、警告表示が義務づけられる。しかし、日本は文字のみの簡易表記で目立たない。各国と比較すると大きな差がある。写真入り警告表示を最初に導入したのはカナダだが、現在、「警告文・写真」の面積が最大なのはタイである。※記事の写真を参照いただきたい。
 
今回は、『頑張らずにスッパリやめられる禁煙』(サンマーク出版)(http://amzn.to/2tCF7RJ)を紹介したい。著者は、川井治之(以下、川井医師)氏。がんの予防から発見、退治までを行う呼吸器内科・腫瘍内科医として医療に従事してきた。これまで、肺がん患者の生死を20年以上にわたって見つめてきた専門家としても知られている。
 
■ニコチンはあなたの人生を奪う
――日本における喫煙率のピークをご存知だろうか。厚労省の調査によれば、1966年がピークであることがわかる。男性83.7%、女性18.0%であるから、現在とは異なり相当高い喫煙率であったことが理解できる。
 
「たしかに、タバコが嗜好品だった時代があったと思います。当時はタバコにこれほどの害があるとは知られておらず、ニコチンが脳の健康を奪ってしまうこともわかっていませんでした。しかし、今ではタバコに害があること、やめたくてもやめることのできない依存性の強い商品であることがわかっています。」(川井医師)
 
「害があっても、好きで吸っているのだから関係ないと思われるかもしれません。実際は、くり返しになりますが、そういう人もニコチンの禁断症状から逃れるために、吸いつづけているのです。」(同)
 
――タバコの一服は気分転換になるし、吸うための所作は「男の儀式」だと主張する人がいる。そのような人はどうだろうか。
 
「タバコは人生を奪っていきます。具体例をお示ししましょう。まず、タバコは寿命を奪います。英国王立内科医学会によると、『タバコを1本吸うごとに5分30秒ずつ寿命が縮む』というデータが発表されています。さらに医者を対象とした研究では喫煙者は約10年寿命が短くなるという結果もあります。」(川井医師)
 
「タバコ1箱440円とすると、1日1箱吸う人は、年間約16万円の出費になります。50年吸うと約800万円になります。健康を害して貴重なお金をも奪ってしまうのです。」(同)
 
■ストレス解消の一服はウソである
――「ストレスを感じたら一服で気分転換」「食後や仕事のあとには、ニコチン多めのハイライトかショッポじゃないと効かないな」。タバコ好きがよく発する言葉だが、川井医師によればタバコに効能になるものは一切含まれていない。
 
「タバコを吸うとストレス解消できるというのは、認知のゆがみの最大のものです。『そんなことはない、たしかにストレス解消できる』と言われる方も多く、実際、喫煙者がストレスを感じているときにタバコを吸うと、ストレスが解消された気になるのは事実です。それは本当なのでしょうか。」(川井医師)
 
「現代社会はストレス社会ともいわれています。その影響もあって『タバコをやめるとストレスがたまる一方だから』と言う喫煙者が多いのです。」(同)
 
――タバコによる悪影響はいくつかある。「血圧が上がる」「脈拍が速くなる」「筋肉が緊張する」「血管が収縮する」「低酸素となる」、などがあると言われている。
 
「精神的なストレスはどうでしょうか。アメリカのピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の調査では、『ストレスを頻繁に感じる』という人が、非喫煙者では31%、元喫煙者では35%だったのに対し、喫煙者では50%に上がったとの報告があります。日本でも禁煙によるストレスの変化について調査が行われています。」(川井医師)
 
「三野善央医師(みのクリニック院長)らの研究では、喫煙を継続した群よりも禁煙した群のほうが、半年後にはストレスが減るという結果が明らかになっています。アメリカでも同様の結果が出ている報告があります。」(同)
 
――川井医師は、脳がニコチンに依存されているからやめられないと主張する。禁煙を考えるなら人生の主導権をニコチンから取り返すことを、考えてみてはいかがだろうか。
 
参考書籍
『頑張らずにスッパリやめられる禁煙』(サンマーク出版)(http://amzn.to/2tCF7RJ)
 
尾藤克之
コラムニスト
 
追伸
――タバコメーカーに勤務する知人がいた。彼の口ぐせは、「タバコを吸うことで体温が下がる。それは、ニコチンが毛細血管を収縮させることの作用であって、ガンとの因果関係はない」だった。あの重厚長大の歴史ある大企業にしてこの長髪。缶ピースと杉の木でできた高級マッチを持ち歩いていた。ZIPPOを使用している人を毛嫌いした。
 
「オイルライターは香りを損なうからダメだ!」。マッチを擦る際にシュという音とともに火がつき、マッチのリンと木の燃える匂いが混ざり合い独特な香りが鼻をつく。火が十分に育ったらタバコに点す。この瞬間がスモーカーにとって至福の時間であり、「タフな仕事」をしている、男のみに許された儀式だと語っていた。
 
そんな彼が永い眠りについてから15年が経つ。もし彼がタバコをやめて不摂生をしていなければ、いまでも杯を交わすことがあったのではないかと思うことがある。当時の仲間も、気がついたら若くない年齢になってしまった。残された時間のなかで何ができるかわからないが、私も自らの使命を全うし成すべきことをしようと思っている。
 
尾藤 克之


(2017.7.7)
 都民ファースト圧勝「受動喫煙対策に大きな弾み」日本禁煙学会が評価…理事も都議に
ビッグローブニュース(弁護士ドットコム) 7月4日
 
 一般社団法人「日本禁煙学会」の作田学理事長は7月4日、都民ファーストの会が圧勝した東京都議選の結果について、受動喫煙防止に大きな弾みがつくと評価した。
 
 都民ファーストは、格差是正や待機児童対策など5つの重点政策を掲げている。そのうちの1つが受動喫煙対策で、議会棟での禁煙実施や罰則付きの受動喫煙防止条例の制定などを目指すとしている。今回の都議選では、日本禁煙学会からも理事で弁護士の岡本光樹氏が都民ファーストから出馬し、北多摩2区でトップ当選した。
 
 作田理事長は、先の通常国会で、厳しい制約をつけた厚労省の「受動喫煙防止法案」(健康増進法改正案)が、自民党内からの反対が相次ぎ、成立しなかったことを念頭に、「かなり厳しいものになると信じている」と、都条例制定への期待を語った。
 
 都議選の惨敗を受け、早ければ月内にも実施される見込みの内閣改造については、「塩崎大臣は、頑として(基準を緩和した自民党案に)反対してくれた」として、塩崎恭久厚労相の留任を求めている。
 
 発言はいずれも、厚生労働省の記者クラブでのもの。この日、作田理事長ら禁煙学会のメンバーは、塩崎厚労相に対し、厚労省による受動喫煙防止法案の原案を支持する、9万4595筆の署名を提出した。


(2017.7.7)
 タバコを購入できるのは20歳から、4日から 新法施行
バンコク週報 7月4日
 
 タバコを購入できる年齢が20歳以上に改正されたタバコ規制法が7月4日から施行される。同法では、タバコを販売できるのは18歳以上と規定されており、社会活動を通じてタバコメーカーが間接的に宣伝を行うことも禁じられる。ピヤサコン保健相によれば、改正タバコ規制法は、若者の喫煙者を減らすとともに非喫煙者の健康を守ることなどを目的としたものという。これまでのタバコ規制法は1992年に制定されたものだが、不備が指摘されていたことから今回改正されることになった。


(2017.7.7)
 塩崎厚労相「屋内禁煙の伝統を日本が破るのか」 五輪見据え受動喫煙対策訴え
ヤフーニュース(THE PAGE) 7月5日
 
 通常国会で法案提出が見送られた受動喫煙対策。厳格に屋内原則禁煙を打ち出す厚生労働省と、一定面積以下の飲食店は禁煙の規制対象外としたい自民党の交渉が決裂したためだ。塩崎恭久厚生労働相は、THE PAGEのインタビューに対し、「北京五輪以降、ずっと屋内禁煙でやってきた伝統を日本が初めて破っていいのか」と疑問を呈し、「お店自体を原則喫煙禁止ということでいかないと、我々としては合意できない」などと述べた。
 
塩崎恭久・厚労相に聞く
 都議選で受動喫煙対策が議論に上がったことについては「議論が国政に影響することは一定程度あるんだろうと思う」と話し、注目が集まることを歓迎した。自民都連が国政とは別に、原則屋内禁煙の条例制定を掲げて戦ったことについては「そういう声が党内に広がることは大事」などと肯定的に受け止めていた。
 
厚労省案と自民党案の違い
 
 厚生労働省は3月、受動喫煙防止対策の強化について基本的な考え方を示した。屋内は原則全面禁煙とし、30平方メートル以下のバーとスナック等を規制対象外とする内容だった。
 
 これに対し、自民党は5月、「バー」「ラーメン屋」など業態による分類はせず、客室面積は100平方メートル以下、厨房は50平方メートル以下の計150平方メートル以下の飲食店については「喫煙店」であることの表示義務や未成年の立ち入りを禁止とすることで、規制の対象外とする案を打ち出した。
 
 塩崎厚労相は、厚生労働省案の例外規定については、「従業員なしで、お1人で、カウンターでバーを経営されているぐらいの広さのところだったらば、そもそも飲みに行くわけですから、妊娠されている方も多分行かないだろうし、子供は行かないだろうし、従業員がいなければ未成年もいないだろうということで例外にした」と説明。
 
 一方で、自民党案については「東京の場合、85.7%の飲食店が喫煙可になる。外に喫煙店という表示をすればいいじゃないかといっていますが、送別会でみんなで行きましょうといったところが吸えるところだったら、自分の意に反していかざるを得ない。こういうときには、受動喫煙は排除し切れない」と話した。
 
受動喫煙対策は感染症対策と同じ「科学に基づいてやる必要がある」
 塩崎厚労相が厳格な対策を求めるのは、受動喫煙による健康被害が明白とのデータがあるからだ。
 
 国立がん研究センターの発表によると、受動喫煙を受けなければ亡くならずに済んだ人は国内で少なくとも年間約1万5000人に上るという。厚生労働科学研究班の推計によれば、受動喫煙による超過医療費は年3000億円以上とされる。
 
 そして、国民健康・栄養調査によれば、非喫煙者が受動喫煙被害に遭遇する機会として一番多いのが「飲食店」なのだという。世界保健機関(WHO)によると間仕切りなどによる分煙では、受動喫煙被害の防止効果が乏しいことも明らかになっているという。
 
 こういった状況を受け、2010年にはWHOと国際オリンピック委員会は「たばこのないオリンピック」の推進で合意。それ以降、すべてのオリンピック開催地と今後の開催予定地は原則屋内禁煙となり、リオ、ロンドン、ソチ五輪などでも罰則を伴う法規制を行ってきた。合意前の、北京・バンクーバー五輪でも屋内禁煙は実施されている。
 
 塩崎厚労相は「感染症対策で人の命を守らなきゃいけないというときには、やっぱり科学できちっとした感染症防護策を導入しますよね。それと同じことだと思います。(厚生労働省案に反対の人は)オリンピックをどうやって迎えるんですかということについての代案をぜひお示しをいただきたい。海外の方は多分ホテル等飲食店、それも飲み屋さんじゃなくて普通のところで日本の食を楽しみたいという人たちが多いと思うのです。ここをどうするか。(屋内禁煙でないという点が)やはり(日本の)評価を決めてしまうと思うので、そこのところもじっくり議論をさせていただけたらなと思います」と語った。
 
都議選の影響について
 都議選では、各党が「受動喫煙対策」を争点の一つとして戦い、「子どものいる家庭内での禁煙まで目指す」ことを掲げた地域政党・都民ファーストの会が圧勝する結果となった。
 
 都議選で受動喫煙策が議論に上がったことついて、「大いに議論していただきたいと思う。(議論することで)気がつかなかったことにも気がつくように(なる)。私だって、随分学びましたから。東京オリンピックというぐらいですから、都議選で、各党いろいろな表現ぶりで受動喫煙対策を標榜されていますけれども、当然そこでの議論が国政に影響することは一定程度あると思います。一つの世論調査に代わる本当の声にもなるのでしょう。何を考えて1票を入れたかというのは、いろいろ人によって異なるのでありますが、選挙キャンペーン中の議論とか、争点になっていることなどを考えてみれば、やはり何らかの影響はあるんだろうと思いますね」と語った。
 
(インタビューは6月28日に実施)
 
【塩崎恭久(しおざき・やすひさ)】
 1950年11月7日生まれ。愛媛県出身。1975年3月東京大学教養学部卒業。同年4月日本銀行入行。1982年6月ハーバード大学行政学大学院修了。1993年7月衆議院議員当選(旧愛媛1区)。1995年7月参議院議員当選(愛媛選挙区)。2000年6月衆議院議員当選(愛媛1区、当選6回)。内閣官房長官・拉致問題担当大臣、外務副大臣など歴任。2014年9月から現職。


(2017.7.6)
 受動喫煙対策求め署名9万人分提出 日本禁煙学会など
朝日新聞デジタル 7月4日
 
 受動喫煙対策を強化する法案の早期成立を求めようと、日本禁煙学会や日本肺がん患者連絡会などが4日、塩崎恭久厚生労働相宛てに9万4595人分の署名を提出した。
 
 署名は、3月下旬〜5月下旬に書面やネットで集めた。「受動喫煙の規制に面積基準や事業主による喫煙、分煙などの別を設けることに反対する」などとして例外なき規制を求めている。会見した同学会の作田学理事長は「通常国会で政治的に妥協した案で成立しなくてよかった。8割の非喫煙者の思いをくみとり、塩崎大臣に引き続き頑張ってもらいたい」と話した。
 
 受動喫煙対策を強化する法案をめぐっては、厚労省と自民党が飲食店の規制で折り合えず、秋の臨時国会に先送りされた。(黒田壮吉)


(2017.7.6)
 小池知事 受動喫煙 議員提案で条例案を
NHK NEWS WEB 7月4日
 
東京都の小池知事は、NHKのインタビューで、飲食店などの建物の中を原則として禁煙とする罰則付きの条例案について、都民ファーストの会を中心に各会派で協議したうえで、議員が条例案を早期に提出して成立させることが望ましいという考えを示しました。小池知事は4日、NHKのインタビューに応じました。
 
この中で、今回の都議会議員選挙で、主要な政党が公約に掲げた、飲食店などの建物の中を原則として禁煙とする罰則付きの条例案について、「都はこれまで国の法律を前提に待ちの姿勢だったが、法律の成立が遅れた。議会としての条例制定の流れのほうが早く、議会は提案型であるべきという例を示すのがいいのではないか」と述べ、都民ファーストの会を中心に各会派で協議したうえで、議員が条例案を早期に提出して成立させることが望ましいという考えを示しました。
 
また、市場の移転問題については、「豊洲市場への移転に必要な追加の安全対策工事を、入札から施工、環境影響評価までの順番を踏んでいく。追加工事は移転の最低条件だ」と述べ、豊洲市場の地下空間の底にコンクリートを敷くなどの工事を速やかに進める考えを示しました。
 
そのうえで、築地の再開発については、「築地は一等地中の一等地だから都としてどう活用するか、お金も含めて民間の知恵も必要だ。都の9局長会議で段取りを決めるが、できるだけ早くその姿が見えるようにしたい」と述べ、検討を急ぐ考えを示しました。
 
さらに、都議会議員選挙で、選挙協力をした公明党については、「会派どうしで連携を深めて政策的な意見交換の場があってもいい。一方で知事としても意見交換の場を持ち、より風通しのいい都議会と都政にしていき、相乗効果が生まれることは都民にとって悪くない」と述べ、政策的な議論を通じて両党の連携を深めていく認識を示しました。


(2017.7.6)
 禁煙法施行10年―イギリスの喫煙率が過去最低に
女性自身 7月3日
 
 過日、受動喫煙を防止するための法整備が先送りされることが決定した。厚労省は飲食店や公共の建物内は原則禁煙とする案を提出したが、これに対し「厳しすぎる」と自民党内から反対の声が多く上がったようだ。
 
 その“厳しすぎる”禁煙法を、英国は2007年に施行している。レストラン、カフェはもちろん、飲酒することが前提のパブやバーに至るまで、公共の建物内は原則禁煙。公共交通機関、教育関連施設、官公庁ももちろん全面禁煙だ。屋根の下で大っぴらに煙草を吸うことができる場所は、自宅と自家用車内くらいしかない。
 
 この法律が発効してから10年目の今年、英国内の喫煙率が過去最低を記録したと慈善団体「キャンサー・リサーチ」が発表した。2007年に英国内にいた喫煙者は1,020万人だったが、2016年の調査で過去最低の830万人にまで減少したという。
 
 同団体の代表、ハーパル・クマール卿は「この10年で、禁煙法が目覚ましい成功を遂げたことに非常な喜びを感じます。この法律は受動喫煙による致命的影響から人々を守るだけでなく、喫煙に対する人々の考えも大きく変えてくれました。今、煙草は社会的に受け入れられなくなりつつあります。命に危険を及ぼす依存症に陥る若者が、これからもさらに減っていくことを望みます」とコメントした。
 
 実際、16歳から24歳の若年層の喫煙率は、2007年の26%から、この10年で17%にまで下がっている。
 
 キャンサー・リサーチによる4,300人を対象とした最新の調査では、禁煙法の撤回を望む人は12%にとどまったという。また、20%が禁煙法をきっかけに本数を減らすことに成功し、14%が禁煙に成功したとか。
 
 日本の受動喫煙防止対策は、世界でも「最低水準」と世界保健機構(WHO)から不名誉なお墨付きをもらっているが、今後どうなっていくのだろうか。


(2017.7.5)
  JT 加熱式たばこで都内進出 銀座で専門店の内覧会
毎日新聞ニュース 6月28日
 
 日本たばこ産業(JT)は28日、東京・銀座で加熱式たばこ「プルーム・テック」専門店の報道向け内覧会を開いた。これまでインターネットと福岡市内で限定販売していたが、29日に銀座と新宿で開店し、都内進出の足がかりとする。
 
 先行するフィリップモリスの「アイコス」を追い、2018年上半期までの全国展開を目指す。
 
 JTは、7月10日に東京都内のたばこ専門店など約100店舗でプルーム・テックの販売を始める。通常のたばこに比べ煙や灰が出ず、においが少ないといった加熱式たばこの利点を実感してもらうため、飲食を楽しみながら喫煙できるようレストランと提携する。(共同)

 (意見) 本当に恐ろしい話です。


(2017.7.5)
 和田アキ子「いいこといっぱい」 9年前に禁煙成功
日刊スポーツコム 6月29日
 
 今年秋に歌手デビュー50周年を迎える和田アキ子(67)が本音を明かした。デビュー日にあたる10月25日に一部収録曲をファン投票で決めるベストアルバム「THE LEGEND OF SOUL」を発売する。日刊スポーツなどのインタビューに応じ、葛藤や反骨心、プロ意識などをざっくばらんに語った。
 
 和田アキ子は、愛煙家だったが9年前禁煙に成功した。「やめていいこといっぱい。声のトーンが長くなった。吸いたい時は、パチンコ屋に行くんです、においがするから」と笑う。レギュラー番組生放送前日の金曜と土曜は禁酒している。「お医者さまには『肝臓が女子学生のようだ』って言われます。分解力があるみたい」。


(2017.6.30)
 喫煙率が初めて2割を下回る 「2022年に成人喫煙率12%」実現も夢ではない? 
キャリネコニュース 6月29日
 
厚労省が6月27日に発表した2016年度の国民生活基礎調査から、喫煙率が初めて2割を切ったと明らかになった。オリンピックを控え屋内の全面禁煙の議論が進む中、世論の「たばこ離れ」が改めて浮き彫りになった形だ。
 
20代の喫煙率減少幅は、男女ともトップ 進む若者の嫌煙志向
国民基礎調査は1986年を初回に毎年実施されている。世帯構成や健康状態、貯蓄額などを明らかにする大規模調査を3年ごとに、その間の年は世帯や所得などに項目を絞った基礎的調査が行われる。2016年度は大規模調査の年だった。大規模地震があった熊本県と、入院中の患者は調査から除かれている。
 
20歳以上の男女の喫煙状況は、男女とも「吸わない」が最も多く、男性で58.9%、女性で86.2%だった。「以前は吸っていたが1か月以上吸っていない」と答えた人は、男性が8.0%、女性が2.4%だった。
 
男女合わせ、全体のうち「毎日吸っている・時々吸っている」を合わせた割合は19.8%と、調査開始以来初めて2割を下回った。
 
本数や頻度に関わらず「喫煙している」と答えた割合を性別・年齢別に見ると、男女とも30歳〜49歳の層が最も高い。しかし、割合の数値自体は年々下降傾向にある。2001年の調査では同じ年代の喫煙率は男性が55〜58%、女性が17〜19%程度だったのに対し、今回の調査では男性が約40%、女性が13〜15%だった。特に男性の喫煙率の数値が大きく減少していると分かる。
 
20歳〜29歳という若い層でもこの傾向は顕著で、2001年と比べて下がり幅が最も大きいのもこの世代だった。減少幅は、男性が24.5ポイント、女性で12.5ポイントだった。
 
ヘビースモーカーの割合も過去10年で最少に
ヘビースモーカーも減っている。2015年の国民健康・栄養調査によると、喫煙習慣のある者のうち、1日に21本以上タバコを吸う人の割合は10%で、男女別では男性12.4%、女性2%と、どれも過去10年のうち最も少ない数値を記録した。
 
たばこをやめたいと思う人の割合は27.9%で「男女とも有意な変化は見られなかった」とある。
 
ただ、実際に禁煙をするにあたり、身近に禁煙治療を受けられる医療機関があるかどうかは、男女ともにどの年代でも「分からない」が最多である。情報の周知と禁煙意欲のある人とをどう繋げるかが課題だ。
 
政府は「がん対策推進基本計画」で2022年度末までに成人の喫煙率を12%に下げる目標を掲げている。現在、オリンピックに向けて屋内の禁煙規制が議論されているが、五輪開催を抜きにしても、世間の風向きが嫌煙の方向にあるのは間違いないようだ。


(2017.6.30)
 「タバコ天国」日本、受動喫煙法案見送り 海外メディアが政府の矛盾を指摘
NewSphere 6月29日
 
 3年後に開催が迫る東京オリンピック。日本にとって悩みのタネの一つがタバコ規制問題だ。国際オリンピック委員会(IOC)は通常、会場でのほぼ全面禁煙を求める。世界保健機関(WHO)の非伝染病予防の責任者も、日本は「タバコ天国」だという報道を認識しており、日本としてもそのような汚名は望んでいないはずだとコメントする(ワシントン・ポスト紙)。五輪会場以外にも全国的なルールづくりが急務だが、国内での議論は進んでいないのが現状だ。
 
◆禁煙に踏み切れない日本。海外の見方は?
 エコノミスト誌は22日付の記事で、今国会での『受動喫煙防止法案』の成立が断念されたことを伝えている。30平米以上のバーや飲食店などを全面禁煙にする法案だったが、選挙戦に大きな影響を持つタバコ農家組合や飲食業界からの反発が激しかったとの分析だ。
 
 同誌はタバコ業界への政府の不自然な態度を指摘する。政府は禁煙環境を推進しつつも世界第4位の規模の日本たばこ産業(JT)株を30%以上保有しており、「アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態」と矛盾を突く。
 
 香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙(18日付記事)は、法案不成立の背景として、天下りの影響があると見る。優れた政治家が大手企業で稼ぎの良いポストに就く「amakudari」という文化があり、政治家が自身の将来のために産業界に甘くなっていると指摘している。
 
◆途上国レベル?高い喫煙率と受動喫煙
 法案とは別に、日本社会は喫煙者を優遇しているという見方は以前からあった。ワシントン・ポスト紙は日本禁煙学会の作田学理事長のコメントとして、「日本の受動喫煙の状況は、発展途上国と同じレベル」(5月2日付記事)だと紹介している。病院出入り口のすぐそばで医療スタッフが喫煙するケースがあるなど、現状に疑問を呈する格好だ。
 
 エコノミスト誌は、日本の喫煙率が高いことを指摘する。日本の成人男性の約30%が喫煙者で、アメリカ・イギリスの1.5倍の水準だ。一つの原因として、欧米より圧倒的に安いタバコの国内価格が挙げられる。最も売れているセブンスターで1箱20本460円だが、アルジャジーラによるとタバコはオーストラリアで1箱18.64米ドル(約2090円)、ノルウェーで12.00米ドル(約1350円)で売られている。アメリカやイギリスでも一般には概ね1000円前後で販売されているようだ。
 
◆海外より先進的な日本ならではの取り組みも
 一方、海外より先進的な面もある。エコノミスト誌では、東京などの路上喫煙禁止条例を紹介している。海外では公園や鉄道駅付近に限定した条例はあるものの、屋外の路上全般を禁煙にする取り組みは珍しいようだ。JTの広報としても、「厳しい路上喫煙禁止条例があるため、海外よりルールが緩い認識はない」とサウスチャイナ・モーニングポスト紙に語る。
 
 このほか同紙は、無煙タバコのテスト市場として日本が選ばれていると報じる。iQOSの『ヒートスティック』やJTの『プルーム・テック』など、煙ではなく蒸気を出す電子タバコ製品を紹介し、従来の製品よりも大幅に害が少ないとしている。依然有害との報道も一部あるが、先進的な製品としての評価もあるようだ。
 
 オリンピックを控え、タバコをめぐる環境整備に海外も注目する。もはや国内だけの問題ではないと言えるだろう。2020年までにどういう形で決着するのか、さらに議論が必要なようだ。
 
Text by 青葉やまと


(2017.6.25)
 たばこ業界が巨額献金の自民党、受動喫煙防止法案に猛反発…小池都知事の禁煙条例が波紋
ビジネス ジャーナル 6月25日
 
 世界保健機関(WHO)が「世界でも最低レベル」と指摘する、日本の受動喫煙防止対策。2020年の東京オリンピック前には改善しようと、厚生労働省は今国会で対策強化を図る健康増進法改正案の提出を予定していたが、たばこ業界の意向を受けた自民党の猛反発により頓挫した。
 一方、一向に対策を進められない自民党との違いをアピールしようと、小池百合子東京都知事は7月の東京都議会議員選挙での主要施策に受動喫煙防止を据えた。
 
たばこ業界、自民党議員に6000万円以上の献金
 健康増進法改正案におけるたばこ対策は、レストランや居酒屋などでも屋内禁煙(喫煙専用室の設置可)を義務付ける。ただし、30平方m以下の小規模なバーなどに限って、「受動喫煙が生じ得る」との掲示や換気を条件に喫煙を認める。違反が発覚し、是正勧告に従わないなどすれば、施設管理者に最大50万円、たばこを吸った本人に同30万円の過料が設定されている。
 日本の状況を、今年4月に来日したWHOのダグラス・ベッチャー生活習慣病予防部長は、「世界最低レベルで前世紀並みに遅れている」と厳しく批判している。年間1万5000人が、受動喫煙が原因で死亡していると推計されている。厚労省は当初、すべての飲食店で原則禁煙(喫煙専用室は設置可)とする方針だった。しかし、飲食業界などの反発を受けて、小規模店舗は対象外とする原案を公表した。
 たばこ業界は「これでも厳しすぎる」として、緩和を求める120万筆以上の署名をわずか1カ月で集めた。署名では、「決して『受動喫煙防止の取組み』に反対ではないが、政府案では、小規模店は店舗面積や費用から対応できない」と訴える。また、日本禁煙学会の調査では、2010年からの6年間で、たばこ業界から自民党の160人以上の議員に計6000万円以上の政治献金がされていることが判明している。
 票と金の力を背景にしたたばこ業界の意を受けて、自民党は例外を「150平方m以下」と大幅に拡大することを提案した。塩崎恭久厚労大臣と自民党幹部は複数回の折衝を重ねたが、妥協点は見いだせていない。法案は自民党の部会を通過しないと提出できないため、現状維持の期間が続くことは、たばこ業界側が望む展開だ。
 たばこ対策は、国の医療政策も左右する。現在、日本のがん対策の方向性を示す「第3期がん対策推進基本計画」の策定が進むが、厚労省の諮問機関であるがん対策推進協議会は、構成員の全会一致で例外なく受動喫煙を0%にするように記載を求めた。
 厚労省の担当者は、「あくまで意見を聞く場で、調整の中で必ずしも委員の意見通りにはならない」と説明しているが、座長を務めた門田守人・堺市立病院機構理事長は「我々には我々の責任がある」と強調。日本癌学会理事長の宮園浩平・東京大学教授も「絶対負けないようにがんばっていただきたい」とエールを送る。
 
 規制強化を進めたい塩崎大臣は6月7日、突然、たばこの自動販売機の設置を禁止するよう、所管する財務省に要請する考えを明らかにした。たばこの重要な販路である自販機に切り込むことで事態を打開しようとする奇手だが、たばこ税は財務省にとって重要な権益となっており、実現は簡単ではない。秋の臨時国会を見据えて、水面下での折衝が続いている。
支持率低迷の小池百合子、禁煙条例で巻き返し?
 そして、ここにきて塩崎大臣に思わぬ“援軍”が現れた。7月の都議選を前に、小池都知事が都民ファーストの会の公約に「屋内喫煙禁止」とする都独自の条例を制定することを表明したのだ。
 もともと、小池氏はたばこ対策には積極的だったとされるが、これまで表立って意見表明をしてこなかった。しかし、東京五輪会場や豊洲市場移転の問題がうまく進められずに支持率が下がり気味だったことに加え、自民党との対比を印象付ける作戦に出たと思われる。
 「タイミングを計っていたのだろう」(自民党関係者)
 小池都知事の参戦は事態を動かすのか、はたまた混乱を引き起こすだけなのか。
(文=編集部)


(2017.6.22)
 日本は世界最低レベルの受動喫煙環境 健康影響の専門家に聞く
ヤフーニュース(BuzzFeed JAPAN) 6月20日
 
東京都議選でも争点の一つとなりそうな受動喫煙防止策。1981年、世界で初めて受動喫煙の健康被害を論文で世に問うたのは日本の研究者だったのに、今では先進国で最も対策が遅れた国に成り下がった。
結局、受動喫煙は何が問題なのか。たばこの健康影響に詳しい国立がん研究センターがん統計・総合解析研究部長の片野田耕太さんに話を聞いた。【岩永直子 / BuzzFeed Japan】

受動喫煙で肺がんになるリスクは「確実」、リスクが1.3倍に
片野田さんは、たばこ対策の健康影響について調べた厚生労働省科学研究の研究代表者で、昨年15年ぶりに改訂された国の「たばこ白書」策定者の一人だ。

昨年8月、片野田さんらの研究を元に、国立がん研究センターは、それまで「ほぼ確実」としていた日本人の肺がんに対する受動喫煙のリスクを、「確実」に引き上げた。

「自分が吸う影響は既に肺がんだけではなく多くのがんで確実とされていましたが、他人のたばこの煙については、非喫煙者の肺がんは頻度も少ないことから個々の研究では影響を証明しきれていませんでした」

「そこで、日本人を対象とした研究を網羅的に検索し、条件を満たした9つの研究を統合して解析したところ、受動喫煙で肺がんになるリスクは1.3倍となることが明らかになったのです。国内外の十分な数の研究から、がん以外の脳卒中も1.3倍、心筋梗塞などの虚血性心疾患も1.2倍に増えることがわかりました」

さらに、昨年改訂した「たばこ白書」では、がん以外も含めた様々な病気について受動喫煙のリスクを4段階で評価した。

世界中の研究を検討し、肺がん、脳卒中、虚血性心疾患、子供のぜんそく、乳幼児突然死症候群(SIDS)などは『因果関係を推定するのに科学的根拠が十分』であるレベル1と判定されました。確実な因果関係があるという意味です。これより少し根拠が弱い『因果関係を示唆している』レベル2には、乳がんや鼻腔・副鼻腔がんなども含まれます」

受動喫煙による死亡は1万5000人
健康被害をさらにわかりやすく示そうと、片野田さんらは、因果関係が確実な肺がん、脳卒中、虚血性心疾患、SIDSについて年間死亡者数を推計した。

「これらの病気に限っても、受動喫煙で亡くなる人は年間約1万5000人となり、交通事故死4000人の3倍以上でした。受動喫煙との因果関係が確立されつつある乳がんによる死亡も含めたらさらにこの数字は増えるでしょう」

日本では2003年に健康増進法で受動喫煙の防止が「努力義務」とされたが、それから10年以上経っても、飲食店で41.4%、職場で30.9%の人が受動喫煙に遭っている。

世界188か国中、公共の場で屋内全面禁煙を義務付けた法律があるのは49か国。この中に含まれていない日本は、世界保健機関(WHO)の分類で世界最低レベルの受動喫煙環境と評価された。

「職場やレストランに加え、居酒屋やバーも禁煙にした受動喫煙防止法の整備後、受動喫煙に関わる病気がどれほど減ったか調べた海外の研究では、心筋梗塞などが15%、そのほかの心臓病で39%、脳卒中などが19%、ぜんそくなどの呼吸器疾患は24%減っていました」

「しかも、禁煙の範囲を広げれば広げるほどきれいに減ることも明らかになっています。受動喫煙防止する政策は、健康被害を減らすことが証明されているのです」

「受動喫煙はマナーや思いやりの問題ではなく、他人の健康や命に危害を与える問題であることを認識すべきです。科学的な証拠は十分積み重なってきましたから、今後は具体的な対策を打つ方向に舵を切らなければなりません」

飲食店の売り上げに打撃なのか?
受動喫煙防止策に反対する人がよく引き合いに出すのは、「飲食店の経営に打撃を与える」という主張だ。しかし、これも国内外の多くの研究で否定されている。

「飲食店を全面禁煙にしても売り上げは落ちないし、むしろ増えることが圧倒的に多いということが様々な研究で明らかになっています。

WHOの国際がん研究機関は、受動喫煙防止法がレストランやバーを含む飲食店の経営に与えた影響について信頼性の高い49の調査を検討すると、47の調査で売り上げは減っていませんでした」

「日本でも愛知県の調査では自主的に全面禁煙にした店ほとんどが売り上げは減らなかったと答え、ファミリーレストランを対象に行った産業医大の調査では全席を禁煙にした店の収入は逆に増えていたことがわかりました」

喫煙する常連客が来なくなる可能性があるのに、なぜ売り上げは減らないのか。

「客層が変わるとよく言われます。これまで、たばこの煙を敬遠していた家族連れが来て、より高いお金を短時間で使ってくれる。家飲みしていた客が外で飲む機会が増えるからでしょう」

「私も小さな子供がいますが、保育園や小学校のつながりなど子連れで飲みに行きたい潜在的な需要は多い。家飲みも楽しいとはいえ、料理を作ったり、片付けたりしなくちゃなりませんよね。外で飲みたい気持ちを阻むのは煙です。分煙している店も漏れていますし、たまに外で集まろうと思っても幹事さんが店を探すのに苦労しています」

「分煙」では健康被害は防げない
ちなみに、「分煙」では、たばこの煙をシャットアウトできないことも研究で明らかになっている。

「アメリカの空調関係の学会が徹底的に調べ上げて、分煙で煙の漏れを防ぐことは技術的に不可能だと白旗を上げました。ぜんそく患者さんはわずかな煙でも発作などの症状を起こすことがありますが、大丈夫なレベルまで煙をなくすには竜巻のような勢いで吸い取るしかなく、とても人が過ごせる環境ではなくなってしまいます」

「また、喫煙ルームに置かれている空気清浄機の多くは、煙の粒子成分とガス成分のうち粒子成分しか吸い取れません。排気口からはガス成分の中にある一酸化炭素などの有害物質がそのまま流れることになります」

そして当然、喫煙ルームに出入りする従業員の健康は守られない。「飲食店の従業員なら接客のたびに吸い込むことになりますし、喫煙ルームを掃除する人は客が吸っている中で掃除をしなくてはなりません。分煙では見捨てられる人たちがいることを忘れてはいけません」

喫煙者にとっても悪い副流煙
そもそも人のたばこの煙を吸うだけでなぜ健康被害が生じるのだろう。「自分が吸う場合と同じですが、たばこの有害物質は肺だけでなく、血液に吸収されて全身に回ります。それが遺伝子を傷つけ、がん細胞ができやすくなる。血管の炎症も起こして動脈硬化や血栓を招き、心筋梗塞や脳卒中につながります」
 
しかも喫煙者が自分で吸い込む煙より、たばこの先からくゆらされる「副流煙」の方が有害成分を多く含む。

「フィルターを通さず燃焼温度が低いためです。たばこを吸うと赤く燃えて1000度ぐらいに上がり、発がん性物質の一部は分解されます。しかし、灰皿に置いた状態や手に持っている状態では低温で燃焼するので、発がん性物質がそのまま空気中に流れます」

もちろんその副流煙は喫煙者自身も吸い込むわけだが、自分で吸わない人まで、より有害な煙を吸わされるのはたまらない。屋内の閉鎖空間では濃度も上がる。

「喫煙所や新幹線の喫煙ルームに煙がガス室のように充満しているのを見たことがあると思いますが、有害な副流煙を濃度の高い状態でたくさん吸い込むことになるので、喫煙者にとっても非常に悪い環境です。狭い飲食店も同様です」

そして、片野田さんは、「実は、喫煙者にとっても“一番健康被害が少ない場所”は、屋外です」と強調する。

「屋外なら煙は拡散しますから、外に行って吸う方が喫煙者の健康にとってもプラスです。よく『人の煙は嫌だ』と言う喫煙者がいますが、雰囲気だけでなく、健康にも悪い空気だということを感覚的にわかっているのかもしれないですね。路上喫煙防止の条例が先にできていますが、屋内全面禁煙を実現するためなら路上の喫煙は緩和しても良いのではないでしょうか」

厚労省案、自民党対案、都民ファーストの条例案を採点
これまで、
(1)小規模なバーやスナックは例外として屋内を原則禁煙とする厚労省案
(2)100平方メートル以下の店は「喫煙」「分煙」と表示すれば喫煙可能とする自民党対案
(3)面積の基準を設けずに、店内は原則禁煙。子供の前では車内や家の中でも禁煙を努力義務とする都民ファーストの「都条例案」
が議論の俎上に上がっている。片野田さんの評価はどうか。

「正直、狭くて換気機能もきちんと整備されないであろうバーやスナックを例外としている厚労省案も不十分ですが、この落とし所を受け入れないとまた10年以上対策が遅れてしまう。医療者、研究者は皆、忸怩たる思いで支持しています」

自民党対案については、「検討する意味もない」と切り捨てる。「表示で環境を選べるのはお客さんだけで、従業員は選べない。東京ではほとんどが100平方メートル以下の規模の店ですし、ほとんどが例外規定の対象になるザル法です。これでは法律を作る意味がありません」

都民ファーストの案については、面積基準を設けない点で高く評価している。

「厚労省案ではたばこの煙の濃度が最も高くなるであろう場所が例外になってしまっていました。健康被害を防ぐという法制化の本来の目的に沿っている案だと思います」

車や家の中での禁煙を努力義務とする案については、「公共の空間と共に大事な視点」と言う。

「海外の多くの国で子供が同乗する車の中で吸ってはいけないという規制が進められています。タクシーと一緒です。閉鎖空間で濃度も高くなり、煙を避ける選択ができない。家の中についても努力義務とするのは、家庭内での受動喫煙の問題を皆さんに知ってもらうきっかけとなり、大事なことです」

たばこ産業の情報操作
2010年にWHOと国際オリンピック委員会が「たばこのないオリンピック」推進で合意して以降、歴代開催国は全て罰則付きの法規制を実現した。2020年に東京オリンピックを控えた日本だけは未だに足踏みが続いている。

「国がたばこ産業を保護しているのが大きな原因の一つです。財務省がたばこ産業の大株主で年間500億円規模の配当金も受け取り、たばこ関連の税収は2兆円。喫煙者だけでなく、吸わない人の命と生活まで引き換えにして確保したい税収とはいったい何なのでしょうか」

さらに、たばこ産業が喫煙者にたばこの健康被害について正しい情報を提供してこなかったことが対策を滞らせているとも批判する。

昨年8月、国立がん研究センターが、前述の通り、受動喫煙による日本人の肺がんリスクは確実とする発表をしたところ、日本たばこ産業(JT)は同社のウェブサイトで「本研究結果だけを持って、受動喫煙と肺がんの関係が確実になったと結論づけることは困難」とする批判を掲載した。

同センターも翌月、科学的根拠に基づいて異例の反論を返したが、片野田さんは「たばこ産業はもっと巧妙な情報操作を行なってきた」と指摘する。

「健康被害はないように見せかけるために、たばこ産業が学術誌を利用して研究を歪めて報告していた例は国内外で枚挙にいとまがありません。学術誌も結果的に不正の片棒を担がされた反省があり、次々にたばこ産業から資金提供を受けた論文を掲載しない対策を取り始めました」

海外の一流医学誌では、2010年に米国のプロスメディシンが、2013年には英国のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルがたばこ産業の資金提供を受けた論文を掲載しないことを決定。日本でも昨年から今年にかけて日本癌学会や日本公衆衛生学会、日本疫学会などが相次いで同様の方針を決めた。

「消費者からすれば、製品にどういうリスクがあるのか十分説明を受けた上で納得して購入するのが当たり前で、製造者は情報提供の責任がある。しかし、たばこ産業は、政府や学術界、マスメディアまでコントロールして、リスクが証明されていないという誤った情報を出し続けています」

片野田さんは言う。

「喫煙者は自分にも周りにもこんな健康被害があることを知らされていないし、非喫煙者はなおさらです。その陰で誰が健康被害にあって、誰が利益を得ているのか。正しい知識を持って、守れる命を守るよう一歩踏み出してほしい」

岩永直子

【写真】「受動喫煙はマナーの問題ではなく、他人の健康に危害を与える問題」と対策を訴える片野田さん


(2017.6.21)
 受動喫煙対策「例外認めても激変緩和とすべき」 - 塩崎厚労相
ヤフーニュース(医療介護CB News) 6月20日
 
 塩崎恭久厚生労働相は20日の閣議後の記者会見で、受動喫煙防止対策に関する見解を明らかにした。店頭で「喫煙」などの表示をした一定規模以下の飲食店を屋内禁煙の対象外とする例外措置を「認めるとしても、時限を明確にした激変緩和措置とすべき」との考えを示した。【松村秀士】
 
 受動喫煙防止対策をめぐっては、厚労省が3月、医療施設を「敷地内禁煙」とするほか、バーやスナックなどの小規模な飲食店以外は「屋内禁煙」などとする案をまとめた。しかし、自民党の一部の議員がこれに反対し、一定規模以下の飲食店については、「喫煙」「分煙」といった店頭表示をしたり、未成年者の立ち入りを禁止するという義務を課したりすれば、喫煙を認めるべきとしており、双方の意見が折り合わなかった。
 
 20日の会見で塩崎厚労相は、「広範な例外措置を恒久的に認めることは受動喫煙被害を助長・容認する結果となりかねない」と指摘。「厚労省案が基本で、それを中心に(対策を)考えている」とした上で、例外措置を認める場合でも、小規模な飲食店を対象とし、さらに期限を明確にした激変緩和措置とすべきとの考えを示した。
 
 さらに塩崎厚労相は、受動喫煙対策の強化を盛り込んだ健康増進法改正案の次期国会への提出に向け、反対する自民党の一部議員や飲食店団体などに対して科学的データや海外での事例などを提示し、強化策への理解を求める方針だ。


(2017.6.21)
 東南アジア 強まる喫煙規制 タイ、屋内施設では原則禁止
ヤフーニュース(西日本新聞) 6月5日
 
 東南アジアで喫煙を規制する動きが加速している。フィリピンでは屋内外を問わず公共の場での喫煙を禁止する大統領令が7月に発効する見通しだ。タイはたばこのパッケージで健康被害を警告するが、さらに規制を強化する。日本でも受動喫煙対策が進む。東南アジアのたばこを巡る現状を調べた。(バンコク 浜田耕治)
 
 「受動喫煙にここまで厳しいとは思わなかった」。3月にバンコクに着任した福岡県出身の男性駐在員(41)は、戸惑い気味だ。以前はたばこを1日15本は吸っていたが、タイの喫煙環境に驚かされるという。タイでは国際空港の指定喫煙コーナーなど一部を除き、屋内施設での喫煙は原則禁止だ。オフィスのある高層ビルで一服したいと思えば、わざわざ1階まで下りて屋外の喫煙コーナーに行かなければならない。たばこのパッケージも強烈だ。喫煙の健康被害を示す警告表示のスペースは85%を占め、世界最大。がんを患った人の肺や気管切開された喉などの写真が並ぶ。「目を背けたくなるものばかり。気持ちが沈む」と男性駐在員はこぼす。
 
 タイではたばこの店頭陳列が禁止されており、7月には改正規制法が施行される。喫煙できる最低年齢を18歳から20歳に引き上げ、20歳未満にたばこを販売した者には罰則が科される。
 × ×
 規制を強化するのはタイだけではない。スモークフリー(たばこの煙のない)社会を目指すシンガポールは今後、喫煙年齢を18歳以上から21歳以上に引き上げる方針。マレーシアも2月、禁煙エリアを公共の公園などに広げた。
 
 フィリピンではドゥテルテ大統領が5月、公共の場所での喫煙を全土で禁止する大統領令に署名。7月中旬に発効する見通しだ。
 
 電子たばこを含む喫煙は、一部の場所を除き、オフィスや飲食店、路上など屋内外を問わず公共の場所で禁止となる。たばこの販売も学校や未成年者が集まりそうな場所の100メートル以内で禁止。違反者には厳しい罰金を科すのが特徴だ。
 
 ドゥテルテ氏は麻薬撲滅対策で、犯罪者が抵抗すれば殺害もいとわない強権的な手法を用いた。禁煙はダバオ市長時代に実績を上げた“肝いり”の政策だけに「麻薬の次の標的はたばこ」との見方も強い。
 × ×
 世界保健機関によると、15歳以上の男性の喫煙率はインドネシアの76%を筆頭に、フィリピン43%、タイ41%で、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国のうち7カ国が日本(34%)を上回っている。
 
 喫煙には寛容だった各国が規制強化にかじを切った背景には、医療費の増加が財政を圧迫しかねないとの懸念がある。たばこが一因とされる疾患の死者数はタイで年間5万人。専門家は「家族に金銭的負担をかけ、政府予算を浪費させている」と警鐘を鳴らす。
 
 空港の喫煙コーナーで紫煙をくゆらせる会社員のトビンさん(49)は、やめたくてもやめられない一人。「家でも職場でも肩身が狭くなる一方だ」と嘆いた。
 
 【写真】タイのスワンナプーム国際空港。至る所に禁煙の表示がある。


(2017.6.19)
 【政治】 ギャンブル依存対策、女性議員増の促進、 受動喫煙対策 先送り法案がこんなに
東京新聞 TOKYO Web 6月18日
 
 激しい与野党対立のあおりで通常国会では初めて一度も党首討論が行われなかった第百九十三通常国会。与野党対立の影響などにより、議論されなかった重要法案もある。 (大野暢子)
 
 ギャンブル依存症対策の強化に関する法案は与党、民進・自由両党、日本維新の会が別々に法案を提出し審議入りしなかった。女性議員の数を増やす努力を政党に促す「政治分野における男女共同参画推進法案」は、与野党が新たな法案を共同提出して成立させるめどがついていたが、結局先送りされた。
 
 受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案は厚生労働省と自民党の調整が難航し、国会提出すらできなかった。
 
 一方、通常国会では初めて党首討論が行われなかったことについて、自民党の小此木八郎国対委員長代理は十六日の記者会見で「野党に提案したが、返答がなかった。非常に残念だ」と説明。民進党の笠浩史国対委員長代理は記者会見で「環境をつくらなかったのは自民党だ」と反論した。
 
 党首討論は、首相と野党党首がテーマの制約なしで計四十五分間議論する。導入後初の通常国会となった二〇〇〇年は六回開催された。その後、年一回召集される通常国会では少なくとも一回は開かれてきた。
 
 今年の通常国会は「共謀罪」法をはじめ、安倍晋三首相や昭恵夫人の関与が取り沙汰された学校法人「森友学園」「加計(かけ)学園」問題で与野党が対立。政府・与党には、首相が追及される場をできるだけ少なくしたい思惑があった。野党内にも、党首討論より時間が長い予算委員会の集中審議を優先するべきだとの声があった。


(2017.6.19)
 たばこ販売本数、5月は6.8%減 
産経新聞Web刊 6月16日
 
 日本たばこ協会(東京・港)は16日、5月の紙巻きたばこの販売本数が前年同月比6.8%減の135億本だったと発表した。販売金額は6.5%減の2934億円。今年は昨年に比べて製品の配達日数が1日多かったため、4月に比べて減少幅は縮小した。日本たばこ産業(JT)が同日発表した販売本数は6.4%減の82億本だった。


(2017.6.17)
 首相 原則禁煙法案 次の国会への提出に向け調整急ぐ
NHK NEWS WEB 6月16日
 
安倍総理大臣は参議院予算委員会で、今の国会への提出を断念した、飲食店などの建物の中を原則として禁煙とする法案について、「暗礁に乗り上げているわけではない」と述べ、次の国会への提出に向け政府与党で調整を急ぐ考えを示しました。
この中で、安倍総理大臣は、政府が、飲食店などの建物の中を原則として禁煙とする法案の今の国会への提出を断念したことについて、「与党と厚生労働省で、実効性のある成案を得られるよう精力的な議論を進めており、暗礁に乗り上げているわけでは決してない。塩崎厚生労働大臣をしった激励し、自民党の茂木政務調査会長にも結論をえるよう指示している」と述べました。
 
そして、安倍総理大臣は「東京オリンピック・パラリンピックに向けて、世界に恥ずかしくない対応を取っていきたい。受動喫煙対策は政府与党を挙げて取り組むべき課題であり、成案を得て国会に法案を提出すべく全力を尽くしていく」と述べ、次の国会への法案の提出に向け、政府与党で調整を急ぐ考えを示しました。


(2017.6.17)
 徳島市 庁舎内を禁煙へ 県内で唯一分煙せず  市議会も同調 /徳島
毎日新聞ニュース 6月15日
 
 徳島市は、受動喫煙を防ぐため市役所本庁舎(幸町2)建物内の禁煙を目指す。庁内9カ所に来庁者向けの仕切りのない喫煙コーナーを設けており、県内8市と県庁の9庁舎の中で唯一、分煙ができていなかった。今後、敷地内の屋外に2〜3カ所の喫煙所を用意して対応する。市議会も14日、議員控室などでの禁煙に取り組むことを決めた。【蒲原明佳】
 
 14日の市議会6月定例会個人質問で市が方針を示した。
 
 市庁舎内には職員向けの喫煙部屋11カ所、仕切られた喫煙ブース1カ所など、喫煙できる場所が計21カ所ある。仕切りがない喫煙コーナーは庁舎東側の窓際に灰皿を設置しているものの、執務空間との仕切りはない。8階特別職執務室でも喫煙が可能。南館では3階の各会派控室や待合所で喫煙ができる。2015年度に本庁舎に勤務していた職員の喫煙者率は15・6%という。
 
 市職員厚生課によると、昨年12月に市の産業医から非喫煙者の健康のために建物内禁煙にするよう求める意見書が提出され、庁内で検討を開始。今月に入り遠藤彰良市長が議会にも協力を求めた。
 
 この日の個人質問で市議からは「税収面からも一概に禁煙にするのではなく、喫煙する人もしない人も快適に来庁できるよう配慮を求める」「建物内だけでなく、敷地内禁煙にするべきだ」との異なる意見があったが、その後の各会派による会長・幹事長会では全会一致で建物内禁煙を決めた。岸本和代議長は取材に「来庁する市民にも理解を求めたい」と話した。


(2017.6.15)
 【ベトナム】喫煙による損失、GDPの1割近く
ヤフーニュース(NNA) 6月1日
 
 世界保健機関(WHO)によれば、ベトナムはたばこの害により年間
24兆6,000億ドン(10億8,500万米ドル、約1,200億円)余りの損失を被っており、国内総生産(GDP)の0.97%に相当する。5月30日付トイバオ・タイチン電子版が報じた。

 損失には、喫煙が原因の疾病の治療費、疾病や死亡による労働効
率の低下が含まれる。WHOによれば、毎年世界で喫煙が原因の疾 病で死亡する人の数は700万人を超え、そのうちの60万人は受動喫 煙によるものだという。世界の損失は毎年1兆4,000億米ドルを超える とされる。

 保健省はWHOの調査結果に基づいて、国内の成人の喫煙率は
2015年時点で22.5%で、低下傾向にあるが、依然として比率の高い国の一つであるとしている。


(2017.6.11)
 たばこの販売やめるスーパー 「健康のため」 社会性を意識
産経ニュース 6月9日
 
 静岡県内でチェーン展開するスーパーが4月、「健康を害する」としてたばこの販売をやめた。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて国は、受動喫煙防止対策の強化を検討しており、一部の小売店でたばこの取り扱いを控える動きが出てきている。(平沢裕子)
 
売り上げ年9千万円
 たばこの販売をやめたのは、静岡県内中部エリアを中心に33店舗を展開するスーパー、静鉄ストア(静岡市)。もともと30店舗にたばこの自動販売機を設置し、平成23年度には年間約9千万円の売り上げがあった。26年に店舗改装に伴い1店舗で自販機を撤去したのをきっかけに、27年に7店舗、今年3月末には全店舗で撤去した。
 
 厚生労働省によると、たばこは、がんや心筋梗塞など多くの病気の原因となっている。同社は「安心・安全・健康・美味(おい)しい・楽しい」を企業理念としており、人事・総務部の担当者は「健康をモットーに掲げる会社として、健康に害を及ぼすたばこは販売すべきではないと判断した」と説明する。
 
 30年以上も前に販売をやめた会社もある。千葉県内で8店舗を展開する京北スーパー(千葉県柏市)は、昭和59年にたばこの害が社会問題となったことをきっかけに中止。経営企画開発部の小金井通裕(ゆきひろ)部長は「お客さまの健康のため、と社長が決断した。ただ、当時は国の事業としてたばこを販売し、その税収が期待されていただけに、販売中止にはお叱りの声の方が多かった」と話す。
 
目標は喫煙率12%
 平成22年に販売をやめた東北大学生活協同組合(仙台市)は、大学の「キャンパス内全面禁煙宣言」を受け、理事会が全会一致で決めた。当時、理事会室長だった小野塚一郎さんは「たばこ販売をめぐっては長い間、賛否両論あった。販売中止によって、健康で安全なキャンパスライフを支えることに貢献できたと思う」と話す。
 
 厚労省によると、26年の喫煙率は19・6%(男性32・2%、女性8・5%)。24年のがん対策推進基本計画では、34年度までに成人の喫煙率を12%に下げ、未成年者の喫煙をなくすことを目標としている。
 
 タバコ問題情報センター代表理事の渡辺文学(ぶんがく)さんは「取扱店舗が減れば、喫煙率の減少につながる」と期待を寄せる。
 
喫煙のニーズも
 ただ、一部店舗で販売をやめても、吸いたい人は別の店でたばこを買うので、喫煙率減少につながらないとの声もある。喫煙歴30年以上という愛煙家の男性(55)=東京都板橋区=は、「自動販売機が減ったり、喫煙所が少なくなったりして苦労するが、今のところ、たばこをやめる気はない」と説明する。
 
 東北大では生協が販売をやめた後、しばらくの間、キャンパス内のコンビニエンスストアが販売を継続(現在は販売中止)し、「売り上げは相当なものになったらしい」(同大関係者)。
 実際、たばこの販売を中止している小売店は少数派だ。
 
 たばこを販売するスーパーの広報担当者は「たばこを吸いたいお客さまもいる。ニーズがある以上、できるだけそのニーズに応えるのも小売業の役割」と説明する。
 
 CS(顧客満足)経営などに詳しい消費生活アドバイザーの久新(きゅうしん)大四郎さんは「受動喫煙などで他人に迷惑をかけなければ、たばこを吸うことは、憲法13条の幸福追求権に基づく個人の自由ともいえる」とする。その上で、「企業の社会的責任という考え方が浸透するなか、社会性を意識し、販売を中止する取り組みが広がる可能性はある」と話している。
 
 ■自販機はピークの3分の1
 財務省によると、たばこの販売店数は平成14年度の約30万7000店をピークに減少を続けており、26年度は約26万5000店と約4万2000店減った。また、日本自動販売機工業会によると、14年末に約62万9000台だったたばこの自動販売機数は、27年末には約21万2000台と約3分の1にまで減少した。


(2017.6.10)
 受動喫煙防止 健康被害軽視した法案先送り
YOMIURI ONLINE 6月8日
 
 受動喫煙が健康被害を引き起こすことは、科学的に明らかである。対策の遅れは許されない。
 
 政府は、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案の今国会への提出断念に追い込まれた。飲食店の規制を巡り、自民党内の反発が激しく、折り合いがつかなかったためだ。今秋の臨時国会での成立を目指す。
 
 厚生労働省の「たばこ白書」などによると、受動喫煙は肺がんや脳卒中になるリスクを1・3倍に高める。乳幼児突然死症候群(SIDS)に至っては4・7倍だ。受動喫煙で年間1・5万人以上が死亡していると推計される。
 
 法案の提出見送りは、深刻な健康被害を軽視していると批判されても仕方がない。
 
 対策強化は、世界的潮流だ。49か国が、飲食店やバーを含めて屋内全面禁煙を法定化している。
 
 日本は、健康増進法などで防止策を努力義務としているにとどまる。世界保健機関(WHO)の判定では「世界最低レベル」だ。
 
 WHOと国際オリンピック委員会は「たばこのない五輪」を進める。2020年に東京五輪を控え、対応の遅れは日本のイメージダウンにつながりかねない。
 
 厚労省は、飲食店について、屋内禁煙を原則としつつ、喫煙専用室の設置を認める案を示した。スペースのない30平方メートル以下のバーやスナックに限っては、例外的に喫煙可とする。
 
 自民党案は、業態を問わず、一定規模以下であれば、喫煙可の表示を条件に喫煙を認める。客席部分だけで100平方メートル以下を想定する。居酒屋などの多くが該当するとみられる。客離れを懸念する飲食業界に配慮した結果だ。
 
 国内外の調査では、飲食店の全面禁煙化による経営への悪影響は生じていない。厚労省案に反対する根拠は乏しいと言えよう。
 
 WHOは、全面禁煙以外は効果がないと強調し、喫煙室を認める厚労省案にも否定的だ。国内の医療関係者らも、例外なしの屋内全面禁煙を求める。店舗従業員の健康被害も考慮すれば、全面禁煙の範囲を広げるのが望ましい。
 
 厚労省は小規模店の規制に猶予期間を設ける妥協案を示した。業界の理解を得つつ、段階的に取り組むのは、現実的な手法だ。自民党はこれを受け入れなかった。これ以上、先送りさせないために、真摯しんしに一致点を探るべきだ。
 
 日本では、欧米に比べて、屋外での喫煙規制が進んでいる。屋内の禁煙化といかに調和させるか。総合的な対策が求められる。


(2017.6.9)
 喫煙後30分は呼気から有害成分 受動喫煙で及ぼされる健康被害
ライブドアニュース(日テレニュース24) 6月8日
 
受動喫煙“喫煙後30分は息から有害成分”
 たばこを吸わない人への健康被害、いわゆる受動喫煙をめぐる問題が社会的に大きな関心になっている。受動喫煙が周囲の人にどんな健康被害を及ぼすのか。“三次喫煙”という新しい考え方も交えて、諏訪中央病院・鎌田實名誉院長が解説する。
 
■受動喫煙の定義
 まず、たばこの煙には、喫煙者が吸う側から出てくる「主流煙」、火のついたタバコの先から出ている「副流煙」、そして、喫煙者がはき出した「呼出煙」の3つがある。受動喫煙は、この副流煙や呼出煙を吸ってしまうことをいう。
 
 特に、この副流煙は、主流煙に比べて、発がん性物質やニコチン、一酸化炭素などといった、有害物質が、数倍も多く含まれている。空気中に副流煙が広がることで、薄まったとしても、吸わない人も危険にさらされていることになる。
 
■受動喫煙による“死のリスク”
 国立がん研究センターによると、受動喫煙が原因とされる死者数の推計は、日本では年間約1万5000人といわれている。死因別で見ると、「肺がん」や「脳卒中」、「虚血性心疾患」、そして「SIDS(=乳幼児突然死症候群)」がある。
 
 これらの疾患による死亡リスクが、受動喫煙によって、どれだけ高くなってしまうのだろうか。受動喫煙のない人を1とした場合、受動喫煙がある人の死亡リスクは以下のようになっている。
 
・脳卒中 1.29倍
・肺がん 1.28倍
・虚血性心疾患 1.23倍
・SIDS 4.67倍(※1)
 
 どれも受動喫煙によって、リスクが20〜30%高くなっているのがわかる。そして、過去に病気もなく、何の予兆もないまま、乳幼児が死にいたるSIDSでは、両親ともにたばこを吸わない場合を1とした時、両親ともに喫煙者の場合(※1)で、4.67倍となっていて、その影響の大きさがわかる。
 
■吸って30分は“呼気から有害成分”
 近くで吸わなければいいというだけではないことにも注意が必要だ。よく、家の中で吸えないからと、ベランダや玄関先でたばこを吸う人もいるが、実はたばこを吸った後は、すぐに子供に近づいてはいけない。
 
 受動喫煙に詳しい、産業医科大学・大和教授は「(目に見えない)煙の成分は、たばこを吸い終わった後も20〜30分は呼気から出つづけている」と話す。子供を大切に思うならば、たばこを吸い終わっても、30分は有害な成分を出し続けているわけだから、家族に近づくことは避けるべきだと言える。
 
■髪の毛や壁から…“三次喫煙”という考え方
 それだけではない。ここまでは、受動喫煙についての話だが、これは二次的な喫煙にあたる。実は、最近になって、その先の三次喫煙という考え方が出てきている。三次喫煙とは、煙の成分は、たばこを吸う人の手や髪の毛、服にも付いている。
 
 さらに部屋の中でたばこを吸うと、カーテン、壁などにも付着している。これらから煙の成分を吸い込んでしまうことを三次喫煙という。手や髪の毛、服、カーテンなどは洗えばいいが、壁などは困る。壁などについた、有害な成分は、ふき掃除などでは除去できないからだ。
 
 三次喫煙が、どのくらい健康に影響があるのか、まだ研究は進んでいないが、最も影響を受けるのは乳幼児だともいわれている。小さなお子さんがいる方は、たばこを吸ったことのある部屋には入れない、などの対策が必要だ。
 
■マナーや嗜好では済まされない
 今回の結論は「煙への意識改革を」。たばこを吸うのは個人の自由かもしれない。ただ、マナーとか嗜好といった言葉では、済まされないのが受動喫煙や三次喫煙の問題だ。喫煙という、自分の行為が家族や周囲の人の健康をも脅かすモノだということを今一度認識して、吸う人も吸わない人も一緒になって意識改革することが必要だろう。


(2017.6.9)
 【日本代表】本田がシリア戦直後に電撃ツイート!その内容はサッカーではなく…
ヤフーニュース(サッカーダイジェストWeb) 6月7日
 
 テーマは今国会で成立断念となったあの…。
 
 日本代表対シリア代表戦で後半途中から出場し、積極的に好機にも絡むなどまずまずのパフォーマンスを披露した本田圭佑。そんな背番号4が、試合直後のバス移動中だろうか、社会派のツイートをして話題を呼んでいる。
 
 「既得権益なんですかね?政府も忙しいでしょうけど、喫煙者を完全否定してるわけではないんやから法案成立まで上手く持っていけばいいのに。次世代のことを考えれば譲歩して成立させられる事案ではないですか?」(原文まま)
 
 今国会で審議されていた受動喫煙法案についてだ。受動喫煙者の健康被害が社会問題となっており、早急な対応が迫られているなか、厚生労働省と与党・自民党との間で細かな調整が難航を続け、ついに今国会での成立断念という結論に至った。そのニュースを受けて、オピニオンをツイートしたのだ。
 
 試合直後の呟きにフォロワーからは「凄まじい切り替えの速さ!」や「まったくの同感です」など好意的な意見が続出した。
 
 本田は5月21日から公式ツイッターを開始。およそ2週間で、13万5000近くのフォロワーを獲得している。


(2017.6.9)
 受動喫煙対策を阻む厚顔無恥議員…「禁煙で飲食店の経営悪化」の嘘
Business Journal ヘルスライフ 6月7日
 
建物内原則禁煙で「客離れ」説の矛盾点
 
 愛煙家である大西議員の視界(=配慮)からはおそらく、受動喫煙を被る「子ども」や「妊婦」や「店の従業員」などの存在も消えているのだろう。
 
 さらには、自らの心ない野次が「反対派の本音」と拡大解釈され、「愛煙家」や「飲食業者」や「たばこ農家」などの分を一挙に悪化させかねないという配慮さえ、この稚拙な政治家には皆無だったに違いない。
 
 建物内原則禁煙に難色を示す慎重派の根拠の筆頭に「飲食店の経営悪化」説があるが、WHO(世界保健機関)の付属機関であるIARC(国際がん研究所)は、受動喫煙防止法案で「飲食店の売り上げは落ちない」と明確に結論付けている。
 
 それは世界の報告(計169例)から「信頼性の高い49調査」を検証しても、うち47例で「落ちない」実態が読み取れたからだ。同じような傾向は、受動喫煙防止条例が施行された神奈川県の例(産業医科大学調べ)でも認められ、むしろファミリー層の来店増で「売り上げが増えた」店もある。
逆に「落ちた」というエビデンスは世界的にもないのが現状だ。そもそも「建物内原則禁煙」となれば「喫煙客」も選択肢がなくなるわけで、「客離れ=減収」という仮定自体が矛盾しているのだ。
 
 統計学的な比較検証から得られたアルゼンチン国内のデータによれば、飲食店などでの受動喫煙に厳しい政策を導入した同国の場合、心筋梗塞の入院数が「13%減」になったという。
また、米ハーバード公衆衛生大学院の研究でも、心筋梗塞になるリスクが(自宅や職場で)習慣的に受動喫煙している人で91%上昇、(飲食店などで)時々受動喫煙する人でさえ58%も高くなるとの結果が判明している。
 
 やはりアメリカ国内の別の研究でも、飲食店が禁煙になっている都市の場合、そうでない都市よりも「禁煙しようとする人」の割合が「3倍」になったことが示唆されている。
 
 そんな禁煙先進国の趨勢に対し、「たばこ政策後進国」とも指弾されるわが国は、ベトナムやタイ、インド、ブラジルなどの新興国よりも「後れを取っている」と専門家筋は憂慮する。
 
 「(がん患者は)働かなくていいんだよ!」という自民党議員の配慮を欠く暴言が反面教師となり、この「後進国」の覚醒を促し、結果「煙のない五輪」実現への追い風に変わることを願うばかりである。(文=ヘルスプレス編集部)
 
※ 初出/健康・医療情報でQOLを高める「ヘルスプレス」


(2017.6.8)
 塩崎恭久厚労相、たばこ自販機の設置禁止要請へ  財務省に
産経ニュース 6月7日
 
 塩崎恭久厚生労働相は7日の衆院厚労委員会で、たばこによる健康被害を減らすため、たばこの自動販売機の設置を禁止するよう所管する財務省に要請する考えを明らかにした。
 
 日本も加盟する世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約の指針は、自販機や陳列販売は広告に相当するとして禁止を推奨している。
 
 塩崎氏は「未成年者がたばこを目にする状態になっていることが問題だ。条約を批准しているのに守られていない。健康、命に責任を負っている厚労省として、財務省に強く要請したい」と述べた。民進党の井坂信彦氏への答弁。
 
 国立がん研究センターは5月末、自販機の設置禁止について、68%が賛成しているとの意識調査結果を公表している。


(2017.6.8)
 中高生喫煙、15年で激減 177校、昨年調査/長野
中日新聞 CHUNICHI Web 6月7日
 
 県が昨年、県内の中学一年生と高校一年生に喫煙・飲酒の状況を聞いた調査で、高一で現在たばこを吸っていると答えた生徒は男女とも1%未満だった。調査が始まった二〇〇一年以降で最少だった。
 
 五年に一度の調査で、昨年七〜八月に実施。長野市を除く県内の中学校百十七校と高校六十校でアンケートを実施し、中一の五千五百四十一人、高一の五千八十五人が答えた。
 
 高一の男子では、毎日または時々たばこを吸っていると答えたのは0・3%で、五年前の前回調査から3・2ポイント減少。〇一年の18・6%から激減し、この十五年でほぼゼロに近づいた。女子は一六年、前回から2・1ポイント減の0・4%だった。
 
 過去にたばこを吸った経験が一度でもあると答えたのは、高一男子で前回比9・5ポイント減の3・8%、女子で6・1ポイント減の2%だった。
 
 中一の男子でたばこを吸っていると答えたのは0・1%、過去に吸ったことがあるのは1・8%。女子でたばこを吸っていると答えた生徒はおらず、吸った経験があるのは0・9%だった。
 
 県健康増進課の担当者は「店での年齢確認の徹底やたばこの値上げなどで、未成年が入手しづらくなった」と喫煙率が低下した背景を分析する。家庭でたばこを吸う大人が減り、学校施設の禁煙化で教諭も生徒の前でたばこを吸わなくなり、たばこ広告の規制も進んだことから、子どもがたばこを知る機会が少なくなったことも要因に挙げた。
 
 飲酒では、高一で月一回以上酒を飲んでいると答えたのは男女いずれも4%。前回比では男子で9・4ポイント、女子で11・3ポイント減少した。一度でも飲酒経験があるのは男子で33・2%、女子で33%。それぞれ前回から23ポイント減、同25・5ポイント減となり、大幅に低下した。
 
 中一では月一回以上飲酒しているのが男子が3ポイント減の1・7%、女子が3・6ポイント減の1・3%、飲酒経験があるのが男子で19・3ポイント減の24・9%、女子で21・2ポイント減の19・5%だった。 (今井智文)


(2017.6.8)
 丸川五輪相、受動喫煙「ラグビーW杯時点でも対策を」
朝日新聞デジタル 6月6日
■丸川珠代・五輪担当相(発言録)
 (受動喫煙防止策を強化する法案の国会提出が先送りされる見通しとなったことについて)2020年の東京五輪・パラリンピック大会の開催もあるが、19年ラグビーW杯もある。その時点でも、しっかりとそれなりに対策をとれているということが重要だ。厚生労働省で引き続き、法案の提出に向けて努力をしていただいているので、しっかり連携をしていきたい。(閣議後会見で)


(2017.6.8)
 肺がん患者の88%、飲食店で受動喫煙  「恐怖」訴えも
ヤフーニュース(朝日新聞デジタル) 6月2日
 
 日本肺がん患者連絡会などは1日、肺がん患者の88%が飲食店で受動喫煙に遭ったことがあるという調査結果を発表した。会の長谷川一男代表は「再発や転移の恐れがある患者にとって受動喫煙は恐怖」と話し飲食店を原則禁煙とする法改正案の今国会提出を求めた。
 
 5月28〜31日、インターネットで調査し、肺がん患者215人が回答した。
 
 受動喫煙をどう感じるかの問いには、「不快」が91%。がんになった後に受動喫煙に遭った場所は、飲食店のほか路上63%、公園23%。働く128人に職場での受動喫煙について聞くと、31%が受けていると答えた。8人は受動喫煙を理由に仕事を辞めたとした。運転代行の仕事を辞めたという田中勇さん(55)は「患者にとって受動喫煙は怖い存在でしかない。法律ができれば声に出して訴えやすくなる」と話した。


(2017.6.6)
 受動喫煙防止一刻争う 小池氏  推計死者、年1.5万人示す 参院厚労委
 しんぶん赤旗 6月4日
 
 日本共産党の小池晃参院議員は1日、参院厚生労働委員会で受動喫煙防止対策について質問。「一刻を争う課題であり、あらゆる妨害を乗り越えて実現する」よう政府に迫りました。
 
 小池氏は「対策の基準は、望まない受動喫煙を禁止すること」だとして、受動喫煙によって毎年推計1万5千人が死亡しているとの研究報告も示し、その実現を強く求めました。
 
 自民党が100平方メートル以下の飲食店に喫煙・分煙の表示義務を課し、喫煙を認める案を検討していることに対し、自民案に妥協せず原則禁煙の実施を絶対に先送りしないよう求めました。塩崎恭久厚労相は「原則屋内禁煙は譲れない前提」だと答えました。
 
 小池氏が受動喫煙による医療費の損失についてただしたのに対し、福島靖正健康局長は「試算によると肺がんなど3疾患で3233億円」と答弁。「店内を禁煙にすると客足が減る」との意見にかかわって、国内での飲食店調査について質問しました。福島健康局長は「96%が売り上げ増または不変」など愛知や大阪での調査を示しました。
 
 自民党のたばこ議員連盟に属する大西英男議員の「がん患者は働かなければいい」という暴言について、小池氏は「受動喫煙被害に対する著しい認識の欠如」だと批判。「厚労省案は最低基準。さらに厳格な法律の実現に取り組みたい」と表明しました。


(2017.6.4)
  東京五輪で「受動喫煙」防止しよう 「タバコフリーサミット」で訴える
J-CAST ヘルスケア 6月3日
 
2020年のオリンピックはタバコの害のない東京で、と医療団体や禁煙団体が結集した催し「タバコフリーサミット2017・東京」(主催は厚生労働省、東京都医師会、日本対がん協会)が2017年 5月27日、東京都医師会館で開か
れた。
 
世界保健機関( WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)は、オリンピック開催都市では受動喫煙防止のために屋内禁煙を原則とし、北京以降の開催都市は罰則付きの法律を作っている。厚労省はその趣旨に沿う方針だが、自民党は条件を緩めた案を提示し、調整が続いている。
 
厚労省は忖度しない?
 
   サミットでは正林督章・厚労省健康局健康課長がこれまでの経緯を報告した。正林さんは2001年WHOから厚労省に戻った時、健康局長から「タバコを規制する法律を作れ」と指示された。健康増進法に受動喫煙防止を入れたが「努力義務」にするのが限界だった。しかし、施行は施設の禁煙のきっかけになった。次のがん対策基本法ではがん予防のために成人喫煙率半減の目標12%などを掲げた。そうして昨年夏、受動喫煙対策を含んだオリンピック基本方針が閣議決定され、10月には人の集まる施設や店では原則屋内禁煙とする厚労省案(たたき台) が公表された。
 
    国会で法律を通すには圧倒的多数である与党の支持が不可欠だ。このために与党審査、与党手続きがある。あらかじめ法案を自民党厚生労働部会、総務会、責任者会議などへ示し了承を得る。理解・支援してもらうため、正林さんら担当者は400 人
近くの議員に説明回りをした。しかし、自民党はバー、スナックなど一部飲食店での喫煙を要求した。
 
    禁煙によって飲食店は売り上げが減少することを心配している。正林さんは外国や、愛知県、大阪府の調査から影響は少ないと強調した。
 
   シンポジウムでは医師や患者会代表らも発言した。東京都議選ではほぼ全党が公約に掲げたため、東京都の受動喫煙条例が確実視されること、屋内禁煙が実施される時には飲食街での屋外喫煙所の必要性、などさまざまな意見が出た。
 
   また、この日のサミットでは、世界で初めて受動喫煙の害を報告した平山雄氏
(元・国立がんセンター疫学部長) を記念する「タバコフリー日本賞」の創設が発表され、第 1回の賞が片野田耕太氏に贈呈された。片野田さんは国立がん研究センター研
究員で日本の肺がんと喫煙の関連を証明した疫学研究が評価された。
(医療ジャーナリスト・田辺功)


(2017.6.2)
 世界禁煙デーで啓発活動 和歌山
産経WEST 6月1日
 
 ニコチン依存症など喫煙による健康被害の予防を呼びかけようと、「世界禁煙デー」の5月31日、市民団体「たばこ問題を考える会・和歌山」が和歌山市のJR和歌山駅前で啓発活動を実施。公共の場などでの禁煙を呼びかけた。
 
 同会は県内の小中学校にメンバーを派遣して禁煙教育などの活動を行っている。この日は、メンバーら約10人が参加。駅の利用者らに、「(今日は)世界禁煙デーです」などと呼びかけ、「『きれいな空気の飲食店』を増やすキャンペーン展開中」と書かれた啓発物を配布した。
 
 県によると、平成23年の県内の20歳以上の喫煙率は15・9%。8年の33・7%をピークに減少傾向にあるという。
 
 同会の中川利彦事務局長(61)は「普段たばこを吸う人も、世界禁煙デーをきっかけに自分や周りの人の健康を気遣って、禁煙に取り組んでほしい」と話した。


(2017.6.2)
 全席禁煙始めたファミレスで売り上げ増加、厚労省研究班調査
ヤフーニュース(TBS系(JNN)) 6月1日
 
 受動喫煙対策として全席の禁煙を始めたファミリーレストランでは、その後の売り上げが増加したことが、厚生労働省の研究班の調査でわかりました。
 
 産業医科大学の大和浩教授らは、全国162店舗のファミリーレストランを対象に、受動喫煙対策として、「全席の禁煙」か喫煙席と禁煙席を分ける「分煙」を導入した前後での、営業収入への影響を調査しました。その結果、「全席の禁煙」では、導入後1年目の営業収入は2%増加し、2年目には3.4%増加しました。一方、「分煙」の場合、営業収入の増加は1%未満で有意な差は見られなかったということです。
 
 研究班は、「飲食業界が懸念する禁煙による収入の減少が起きないことが示された」「規制にあたっては、吸える場所と吸えない場所が混在すると不公平になるため、一律の禁煙化が必要」としています。
 
 一方、東京大学の五十嵐中特任准教授らが喫煙による余分な医療費を推計した結果、2014年度の場合、国民医療費の4%近くにあたるおよそ1兆4900億円にのぼりました。喫煙者本人では79万人が病気になり、医療費はおよそ1兆1700億円。受動喫煙でも24万人が病気になり、医療費はおよそ3200億円でした。


(2017.6.1)
 「受動喫煙ゼロ」、がん対策基本計画に目標提示へ…厚労省が調整
YOMIURI ONLINE 5月31日
 
 非喫煙者がたばこの煙を吸い込む受動喫煙について、厚生労働省が、2020年度までに飲食店や職場などでの受動喫煙をゼロにすることをがん対策の新たな目標に盛り込む方向で調整していることが分かった。
 
 ただ、一定規模以下の飲食店では店頭表示を条件に喫煙を認めるよう求める声もあり、調整が難航する恐れもある。
 
 受動喫煙をゼロにする目標について、厚労省は6月2日、有識者ががん対策を議論する「がん対策推進協議会」で示し、新たながん対策の基本計画案に盛り込みたい考えだ。20年度までに受動喫煙を強いられる人の割合を、飲食店や職場、行政機関、医療機関でゼロにすることを目指す。
 
 受動喫煙を巡っては、厚労省が、対策を強化する健康増進法改正案の今国会への提出を目指しているが、自民党側の反発が強く、調整が続いている。厚労省としては、20年東京五輪・パラリンピックに向け、受動喫煙対策を強化する姿勢を示したい考えだ。


(2017.6.1)
 WHOが進める世界禁煙デーとは たばこ受動喫煙の死者「毎年89万人」
Huffpost Japan   M田理央 5月31日
 
5月31日は世界禁煙デー。世界保健機構(WHO)が、禁煙を推進するために制定した日だ。世界各国でキャンペーンが実施されており、厚生労働省もこれに合わせて5月31日から6月6日までの1週間を「禁煙週間」と定め、全国の自治体でさまざまな取り組みやイベントが開かれている。
 
■世界禁煙デーとは
世界禁煙デーは毎年5月31日、禁煙キャンペーンの一環として開催。たばこが健康被害をもたらすことを社会に訴え、たばこの消費量を減らすための効果的な取り組みを推奨している。
 
毎年スローガンが発表され、2017年は「Tobacco - a threat to development(たばこ-成長の妨害者)」。WHOは世界6大陸別に、個人や団体が取り組むたばこ規制など業績を評価し、「WHO事務局長特別賞」と「世界禁煙デー賞」を授与している。
 
2017年は、キャンペーンを通じて、たばこが健康や経済状況を悪化させ、すべての国々の持続的成長を妨げている事実を明らかにし、政府や社会が健康増進と成長を促進するための取り組みを提起する。
 
目標として、たばこの使用と持続的な成長の関連を明らかにする、各国の政府や社会は厳しいたばこ規制に取り組めるように支援することなどを挙げている。
 
コトバンクによると、世界禁煙デーは1988年4月7日に初めて開催され、翌年以降は、毎年5月31日に実施されている。
 
日本では、厚生労働省が1992年、毎年5月31日の世界禁煙デーから1週間を「禁煙週間」と制定した。
 
■89万人が受動喫煙で死亡、経済損失は155兆円と試算
世界禁煙デーを前に、WHOは5月30日、たばこが健康や経済に与える影響についてまとめた報告書を公表した。
 
報告書などによると、たばこが原因で、世界で毎年700万人が亡くなっている。そのうち89万人が、自分は喫煙しないものの、他人のたばこの煙による受動喫煙が原因で死亡しているという。世界の喫煙者は10億人以上おり、そのおよそ80%が低・中所得の国に住んでいる。
 
報告ではまた、たばこが原因による医療費の負担や生産性の低下で、経済的損失は年1兆4000億ドル(155兆円余り相当)以上に上ると試算している。
 
WHOのマーガレット・チャン事務局長は、報告書の公表に合わせて、「たばこは私たち全てをおびやかす。たばこは貧困を加速させ、経済生産性を減少させる。貧しい食事や、室内の空気汚染を強いられるものだ」とコメント。「健全なたばこ規制を敷き、喫煙者・非喫煙者をたばこの脅威から救うことで、政府は国の未来を守ることができる」と訴えている。
 
■禁煙の取り組み、全国に広がる
世界禁煙デーに関連し、政府や全国の自治体でさまさまな取り組みが実施されている。厚生労働省が、健康寿命を延ばすことを目指す「スマート・ライフ・プロジェクト」の公式サイトに、禁煙デーの特設ページを開設。各地のイベントなどを紹介している。
 
東京都小平市は5月31日、Twitter上で「喫煙、受動喫煙について考えてみませんか?」と投稿。京都府福知山市では、3カ月で禁煙を目指す「卒煙チャレンジ教室」を、禁煙デーを前に開いている。


(2017.6.1)
 5月31日は「世界禁煙デー」、 吉田選手がたばこにタックル
TBS NEWS 5月31日
 
「世界禁煙デー」に合わせて、31日は、東京でもイベントが開かれました。
 
巨大たばこに得意の「タックル」で挑んだオリンピック金メダリストの吉田沙保里選手。文句なしのフォールで、圧勝しました。
 
WHO=世界保健機関は、毎年5月31日を「世界禁煙デー」と定めていて、今年で30回目です。記念イベントには、歌手の平原綾香さんらも参加し、「受動喫煙のない社会を目指して、たばこの煙から子供たちを守ろう」と呼びかけました。
 
WHOの最新の試算では全世界の喫煙による死者は年間700万人、経済損失は155兆円にのぼるということです。
 
一方、国の受動喫煙対策を担う厚生労働省では、「世界禁煙デー」に合わせて31日は1日、喫煙所が閉鎖されました。ただ、受動喫煙対策の議論は厳しい規制を望まない自民党との間で調整が難航していて、その行く末は、いまだ煙の中です。


(2017.6.1)
 世界で喫煙死年700万人 WHO、課税強化など促す
日本経済新聞Web刊 5月30日
 
 【ジュネーブ=共同】世界保健機関(WHO)は30日、喫煙による死者は世界で年間700万人以上に達し、その8割以上が低・中所得国に集中していると発表した。喫煙は健康被害などをもたらし、貧困を生む原因になっていると警告している。31日の世界禁煙デーに合わせ、たばこの害を訴えるのが目的。
 
 これまで年間約600万人としてきたが、最新の統計に基づき増やした。健康被害に伴う医療費などで1兆4千億ドル(約155兆円)の経済損失を与えていると指摘。たばこの課税強化と値上げが有効としている。
 
 たばこが環境に与える影響に関する初の報告書も公表した。吸い殻には発がん性物質を含む7千以上の有毒化学物質が含まれるが、1日に販売される150億本のうち100億本以上がそのまま廃棄されているとした。
 
 WHOによると、喫煙関連の医療費は1人当たり約56ドルで、家計や各国の財政に大きな負担になっているとした。
 
 特に低・中所得国には約8億6千万人の喫煙者がいるが、最貧家庭では喫煙の費用が家計の10%以上を占めることもあり、食料や教育などに十分お金が使えないと強調。喫煙が盛んな地域では10%以上の住民が栄養不足だとした。


(2017.5.29)
 都民ファーストの会が公約発表「議会棟で禁煙実施」 
日刊スポーツ・コム 5月24日
 
 東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」は23日、東京都議選(6月23日告示、7月2日投開票)の公約を発表した。自民党が仕切ってきた都議会の改革を強調し、「忖度(そんたく)だらけの古い都議会を新しく」「自分ファーストの議員から都民ファーストの議員へ」と記載。また、受動喫煙をめぐり自民・大西英男衆院議員の発言が問題になる中、受動喫煙防止条例制定に加えて「議会棟での禁煙実施」と踏み込んだ。
 
 小池氏は遊説で、川井重勇議長の部屋が「煙でモクモクですよ」と批判。この日の会見でも、同様に受動喫煙防止条例を公約にした自民党を、「まずは都議を禁煙にしてから条例を考えてはどうか」と皮肉った。
 
 一方、各党が態度を明確にしている築地市場の豊洲移転への対応は、「総合的に判断して結論を出す」と、小池氏の主張を記すにとどめた。野田数(かずさ)代表は、「今日の段階ではこの表現にとどめた」と述べ、近く踏み込んだ内容に更新する可能性を示した。


(2017.5.29)
  たばこのない五輪を…「サミット」に小池知事も
Yomiuri Online 5月28日
 
 2020年東京五輪・パラリンピックに向け、医療関係者らが受動喫煙対策などを考える「タバコフリーサミット2017・東京」が27日、東京都千代田区の都医師会館で開かれた。
 
 出席した小池知事は「受動喫煙防止条例を作ると約束して知事になった。しっかり守っていきたい」とあいさつした。
 
 サミットは都医師会などが主催。同会は今月25日に小池知事に条例制定を要望しており、知事は「特に子供の観点は重要。車内や自宅などで、いかに子供の健康を守っていくかという政策を進める必要性を感じている」と意欲をにじませた。
 
 サミットでは、東京五輪に向けた受動喫煙対策の推進をテーマに、尾崎治夫・同会長や厚生労働省の担当者、肺がん患者団体の代表らによるシンポジウムも開催。尾崎会長は「訪日外国人が2000万人を超え、20年には4000万人を呼ぼうという中で、たばこのないおもてなしをしなければならない」と訴えた。


(2017.5.28)
 小池知事タバコフリー・サミットで怪気炎
TOKYO MX NEWS 5月27日
 
5月31日はWHO(世界保健機関)の定める国際禁煙デーです。
 
これに先立ちタバコの被害のない「タバコフリー」の環境を整えるための催しが27日開かれ、小池知事が出席しました。
 
催しには「東京の空気が一番、おいしくなる日」と題された特別の企画が設けられ、冒頭小池知事が出席し「受動喫煙防止条例」に触れ「受動喫煙防止条例をつくることは公約であり必ず実現させる」と挨拶しました。
 
受動喫煙の防止をめぐっては、国が法整備を進める過程で、厚生労働省の案に対する自民党内の反発が強く調整が難航しています。
 
一方東京都では、2020年のオリンピック・パラリンピックの開催に合せ公共施設や飲食店の屋内を禁煙とするなど、タバコの被害をなくすための環境づくりに向けた活発な議論が交わされています。
 
小池知事は「スピード感を持って取り組みたい」と会場に呼び掛け、「2020年」に間に合わせるための強い意欲をのぞかせました。


(2017.5.28)
 受動喫煙対策、日本はまだまだ 京都で防止訴え
京都新聞ニュース 5月27日
 
 世界保健機関が定める「世界禁煙デー」(31日)を前に、受動喫煙防止の重要性を訴える催しが27日夜、京都市東山区の高台寺で開かれた。
 
 医師や福祉関係者などでつくるNPO法人京都禁煙推進研究会(中京区)が毎年この時期に開いている。今回は、受動喫煙対策の強化を盛り込んだ健康増進法改正案が協議される中での開催となり、安田雄司理事長は「たばこの有害性を正しく理解し、煙のない社会の実現を目指してほしい」と話した。
 
 催しは方丈と書院、開山堂を中心に行われ、学生サークルによる和太鼓やブラスバンドの演奏、書道のライブパフォーマンスも披露された。たばこの害を訴える海外のCM映像や資料パネルを展示した会場もあり、訪れた山科区の管理栄養士篠田万喜さん(52)は、「ヒ素やカドミウムといった有害物質が含まれることが書かれていた。たばこの恐ろしさがよく分かった」と話していた。


(2017.5.28)
 「100平方メートル以下の飲食店」が8割超え
ヤフーニュース(フジテレビ系(FNN)) 5月26日
 
 受動喫煙対策をめぐり、自民党などは、「100平方メートル以下の小規模な飲食店では、表示すれば喫煙可能」とする方向で検討しているが、東京都内では、該当する飲食店が8割を超えていることがわかった。
 
 自民党は、「表示すれば喫煙可能」になる「小規模飲食店」の基準を、客席部分が「100平方メートル以下」とする方向で検討しているが、東京都のサンプル調査で、客席面積が「100平方メートル以下」の店舗が、レストランなどの飲食店では85.7%、バーや居酒屋などでは、95%にのぼっていることがわかった。
 
 厚労省は、「表示すれば喫煙可能とする」案を数年間に限定した措置としたい考えで、自民党との調整が続いている。


(2017.5.27)
 小池知事、受動喫煙防止条例の制定に「ご安心を」
日刊スポーツコム 5月27日
 
 東京都の小池百合子知事は27日、都内で開かれた「タバコフリーサミット 2017 TOKYO」であいさつし、都による受動喫煙防止条例の制定実現を「公約」した。
 
 小池氏は「昨年都知事選に出馬した際、受動喫煙防止条例はしっかりとつくると約束して、知事になった。その約束はしっかり守っていきたい」と、都知事選の公約にもしていたことに触れ、「東京都がしっかりせんとダメだとくぎを刺されたが、ご安心ください」と、呼び掛けた。
 
 「健康はもちろんだが、20年東京五輪・パラリンピックのホストシティの立場をしっかり認識しないといけない。スピード感を持って、しっかり取り組みたい」と述べ、20年大会に向けた環境整備の必要性にも言及した。
 
 現在、国では受動喫煙対策をめぐり、厚労省と自民党の議論が難航していることを踏まえ、「国にはしっかり、真に意味のある結論を出してほしい。東京都からもエールを送りたい」と、議論の進展に期待を示した。


(2017.5.27)
 受動喫煙防止へ「タバコフリーサミット」
0テレニュース24 5月27日
 
 東京オリンピック・パラリンピックを前に、受動喫煙による健康被害をなくそうというイベントが開かれた。
 
 「タバコフリーサミット」というイベントは東京都医師会などが開いたもので、300人以上が参加した。この中で、厚生労働省がこれまでの受動喫煙対策の経緯などについて説明したほか、医師やがん患者らが対策の強化を求めた。東京都の小池知事も出席した。
 
 小池都知事「受動喫煙対策はスピード感を持ってしっかりと取り組まなければならない」
 
 厚生労働省の集計では、受動喫煙が原因で、少なくとも年間1万5000人が死亡している。受動喫煙対策をめぐっては、厚労省が、広さ30平方メートル以下のバーなどを除き、飲食店は原則禁煙とする法案を自民党側に示しているが、いまも折り合いがついていない。


(2017.5.26)
 子ども受動喫煙防止へ条例=都議選公約−都民ファースト
時事ドットコム 5月25日
 
 東京都の小池百合子知事が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」は25日、都議選(7月2日投開票)の公約に掲げる受動喫煙防止策を発表した。飲食店や公共施設の屋内を原則禁煙とする、罰則付きの受動喫煙防止条例と、子どもを受動喫煙から守る条例の制定を打ち出した。
 受動喫煙防止をめぐっては、30平方メートル以下のバーやスナックを除き原則禁煙とする厚生労働省案への自民党内の反発が強く、調整が難航。都民ファーストの会特別顧問の小池氏は記者会見で「この課題は長年議論ばかり続いている。(国の議論を)見守るだけでは間に合わない」と述べた。
 
 同会の条例案は、厚労省案とほぼ同じだが、飲食店は従業員を雇っていない店や全従業員が喫煙に同意した店を除き原則禁煙とした。子どもに特化した条例案については、子どもが同乗している自動車内での喫煙を罰則付きで禁じた海外の事例などを参考に研究するという。


(2017.5.26)
 受動喫煙防止、現場の医療者ら立ち上がる - 「煙害死」なくそうと声明発表
ヤフーニュース(医療介護CBニュース) 5月24日
 
 声明を発表する渋谷教授=右から2人目=ら(24日、厚労省)
 
 受動喫煙による「煙害死」をなくそうと、臨床現場の医療者らが立ち上がった。24日に有志が「建物内禁煙」を求める声明を発表した。店頭に「喫煙」などの表示を出せば店内での喫煙を認める自民党案には反対の立場で、建物内を原則禁煙とする厚生労働省案を支持している。【新井哉】
 
 受動喫煙防止対策をめぐっては、厚労省がまとめた強化策を盛り込んだ法案が、自民党との調整がつかず、国会に提出できない状況が続いている。塩崎恭久厚労相は23日の閣議後の記者会見で、「現在、党側と合意を目指して、踏み込んだ調整を行っている」と説明。表示を出して喫煙を認めた場合、がん患者や喘息患者を「表示義務で本当に守れるのか」と、自民党案に疑義を呈した。
 
 声明では、受動喫煙によって、がんなどに罹患して命を落とす人の数が、交通事故による死者数を上回っていることを指摘。「受動喫煙は喫煙マナーで解決できる問題ではありません」とし、受動喫煙を確実に防ぐ方法は「建物内禁煙」との見解を示している。
 
 声明を発表した24日の記者会見で、筆頭発起人の渋谷健司・東大大学院教授は、「職場や飲食店をはじめ、公共スペースで他人のたばこの煙を吸ってしまう受動喫煙を確実に防止すべき。世界で当たり前の建物内禁煙を強く望んでいる」と述べた。
 
 声明には、医療者に加え、医療関連団体・患者団体の代表者、研究者、アスリート、エコノミストなど約220人(24日現在)が発起人として名を連ねており、今後、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを活用して賛同者を増やしたい考えだ。


(2017.5.26)
 受動喫煙防止巡り物別れ 塩崎大臣が自民党案拒否か
ヤフーニュース(テレビ朝日系(ANN))5月25日
 
 受動喫煙の防止のための法案を巡って、塩崎厚生労働大臣と自民党の茂木政調会長が協議を行いましたが、物別れに終わりました。
 
 2時間近くに及んだ協議で自民党側は、一定の面積以下の店では喫煙、分煙などと表示をすることで喫煙を可能にする案をのむよう塩崎大臣に求めました。これに対して塩崎大臣は、移行期間の間は表示のうえで喫煙を認めても、最終的には原則屋内禁煙とすることで譲りませんでした。安倍総理大臣は23日、自民党に対して今の国会に提出するよう求めましたが、まだ見通しがつかない状況です。


(2017.5.25)
 建物内を完全禁煙に 医師会が都に条令制定を要望
NHK NEWS WEB ニュース 5月25日
 
受動喫煙防止をめぐる議論が活発化する中、東京都医師会は25日、会長らが小池知事と面会し、飲食店などを含めて建物の中を完全禁煙にすることなどを盛り込んだ条例の制定を求めました。小池知事は、条例の制定に向け、スピード感をもって内容を検討していく考えを示しました。
飲食店などの建物の中を原則禁煙とするため、厚生労働省は、今の国会に必要な法案の提出を目指していますが、自民党は規制基準の緩和などの見直しを求めていて、国会の会期が残り1か月を切る中、法案提出の見通しが立っていません。
 
こうした中、東京都医師会の尾崎治夫会長らが25日、都庁を訪れ、小池知事と面会しました。
尾崎会長は「国が整備に向け動いているが、なかなかまとまりそうにない。都として、しっかりとした条例を作ってもらいたい」と述べ、国の法制化を待たずに、飲食店などを含めて多数の人が出入りする建物の中を完全禁煙にすることなどを盛り込んだ罰則付きの条例や、子どもを受動喫煙の被害から守るための条例の制定を求める要望書を手渡しました。
 
これに対し小池知事は「最大の目的は、都民の健康をどう守るかだ」と応じ、面会のあと記者団に対し、「都民の健康を守るために、スピードを上げて取り組みたい」と述べ、条例の制定に向け、内容を検討していく考えを示しました。


(2017.5.25)
 屋内全面禁煙、学会が要望書 首相や自民党に送付
朝日新聞デジタル 5月24日
 
 日本禁煙学会は24日、屋内全面禁煙を求める要望書を安倍晋三首相や厚生労働省、自民党に送ったと発表した。要望書は、受動喫煙の対策を強化する法改正について、原則屋内禁煙とする厚労省案に賛同するよう求めている。
 
 要望書は「すべての人が受動喫煙の危害から守られる法整備こそが必要不可欠」と主張。大西英男衆院議員による「(がん患者は)働かなければいいんだよ」との発言について、「背景には一個人のみならず党全体として、受動喫煙の害を軽んじる風潮があると思わざるを得ない」と批判している。


(2017.5.25)
 家族吸わないのに、中高生半数が受動喫煙…山梨
Yomuri Online 5月24日
 
 家族に喫煙者がいない山梨県内の中高生のほぼ半数が、1か月間に受動喫煙の被害を受けた経験があることが山梨県の調査でわかった。
 
 受動喫煙した場所の中には、路上や公園など、公共の空間も多かった。また、喫煙の経験がある生徒ほど、健康へのたばこの害を軽く考える傾向があることも判明。県は、受動喫煙の防止策や、たばこの害を教える教育に取り組むことにしている。
 
 県は2016年11〜12月、学校を通して、中高生約8100人に喫煙経験やたばこに対する意識についてアンケートを行った。アンケートは06年から5年に1回行っているが、受動喫煙について質問したのは初めて。20年の東京五輪・パラリンピックに向けて、厚生労働省が受動喫煙対策を検討しているため、初めて質問項目に加えた。
 
 家族に喫煙者がいない中学生の44%、高校生の47%が「この1か月間に受動喫煙をした」と回答。受動喫煙した場所は、中学生では「路上」(61%)が最も多く、「飲食店」(48%)、「公園」(22%)と続いた。
 
 家族に喫煙者がいる中学生のうち65%は、家庭で受動喫煙したと回答した。
 
 また、たばこによる健康への害についても尋ねた。
 
 たばこを吸ったことがない中学生の96%、高校生の97%は「害がある」と答えた。しかし、「害がある」と答える割合は、喫煙したことがある中学生では81%、高校生では86%に落ち込み、たばこを吸ったことがあるほど、健康への害を軽く考える傾向がうかがえる。
 
 受動喫煙についても差があり、たばこを吸ったことがない場合、「受動喫煙を経験した」と回答したのは、中学生は51%、高校生は54%。一方、喫煙したことがある中学生では45%、高校生は42%に減り、たばこを吸った経験が、たばこの煙を意識しないことにつながっていた。
 
 喫煙の経験についても調査し、中学生の0・7%、高校生の1・4%が「最近1か月間にたばこを吸った」と回答した。(福島憲佑)


(2017.5.21)
  「受動喫煙対策」主要各党、そろって公約に 東京都議選
朝日新聞デジタル 5月19日
 
 東京都議選(6月23日告示)の公約に、小池百合子都知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」や自民党など主要各党がそろって「受動喫煙対策」を盛り込む見通しになった。法改正の議論が難航するなか、独自策をPRするのが狙いだが、結果的に横並びになりそうだ。
 
 19日までに受動喫煙対策を入れた公約を公表したのは、同日に発表した自民のほか、民進と公明。都民ファースト、共産は今後、盛り込む方針だ。
 
 民進都連は9日、公共施設を全面禁煙とする条例制定を柱とする公約を発表。翌10日には小池氏がテレビ番組で、飲食店や公共施設などの屋内を原則禁煙とする条例制定を都民ファーストの公約に入れる方針を明かした。さらに翌11日には都民ファーストと選挙協力する公明の都本部が同様の内容を公約で打ち出した。
 
 ログイン前の続きその2日後、小池氏と対立する自民都連の幹部は受動喫煙防止対策の条例化を公約とする方針を明らかにし、都連は19日、飲食店内などを原則全面禁煙とする条例制定を盛り込んだ公約集を発表した。4月に公表した公約の骨子には入っていなかったが、都連幹部は「前々から検討していた」と説明している。
 
 共産党は8日発表の公約には入れていないが、追加する方針だ。日本維新の会も今後公表する公約に盛り込むことを検討している。
 
 厚生労働省は今年、学校や医療施設のほか、飲食店も一部を除いて原則禁煙とする健康増進法改正案を策定。だが自民党内の反発が強く、実現が見通せない状況になっている。(小林恵士、石井潤一郎)


(2017.5.21)
 受動喫煙被害者の会結成 喫煙規制など国に訴え
テレ朝NEWS 5月20日
 
 マンションのベランダなどで近隣住民が吸うたばこの煙による受動喫煙の被害を訴える被害者の会が結成されました。
 
 19日、東京・千代田区で開かれた「近隣住宅受動喫煙被害者の会」の設立集会には約30人が参加しました。参加者の男性は、「マンションの通気口から近隣のたばこの煙が入り、喉が痛くなるが苦情を言うことで良好な関係を壊したくない」と対応に悩んでいることを訴えました。会によりますと、19日までに約500人が会員登録したということです。会では今後、マンションのベランダなどでの喫煙を規制するよう国に働き掛けたり、受動喫煙で人権を侵害されたとして弁護士会に救済の申し立てを行うなど活動を広げていく方針です。


(2017.5.19)
 「病院、学校は敷地内禁煙」道条例検討委が原案 罰則は設けず
北海道新聞 どうしんウェブ 5月19日
 
 たばこを吸わない人の健康を守るため、道議会全5会派が制定を目指している道受動喫煙防止条例の原案が判明した。多くの人が出入りする施設のうち、病院や小中学校、高校は敷地内を禁煙に、その他の公共施設や老人福祉施設は施設内を禁煙にすると定めた。飲食店などは小規模施設を除き、禁煙か分煙とした。条例を守らなかった際の罰則は盛り込まなかった。
 
 道議101人全員でつくる「がん対策北海道議会議員の会」(加藤礼一会長)の条例検討委員会がまとめた。16条で構成し、前文ではたばこの煙はがんの原因となり、道内の喫煙率は全国で最も高いと指摘した。
 
 敷地内禁煙の対象には、児童福祉施設など健康に配慮すべき人が利用する施設を、施設内禁煙には大学や障害者支援施設も含めた。


(2017.5.19)
 がん患者は「働かなくていい」 自民議員の発言に患者の怒り 「それでも人ですか?」  受動喫煙防止策を議論中のヤジに、患者団体が抗議の見解を公表
BUZZ FEED NEWS (岩永直子) 5月12日
 
受動喫煙を防止するため、飲食店などの屋内を原則禁煙にする対策を盛り込み、今国会での成立を目指す厚生労働省の健康増進法改正案。
 
自民党が15日に開いた厚生労働部会で、がん患者が職場でたばこの煙にさらされる辛さを訴えた議員に対し、別の議員から「(がん患者は)働かなくていい」とヤジが飛んだことが認定NPOフローレンス代表の駒崎弘樹さんのブログなどで指摘され、がん患者らから批判を浴びている。
 
「全国がん患者団体連合会(全がん連)」(天野慎介理事長)は、この発言は見過ごせないとして18日、抗議の意を表明し、改めて屋内禁煙の法制化とがん患者の就労支援を訴える見解を出した。
 
自民党対案への反対意見にヤジ
 
朝日新聞の報道によると、この日、塩崎厚労相が直接説明に入り、一定面積以下のバーとスナックをのぞいて原則禁煙とする厚労省案に理解を求めた。
 
それに対して自民党側からは、すべての飲食店を一括りにし、一定の面積以下の店は「喫煙」「分煙」などと表示すれば喫煙を可能とする対案が出された。
 
ところが当然、自民党の中にも受動喫煙防止を積極的に推し進めたい議員はいる。
 
ヤジを飛ばされた自民党参院議員の三原じゅん子氏
 
駒崎さんのブログなどによると、自身も子宮頸がんを患った経験のある参院議員、三原じゅん子氏が、がん経験者の立場からこの対案にこんな反対意見を述べた。
 
「飲食店を一括りとして表示義務だけを課しても、望まない受動喫煙が防止できるとは思えない。それは強者の考え方であって、全がん連の思いを話してきてくれということで発言する。がん患者の就労支援は大きな問題で、一生懸命働いて就労している患者はいっぱいいる。そんな中、患者は選べません、お店を、仕事場を。弱い立場の人たちがいっぱいいるということを知ってほしい。治療している時、喫煙する客の中で働く苦しさはどういうものがあるか、ぜひみなさんに・・・」
ここまで話したところで、男性議員から「(がん患者は)働かなくていいんだよ!」とヤジが飛んだという。
 
三原氏はすかさず、 
「働かなければいいという話がありますが、がん患者はそういう権利がないんですか。弱い人たちの立場を考えて法律を作っていくのが自民党の政治家の役割だと申し上げたい。妊娠中の先生方の奥様にたばこの煙を吹きかけることができますか?
そういうことがご自身できますか? 弱い立場のことを考えて法案を作ることをお願いしたい」 と言い返したそうだ。
 
三原氏はその日のブログで、 
「残念ながら余りにも心無い野次に私は心底怒りで震えました。当然、厳しく反論いたしましたが、同じ党内でこんな言葉を吐く議員がいるとは、情けないとしか思えない。一度吐いた言葉は飲み込むことは出来ません! その方には猛
省を促したいと同時に、仲間であるがん患者の皆様に謝罪の気持ちを持って貰いたいと思います」
と書いた。
 
がん患者らは猛反発 
この一連のやり取りについて、がん患者らは猛反発。BuzzFeed Newsの取材にこう答えた。
 
「怒りよりも涙が出た。なぜこんなことが言えるのか。議員以前にそれでも人ですか?」(乳がん経験者の女性)
「『職場が名ばかりの分煙で居たたまれません。再発しそうで怖いんです』と離職の理由を話された仲間がいます。国民の命に関わる課題。しかも国民の代表たる役でのこの発言、許せません。恥を知れと言いたい」(がん患者団体代表)
全がん連もこの発言を見過ごすわけにはいかないと、緊急に「自由民主党での受動喫煙防止対策の議論に関する全国がん患者団体連合会の見解」を表明。
 
がん対策基本法では、がん患者が尊厳を保持しつつ安心して暮らすことのできる社会の構築を目指す、とされています。上記の発言は、がん患者の就労のみならずその尊厳を否定しかねないものであること、受動喫煙防止対策の推進を阻害しかねないものであると考え、全国がん患者団体連合会はここに抗議を表明するとともに、働くことを希望するがん患者に対する就労支援の推進と、建物内禁煙を基本とした実効性のある法的措置を講じることを、改めて強く要望いたします。 と訴えた。
 
全がん連理事で、がん患者の就労支援に取り組んできた桜井なおみさんはBuzzFeed Newsの取材に「がん患者の就労、両立支援が政府主導で進む中でのこのような発言は残念極まりない」と話す。
理事長の天野慎介さんも「喫煙者に対して吸うのをやめてほしいと言えない人はたくさんおり、まだ働きづらいがん患者は尚更です。もっと社会の理解が進み、適切に配慮していただけるよう、厚労省案の早期成立を願います」と語った。


(2017.5.19)
 子どもがいる女性の9割が「受動喫煙は不快」と回答 屋外では指定場所以外では禁煙を望む
キャリネコニュース 5月18日
 
女性向け健康アプリ「ルナルナ」を運営するエムティーアイは5月18日、受動喫煙に関する調査結果を発表した。調査は今年4月28日〜5月2日に、「ルナルナ」ユーザーの妊娠中または育児中の女性6780人を対象に実施した。
 
子どもがいる女性の87.7%が受動喫煙を「不快」と回答。理由には、「子どもへの健康被害」を懸念する声が多く挙がり、飲食店や医療機関などでは屋内禁煙を望んでいることがわかった。
 
子どもへの悪影響の懸念が最多 屋内では禁煙の対策を希望 
受動喫煙を不快に感じる理由を聞くと、「子どもへの健康被害がありそうだから」が79.3%で最も多い。妊娠中や授乳中の女性であれば、胎児や乳児への影響を心配するのは当然だろう。2位以降には、「自分への健康被害がありそうだから」(54.7%)、「においがつくから」(52.6%)が挙がっている。
 
受動喫煙を防ぐため、具体的にはどのような対策を望んでいるのか。屋内での対策を聞くと、飲食店(バーやスナックを除く)では、「屋内禁煙」(34.0%)が最多。「煙が漏れるのを扉(個室化)によってできるだけ防ぐ分煙」(29.4%)、「店側が『喫煙・分煙・喫煙可』を選択し、わかりやすく表示する」(27.5%)が続いた。母親たちは、受動喫煙防止策として、完全に禁煙にするか、喫煙と禁煙のスペースを明確に分けることを望んでいることがうかがえる。
 
教育機関や医療施設、宿泊施設や各サービス施設についても、「屋内禁煙」を望む回答が最も多かった。
 
「子供が受動喫煙によって、喘息になった」という人も 
一方、屋外での対策はどうか。受動喫煙防止策を見ると、路上での対策については「指定場所以外では禁煙」(64.7%)が最も多く、「路上は全面禁煙」(19.1%)、「歩きタバコは禁止、立ち止まっての喫煙は可」(14.2%)を大きく引き離している。
 
屋内と違って屋外では煙を遮断するものが少なく、歩きタバコの煙を直に浴びることになる。また、歩きタバコをする人のタバコの位置が子どもの頭の位置に近いことから、火傷のリスクを懸念する声も挙がっている。喫煙者としては、路上では指定された場所で吸うなどマナーを遵守する姿勢が望まれる。
 
リリースでは、受動喫煙の体験を紹介。 
「禁煙席に座っても真後ろが喫煙席で臭いと煙が禁煙席まできて禁煙席の意味がないと思った」
「妊娠中に職場の人たちに近くで吸われて影響が出ないか心配ですごくストレスを感じたことがある」
 
のほか、「子供が受動喫煙によって、喘息になった」と実害を被った人からのコメントが寄せられていた。


(2017.5.18)
 受動喫煙対策、厚労省が例外に「居酒屋」含める修正案
ヤフーニュース(TBS系(JNN)) 5月17日
 
 受動喫煙対策をめぐって、厚生労働省が「すべての飲食店を原則禁煙」とするこれまでの案を緩和して、自民党側に提案したことがわかりました。
 
 受動喫煙対策をめぐって厚労省は「すべての飲食店を原則禁煙」とする法案を目指していますが、自民党の反発が続いています。厚労省は党側の理解を得るために、17日までに規制の案を緩和して新たに提案しました。
 
 修正案では、例外的に喫煙を認める飲食店に「小規模なバーやスナック」に加えて、一定面積より小さい「居酒屋」を、法律の施行後、数年間に限って含めることにしています。ただし、店先などに「喫煙可能」と表示することを義務付けるほか、未成年の入店は認めない考えです。
 
 今後は、自民党側が党内の意見をまとめられるかが焦点となります。


(2017.5.18)
 小規模の居酒屋は喫煙可能に 受動喫煙対策で修正案
朝日新聞デジタル 5月18日
 
 受動喫煙対策を強化する法改正をめぐり、厚生労働省が自民党側に歩み寄る修正案をまとめたことが17日、わかった。修正案では、改正法の施行後数年間に限り、居酒屋など酒を提供する一定規模以下の飲食店で、「喫煙」や「分煙」と表示すれば喫煙を認める。
 
 元々の厚労省案は、床面積30平方メートル以下のバーやスナック以外は原則禁煙(喫煙専用室は可)。法改正実現のため方針を転換した。だが、自民党は業態を問わず一定規模以下の店で喫煙表示を認める案を検討。なお隔たりがあり、協議が進むかは不透明だ。
 
 厚労省の修正案は、対象となる居酒屋などの面積は明確にしていない。喫煙を可能とする店では、20歳未満の立ち入り禁止や、従業員の雇用時に受動喫煙の恐れを明示することなどを課す。数年経過後は、元々の案の通りにする方針。


(2017.5.18)
 たばこのない社会、吸わない人のみ採用の企業も
朝日新聞デジタル apital 5月17日
 
 屋内禁煙を導入した国ではたばこのない社会を目指し、日本の先を行く。豪タスマニア州議会では2014年、00年生まれ以降の人には成人になってもたばこを売ってはいけないという法案が議員立法で提出され、議論された。
 
 04年、世界に先駆けて屋内禁煙法を施行したアイルランドの喫煙率(15年)は男性が22・4%、女性が21・9%。25年には5%未満を目指す。フィンランドは40年までにゼロを目指す。望月友美子・日本対がん協会参事は「世界はすでにエンドゲーム(終盤戦)の段階に入った」と話す。
 
 日本の喫煙率(15年)は女性7・9%に対し男性は30・1%。政府は12年のがん対策推進基本計画で、22年度までに全体で12%になるのを目指す。政策は遅れているが、採用を非喫煙者に限る企業が増えている。
 
 ホテル運営会社「星野リゾート」も02年から採用の条件を非喫煙者とした。それ以前に入社した社員にも報奨金制度などを設け、正社員の喫煙率をゼロにした。社員の健康を優先したほか、業務時間内の喫煙の時間をなくして生産性を上げるのも狙いだ。担当者は「企業競争力に直結する」と話す。
 
<アピタル・1分で知る・たばこ>
http://www.asahi.com/apital/healthguide/minute/(錦光山雅子)


(2017.5.16)
 禁煙 商店街で呼びかけ
YOMIURI ONLINE 5月15日
 
◇松山 NPOがパレード
 
 世界禁煙デー(31日)を前に、医師や市民らでつくるNPO法人「禁煙推進の会えひめ」の会員ら約70人が14日、松山市の大街道、銀天街の両商店街をパレードし、買い物客らに禁煙を呼びかけた。
 
 会員らは、県のイメージアップキャラクター「みきゃん」や「ダークみきゃん」の着ぐるみとともに、「禁煙は愛です!」などと書かれた横断幕やプラカードを手に歩いた。買い物客らにティッシュや風船を渡し、「家族のために禁煙しよう」「たばこのない東京オリンピックに」と訴えた。
 
 パレードは同会が2003年から毎年実施。商店街周辺でたばこの吸い殻約4000本も拾った。
 
 会長の松岡宏・県立中央病院医局長は「喫煙は本人だけでなく周りの人の健康にも害を及ぼす。危険性や禁煙の重要性を正しく知ってもらいたい」と話した。


(2017.5.16)
 台湾でたばこ値上げ 6月から
EXCITE NEWS 5月12日
 
 台北 12日 中央社)財政部(財政省)は11日、行政院(内閣)に6月12日からのたばこの定価改定を認可申請すると明らかにした。これにより、同日以降に出荷・輸入されたたばこが全面的に値上がりする。値上がりしたたばこが市場に出回るのは6月末になる見込み。行政院が高齢化社会対策として掲げた長期介護サービスの充実と強化を図る10年計画が6月から本格的に始動し、たばこ税が財源のひとつとなることを受けた措置。
 
 先月には立法院で、たばこ税を従来の千本当たり590台湾元(2200円)から1590元(5930円)に引き上げる改正案が可決された。1箱(20本)当たりでは平均20元(75円)の値上げとなる。
 
 財務部などによると、現在一般銘柄の販売価格は1箱当たり平均80元(300円)。今後20元値上がりすれば、消費量が約20%落ち込むと予想されるものの、税収は233億元(868億4306万円)余りの増加が見込めるという。全額が長期介護計画の資金に充てられる。
 
 財政部などでは、台湾のたばこ税が販売価格に占める割合は48%で、世界保健機関(WHO)が推奨する70〜80%を下回っていると説明、改正法の施行後には世界水準の60%まで引き上げたいとしている。
 
(邱柏勝/編集:塚越西穂)


(2017.5.16)
 受動喫煙“厚労省と自民”が攻防、あの人も
0テレNEWS 24 5月15日
 
 受動喫煙対策をめぐって、飲食店を原則禁煙とする厚生労働省と規制を緩めるよう求める自民党が火花を散らしている。15日には塩崎厚労相自らが自民党の部会に乗り込み、説明を行った。こうした中、東京都の小池知事も参戦した。
 
■自民党本部に姿を見せた塩崎厚生相。受動喫煙の健康被害を防ぐ「受動喫煙防止法案」をめぐり、厚労省の考えを説明しにきた。しかし、自民党内からは反発の声があがっている。
 
■厚労省の案では、飲食店内を原則禁煙とし、たばこを吸う場合には、密閉された喫煙スペースを作らなければならない。例外として、広さが30平方メートル以下のバーやスナックのみ、喫煙を認める方針だ。
 
■一方、自民党は飲食店の「売り上げが減る」などとして一定の面積よりも小さい店では、店の入り口などに「喫煙」や「分煙」の表示を義務づけることで、バーなど以外の飲食店でも喫煙できるようにすることや、原則禁煙とする店の基準を緩和することなどを求めている。
 
■しかし、厚労省は店で働く従業員の健康への配慮や、これまでオリンピックが開催された都市では、屋内で全面禁煙となっていたことなどから、2020年の東京オリンピック・パラリンピックも見据え、受動喫煙対策を徹底したい考えだ。
 
■厚労省と自民党の対立が続く中、オリンピック開催地の小池都知事は12日、受動喫煙対策を夏の都議選の争点とする考えを示しました。小池知事は、受動喫煙対策の条例化を自らが率いる「都民ファーストの会」の公約に盛り込む方針だ。
 
■これに対し、自民党の下村都連会長は13日、受動喫煙対策の条例化を党の動きとは別に、都議選の公約に盛り込む方針を発表。公明党、民進党も都議選の公約に盛り込む方針だ。
 
■受動喫煙対策について、飲食業界では、吸えなくなることで客足が遠のいてしまうことを懸念する店がある一方で、店内を全面禁煙にしたことで、新規の客が増え、売り上げが上がった店もあるようだ。
 
■本格化した受動喫煙対策をめぐる議論。厚労省は、今国会での法案の成立を目指しているが、自民党と折り合えるのか調整が続いている。


(2017.5.14)
 受動喫煙「全国で対策しなければ」 塩崎厚労相
dmenu ニュース(朝日新聞) 5月12日
 
 小池百合子・東京都知事が飲食店など屋内を原則禁煙とする都条例の検討を表明したのを受け、塩崎恭久厚生労働相は12日の閣議後会見で、「国民の健康を守るため、都道府県レベルに関係なく理解を深めて、国民的コンセンサスを得ることが大事」と述べた。
 
 2020年東京五輪・パラリンピックに向け、厚労省は世界保健機関(WHO)から公共の場の屋内完全禁煙を要請されている。塩崎厚労相は五輪では都外の場所も会場になるとし、「全国で対策をしなければならない」と話した。
 
 受動喫煙対策を強化する法改正をめぐっては、厚労省が床面積30平方メートル以下のバーやスナック以外を屋内禁煙とする案を検討。自民党は小規模な飲食店について、「喫煙」「分煙」などの表示があれば喫煙を認める案で合意している。15日の党厚労部会で議論する。


(2017.5.14)
 塩崎厚労相 自民部会で「原則禁煙法案」説明へ
NHK NEWS WEB 5月12日
 
塩崎厚生労働大臣は、飲食店などの建物の中を原則禁煙とする法案をめぐり、来週、3か月ぶりに議論が再開される自民党の厚生労働部会にみずから出席して厚生労働省のたたき台の内容を説明し、修正を求める自民党側に理解を求めていく考えを示しました。
 
飲食店などの建物の中を原則禁煙とする法案をめぐって厚生労働省は、一定面積以下のバーなど小規模の店は規制の例外とするたたき台を示していますが、自民党は来週15日に3か月ぶりにこの法案をめぐる議論が再開される厚生労働部会で、党内にある賛否両論を踏まえて、たたき台を修正し規制基準を緩和するよう求めていく方針です。
 
これについて、塩崎厚生労働大臣は閣議のあと記者団に対し、「私が厚生労働部会の開催をお願いしてきたので、私自身が行って説明するのが人の道だ」と述べ、みずからが出席して厚生労働省のたたき台を説明し、理解を求めていく考えを示しました。
 
そのうえで、塩崎大臣は「部会では各議員のそれぞれの考えをオープンな場で幅広くご議論いただきたい。部会で議論したあとは、法案骨子の作成に向けた協議が予定されており、望まない受動喫煙をなくすために成案を得ていきたい」と述べました。


(2017.5.13)
 小池知事、都議選公約に「受動喫煙対策」
TBS NEWS 5月11日
 
 小池都知事は受動喫煙を防ぐための条例案を制定することを、都民ファーストの会の公約に盛り込む考えを明らかにしました。
 
 「都議選をきっかけにして、受動喫煙対策が大きく進むという方向性については、都知事として望ましいと考えております」(小池百合子 都知事)
 
 小池知事は、都議選に向けた都民ファーストの会と公明党の共同会見の場でこのように述べ、受動喫煙対策の条例案を都議選の公約として盛り込む考えを明らかにしました。
 
 また、公明党も、都議選の公約として、「原則、屋内全面禁煙」を内容とした罰則付きの条例制定を目指すと発表しました。
 
 受動喫煙対策をめぐっては民進党も9日、同様の都議選に向けた公約を発表しています。


(2017.5.13)
 【茨城新聞】 受動喫煙防止 五輪開催国の責務だ
THE 社説一覧(茨城新聞) 5月10日
 
 政府が進めている受動喫煙防止のための健康増進法改正に自民党の一部が強く反対し、改正案の今国会提出のめどが立たなくなっている。日本は2020年に東京五輪・パラリンピックを控えており、公共の場での喫煙規制は開催国の責務だ。反対派の動きは極めて無責任である。
 
 自民党は厚生労働省が検討している受動喫煙防止の強化策について、小規模の飲食店は「喫煙」や「分煙」を店頭に明示すれば喫煙を認めるという対案をまとめた。厚労省は自民党と改正案の内容について調整するが、難航は避けられないとみられる。
 
 厚労省が3月に公表した改正案は、病院や学校は敷地内を全面的に、官公庁などは屋内を禁煙とし、飲食店などは喫煙室の設置は可とした上で屋内禁煙とするが、30平方メートル以下のバーやスナックなどは例外として喫煙を認める、という内容だ。自民党案では小規模の飲食店はすべて喫煙が可能になり、厚労省案は骨抜きにされてしまう。
 
 厚労省が昨年10月にまとめた原案には反対が強く、バーやスナックなどの例外規定を設けた経緯がある。しかし、原案すらも飲食店などに喫煙室を認めているため甘過ぎると批判されており、現在の厚労省案は世界標準の屋内全面禁煙に比べてはるかに緩やかである。それを自民党案のようにさらに緩和したら、もはや受動喫煙対策としての効果は期待できない。
 
 世界保健機関(WHO)は受動喫煙の防止対策として唯一、屋内全面禁煙を推奨し、分煙や喫煙室の防止効果を完全に否定している。厚労省には本来なら屋内全面禁煙の目標を追求してほしいが、それがかなわないなら、最低でも現在の改正案を堅持してほしい。塩崎恭久厚労相は自民党との間で安易な妥協を図ってはならない。
 
 20年の東京五輪が近づいていることも重要である。WHOと国際オリンピック委員会(IOC)は「たばこのない五輪」を目指す合意文書に調印しており、近年の開催国では屋内全面禁煙が実施されている。
 
 その基準に照らせば、厚労省案に基づく喫煙規制ですら、最近の五輪開催国としては前例がない低レベルであり、いわんや自民党案は論外である。自民党には政権与党としての責任を自覚してほしいと言いたい。
 
 飲食店業界が禁煙に反対する理由は、客が減るという心配だ。しかし、各種の調査でも、禁煙で売上高が減少するという明確なデータは得られていない。それに、厚労省案のように小規模のバー、スナックだけを例外とするなら、それ以外の飲食店の競争条件は平等である。それらの店すべての客が減ることなどあるはずがない。
 
 地方自治体の条例で屋外の禁煙が広がっている中で屋内も禁煙になると、たばこを吸う場所がなくなるという不満が出ている。その対策は簡単で、公共の喫煙所を増やせばよい。厚労省には喫煙者に配慮したこうした対策の検討も求めたい。
 
 今のままでは改正案の策定が行き詰まりかねない。ここは、官邸が仲裁に乗り出すべきではないか。安倍晋三首相は憲法を改正して20年の施行を目指すことと東京五輪を関連付けた。それほど五輪を重視しているのなら、たばこのない五輪を実現するためにも力を使ってほしい。


(2017.5.13)
 口論で液体燃料かけ…2人に引火、1人重症
日テレNEWS24  5月11日
 
 口論から液体燃料をかけられた男性にタバコの火が引火し、大やけどを負った。
 
 警察によると11日午前10時過ぎ、茨城県八千代町の鬼怒川付近の草むらで除草作業をしていた男性作業員2人が口論になり、1人がタバコをくわえながらもう1人に除草機の液体燃料をかけたという。その後、タバコの火が引火して2人ともヤケドを負い、かけられた男性は重症だという。
 
 警察は、殺人未遂の疑いもあるとみて状況を調べている。


(2017.5.12)
 小池知事、屋内禁煙の独自条例を検討 都議選公約の方向
朝日新聞デジタル 5月10日
 
 小池百合子・東京都知事は10日、受動喫煙を防ぐため、飲食店や公共施設などの屋内を原則禁煙とする都独自の条例制定を検討していることを明らかにした。2020年東京五輪・パラリンピックに向け、対策強化を求める声が出ている一方、政府・与党で検討中の法改正による対策の実現が不透明になっていることが背景にあるとみられる。
 
 小池知事は同日夜、BSフジのテレビ番組で規制案について「基本的には厚生労働省の案に近い。明確に分煙では不十分ということから、屋内禁煙を原則としていく」と述べた。自ら率いる地域政党「都民ファーストの会」の都議選(6月23日告示)の公約にも盛り込む方向だという。
 
 一方、公明党関係者によると、都民ファーストと都議選で選挙協力をする公明も、受動喫煙防止のための条例制定を公約に盛り込む方針だという。
 
 厚労省は今年、学校や医療施設のほか、飲食店も一部を除いて原則禁煙とする健康増進法改正案を策定。しかし自民党内の反発が強く、実現が見通せない状況になっている。


(2017.5.12)
 健康対策に特化したホールが誕生/ダイナム
パチスロ業界ニュース『遊戯日本』  5月4日
 
潟_イナム(森治彦代表取締役)は4月29日、「ダイナム信頼の森 福井越前店」でパチンコを楽しみながら健康対策を体感できるホールを誕生させた。
 
 同店では、健康への取り組みと街・人との繋がりを目的に、喫煙専用室の粉じん対策、健康サポート企業「ファイテン」とコラボし、オリジナルの椅子カバーや手置きスタンドといった設備、空間、景品の用意、来店客とコミュニケーションを深めるカフェや地域の掲示板など、パチンコだけではない付加価値サービスを提供する。
 
 厚生労働省の推奨する受動喫煙対策に取り組んでいるパチンコホールは68店舗(2017年4月末現在。同社調べ)。同社は喫煙専用室(厚生労働省が定めた分煙効果判定基準に準拠)を設置した「ダイナム信頼の森」24店舗、「ダイナムゆったり館」1店舗の計25店舗を展開、受動喫煙対策店舗の36.8%を占めている。


(2017.5.9)
 受動喫煙で病気、かかる医療費は3千億円超 厚労省推計
朝日新聞デジタル 5月6日
 
 たばこを吸わない人が受動喫煙によって肺がんや脳卒中などにかかり、余計にかかる医療費が2014年度1年間で3233億円に上るという推計を厚生労働省研究班(研究代表者、中村正和・地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター長)がまとめた。
 
 研究班は、昨年9月に公表された「たばこ白書」で、たばこと病気の因果関係が十分と推定された肺がん、脳卒中、心筋梗塞(こうそく)や狭心症などの虚血性心疾患にかかる医療費を推計した。
 
 配偶者からと職場での受動喫煙を考慮し、40歳以上の患者数や喫煙の有無による病気のなりやすさの違いなどをもとに計算した。受動喫煙によって肺がんにかかるのは約1万1千人で335・5億円、脳卒中は約12万9千人で1941・8億円、虚血性心疾患が約10万1千人で955・7億円に上った。
 
 ログイン前の続き同様の手法で医療経済研究機構(東京)が推計した肺がんなどにかかる05年度の医療費は1431億円だった。今回新たに、脳卒中と虚血性心疾患を加えたことで大幅に増えた。
 
 また、研究班は喫煙者の医療費も推計した。たばこを吸うことで余計にかかる医療費が、肺や胃のがん、脳卒中、虚血性心疾患などで1年間に1兆1669億2千万円に上るとした。
 
 調査した、東京大の五十嵐中(あたる)特任准教授(医薬政策学)は「因果関係が確実なものに絞って推計したが、喫煙が社会に与える影響は大きいことが改めて示された。受動喫煙で健康を害される人がいることを重視すべきだ」と話す。
 
 日本では8割が非喫煙者だが、屋内全面禁煙が進まないため飲食店や職場などでの受動喫煙が減らない。厚労省によると、受動喫煙による死者は年間約1万5千人と推計されている。(黒田壮吉)


(2017.5.9)
 受動喫煙対策 大臣室=喫煙は可なり 人事院指針に逆行
毎日新聞 5月1日
 
閣僚執務室23カ所のうち10カ所は、大臣判断で喫煙可能に
 政府が2020年東京五輪・パラリンピックに向けた受動喫煙対策を進める中、毎日新聞が各省庁の庁舎内の対策を調べたところ、閣僚の執務室23カ所のうち10カ所は、大臣の判断で喫煙できるとする運用になっていた。人事院の指針は可能な限り庁舎内の全面禁煙を求めているが、「大臣ら特別職は対象外」との解釈で政務三役には対応を甘くしている実態が浮かぶ。【まとめ・山田泰蔵】
 
(注:内閣府(7室)、財務省、経済産業省、国家公安委員会(警察庁)の大臣執務室は、大信判断によっては喫煙可)


(2017.5.6)
 Listening <記者の目>受動喫煙対策を考える
毎日新聞 5月5日
 
 受動喫煙対策案の比較の表(省略)
 
「命を守る」が最優先
 私は喫煙者だが、政府が2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、受動喫煙防止対策を強化する方針には賛成だ。厚生労働省は3月1日、飲食店などの屋内を原則禁煙とする改正法案の概要を発表した。だが自民党内の反発が激しく法案提出は全く見通せない。対案を発表した自民党たばこ議員連盟(会長・野田毅元自治相)など反対派は、飲食業界への影響を主な反対理由に挙げるが、まずは健康被害を防ぐことを第一に考えるべきだ。
 
 厚労省案は、罰則付きで屋内を禁煙にすることを目指す。小中高校や病院は最も厳しい「敷地内禁煙」とし、官公庁や大学は「屋内禁煙」。飲食店やサービス業施設、オフィスなどは「原則屋内禁煙」だが喫煙専用室の設置を認める。主に酒類を提供する30平方メートル以下のバーやスナックは規制対象外とした。
 
 普段よく利用する店を思い浮かべた。ほとんどが30平方メートルを超えるだろう。「会社帰りに居酒屋で一服はできなくなるな」と一抹のさみしさを覚えた。しかし、いずれ屋内禁煙の日が来ると思えば諦めもつく。受動喫煙防止の努力義務を定めた03年の健康増進法施行で、公共施設や駅、タクシーなどで禁煙が進んだ。当時は困惑したものの、今となっては喫煙者も当たり前のように受け入れている。
 
屋内禁煙が世界的な潮流
 日本では環境美化や接触事故防止のため、屋外禁煙が進んできた。しかし受動喫煙を防ぐ観点からは屋内禁煙が世界的潮流だ。排煙設備があっても受動喫煙を防ぐのは難しいからだ。世界保健機関(WHO)の調査では、世界188カ国のうち、病院、学校、大学、行政機関、事務所、飲食店、バー、公共交通機関という人が集まる場所の8分類すべてで、屋内禁煙の法規制をした国は49カ国に上る。厚労省案が実現したとしても、WHOの格付けでは、日本は現在の4段階中の最低ランクから一つ上がるに過ぎない。
 
 国際オリンピック委員会(IOC)とWHOは「たばこのない五輪」を求めており、08年の北京以降、すべての五輪開催地は罰則付きで屋内禁煙とする法規制を講じた。先月来日したWHOのダグラス・ベッチャー部長が「日本は前世紀並みに遅れている。五輪を控えた今が、受動喫煙対策を進める絶好の機会だ」と訴えるのもうなずける。
 
 一方、たばこ議連も対策の必要性は認め「意図せず煙にさらされることを防ぐ」と分煙による対策を訴える。飲食店などに「禁煙・分煙・喫煙」の表示を義務づけ、客は店を選択することで受動喫煙を避けられると主張する。
 
自民議連案は従業員置き去り
 議連の案は一見、店と客の自主性に委ねバランスがよいように見える。しかし、煙が充満する店内で働く従業員のことが全く考慮されていない。従業員が受動喫煙を避けるには仕事を辞めるしかない。従業員の受動喫煙防止をなおざりにしている点で、この案には賛同できない。
 
 議連を支持する飲食業界からは「雇用時に了解を得る」などの提案も挙がるが、未成年者が働くことも考えれば十分ではない。結局、分煙による対策は現状の喫煙環境を温存するだけで、完全な受動喫煙防止は実現できないのだ。
 
 たばこ議連案の資料には「合法的な嗜好(しこう)品のたばこを喫煙する者を排除してはならない」などと「喫煙者の権利」を強調する言葉が並ぶ。私も「喫煙場所がなくなるならいっそ販売禁止にしたらいい」とぼやきたくなることもあるが、喫煙者の権利をいうなら最低限、他人の健康を害さないことが前提だろう。
 
 原因不明の慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)がある高村春仁さん(52)は酸素ボンベが欠かせず、常時、鼻からチューブを通して吸入する。3年前からは歩くだけで呼吸が厳しく車いす生活になった。「喫煙所から戻ってきた人の体に付いた煙だけで呼吸が苦しくなる」と訴える。わずかな煙でも他人の健康を害することがあるのを忘れてはならない。
 
 受動喫煙対策の背後には、関連業界の利害だけでなく、年間2兆円余りの税収を生むたばこ税など複雑な事情が絡む。しかし、厚労省研究班の推計では受動喫煙による国内の年間死亡者は約1万5000人。受動喫煙がある人が肺がんになる危険性は1・3倍、乳幼児突然死症候群は4・7倍となるなど健康リスクは明白だ。命を守ることに勝る優先事項はないだろう。
 
 影響が出る業界や地域には何らかの支援策を検討すればいい。喫煙所の設置助成や屋外の公共喫煙所の増設などがその例だろう。厚労省案の30平方メートルでの線引きも根拠が不明だ。従業員の受動喫煙を防ぐ点からは、従業員を雇用しない1人店主の店のみ喫煙を認めるとする考えもある。
 
 安倍晋三首相は今のところ党内議論を見守る姿勢を示している。しかし厚労省案が出てから、自民党内の議論の場となる部会が開催されないまま2カ月以上たつ。今国会での成立を逃せば「たばこのない五輪」は危うくなる。一刻も早い部会開催が望まれる。私個人としては、今回の対策強化をきっかけに禁煙まで行ければいいなと思い始めている。


(2017.5.6)
 「座席で一服」不可能に…新幹線の喫煙車廃止へ
読売新聞 5月5日
 
 新幹線で唯一、座席でたばこが吸える東海道・山陽新幹線の喫煙車が、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年の春までに廃止されることになった。
 
 前回の東京五輪と同じ1964年の開業時は「全席喫煙可」だった新幹線。それから約55年を経て、列島を走る全ての新幹線から喫煙車が姿を消すことになる。
 
 JR東海・西日本によると、今年3月のダイヤ改正で、東海道区間(東京―新大阪)と山陽区間(新大阪―博多)を直通する「のぞみ」と「ひかり」の全定期便が、全席禁煙の最新車両「N700Aタイプ」に置き換わった。車両間のデッキに設けられた喫煙ルームでの「立ちたばこ」は引き続き可能だが、「車窓を楽しみながら座席で一服」はできなくなった。


(2017.5.3)
 受動喫煙対策、修正に向け協議へ 厚労省と自民、来週にも
47NEWS(時事通信) 5月3日
 
 受動喫煙防止のための健康増進法改正を巡り、厚生労働省と自民党が大型連休明けに、同省がまとめた骨子案の修正に向け協議を始めることが2日、分かった。屋内禁煙の徹底を掲げる厚労省は、激変緩和のため新たな規制までの猶予期間を設けるなどの小幅修正で済ませたい一方、党内には根本的な見直しを求める意見があり、調整は難航が予想される。
 
 これまで塩崎恭久厚労相は協議入りの前に、法案提出に必要な党の部会を開くよう要請。党が早期の部会開催の方針を示し、双方が折り合った。政府・与党は今月中にも改正案をまとめ、今国会への提出を目指す。


(2017.5.3)
 (1分で知る) たばこ:5 分煙、受動喫煙防げず
朝日新聞デジタル 5月3日
 
 受動喫煙対策の法規制強化の議論が進んでいる。分煙をどこまで認めるかが焦点になっているが、分煙では受動喫煙は防げないというのが世界の常識だ。
 
 スペインでは2006年、100平方メートル以上の飲食店は喫煙室の設置か全面禁煙を選ぶ法律を施行。その後デンマークやポルトガル、神奈川県もスペインを参考に法や条例を制定。だが、スペインは5年後に完全禁煙に切り替えた。
 
 同国の研究で法施行直前の3カ月間と1年後に、非喫煙者の飲食店従業員約120人の唾液(だえき)のニコチン代謝物質の濃度を測った。完全禁煙店は濃度が下がったが、分煙店は科学的に効果があるほど減らなかった。
 
 日本でも11年に厚生労働省の研究班が壁とドアで仕切られた喫煙席のある喫茶店の空気を測った。禁煙席でも微小粒子状物質(PM2・5)の濃度は1立方メートル当たり70マイクログラム前後。国が示す大気の環境基準で不要不急の外出を控えるよう呼びかけるレベルだ。
 
 調査した大和浩・産業医科大教授は「喫煙席は大気汚染がひどい時の北京並み。そんな所で接客や掃除をする従業員の健康を守るには全面禁煙化が必要」と話す。(錦光山雅子)


(2017.4.30)
 <受動喫煙対策>肺がんは禁煙しても減らないは本当か?
毎日新聞 4月29日
 
 2020年の東京オリンピックに向けて、受動喫煙対策を盛り込んだ健康増進法改正案、いわゆる禁煙法案の議論が行われています。その中で先日、麻生太郎財務相が「肺がんとたばこにそれほどの関係があるのか?」という趣旨の発言をしたことが話題になりました。喫煙率の低下に反して、肺がんの死亡率が下がっていないことへの疑問が背景にあるようです。呼吸器内科医で公衆衛生学が専門の和田裕雄・順天堂大准教授に解説してもらいました。
 
◇喫煙率とがん死亡を考える三つの論点
日本の喫煙率は、男性が1960年代の約80%より減少し、現在約30%、女性は同20%弱から微減の10%程度で推移しています。一方、同じ期間の肺がん死亡数は一貫して増加し、93年以降は男性のがん死亡率の1位となりました。麻生財務相の発言はこの状況に言及したものでしょう。確かに喫煙は肺がんの原因であるにもかかわらず、喫煙率が低下しているのに、肺がんの死亡数が増加している、という一見矛盾する現象が見られます。
 公衆衛生学の講義でこの問題を考える場合、私は以下の三つの論点を挙げます。
(1)喫煙あるいは禁煙の効果が表れるまでには長い期間を要すること。
(2)医療の進歩により他の病気による死亡が減少し、高齢化社会が到来したこと。
(3)高齢者は若年者と比較しがんを発症しやすいこと。
 
◇ブリンクマン指数 1日の本数×年数でリスクが分かる
 過去の喫煙の評価手法の一つとして「ブリンクマン指数」という指標があります。これは「1日の喫煙本数×喫煙年数」で表される指数のことです。1日30本喫煙し、それを20年間継続した人のブリンクマン指数は「30×20=600」となります。
 
 ブリンクマン指数は、喫煙が人体に及ぼす影響、遺伝子変異やエピゲノム(DNAの配列を変えることなく、遺伝子の働きを変えるよう施された情報の集まり)の変化の蓄積を示していると考えられます。興味深いことに、ブリンクマン指数が400を超す集団では、肺がん、慢性閉塞性肺疾患、動脈硬化性疾患など喫煙に関連する疾患の発症が目立つようになります。
 
 例えば1日20本たばこを吸う人は、20年でブリンクマン指数が400を超え、数年後に肺がんを発症、治療を受けながらさらに数年生存し、死亡に至るというプロセスが考えられます。となると、喫煙開始から肺がんによる死亡までは数十年かかり、現在、肺がん死亡が多いという現象は、個人レベルでの数十年前の喫煙を反映していることになります。同じ理由で、現在の喫煙率の減少の効果は数十年後に反映されると考えられます。
 
◇20年前から肺がん死亡は減り始めている!
 次に論点の二つ目と三つ目を考えてみましょう。戦後、日本の死因上位は結核などの感染症や脳卒中が占めていました。その後の急速な医療の進歩でそれらの疾患による死亡は激減、比例して平均寿命が延びていきました。ところが、がんの原因となる遺伝子の変異は、高齢になるほど蓄積し、変異の蓄積自体を止めたり、効果的に遅らせたりする方法はまだ実現していません。そのため、高齢者が増えると、あらゆるがんの患者数は増加してしまいます。
 
 そこで、集団の中で疾患や健康に関するできごとの発生原因や変動の様子を研究する「疫学」という学問では、高齢化の影響を除外して、さまざまな疾患の死亡率を解析し、評価する「年齢調整死亡率」という考え方を用います。そこで肺がんの年齢調整死亡率を見ますと、20年以上前の96年をピークに減少に転じています。つまりこの年以降、喫煙率低下と肺がん医療の発展による、肺がん死亡の抑制効果は表れ始めているのです。
 
 現在65歳以上の人が20代だった40年前の喫煙率は約80%、30代だった30年前も約60%もありました。その後は喫煙率が大幅に低下してきたことを考えますと、肺がんの年齢調整死亡率は、今後さらに低下すると予想されます。
 
 大学での私の講義では、以上のような説明をして、「喫煙率が減少しているのに、肺がん患者は確実に増えている。喫煙率と肺がん発症または死亡との間に関係はあるか」という問いには、「禁煙と肺がんは関係があり、実は肺がん患者は減少している」と結論付けています。


(2017.4.29)
 受動喫煙防止 対策の後退は許されない
西日本新聞 4月28日
 
 たばこの煙を吸わされる受動喫煙の防止対策を強化する健康増進法改正に黄信号が点灯している。
 
 法改正に向けて厚生労働省が示した強化案に、自民党内から「厳し過ぎる」と強い反発の声が上がっているためだ。
 
 受動喫煙に起因する肺がんなどの死者は推計で毎年1万5千人に上るという。2020年東京五輪を控え、世界最低レベルと酷評される日本の防止対策を強化することは喫緊の課題であるはずだ。
 
 厚労省案では、小中学校や病院は敷地内禁煙、大学や官公庁は屋内禁煙とする。オフィスや飲食店も屋内禁煙が原則だが、喫煙室の設置を認める。小規模なバーやスナックは規制対象外とされた。
 
 これに対し、衆参約280人の自民党国会議員が参加する「たばこ議員連盟」が対案を示した。
 
 学校や病院などにも喫煙室設置を認め、オフィスは規制の対象外とする。飲食店は禁煙、分煙、喫煙のいずれかを選んで、表示を義務付けるという。
 
 喫煙室から煙の漏出を防ぐことは極めて難しい。接客する従業員の受動喫煙も避けられない。
 
 このため、バーやオフィスも含め、人が集まる場を完全禁煙にすることが世界的な潮流である。
 
 厚労省案ですら国際水準より緩い対策なのだ。そこからさらに後退した議連案では、非喫煙者の健康と権利を守ることはできないと言わざるを得ない。
 
 「分煙先進国」を掲げる議連に集うのは愛煙家ばかりではない。背後にはたばこ業界や客離れを懸念する飲食業界の利害も絡む。
 
 規制強化の影響が懸念される業界に対して、配慮や支援を検討する余地はあるだろう。だが、ことは国民の命と健康に関わる問題だ。国際的にも通用する議論が必要である。
 
 安倍晋三首相は1月の施政方針演説で「受動喫煙対策の徹底」を国民に約束した。議連案でそれを実現できないことは明らかだ。「受動喫煙対策後進国」の汚名返上へ向けて、ここは首相が指導力を発揮すべき局面ではないか。


(2017.4.29)
 葉タバコ産地...『禁煙の潮目』 5月1日から田村市内・公共施設
福島民友ニュース 4月28日
 
 田村市は5月1日から、公共施設の建物内での喫煙を全面禁止する。全国的に公共施設や飲食店などで「禁煙」「分煙」が進む中、国内有数の葉タバコ産地の同市でも市民の健康増進や受動喫煙防止のため"決断"を迫られた格好だ。一方、地元産業を支えてきた葉タバコ生産者などからは「多様な分煙環境の整備を」との声が上がる。
 
 市保健福祉部によると、同市の喫煙率は全国平均を上回り、2014(平成26)年度の健康増進計画アンケートでは男性の33.3%が喫煙者で、12年度の健診調査では妊婦の8.5%が「たばこを吸う」と答えた。
 
 市民の健康増進が課題となる中、4月の市長選で初当選した本田仁一市長も早速動いた。自身も電子たばこを利用しているが、選挙戦で訴えた「田村市大改革」の第1弾として、17日の初登庁後の訓示で、建物内禁煙を指示した。
 
 松本広行同部長は今回の措置について「煙を吸いたくないという人の意思を尊重したい。吸わない人の健康を守るのが目的」と説明する。05年の町村合併に伴い建てられた市役所本庁舎にも「分煙」の喫煙室が3カ所あった。今回の措置で医療、文教施設など既に「禁煙」措置の施設を除く47施設が新たに加わる。
 
 一方、同市は葉タバコの一大生産地で、旧船引町はかつて20億円超の販売額で日本一になった。市内の葉タバコ生産は東京電力福島第1原発事故の影響で11年に全面休作となったが、12年以降は産業の柱の一つとして復興途上。徹底した放射性物質検査などの末、昨年は全県的に放射性物質の基準値超えがなくなり、「ようやく一歩前に進めた」(県たばこ耕作組合幹部)状況だ。販売額でも同市は15年、全国10位に回復した。
 
 地元の葉タバコ生産者は「市庁舎の喫煙室設置は、分煙の先進的な取り組みだった」と表情を曇らせる。同組合の佐々木信長参事は「喫煙者と非喫煙者が、互いに気持ち良く過ごせる環境が必要では」と指摘。同組合は個室やフロア(階)、時間帯などで区切る、多様な分煙策の実現を訴える。
 
 また、市のたばこ税の税収は11年度2億7500万円、16年度2億9700万円と商品値上げの影響も受け増加傾向にあり、今後の市民のたばこ離れは市財政に影響を及ぼす懸念もある。市内で生活雑貨店を営む女性(71)は「高い税金を払っているのにという気持ちもあるが、全国的な流れなので仕方ない」と声を落とした。


(2017.4.25)
 社説 難航する受動喫煙対策法案 独りよがりの自民の抵抗
毎日新聞 4月24日
 
 受動喫煙対策を盛り込んだ健康増進法改正案の今国会提出に向けた調整が難航している。自民党内の反対派が抵抗しているためだ。
 
 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、国際オリンピック委員会と世界保健機関(WHO)は「たばこのない五輪」を日本政府に求めている。五輪開催国にふさわしい受動喫煙対策を講じるべきだ。
 
 焦点になっているのは飲食店での禁煙だ。当初、厚生労働省は「屋内禁煙」を原則としながら、煙を排出する喫煙室を設置した店を認める予定だった。ところが、飲食店業界や自民党から「屋内禁煙」に反対論が噴出し、延べ床面積30平方メートル以下のバーやスナックでは喫煙を認める内容へ後退を余儀なくされた。
 
 反対しているのは衆参約280人の議員で構成する「自民党たばこ議連」だ。厚労省の妥協案についても納得せず、店が禁煙か分煙か喫煙かを選び、外部にわかるように表示すればOKという独自の案を出した。「五輪を開催する東京だけ条例を作ればいい」との極論まで聞かれる。
 
 今月になってWHOの幹部が厚労省を訪れ、喫煙室を設けた場合でも煙が漏れ出るのを完全には防げないなどの科学的データを示し「例外のない完全禁煙」を強く要請した。
 
 飲食店内に喫煙室を設けることを認めた元の厚労省案でも不十分な対策と指摘したのである。議連の案は論外と言うに等しいものだ。
 
 WHOによると、受動喫煙対策を4段階に分けた評価では、現在の日本は最下位グループに属しており、厚労省案を実施しても下から2番目になるだけという。
 
 近年五輪を開催したカナダ、英国、ロシア、ブラジルは飲食店を含めて「屋内禁煙」を法律や条例で定めている。それ以外に屋内禁煙を法制化した国は40カ国以上もある。
 
 議連の案は世界の潮流に対する認識を著しく欠いている。
 
 たばこを吸うのは個人の自由であり、小さな店舗の懸念もわからなくはない。しかし、他人の煙で健康被害を受ける人のことを最優先に考えないといけない。有効な受動喫煙対策を取るのは政治の責務である。
 
 安倍晋三首相は自民党内の調整に乗り出し、飲食店を「完全禁煙」とする対策をまとめるべきだ。


(2017.4.24)
 依存症 深刻に受け止めて対策を
西日本新聞 4月23日
 
 ギャンブルやアルコール、薬物などへの依存症対策を厚生労働省が本年度から強化する。各都道府県と政令市で専門医療機関を順次指定し、身近な施設で治療や助言を受けられるようにしていく。
 
 依存症は最悪の場合、死につながる恐れがある。それでも「自己責任」などとして日本ではまだ軽く受け止められがちだ。本人とその家族や職場などが協力して対処することが重要である。
 
 厚労省が2014年に発表した調査結果によると、依存症の疑いがある人はギャンブルが536万人、アルコールが109万人と推計され、自治体の精神保健福祉センターへの相談件数も毎年増える傾向にあるという。
 
 このうちギャンブル依存症は昨年、カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法の成立と施行で改めて注目された。
 
 医学用語では「病的賭博」という。世界保健機関(WHO)による定義は「家族関係や職業遂行を損なうまでに患者の生活を支配する持続・反復的な賭博」とされ、日本ではパチンコ依存症が代表的だ。病的賭博の人は衝動を抑える脳機能の低下が指摘されている。
 
 一方、アルコール依存症で入院治療を受けた人の3カ月以内の再飲酒率は約50%と高く、断酒継続の困難さをうかがわせる。
 
 長期間にわたる多量の飲酒は肝硬変など命に関わる病気を引き起こす。自分を制御できずに家族への暴力に走る例も少なくない。妊婦の飲酒は胎児の中枢神経に異常をもたらす例もあるとされる。
 
 薬物依存症では近年、身近な睡眠薬や抗不安剤などが問題化しており、医師の指導が欠かせない。
 
 喫煙を含め多くの依存症は「否認の病」と呼ばれ、本人は病気と認めたがらないのが特徴だ。米国などでは啓発・教育、治療、家族会による支援などの一体的な取り組みが広く普及している。
 
 現在相談に応じている保健所のほか、精神保健福祉士らによる新たな相談制度なども幅広く活用して、依存症対策を充実させていきたい。


(2017.4.23)
 タバコの害はアスベスト禍と同じ「命の危機」である
 薗潤(日本タバコフリー学会代表理事、医師)
iRONNA  2017年4月
 
 2020年の東京五輪・パラリンピックを前に、世界保健機関(WHO)から世界最低レベルと酷評されている日本の「屋内分煙・努力義務」の受動喫煙防止対策を「屋内禁煙・罰則付き」原則の法整備を目指す方向性は大いに評価できます。しかし、例外規定として喫煙室の設置を認め、設置困難な狭い施設では設置免除という抜け道については、全く評価できません。
 
 厚生労働省の研究班調査でも、受動喫煙で毎年1万5千人もの関連死という実に深刻な被害が報告されています。分煙や喫煙室設置では、受動喫煙被害を防げないことは、多くの医学研究が示しています。分煙を実施したものの、受動喫煙防止ができないことが判明し、完全禁煙となったスペインの例もあります。日本を含む170か国以上が批准している「WHOのタバコ規制枠組み条約(FCTC)」は、屋内完全禁煙を強く求めています。日本で従来行われてきた喫煙室設置のための行政からの補助金は、完全禁煙化を遅延・妨害する誤った施策であり、可及的早期に中止すべきです。
 
 飲食店等のサービス産業においても、分煙や喫煙室設置は、弱い立場の従業員が職場で受動喫煙被害を強いられる現状の容認・放置にほかなりません。きれいな空気を呼吸し、健康を享受することは基本的人権であり、職場における回避不可能な受動喫煙被害は人権侵害です。お客様は「神様」かもしれませんが、従業員に職場で受動喫煙被害を強いれば、文字通り「疫病神」となります。罰則付き法制化は「職場での受動喫煙被害から全ての労働者を守る」大原則の実効性担保に、絶対必要なものです。
 
 禁煙になれば、サービス産業の死活問題になるとの議論があります。これは例外規定で喫煙室設置を認めることで、店の対策に格差が生じることを指すものと思われます。法律で「例外なし・罰則付きの完全禁煙」とすれば対策の格差は生じず、死活問題は杞憂となりますし、完全禁煙に費用はかかりません。レストランなどでは家族連れ客の増加も期待できることは、既に完全禁煙を実施している諸国で実証済です。
 
 言うまでもなく、喫煙者自身もタバコの犠牲者にほかなりませんので、国が喫煙室の設置を認めることは、毎年十数万人のタバコ関連病死亡の原因である喫煙習慣(=医学的にはニコチンという薬物の依存症)を是認・固定化し、国が喫煙者の健康被害に無関心であるとのメッセージにつながります。
 
 「喫煙者いじめ」などとの非難や、「吸う人も吸わない人も心地よい分煙」などといった喫煙者と非喫煙者の対立の構図は、タバコ産業のイメージコントロールによるものです。20世紀に世界で累計1億人の関連病死の原因(WHO発表)となった「タバコ(という毒物)を憎んで、人(タバコの犠牲者)を憎まず(保護する)」という原則に基き、根本的かつ包括的なタバコ対策を推進しなければ、21世紀も増え続けるタバコの犠牲者をなくすことはできません。WHOはタバコ対策が進まなければ、2030年までにタバコの犠牲者は毎年800万人に増加すると警告しています。
 
包括的タバコ対策の必要性
 受動喫煙を含むタバコの有害性については、ほとんど全てのがん及び心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患や肺気腫(COPD)との深い関連があり、医学的にはすでに十分な証拠が蓄積されています。毎年600万人もの関連病死者(WHO発表)を出し続けるタバコは、将来的には人類のために禁止・非合法化しかありえません。本学会は「タバコを(過去のおぞましい遺物として)可及的早期に博物館に閉じ込めよう!」と提唱しています。WHOは、タバコのない(タバコフリー)世界を目指す第一歩として「タバコ規制枠組み条約(FCTC)」を提案し、批准国に義務として包括的なタバコ対策を求めています。
 
 タバコ産業側も、かくも多くの犠牲者を出し続けるタバコ(ビジネス)の将来を憂慮し、電子タバコや加熱式タバコの開発・普及に注力しています。これらの製品は「ハームリダクション」(害がより少ない)をうたい文句にしていますが、まだ医学的評価は定まっておらず、何よりもニコチンを利用した依存症ビジネスであることに変わりはありません。ニコチンは「毒物および劇物取締法」に規定され、食品への使用が禁止されている毒物であり、その依存性を利用したビジネスが将来にわたって許されてはなりません。趣味とか嗜好の問題ではなく、生命にかかわる問題なのです。
 
 人々の健康と生命を守るための受動喫煙対策を「禁煙ファシズム」などと揶揄することは、全くの見当違いです。アスベストは中皮腫や肺がんの強い関連性が証明され、日本でも今世紀になり、ようやく使用が全面禁止になりました。1980年代後半のニューヨークでの大規模調査によれば、肺がんの罹患リスクは喫煙習慣が10倍で、アスベスト工場勤務の5倍を大きく上回り、両方のリスクが重なれば相乗効果で50倍となっていました。アスベスト全面禁止は遅きに失しましたが、「アスベスト全面禁止はファシズムだ」と言う人はいないでしょう。
 
 タバコの場合は、ニコチン依存症という薬物依存症ゆえに、喫煙者自身が被害者であるにもかかわらず、「禁煙ファシズム」などという言辞を弄して喫煙習慣を合理化してしまうのです。「私は吸わないが、喫煙者いじめの完全禁煙には与しない」という穏健な方々には、「アスベスト全面禁止」にも、同様の傍観者的立場を取られたのでしょうか? 毒物の規制に「ファシズム」というレッテルを貼るのは、タバコ産業のイメージコントロールであり明らかに間違っています。
 
 WHOはタバコによる健康被害への医療費などで、年間1兆ドル(116兆円)以上の経済的損失を与えていると指摘しています。タバコは莫大な人的犠牲者のみならず、タバコ税をはるかに上回る経済的損失の原因になっています。タバコ増税は喫煙者減少と歳入増加を期待できる「ウイン・ウイン」の施策であり、1箱1千円以上の国もあり、日本もこれに倣(なら)うべきです。
 
 自社製品で被害者や犠牲者を出せば、当該企業は公に謝罪しリコールを広報し対策を講じる責任と義務があります。莫大な犠牲者を出し続けるタバコ産業が謝罪も行わず、「拾えば街が好きになる」などの社会貢献活動(CSR)を免罪符として、テレビなどでのCM垂れ流しが容認される日本の現状を、大変嘆かわしく思います。深刻な健康被害をもたらすタバコを「マナーの問題」に矮小化し、豊富な資金力を背景にマスコミを通じて「さまざまな分煙」等という幻想を流布させることは禁止すべきです。「マナーではなくルール」が必要で、そのためには強制力をもつ法制化が絶対に必要です。
 
 タバコの害の啓発に極めて有効なのが、パッケージへの写真警告表示です。オーストラリアやカナダなどに加え、タイやネパール、韓国などアジア諸国でも導入され、啓発に大きな役割を果たしています。日本はFCTC批准国でありながら、国民にFCTCの啓発も行わず、写真警告表示も行っておらず、現状では不作為の誹(そし)りを免れません。日本ではFCTCの国民への周知度が極めて低い事が、タバコ対策の大きな遅れの原因となっています。
 
 タバコ対策で忘れてはならないのは、タバコ農家や産業、小売業など、現在タバコで生計を立てている人々(タバコ生活者)が、将来にわたって転作・転業できるような経済的援助と仕組み作りです。例えば、タバコから野菜への転作に必要な補助金とノウハウを提供などが、その一例です。そのためにも喫煙室設置の補助金を直ちに廃止し、タバコ増税も行うべきです。その歳入増を喫煙者の禁煙支援と併せて、タバコ生活者の「転作・転業」予算に回すなど、政府の包括的タバコ対策が是非とも必要です。
 
 東京五輪・パラリンピックの開催国として、FCTCの批准国としても要求されるグローバル・スタンダードのタバコ対策実施には、東京都ローカルの受動喫煙防止条例化では不十分で、国としてのタバコ対策の法制化が不可欠です。日本で対策が遅々として進まない大きな原因が、財務省所管の「たばこ事業法」の存在です。同法は税収増の目的でタバコ産業の発展を目指したものであり、国民の健康を犠牲にしている悪法です。速やかにこの悪法を廃し、タバコの害からの人々の保護を目的とした厚生労働省所管の「タバコ規制法」に置き換えるべきです。
 
 さて神奈川県や兵庫県などの受動喫煙防止条例策定の議論では、業界から「官が徹底できていないことを、どうして民間に先に規制するのか」との意見が相次ぎました。本学会が地方公務員の勤務時間内喫煙の実態調査を元に試算した日本の国家・地方公務員全体のタバコ休憩の時間に支払われる給料、タバコタイムサラリーは、年間920億円以上にのぼり、その結果は2015年11月7日付の産経新聞夕刊にも掲載されました。公務員の勤務時間内喫煙は職務専念義務に反し、莫大なタバコタイムサラリーは納税者としても到底納得できません。職員の喫煙離席は、非喫煙者同僚にも余分な負荷がかかります。喫煙離席者の業務代行や、その間の自己業務の中断に加えて、戻った喫煙者からの三次喫煙被害(呼気や服からのタバコ臭)という余計な「おまけ」まで付いてくるのです。
 
 まず「官より始めよ!」で、議会を含む官公庁が率先して民間の模範となるタバコ対策を実施することが必要です。勤務時間内喫煙は労働者の権利ではなく、全ての労働者が受動喫煙に曝(さら)されない快適職場環境を確保する権利が優先されるべきです。
日本タバコフリー学会の提案
以上を踏まえ、NPO法人日本タバコフリー学会は、法律に盛り込むべき受動喫煙防止対策として以下の提案をさせて頂きます。
 
1.職場と不特定多数の人々が利用する施設は、例外なく屋内全面禁煙とする。電子タバコや加熱式タバコの使用も認めない。
2.職場と不特定多数が利用する施設の屋内に、喫煙室設置は一切認めない。喫煙室設置の補助金を廃止し、現在の喫煙室は可及的早期に廃止する。
3.官公庁・大学を含む学校・医療機関・社会福祉施設は、屋内・敷地内を全面禁煙化し、職員は勤務時間内禁煙とする。
4.違反した施設の管理者および喫煙者には罰則(罰金ではなく過料)を課する。
 
 毎年1万5千人もの死者を出し続ける受動喫煙は、迷惑の域をはるかに超えた「公害」で「命」の問題です。被害を防げない「分煙」や「喫煙室」のまま放置されて良いはずはありません。可及的早期に法律で、職場や公共の場を例外なく完全禁煙とし罰則付きとすることで、受動喫煙犠牲者を減らすことが国に求められる喫緊の責務と考えます。


(2017.4.22)
 スモーカーに甘い自民党に言いたい「他人の受動喫煙で病気になってたまるか!」
週刊女性プライム(週刊女性2017年5月2日号) 4月19日
 
 タバコの煙には70種類以上の有害物質が(コメント:「70種類以上の発がん物質」ではないか?)
 
 午後7時。タバコの煙が立ち上る飲食店を横目に「食事をするなら禁煙の店。煙の中で食べてもおいしくない」と眉をひそめるのは横浜市に住む50代の主婦。「人が吐き出す煙で病気になったらたまらない」と語気を強めた。この煙を「副流煙」といい、世界各国で「受動喫煙」を防ぐ取り組みが進む。
 
 「日本には屋内全面禁煙義務の法律はなく世界最低レベル。国際水準では屋内の職場や公共の場所の全面禁煙が要求されています」(厚生労働省)
 
 2020年、東京でオリンピックが開催される。問題は世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)が「たばこのないオリンピック」を推進していることだ。'08年の北京オリンピック以降の開催国では受動喫煙に対し、罰則を伴う法規制を実施してきた。東京も例外ではない。
 
 厚労省は「東京五輪を契機に」と「健康増進法改正案」をまとめ、受動喫煙防止に関する方針を盛り込んだ。
 
 これに反発したのが自民党。飲食店が「禁煙」「分煙」「喫煙」を選択し、それらをステッカーにして店の前に貼るなど、表記の徹底にとどめる方針を固めたようだ。
 
 全国生活衛生同業組合中央会事務局長の伊東明彦氏も「全面禁煙は大型店はまだしも、小規模の居酒屋やバーなどの飲食店は喫煙ができず、客足が遠のき廃業に追い込まれることが懸念されます。厚労省案では喫煙室を設置すればいいなどと言っていますが、零細店舗でハードの整備は現実的ではありません」と反発を強める。
 
 「タバコを吸う人も吸わない人も飲食店を自由に選ぶ権利があるし、仕切りや強力な空気清浄機などの技術力も向上している。われわれは“分煙先進国”を目指すことが望ましいのでは」(伊東氏)
 
 日本たばこ産業(JT)は「私たちは受動喫煙というのは喫煙しない人の迷惑になるという点で考える。受動喫煙が身体の害になるという医学的な見解は十分ではない」(広報)とまでも言い切る。
 
 日本禁煙学会の作田学理事長は怒りで声を震わせた。
 
 「タバコの煙には70種類以上の有害物質が含まれています。タバコの煙とがん発症の因果関係は国立がん研究センターで研究され、明確に立証されています。迷惑などというあやふやな問題ではない」
 
 喫煙者でなくとも長年、受動喫煙を続けることでがんや脳卒中、気管支喘息などの健康リスクが高まるという。
 
 禁煙外来の医師で、沖縄大学の山代寛教授は「乳幼児突然死症候群の発生確率も高まります。喫煙する親からの受動喫煙での発症リスクが高いとWHOや厚労省の調査で判明しています」と説明する。
 
「虫歯や中耳炎の原因にもなる。妊娠中の受動喫煙は流産や奇形、発育不良などに影響があります」と山代教授。
 
 さらに……。
 
 分煙にしても意味がない理由は
 東京・JR新橋駅前の喫煙スペース。仕切りの外で喫煙する人もいる(一部モザイク加工)
 
 「タバコの煙には鉛の成分が含まれており、多動性障害(ADHD)や学習障害の原因になる場合もある。思考や記憶力に影響するので勉強についていけなくなることも」(作田理事長)
 
 もうひとつ、危険なものがある。加熱式タバコだ。従来の紙のタバコとは違い、においも煙も出ないがニコチンなど有害な成分を含んでいる。
 
 「ニコチンが原因で引き起こされるといわれる心筋梗塞や狭心症、呼吸困難やのどの炎症などが知らず知らずのうちに発症する危険があります。立派な受動喫煙ですが、煙もにおいもないので気づかないのです」(作田理事長)
 
 受動喫煙は分煙では防ぎようがない。「仕切りや空気清浄機で防ぐことはできません。ドアで区切ったとしても開けたときに煙は禁煙席に流れ込む。昼、夜で時間分煙をするところがあるが壁や天井にはニコチンやタールなど煙から出た有害物質がついているし、密閉空間は有害物質の密度も毒性も濃い」と作田理事長。
 
 山代教授も「洋服についた副流煙の有害物質は消臭剤では取れない。子どもの前でタバコを吸っていなくても仕事でついたタバコの煙が服や髪についていて、それで子どもを抱き上げたら有害物質は子どもに移ります。これも受動喫煙です」と話す。
 
 受動喫煙の危険に長時間さらされるのが飲食店などで働く従業員たちだ。九州看護福祉大学の川俣幹雄教授らが1万人以上にアンケートした結果、飲食店従業者の65・4%が厚労省の案に賛成だった。「女性や若者など、職場内で立場の弱い人は、タバコの煙が嫌でもなかなか声に出すことができないうちに身体を壊してしまう」と山代教授。パワハラならぬ“スモハラ”が生じている。
 
 作田理事長は厚労省案を評価しながら、「足りないのは建物内の全面禁煙に踏み切ること」と苦言を呈する。
 
 過去に「分煙」と「全面禁煙」との狭間に立たされたのが神奈川県だ。'10年に「受動喫煙防止条例」を導入。調理場を除く床面積100平方メートル超の飲食店は「禁煙または分煙」を義務づけた。しかし、100平方メートル以下の店舗に関しては努力義務にとどめた。同県たばこ対策グループの担当者は「違反すると喫煙者は2万円以下、店側は5万円以下の過料が科される」と説明する。
 
 横浜市は人通りの多い市内6か所を喫煙禁止地区に指定。市の担当者は「喫煙禁止地区を示す看板を設置し、路面にも標示するなど、わかりやすく工夫しています」と話す。
 
 さっそく横浜駅に向かうと、なるほど。至るところに標示があり、駅前の喫煙スペースの中には多くの人。煙が充満する中で律義に喫煙する様子が見受けられた。しかし、日が暮れれば悪びれる様子もなく禁止区域でスマホ片手に堂々と喫煙する人影があった。
 
 受動喫煙の防止に取り組むのは自治体だけではない。JR東日本では一部、寝台列車などを除き全線で禁煙。東京メトロや小田急線は終日、全面禁煙を実施している。
 
 努力の形跡はあちらこちらで見えるものの、作田理事長は「不十分」と、ばっさり。
 
 「自民党はスモーカーに甘すぎる! 五輪までに公共の建物内を全面禁煙にできなければ、日本は国民の健康も守れないのかと、国際社会から批判されるでしょう」
 
 決断が迫られている。


(2017.4.21)
 <受動喫煙>中高校生、半数超が「不快」 山梨県調査
毎日新聞 4月19日
 
 山梨県が昨年実施した中学生、高校生を対象にした喫煙に関する調査で、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙について初めて尋ねたところ「不快に感じたことがある」と答えた生徒が51.7%で半数を超えた。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて国は受動喫煙対策の強化を検討中。県内でも「路上や飲食店で不快感を感じた」との回答が多く寄せられており、対策が求められそうだ。
 
 調査は、県内の公立中学校、高校の計50校を抽出し、昨年11?12月、アンケート形式で調べた。2006年度から5年に1度行われているが、受動喫煙対策を強化する法改正の動きなども受けて、今回から受動喫煙の項目を追加した。
 
 県によると、不快に感じたことがあると回答した生徒に、その場所を聞いたところ路上(49.7%)が最も多く、飲食店(41.2%)、家庭(36.1%)と続いた。
 
 近年の五輪開催都市は、罰則付きの受動喫煙防止策を導入しており、たばこのない五輪が定着している。厚生労働省は一部を除いた屋内喫煙を法で規制したい考えだが、反対論もあり、規制の範囲は定まっていない。
 
 五輪を機に海外からの観光客が県内を訪問することも予想される中、県は飲食店などに受動喫煙防止策を講じる重要性を周知したい考えだ。
 
 県は「五輪に向けてどこまでできるか分からないが、国と歩調を合わせて県内でも対策をやっていきたい」としている。【田中理知】


(2017.4.19)
 受動喫煙対策/健康へ実効性ある改正案を
河北新報 ONLINE NEWS 4月17日
 
 受動喫煙の防止強化を図る政府の健康増進法改正案が、壁に突き当たっている。
 
 厚生労働省は、飲食店を原則禁煙とする罰則付き法案の今国会提出を目指すが、自民党が「厳し過ぎる」と見直しを求めているからだ。
 
 受動喫煙対策の法規制で努力義務にとどまる日本は、世界の後進国とされる。他人のたばこの煙にさらされることは害悪でしかない。国民の健康を第一に考えるなら、規制強化に踏み出すべきだ。
 
 厚労省が3月に公表した案は、学校、病院を最も厳しい敷地内禁煙とした。ホテルや飲食店なども原則禁煙だが、喫煙室の設置による分煙を認めた。小規模のバー、スナックは例外とし、業界に一定程度配慮した。周知期間を経て2019年の施行を目指す。
 
 日本は、「全ての屋内職場・公共の場の禁煙」を求める「たばこ規制枠組み条約」の締約国だ。しかし、世界保健機関(WHO)の評価は最低レベル。改正案が成立したとしても、世界の「先頭集団」には追いつかない。
 
 WHOは10年、国際オリンピック委員会(IOC)との間で「たばこのない五輪の実現」で合意している。それ以降の五輪・パラリンピック開催国は、全て罰則付き法規制に踏み切った。3年後に東京大会開催を控える日本は、二重の意味で国際公約を果たすべき立場にある。
 
 反対の急先鋒(せんぽう)は自民党の「たばこ議員連盟」。飲食店の客離れ、たばこの売り上げ減など業界への影響を懸念し「禁煙押しつけ」に反発する。
 
 喫煙、分煙、禁煙を飲食店側が選んだ上で、表示を義務付ける対案を提示。店と利用者の自由意思に任せ、「日本らしい分煙の形を目指すべきだ」と発想の転換を促す。
 
 日本人の喫煙率は2割を切っている。吸わない人が大半となる中での規制強化は、多様な意見を聞いて慎重に進めるに越したことはない。
 
 ただ、屋内禁煙を基本とする厚労省案と議連案は、隔たりが大き過ぎ、意見集約する党厚生労働部会すら開かれていない。党側と厚労省が少人数で協議の場を持つよう、党幹部が間に入って調整する異例の展開となっている。
 
 一方、先頃来日したWHOの担当者は「部分的な禁煙では受動喫煙を防ぐことはできない」と、日本政府の取り組みに強い期待を寄せた。
 
 規制強化は世界の要請だが、根拠はそれだけでない。国立がん研究センターは昨年、受動喫煙によって肺がんになるリスクが1.3倍高まるとの解析結果を発表し、病の罹患(りかん)への影響が数値的に示された。救える命がそこにある。
 
 私たちの社会には、子どもや妊婦、ぜんそく患者など、たばこの煙のない環境がどうしても必要な人たちがいる。規制は国民の健康に直結しているからこそ急がねばならない。実効性のある法改正に向け、後ずさりは許されない。


(2017.4.19)
 市議会フロアの喫煙所、13年経てようやく撤去
YOMIURI ONLINE 4月16日
 
 2004年に現在の堺市本庁舎が完成して以来、11階の市議会フロアにのみ、例外的に設けられていた喫煙所が15日、撤去された。
 
 本庁舎は当初から原則全館禁煙となっており、議会フロアだけの特別扱いについて長年、市民の批判を浴びていたが、13年を経て、議会側も「降参」した形だ。
 
 役所が閉庁しているこの日は午前9時頃から、作業員6人が約1時間半かけ、ドアやガラス壁などを取り外した。室内に置かれていたテーブル形の空気清浄機2台は廃棄される。
 
 喫煙所は約210万円の予算で開設されたが、今回の撤去には約65万円を要したという。
 
 昨年の11月定例市議会では、市民から喫煙所撤去を求める請願が出され、本会議で、喫煙所の撤去を含む受動喫煙防止対策強化を求める決議が可決された。
 
 議会の少数派ながら喫煙所撤去を主張してきた長谷川俊英市議は「市民の批判はもっともで、やっと廃止になってよかった。たばこの害について議会も一層、真剣に向き合わねば」と話していた。


(2017.4.18)
 官房長官 建物内原則禁煙の法案 与党内調整を急ぐよう要請
NHK NEWS WEB 4月17日
 
菅官房長官は、17日午前、塩崎厚生労働大臣と会談し、建物の中を原則禁煙とする法案について、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて受動喫煙対策は重要だとして、今の国会への提出に向けて与党側との調整を急ぐよう要請しました。
 
建物の中を原則禁煙とする法案をめぐって、厚生労働省は、バーなどの小規模の店は規制の例外とするたたき台を公表しましたが、自民党内には賛否両論があり、調整が難航しています。
 
こうした中、菅官房長官は、17日午前、総理大臣官邸で塩崎厚生労働大臣と会談し、法案の提出に向けた与党との調整状況について報告を受けました。
 
そのうえで、菅官房長官は「2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会を控えて、受動喫煙対策は重要であり、塩崎大臣が先頭に立って法案をまとめてもらいたい」と述べ、今の国会への法案の提出に向けて与党側との調整を急ぐよう要請しました。
 
これに関連して、菅官房長官は午前の記者会見で、「政府としては、WHO=世界保健機関の意見や過去の開催国も参考にしながら、効果的な受動喫煙の防止策を講じるべく努力している段階だ。与党側とも調整しながら提出を検討していく」と述べました。


(2017.4.16)
 日本の受動喫煙対策「前世紀並みに遅れ」 WHOが視察
 朝日新聞デジタル 福地慶太郎、錦光山雅子 4月16日
 
 たばこ規制政策の専門家が来日し、日本の受動喫煙対策を「前世紀並み」と表現しました。朝日新聞デジタルでの2回のアンケートには、合わせて約3900の回答がありました。立場によって意見に大きな開きがみられます。そんな中、議論のあり方について寄せられた声を中心に紹介します。
 
 世界のたばこ規制政策の第一人者とされる世界保健機関(WHO)生活習慣病予防部長のダグラス・ベッチャーさんが7日、東京・新橋の飲食店街を視察しました。世界各国の対策はどこまで進んだのか。日本の現状をどう見るか。視察や会見で述べたことを紹介します。
     ◇
 ベッチャーさんは新橋のカフェの入り口に禁煙席と喫煙席の数が書いてあるステッカーを見つけ、「まったく効果がない表面的な対策。客や従業員の健康を守れない」と批判。
 
 「日本の受動喫煙対策は世界では最低レベルの政策だと評価され、前世紀並みに遅れています。1980年代後半、新宿の回転すし店に行きましたが、喫煙者がたくさんいました。数年前、同じ店に入ると両隣がまた喫煙者でした。タイムワープかと思ったほど、たばこ対策は何も変わっていません」
 
 新橋駅前広場の屋外喫煙所も見学した際、「屋外の対策もいいが、すぐに屋内を全面禁煙にすべきだ」と指摘しました。「ニューヨークや上海などは屋内禁煙が先で、次に公園や海岸などの屋外を禁煙にしました。日本は逆で、屋外が先に禁煙になりました。ポイ捨て、やけど防止が目的なのは分かりますが、屋内に入ると喫煙者と非喫煙者が同じ空間に座っている。とても危険な状態です」
 
 2004年にアイルランドが屋内の公共空間を禁煙にして以来、世界では15年までに49カ国が屋内完全禁煙法を定めています。
 
 「とても大きな変化です。すでにブルキナファソやネパールのような四つの低所得国でも最高基準の屋内完全禁煙法が施行されました。中所得国でも同様に30カ国で達成されています。日本がいかに取り残されてしまっているかが分かるでしょう。飲食店の一部に喫煙室が設けられる厚労省の案では、いまいる最下位のグループから、2番目に低いグループになるだけです」
 
 日本で導入が検討される「喫煙専用室の設置」などの分煙政策については「効果がない」と、他国を引き合いに強調しました。「北京市は五輪開催直前の08年5月から15年6月まで部分的な屋内禁煙条例を施行しましたが、受動喫煙の状況は条例前と変わりませんでした。部分的な禁煙では効果がないのです。この失敗をばねに北京は15年6月、屋内完全禁煙の条例に切り替えました。上海市も北京同様、屋内完全禁煙です。他都市もこれに続き、都市レベルの取り組みで6千万人の中国人が受動喫煙から守られています」
 
 「スペインも日本の厚労省案のように一部の飲食店の喫煙や喫煙室を認めた法律が06年に施行されましたが、法律の施行前後で、喫煙できる店と、喫煙室を別に設けた店での(従業員の)受動喫煙の状況はほとんど同じでした。完全禁煙の飲食店だけが受動喫煙を防げると分かったのです。そこで11年から飲食店やバーを含めた全飲食店の完全禁煙に切り替えました。スペインの教訓を日本もぜひ学んで欲しい。分煙では、受動喫煙は防げない。まったく効果がないと分かって欲しいのです。20年の五輪と19年のラグビーW杯の日本開催を控えたいまが、絶好の機会なのです」(福地慶太郎、錦光山雅子)
 
■条約・五輪…各国で進む屋内禁煙
 世界各国で進む受動喫煙対策は、2005年に発効した「たばこ規制の枠組み条約」(FCTC)8条に締結国の「義務」として盛り込まれた「たばこの煙にさらされることからの保護」に基づくものです。
 
 各国の屋内禁煙の法律作りを加速させたもう一つの要因がオリンピックです。国際オリンピック委員会(IOC)やWHOは「たばこのない五輪・パラリンピックの実現」に合意していて、例えばブラジル・リオデジャネイロは09年に州法で屋内禁煙となり、18年に平昌(ピョンチャン)で冬季五輪を開催する韓国でも15年1月、すべての飲食店が原則禁煙になりました。
 
 五輪開催が追い風となり、これまで受動喫煙対策を「努力義務」としてきた日本で、厚労省が「屋内原則禁煙」の方針を新たに掲げました。ただ、条件付きで一部の飲食店などに喫煙専用室を設けるとしています。この方法は、FCTCの8条に基づいた政策を展開するために示されている「ガイドライン」で「換気、空気清浄装置、喫煙区域の限定などの工学的対策は、受動喫煙防止にはならない」とされています。
 
■アンケートに寄せられた意見(省略)
 
■立場の置き方で見え方変わる問題
 「受動喫煙」について3週にわたって議論してきました。たばこの煙に苦しむ人、喫煙者、医師、飲食店主、従業員。様々な意見が寄せられました。だれの視点かによって、この問題の見え方が変わります。屋内完全禁煙の国々では子どものたばこ関連病の改善が報告され、子どものいる自家用車内や自宅での喫煙を禁じる国も出てきました。私たちは、だれの視点でこの問題を見るべきなのでしょうか。(錦光山雅子)


(2017.4.15)
 “スモーカーの天敵”日本の受動喫煙に苦言
ヤフーニュース(日本テレビ系(NNN) ) 4月13日
 
 たばこの煙が吸わない人に流れる受動喫煙。政府が規制に乗り出す一方、強い反発もあり議論は進まない。こうした中、“スモーカーの天敵”とも呼ばれる、ある人物が日本に苦言を呈した。
 
■路上より先に「屋内を禁煙」にすべき
 サラリーマンでにぎわう街、東京・新橋に先週、現れた男性。WHO(世界保健機関)の幹部、ダグラス・ベッチャー氏だ。世界の受動喫煙対策の第一人者で、“スモーカーの天敵”とも呼ばれるベッチャー氏に、日本の状況を見てもらった。新橋がある港区は、路上での喫煙は条例で禁止されている。
 
 記者「見ても分かるように路上で喫煙している人はいないですよね」
 
 ベッチャー氏「(これまで)路上を禁煙にして屋内を禁煙にしない国はありませんでした。まずは『屋内を禁煙』にしなくてはいけません」
 
 日本の問題は、飲食店などの「屋内」にあるという。WHOによると、世界49か国には、全ての公共施設の「屋内を」全面禁煙とする法律がある。しかし、日本は「屋内の」喫煙を規制する法律がなく、「日本の受動喫煙対策は世界最低レベル」とされていた。
 
■「分煙は世界で失敗している」
 私たちはベッチャー氏と「分煙」を実施する飲食店を訪ねてみた。
 
 店主「禁煙の席があちらの部屋とカウンターが10席ほど、ここから向こうは喫煙可能です」

 席を分ける「分煙」では意味がない、と厳しい指摘。客がいる状態の店の様子も映像で見てもらったところ―
 
 ベッチャー氏「全く効果がありません。部屋を遮断して、換気をしたとしても有害な物質は漏れ出て、他の場所へと到達します。これでは健康を守る有効な対策とは言えません」
 
 扉などで遮断して「分煙」にしたとしても、煙を完全に遮ることは難しく、効果はないという。しかし、店の経営者は全面的な禁煙にするのは不安だという。
 
 店主「(禁煙対策で多くの店は)客が減って売り上げが落ちてしまうとか、つぶれてしまうことにもならないか一番懸念しています。ここはたばこを一切吸わない、もしくは吸っても良いというのは、お店の判断でいいと思うんです」
 
 日本の飲食業界団体は経営に影響が出るとして、禁煙ではなく「分煙」を求めている。別の飲食店では、フロアを分けて禁煙席と喫煙席を設けているが―
 
 ベッチャー氏「受動喫煙の危険性が極めて高いといえます。レストランの別の場所で漏れた煙が別の場所に到達するからです。ここで働いている人などの健康被害も心配です」
 
■自民党内部から強い反発
 WHOの指摘を受け日本の厚労省が出した受動喫煙対策の強化案では、小中高校や医療施設は敷地内を全面禁煙とし、飲食店についても、一部を除き、原則、禁煙としている。しかし、この案に自民党内から強い反発が出て今、議論はストップしている。
 
 自民党たばこ議連・野田毅会長「禁煙よりは分煙。目指せ分煙先進国を合言葉に。(喫煙者・非喫煙者が)両立できるような形でいこうと」
 
 しかし、ベッチャー氏はアメリカなどの例をあげ「レストランなどで完全禁煙にしても、売り上げに影響はないという研究結果がある」と反論している。
 
 ベッチャー氏「日本の政府は、女性や子どもが受動喫煙が原因で、1年間で15000人も命を落としているということにもっと目をむけるべきです。健康被害を受ける人には何の罪もありません」
 
 政府は東京オリンピックまでに受動喫煙対策を強化したい考えだが、議論の行方は見通せない状況だ。


(2017.4.14)
 予防と医療の充実など柱 がん対策基本計画の素案
NHK NEWS WEB 4月13日
 
2人に1人がなると言われるがんの対策について、厚生労働省は「予防」と「医療の充実」、それに「がんとの共生」を柱とする、新たな基本計画の素案を協議会で示し、委員からは「子どもから高齢者まで、がんを発症する世代で異なる医療の対策を打ち出すべきだ」といった意見が相次ぎました。
国のがん対策の基本計画は、医療体制の整備や患者への支援策などの具体的な方針を定めたもので、厚生労働省は患者や医療関係者などが参加する13日の協議会で、今後6年間の新たな計画の素案を示しました。
 
この中で、「予防」と「医療の充実」、それに患者が安心して暮らせる社会を目指す「がんとの共生」を柱とし、すべてのがんの検診の受診率を50%とすることや、患者の遺伝子情報から、より効果の高い治療薬を選択するゲノム医療の推進などを掲げています。
 
これについて、患者や医師などの委員から「小児がんのほか、若者や高齢者のがんなど、発症する世代によって治療の課題は異なるので、それぞれ個別に医療の対策を打ち出すべきだ」といった意見が相次ぎました。
 
また、がんを予防するための、たばこの対策について「受動喫煙はもちろん、たばこ自体をなくすなど強い方針を示すべきだ」という意見も出されました。
 
厚生労働省は今後さらに議論を重ね、この夏までに新たな基本計画をまとめる方針です。


(2017.4.14)
 受動喫煙防止法案 「今国会提出に向け調整」と菅義偉官房長官
産経ニュース 4月12日
 
 菅義偉官房長官は12日の記者会見で、他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙防止策を強化する健康増進法改正案について「政府と厚生労働省を中心に、この通常国会に提出すべく調整している」と述べた。
 
 菅氏は会見に先立ち、自民党の受動喫煙防止議員連盟の山東昭子元参院副議長らと官邸で面会し、2020年東京五輪・パラリンピック開催に向け、受動喫煙対策に取り組むよう要望を受けた。


(2017.4.14)
 社説 受動喫煙防止 人の命は脅かせない
東京新聞 TOKYO Web 4月13日
 
 たばこを吸わないのに他人のたばこの煙で健康を害する受動喫煙の対策は急務である。厚生労働省が対策強化の法案を公表したが自民党の抵抗に遭っている。国民の健康をどう考えているのか。
 
 「たばこを吸う人は野蛮人だ」−。自分や周囲の人の健康を害して顧みないことに憤っていたのは、童謡「ちいさい秋みつけた」などを作曲し嫌煙運動でも知られた故・中田喜直さんだ。
 
 きっかけは同じく著名な作曲家だった父親が、晩年結核に倒れてもたばこをやめず、母親がその姿に苦しめられたからだという。三十年以上も前に聞いた思い出話だが、喫煙をめぐる意識は当時と根本的に変わっていないのではないか。
 
 厚労省によると、受動喫煙がなければ亡くならずにすんだ人は、乳幼児を含め少なくとも年間一万五千人と推計される。交通事故による死者が同四千人を切るまで減少しているのと比較すれば、その重大性は明らかである。
 
 たばこを吸わない人は増加し、今では国民の八割を超えた。だが、受動喫煙の被害は依然として深刻なままだ。飲食店で四割、職場では三割を超える非喫煙者が受動喫煙に遭っているという。
 
 ぜんそく患者やがん患者、妊婦や子供ら受動喫煙から守られるべき弱者を「煙」から遮断するには対策の厳格化が欠かせない。二〇〇三年に受動喫煙防止を健康増進法の「努力義務」としたが、それでは限界があるということだ。世界保健機関(WHO)は日本を「世界最低レベル」に分類した。
 
 今回、厚労省は小規模なバーやスナックなどを除いて飲食店を禁煙(喫煙専用室の設置は認める)とし、官公庁や学校はより厳しい禁煙措置との案を公表した。それでも国際的には緩い方である。
 
 自民党内には「飲食店が廃業に追い込まれかねない」「喫煙の自由が侵される」などと反対論があるがおかしい。自主的に全面禁止とした店のほとんどで売り上げが増加または不変という調査結果が愛知県や大阪府で出ている。WHOのまとめでも世界のレストラン、バーで同様の結果だという。
 
 喫煙の自由は公共の福祉に反しないかぎり尊重されるべき権利である。是か非かという単一議論ではなく、他の人の命を脅かす危険を自覚してほしいということだ。
 
 訪日外国人の誘致に力を入れ、五輪開催を控える中で、現状の対策では資格なしと言われかねないのが世界の潮流である。


(2017.4.13)
 WHOが苦言「日本の受動喫煙対策は時代遅れ」…禁煙に反対する議員たちのあきれた言い訳
business Joural 4月11日
 
 4月7日、世界保健機構(WHO)のアサモア・バー事務局次長らが塩崎恭久厚労相に面会し、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、公共施設については、国レベルで屋内を完全に禁煙するよう要請した。
 
 ご存じのとおり、政府は受動喫煙を規制する法案の今国会の提出を目指している。そのなか、WHOの幹部が来日して「日本の対策は時代遅れだ」と苦言を呈したのだ。
 
 ところが永田町界隈では、「職場は受動喫煙対策の対象外にせよ」「飲食店の場合は喫煙の可否を表示すればいいのではないかい」などと、現状維持、なかには受動喫煙対策をめぐる厚生労働省の原案を大幅に後退させるような「対案」が、ぶつぶつ呟かれているというからあきれる。
 
 しかも、そういう往生際の悪さを主張している向きは、与党・自民党の「たばこ議連」ばかりか、民進党内でも松原仁・党東京都連会長が「分煙推進議員連盟」を2月に立ちあげて、「原理主義的に建物内禁煙を進めるべきではない」と、いくぶんヤニ臭い独自の立法案を練っている最中だという。
 
職員を対象に月1回の「無煙デー」を設けた札幌市だが……
 ここへ来て、こういった分煙推進派の対案がモクモクと上がり始め、禁煙強化派との意見対立を深めている背景にあるのが、言わずもがな選挙への危機感だ。
 
 タバコ業界や飲食店の関係団体は自民党の有力支援組織であり、「もし法案が通れば、次の選挙でわが身が危ない」などと露骨に口にする議員もいれば、対岸の日本医師会も有力な支援団体であり、利害の錯綜で党内でも対立が避けられない模様だ。
 
 そんな情勢下、受動喫煙防止策を盛り込んだ「健康増進法改正」をいち早く先取りすべく、今年度から職員を対象に月1回の「無煙デー」を設けたのが札幌市だ。
 
 具体的には、職員が利用する市役所本庁舎の喫煙室を月に一度「終日閉鎖」するというもので、すでに道庁本庁舎と振興局の建物内を全面禁煙している道内事情を思えば、「月一」は正直かなり消極的に映る。
 
 しかも、実は札幌市は2026年の冬季五輪・パラリンピック招致を目指しており、市の公共施設を将来的に全面禁煙とする指針を2010年に策定済み。それにもかかわらず、現状では本庁舎内に7カ所と、区役所内(東区役所を除く)9カ所の計16カ所、喫煙室が残存するから、「先取り」の先見評も煙で霞んでしまう。
 
望まない受動喫煙」は置き去りか?
 さて、飲食店や居酒屋自体が「職場」という方々(とりわけ非喫煙者)は、もっと悲惨だろう。一例が、非喫煙が主流(兼就活受難)の世代として育ったアルバイト従業員で、食べていくためには健康面でも自分の将来が危機にさらされているという次第だ。
 
 件の健康推進法改正案を今国会に提出する方針の塩崎恭久厚労相も3月7日、「望まない受動喫煙」の存在を理由のひとつに挙げてこう述べた。
 
 「飲食店で配膳をしている方、アルバイトの方、大学生、高校生が煙にさらされている」
 
 さらに同氏は、年間1万5000人といわれる受動喫煙死亡者数の概算を挙げつつ、法律の必要性を訴えるべく、このような談話を残した。
 
 「公共の福祉に反しない限り、喫煙の自由はある。(しかしながら)非喫煙者の方、妊婦、子どもさん、がん患者の皆さん、受動喫煙禁止の法律に慣れている外国人の方への配慮が、喫煙の自由よりも後回しにされている」
 
 これに呼応すべく現在、日本肺がん患者連絡会/日本禁煙学会は「受動喫煙対策として厚生労働省の原案に賛成」という要望書の提出を準備中だ。
 
タバコを吸う場所で食事なんてありえない
 一方、党内対立を深める自民党の厚労部会では「五輪、五輪というなら、(禁煙は)東京だけでやれ!」といった反対意見も飛び出し、「喫茶店や小売店など、小さな店舗の営業に影響大」とする意見も相変わらず叫ばれている。
 
 後者の見解に対し、厚労省が黄門様の御紋よろしく指し示すのが、WHOの外部組織「国際がん研究機関(IARC)」によるハンドブックで、そこにはこう綴られている。「レストラン、バーを法律で全面禁煙にしても減収なし」と。
 
 反対に、民間調査機関「富士経済」が3日公表した調査結果によれば、法案の罰則が実際に施行された場合、外食市場への売り上げに8401億円の影響が及ぶという。さらに、このうち喫煙者の顧客割合が多い「居酒屋、バー、スナック」への影響は、最多の6554億円と試算されたので事態は混乱の一途だ。
 
「世界保健デー」の7日に合わせて来日したWHOのダグラス・ベッチャー生活習慣病予防部長は、東京・新橋の飲食店も視察し、「分煙では不十分。タバコを吸う場所で食事をするなんてありえない」とコメント。
 
 火のないところに煙は立たないというが、聖火の灯る日までに求められる対策が講じられることを願う。
 (文=ヘルスプレス編集部)


(2017.4.12)
 田村編集委員の「新・医療のことば」
 「スモークフリー・ポリシー」…たばこの煙のない社会づくり
YOMIURI ONLINE yomiDr. 4月12日
 
 たばこ規制をめぐる最近の議論で「スモークフリー」という言葉をしばしば目にします。スモーク(Smoke)は言うまでもなく、たばこの煙のことですが、フリー(Free)は「自由」ではなく、「〜〜がない」という意味です。「バリアフリー(障壁のない)」や「ストレスフリー(ストレスのない)」などと同じ用法です。
 
 「自由に吸ってもよい」という正反対の意味に誤解される恐れもあってか、日本で禁煙キャンペーンなどに使われることは従来多くはありませんが、医学論文を検索すると1980年代の後半には登場しており、広く使われている言葉です。「スモークフリー・ソサエティー(たばこの煙のない社会)」、「スモークフリー・ホスピタル(たばこの煙のない病院)」などの「スモークフリー○○」といった表記のほか、「たばこフリー○○(たばこのない○○)」という言い方もよくされます。
 
WHO事務局長からの手紙
 日本のたばこ規制の強化を求める世界保健機関(WHO)事務局次長らは4月上旬、マーガレット・チャン事務局長が厚生労働大臣にあてた手紙を携えて来日し、2020年の東京五輪を見据えた「スモークフリー・ポリシー(たばこの煙のない政策)」推進を訴えました。
 
 事務局長は手紙の中で、近年開催された各五輪において「たばこフリー」の方針が採られてきたこと、2015年時点で公共の場を禁煙としている国はレストランやパブ、バーで63か国、職場については64か国に広がっていることなどを説明。さらに、WHOなどの研究によると、たばこフリーの政策は売り上げや雇用にマイナスの影響はないとされていることを強調しました。
 
 厚労省で記者会見したダグラス・ベッチャーWHO生活習慣病予防部長も、「受動喫煙を防ぐには、部分禁煙(分煙)では効果がなく、完全禁煙にすることが必要である」ことを、各国の例やデータを基に繰り返し述べました。
 
たばこ規制枠組み条約を批准
 公共の場所における受動喫煙対策は、日本も批准している「たばこ規制枠組み条約」において定められており、各国に法律の制定をはじめとする対策実施を義務づけています。同条約は、喫煙による健康被害を防ぐためには地球規模での取り組みが必要であるとして、2003年のWHO総会で採択され、05年に発効しました。たばこ広告の原則禁止や、たばこの箱に一定面積以上の健康被害の警告を載せること、未成年の喫煙を防ぐための価格・税金の引き上げなど、包括的なたばこ対策が盛り込まれています。
 
 日本の成人男性の喫煙率は2000年当時、50%超と先進国の中で際立って高く、「たばこ天国」そのものでした。そんな中で、03年に公共の場所の禁煙化をうたった健康増進法が施行されました。病院や学校などの禁煙化が進んだことや、自動販売機の販売規制、禁煙治療の普及など、たばこ対策が進んだことを背景に、喫煙率は近年、成人男性で30%程度にまで減少しました。
 
東京五輪を絶好の機会に
 こう見ると、この15年ほどで日本のたばこ対策はかなり進んだように思えます。ところが残念ながら、日本のスモークフリー政策は、世界各国の取り組みを4段階に評価したWHOのまとめで、最下位グループとなっています。WHOによると、公共の場所がすべて禁煙となっているのは2014年時点で49か国あり、アフリカなどの中低所得国も含まれています。
 
 日本国内のたばこ対策がある程度進んだと言っても、世界ではそれを上回るスピードでたばこ規制を強めており、世界的に見れば依然、日本は「たばこ天国」と言われても仕方ないでしょう。2020年の東京五輪は、「たばこフリー・オリンピック」を実現することで、世界基準に一歩近づく絶好の機会と言えます。(田村良彦)
 
田村 良彦(たむら・よしひこ)
 1986年、早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で医療報道に従事し連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。2017年4月から編集委員。共著に「数字でみるニッポンの医療」(読売新聞医療情報部編、講談社現代新書)など。


(2017.4.11)
 WHO「喫煙場所で食事あり得ない」 新橋の飲食店視察 
朝日新聞デジタル 4月8日
 
 禁煙か分煙か――。厚生労働省の受動喫煙対策を強化する法改正案をめぐり、与党内から異論がでて法案提出が見通せない中、世界保健機関(WHO)のダグラス・ベッチャー生活習慣病予防部長が7日、塩崎恭久厚労相を訪ね、公共の場での屋内完全禁煙を要請する文書を渡した。
 
 WHOのマーガレット・チャン事務局長による厚労相宛ての文書は、受動喫煙のない東京五輪の実施や、飲食店や事業所を含む公共の場での国レベルでの禁煙を求めている。
 
 文書を受けた塩崎厚労相は「(現在の法改正の)厚労省案を下回らない水準で、対策をとらなければならない」と述べた。
 
 ベッチャー氏は世界保健デーの7日に合わせて来日。東京・新橋の飲食店の視察もし、「分煙では不十分。たばこを吸う場所で食事をするなんてありえない」と話した。禁煙席と喫煙席の間に仕切りがない様子を確認し、全面禁煙の必要性を強調していた。
 
 厚労省によると、受動喫煙による年間の死者は推計約1万5千人。1カ月間に非喫煙者の約4割が、飲食店で受動喫煙に遭っている。日本の規制は、WHOの4段階評価で最低に分類されている。
 
 現状では対策が不十分として厚労省は3月、罰則付きで屋内禁煙を原則、義務化する健康増進法の改正案を発表した。これに反発して自民党の議連は、飲食店は禁煙・分煙・喫煙を自由に選べるとする対案を公表している。(福地慶太郎)


(2017.4.10)
 全世界で喫煙が原因の死者数は? 日本は人口の割に順位高く国別6位
J CAST ヘルスケア 4月10日
 
   日本を含む世界50か国以上の研究機関と世界保健機関(WHO)による国際共同研究「世界の疾病負担研究2015(Global Burden of Disease Study 2015, GBD2015)」から、喫煙に関するデータのみを調査研究していたプロジェクト「GBD 2015 Tobacco Collaborators」は2017年4月5日、世界的な医学誌「ランセット」上で調査結果を発表した。
 
ブラジル式で喫煙率減となるか
 
大幅な喫煙率低下に成功している国も
 
   発表によると、2015年だけで喫煙が原因で発症した病気で死亡した人は640万人となり、10年間で4.7%増加。死者数の上位4か国は中国、インド、米国、ロシアと人口の多い国が並んでいるが、日本は人口に比べて上位に位置し6位となった。なお、直接の死因となった病気は心血管疾患、がん、慢性呼吸器疾患の順だという。
 
   また、2015年の全世界の喫煙者数は約9330万人で、喫煙者数の多い上位10か国だけで全体の63.6%を占めている。なお、10か国の順位は1位から中国、インド、インドネシア、アメリカ、ロシア、バングラデシュ、日本、ブラジル、ドイツ、フィリピンとなっている。このうち、インドと日本、ブラジルでは男性喫煙者数が半減、中国とインドネシア、ロシア、バングラデシュでは女性喫煙者数が半減しているという。
 
   また、喫煙習慣が形成されやすく、全体の喫煙者数にも大きな影響を与えるとされる若年層(15〜19歳)の喫煙率は、米国とブラジルが60%以上減少。日本では男性若年層が62%減少し、女性若年層は15.1%の減少にとどまった。
 
   GBD 2015 Tobacco Collaboratorsによると、今回の調査で喫煙率低下に成功しているのはブラジルとされ、現在喫煙者数上位とされる国でもブラジルが導入していた広告規制と公共の場での喫煙禁止を含むタバコ規制政策を積極的に組み合わせるべきではないかと提言している。


(2017.4.9)
  喫煙による世界の死者数が90年から5%増加 2015年には640万人超
ライブドアニュース(AFPBB News) 4月6日
 
喫煙による世界の死者数、1990年から5%増 研究
 
【AFP=時事】毎日たばこを吸う人の割合は1990年以来、ほとんどの国で男女ともに減少しているが、その一方で、喫煙者数やたばこ関連死の件数は増加しているとの研究報告書が6日、発表された。
 
 英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された報告書「世界の疾病負荷(GBD)」は、大手たばこメーカーが新たな市場、特に発展途上国で積極的にマーケティングしていくことで、死者数はさらに増加するおそれがあると警鐘を鳴らしている。
 
 報告書は、多くの科学者らが参加してまとめられた。これによると、2015年の毎日たばこを吸う人の割合は男性で4人に1人、女性で20人に1人だった。これは、男性で3人に1人、女性で12人に1人だった25年前と比べて大幅に減少したことになる。
 
 一方、喫煙による死者数は同期間に4.7%増加し、2015年には640万人を超えた。世界人口の増加が原因とみられている。
 
 2015年の毎日たばこを吸う人の総数は9億3000万人以上で、1990年の8億7000万人から7%増加した。
 
 世界の死者のうち、10人に1人が喫煙によって死亡しており、その半数をわずか4か国――中国、インド、米国、ロシア――が占めている。この4か国にインドネシア、バングラデシュ、フィリピン、日本、ブラジル、ドイツを加えた国々が、世界のたばこ消費量の3分の2を占めている。
 
 世界保健機関(WHO)は、サハラ以南のアフリカでたばこを吸う人の数について、2025年までに2010年比で50%増加するとの見通しを示している。
 
 英ノッティンガム大学(University of Nottingham)英国タバコ・酒類研究センター(UK Centre for Tobacco and Alcohol Studies)のジョン・ブリットン(John Britton)氏は同誌コメント欄に「低・中所得国における将来の死者数は莫大なものになるとみられる」と書いた。
 
 WHOは、「たばこは製造者が意図した通りの用法で使用したとしても、大勢の命を奪う唯一の合法ドラッグ」と指摘。禁煙しなければ、毎日たばこを吸う人の半数が早死にすると推定している。
【翻訳編集】AFPBB News


(2017.4.9)
 「分煙では効果ない」 WHOが、日本に全面禁煙を勧める根拠とは
ハッフィントンポスト 4月8日
 
たばこの受動喫煙対策をめぐり、世界保健機構(WHO)のアサモア・バー事務局次長らが4月7日、厚生労働省で塩崎恭久大臣と面会した。バー次長らは塩崎氏にたばこの影響に関する調査報告書や手紙を渡し、東京オリンピック・オリンピックに向けて屋内禁煙の徹底を求めた。
 
面談では、バー事務局次長が塩崎大臣に公共の場での禁煙を求める手紙を手渡し、「五輪を機会にさらに強いタバコ対策を願っている。日本にはリーダーシップをとってほしい」と訴えた。
 
塩崎恭久・厚生労働相と面会するアサモア・バー事務局次長
 
塩崎氏は面会後、3月に公表した受動喫煙対策の厚労省原案について、「今国会の法案提出に向けて努力しないといけない。1度も正式に説明していないので、厚生労働部会で私たちの考えを聞いてもらいたい」と、議論の場を早期に設けたい考えを示した。
 
五輪に向けて、「妊娠している女性や子ども、海外から来る人らを始め、8割いる非喫煙者に対して、意図しない受動喫煙にあわないようにしていきたい」と述べた。
 
■WHO部長「五輪は国レベルでアクションをとるきっかけ」
面会が終わると、WHOのダグラス・ベッチャー生活習慣病予防部長が記者会見を開いた。日本や世界のたばこの禁煙政策の現状などについて説明し、屋内の全面禁煙の重要性を訴えた。
 
WHOによると、2014年時点で、世界49カ国が、屋内の公共の場所が全面禁煙となっている。一方日本は、法律で喫煙を禁じている屋内の公共の場がなく、受動喫煙政策の普及状況を示したWHOの評価基準で、4段階中で最低ランクに位置付けられている。こうした日本の現状を、ダグラス部長は「時代遅れだ」と指摘した。
 
記者会見するWHOのダグラス・ベッチャー生活習慣病予防部長
 
厚労省が勧める分煙型の受動喫煙対策については、同じくレストランやバーを分煙にしたスペインで、受動喫煙の数値があまり改善されなかったことを挙げ、「部分的禁煙は効果がなく、受動喫煙を防ぐことはできない」と主張した。
 
全面禁煙の導入では、売り上げへの影響を懸念する飲食店もある中で、「たばこが経済に及ぼす影響について調べたWHOの研究で、全面禁煙を導入したアメリカや南アフリカなどの国々では、レストランの売り上げ減少はなかった」と述べ、悪影響が出る可能性を否定した。
 
むしろ、「レストランを訪れる人は、きれいな空気の中で食べたり飲んだりしたいという理由で、全面分煙をとても支持している。市場価値の研究では、完全禁煙にした方が価値が高まった」と強調した。
 
オリンピックを機に、ロシアや中国などの過去の開催国が禁煙に取り組んできた実績を踏まえ、「国レベルでアクションをとるきっかけになる。完全禁煙の法律を目指すべきだ」と述べた。
 
禁煙への反発で、日本で法整備が進まないことについて問われると、「他の国も同様の追及や疑問があった。経済や健康を守るため、完全禁煙の法律は当たり前になるべきだ」と話した。
 
■厚労省案は分煙型、自民議連は反発
厚労省が3月に公表した原案では、病院や学校が敷地内禁煙、福祉施設や公的機関は屋内の全面禁煙とする一方、飲食店や娯楽施設は喫煙室の設置を認め、分煙となっている。中でも、議論となった小規模のバーは、規制から外した。
 
これに対して、禁煙に反対する自民党のたばこ議連が、禁煙の導入を飲食店の判断に委ねることを盛り込んだ「対案」を提示。国会内で反発する動きが出ており、受動喫煙対策の法整備が滞っている。


(2017.4.7)
 「完全禁煙、絶好の機会」=WHO部長、厚労省にエール
ヤフーニュース(時事通信) 4月7日
 
 来日した世界保健機関(WHO)のダグラス・ベッチャー生活習慣病予防部長は7日、厚生労働省で記者会見し、受動喫煙対策について「完全禁煙は世界基準になってきており、東京五輪を控えた日本は今が絶好の機会だ」と述べた。
 
 世界保健デーのこの日、対策強化を盛り込んだ健康増進法改正案の国会提出を目指す塩崎恭久厚労相を表敬訪問しエールを送った。
 
 ベッチャー部長はたばこ規制政策の第一人者で、「日本には何度も来ているが何も変わっていない」と苦言。厚労省案が飲食店や一部公共交通機関、職場などに喫煙所の設置を認めていることに対し、「部分的な禁煙では受動喫煙を防ぐことはできない。100%禁煙にしてほしい」と注文を付けた。
 
 売り上げが減るとする法案反対派の懸念には「米国やオーストラリアなどでは完全禁煙後もレストランの売り上げ減少は全くなかった。生産性が上がり、欠勤が減ったことも分かっている」と強調。アイルランドでは喫煙者の7割が完全禁煙を支持していると紹介し、「日本も支持されている。事業者や政治家は何も恐れることはない」とした。 


(2017.4.7)
 厚労相 受動喫煙防止策の徹底でWHOと一致
NHK NEWS WEB 4月7日
 
塩崎厚生労働大臣はWHO=世界保健機関の事務局次長らと会談し、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、受動喫煙防止策を徹底すべきだという認識で一致し、建物の中を原則禁煙とする法案の今の国会への提出を目指す考えを改めて示しました。
 
厚生労働省は、今の国会に飲食店などの建物の中を原則として禁煙とする法案の提出を目指しているのに対し、自民党の「たばこ議員連盟」は容認できないとして、飲食店の経営者が禁煙、分煙、喫煙を選択できるなどとする対案をまとめるなど、自民党内の調整は難航しています。
 
こうした中、WHOのバー事務局次長とタバコ規制政策を担当するベッチャー生活習慣病予防部長が7日夕方、塩崎厚生労働大臣と会談しました。
 
この中で、WHO側は「1998年以降、オリンピックの開催地では喫煙の禁止が徹底されてきた。日本にもさらに強い受動喫煙対策に取り組んでもらいたい」と述べました。
 
これに対し、塩崎大臣は「しっかりと対応していきたい」と述べ、受動喫煙防止策を徹底すべきだという認識で一致しました。
 
会談の後、塩崎大臣は記者団に対し、「『オリンピック開催地の伝統を守ってほしい』と繰り返し伝えられた。厚生労働省の案に理解を得られるよう、丁寧に説明し、政策を推し進めていきたい」と述べ、法案の今の国会への提出を目指す考えを改めて示しました。


(2017.4.7)
 五輪相 WHOの要請受け受動喫煙防止の対応検討へ
NHK NEWS WEB 4月7日
 
丸川オリンピック・パラリンピック担当大臣は、WHO=世界保健機関の事務局次長らと会談し、2020年東京大会で受動喫煙の防止対策を徹底するよう求められたのに対し、要請に応えられるよう対応を検討していく考えを示しました。
 
丸川オリンピック・パラリンピック担当大臣は7日午前、来日しているWHO=世界保健機関のバー事務局次長らと内閣官房の大臣室で会談しました。
 
この中で、WHO側は「日本では十分な受動喫煙の防止対策が取られておらず、先進国では非常に不思議なことだ。WHOは、IOC=国際オリンピック委員会との間で、『たばこのないオリンピック』で合意しており、受動喫煙による健康被害を防ぐ『スモークフリー』は2020年の東京大会を開催するうえでの強い要請だ」と述べました。
 
これに対し、丸川大臣は「塩崎厚生労働大臣ともよく連携し、しっかり取り組んでいく」と述べ、WHO側の要請に応えられるよう対応を検討していく考えを示しました。
丸川大臣は閣議の後の記者会見で、「WHOの要求は真摯(しんし)に受け止めなければならない。健康増進や健康への意識を高めることは、2020年の大会のレガシー・遺産になると見なしており、これが担保される、実効性のある法律が作られることは非常に重要だ」と述べました。


(2017.4.1)
 新国立競技場 全面禁煙 JSC方針、喫煙室設けず
 毎日新聞 3月31日
 
 2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場が建物内に分煙のための喫煙専用室を設置せず、全面禁煙とする方針であることが30日、管理運営する日本スポーツ振興センター(JSC)への取材で分かった。受動喫煙対策の厚生労働省案で、プロ野球の球場など興行を目的とする体育施設は例外的に喫煙室を設けることができる。新国立も興行場との位置付けだが、JSCは「時代の流れに逆行する」として設置しない。 JSCによれば、国賓らが利用するVIP室は特別に喫煙を認める可能性はあるが、設計図や仕様書を作製する実施設計でも観客のためには喫煙室の場所を確保していない。周囲の回廊部分や広場など屋外にも喫煙所は設置しない方針だ。新国立は東京大会後に運営を民間に委ねるコンセッション方式を採用する方向。「全面禁煙」は公募段階の条件とするという。ただし、イベントなどの大会主催者が仮設の喫煙所を屋外に設置することまでは制限しない。
 
 また、東京都が五輪会場として新設する6施設のうち、屋内施設の有明アリーナ(江東区)は大会後にコンサート会場など興行場として使われる。都は喫煙室について「設置を前提に設計はしていないが、具体的な検討はこれから」としている。
 
過去大会では建物外に設置
 五輪期間中の会場運営は大会組織委員会が担当する。国際オリンピック委員会(IOC)は1988年以降、会場や選手村の敷地内は屋内を禁煙にして、建物外に喫煙所を設置してきた。屋内に喫煙室の設置を認めない点で、厚労省案より厳しい。組織委は東京五輪も過去の大会と同様の措置をとる方針だ。
 
 このため、厚労省案では喫煙室の設置が認められている興行場にあたる野球・ソフトボール会場の横浜スタジアム(横浜市)、サッカー会場の埼玉スタジアム(さいたま市)なども、大会期間中は喫煙室があっても封鎖される。組織委の担当者は「過去と比べ東京五輪で対策が後退することはない」と説明する。
 
 IOCは10年に世界保健機関(WHO)と協定を締結して、「たばこのない五輪」を推進してきた。厚労省によれば、08年以降、日本を除く全ての開催地で罰則を伴う受動喫煙防止対策を講じている。日本は会場敷地内こそIOCの基準で世界標準に達しているが、厚労省健康課は「飲食店など非喫煙者の権利を守る必要がある。その点では日本の対策は世界最低レベル」と指摘した。【田原和宏】


(2017.3.29)
 自民の受動喫煙防止議連 厚労省案を緩和すべきでない
NHK NEWS WEB 3月28日
 
自民党の「受動喫煙防止議員連盟」は、厚生労働省が飲食店などの建物の中を原則として禁煙とする法案のたたき台をまとめたことについて、国際的に最低限守るべきレベルの対策であり、これ以上緩和すべきでないとする決議を取りまとめました。
 
厚生労働省は、今の国会に飲食店などの建物の中を原則として禁煙とする法案の提出を目指していますが、自民党の「たばこ議員連盟」が、一方的な内容で容認できないとして、飲食店の経営者が禁煙、分煙、喫煙を選択できるなどとする対案をまとめるなど、自民党内の調整が難航しています。
 
こうした中、自民党の「受動喫煙防止議員連盟」が総会を開き、国民全体の健康を守るためには対策の強化が喫緊の課題だとして、受動喫煙防止策についての決議をまとめました。
 
決議では、厚生労働省が示した法案のたたき台は国際的に見ても恥ずかしくない最低限守るべきレベルの対策であり、これ以上緩和すべきでないこと、禁煙場所の例外はいたずらに対象が広がらないよう要件を明確化することなどを求めています。
 
議員連盟は決議内容を踏まえて、法案をまとめるよう、近く塩崎厚生労働大臣などに申し入れることにしています。


(2017.3.29)
 自民の受動喫煙防止議連 厚労省案支持の決議採択
ビッグローブニュース(産経新聞) 3月28日
 
 自民党の受動喫煙防止議員連盟(会長・山東昭子元参院副議長)は28日、党本部で総会を開き、飲食店を原則、建物内禁煙(喫煙室設置可)とする受動喫煙対策の厚生労働省案が後退しないよう政府に求める決議を採決した。小規模店舗を規制の例外とする場合は要件の明確化を求めた。
 
 山東氏は「対策が遅れている現状を打破するため一日も早く法律を作って浸透させることが重要だ」と述べた。


(2017.3.29)
 <受動喫煙>「小規模な居酒屋は原則屋内禁煙」支持を決議
ビッグローブニュース(毎日新聞) 3月28日
 
 ◇自民党の受動喫煙防止議員連盟が修正
 
 自民党の受動喫煙防止議員連盟(会長・山東昭子元参院副議長)は28日、厚生労働省が検討している小規模なバーやスナックを除いて原則屋内禁煙とする受動喫煙対策について「国際的に恥ずかしくない最低限守るべきレベルの対策だ」と支持する決議をした。厚労省案には盛り込まれていない「公衆喫煙所以外での屋外禁煙」も求めた。
 
 同議連は今月8日、小規模な居酒屋などは規制対象外とする見解を示していたが「最近は居酒屋も子ども連れの利用があり、高校生のアルバイトもいる」などとして修正した。党内には、分煙徹底を主張して厚労省案に反対しているたばこ議員連盟(会長・野田毅元自治相)もある。【山田泰蔵】


(2017.3.29)
 喫煙経験率が10分の1に激減 たばこの危険性教えた効果テキメン 和歌山
dmenu ニュース(産経新聞) 3月28日
 
 和歌山県新宮市と新宮保健所が厚生労働省と日本公衆衛生協会の「衛生教育奨励賞」を受賞した。小中学生に対する十数年にわたる「防煙教育」で、中学生の喫煙経験率が10分の1に低下したことなどが評価された。地域で地道に取り組む喫煙対策にも、大きな効果があることが立証された形だ。
 
 新宮保健所は東牟婁地域の串本、古座川両町以外を管轄にしている。平成27年度の管内の小中校生は814人だった。
 
 健康増進法の制定をきっかけに同保健所が平成14年度、アンケートを実施したところ、中学生の喫煙経験率は30・6%だった。一方、厚労省の12年度の全国調査では、「毎日喫煙+30日に1日以上喫煙」の男子中学生は、中1が6%、中2が8・2%、中3が14%と、単純には比較できないが新宮保健所管内は高かったことがうかがえる。
 
 新宮市と保健所では15年から市内の小学1年生と4年生を対象に防煙教育を開始。同市以外の自治体や中学生、高校生にも対象を広げ、DVDで物語風にたばこのニコチンやタールなど三大有害物質の危険性や、受動喫煙で子供や妊婦に与える影響を教えた。
 
 保健所保健福祉課は「将来喫煙しないように教育するだけではなく、家族にも勧められるように指導した」と話す。同市は、妊婦の夫が参加するマタニティー教室にまで対象を拡大し、禁煙の講習会や4カ月児検診では周囲の喫煙者の有無を把握し、保健指導を行っている。
 
 その結果、20年度の調査では中学生の喫煙経験率は6・3%、25年度は3・1%まで激減した。また、同市民アンケートによれば、20?64歳の喫煙率は16年度の27・6%から24年度には19・7%に下がった。
 
 同課は「長年の指導で喫煙率の低下につながった。市民の健康増進のために、今後も続けていきたい」と話している。


(2017.3.28)
 「例外のない屋内禁煙を」 病児保育のNPOが要望書
朝日新聞デジタル 3月27日
 
 厚生労働省が今国会への提出を目指している受動喫煙対策を強化する法改正案について、病児保育を手がけるNPO法人フローレンスなどは27日、飲食店も含め公共空間で例外のない屋内禁煙を求める要望書を塩崎恭久厚労相に提出した。
 
 要望書では、両親からの受動喫煙による乳幼児突然死症候群のリスクが4・7倍になるなど、子どもたちは「有害物質への感受性が高く、自ら逃れられない弱く無防備な存在」と指摘した。駒崎弘樹代表理事は記者会見で「受動喫煙は虐待と言っても過言ではない。立場の弱い子どもや妊婦を思いやってもらえるよう、国会議員にも働きかけていきたい」と話した。
 
 また、日本呼吸器疾患患者団体連合会なども同日、「現状では呼吸器疾患で苦しむ人が減らない」として厚労省の法改正案に賛同する要望書を出した。
 
 24時間酸素吸入が必要な慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)患者で喫煙歴のない会社員高村春仁さん(52)は「受動喫煙によって症状が進行すれば命取りになる。抜本的な対策をとってほしい」と訴えた。(竹野内崇宏)


(2017.3.28)
 政府が検討している受動喫煙対策を強化する法案について
 今村聡副会長
 日医online 3月22日
 
 今村聡副会長は3月22日、記者会見を行い、政府が検討している受動喫煙対策を強化する法案に対する日医の考えを改めて説明した。
 
 同副会長は、まず、たばこの害について、@喫煙は肺がんに限らず、脳卒中、心筋梗塞や慢性閉塞性肺疾患など、多くの疾患の要因にもなり、その年間死亡者数は13万人にのぼると言われていることA受動喫煙が原因の死亡者は1万5000人いると言われており、たばこは、全ての年齢に影響を及ぼす、まさにサイレントキラーと言えること−などを説明。「室内における喫煙は、単なるマナーや嗜好の問題ではなく、国民の健康被害の問題として捉え、抜本的に受動喫煙対策の強化に取り組む姿勢を示す必要がある」との考えを示した。
 
 また、多数の国会議員から法案に対する反対意見や慎重論が出たため、当初の厚労省案から、大きく後退した内容が示されたことについては、「国民の健康増進という視点からは、決して容認することはできない」と述べた。
 
 その上で、同副会長は、例外を設けることなく、受動喫煙防止対策を進めていくためには受動喫煙により被害を受ける国民全体で問題意識を共有し、一丸となって取り組む必要があるとの考えの下に、今回、日医で小冊子『あなたのためそばにいるひとのため 禁煙は愛』を制作したことを報告。
 
 小冊子の中では、「日本の受動喫煙対策は世界最低レベルにあること」「たばこはがんだけではなく、さまざまな病気の原因になること」「喫煙者の吸い込む煙と同じくらい、その周囲の人の吸い込む煙は有害であること」などが紹介されているとするとともに、「今後も『国民の健康を守る専門家集団』として、今回制作した冊子等を活用しながら、国民にたばこの害を訴え続け、受動喫煙対策を強化する法案の実現を求めていきたい」と述べた。
 
 なお、本小冊子は、今後各種国民向けのイベント等で配布する他、日医のホームページにも同様の内容を掲載するとともに、印刷して活用してもらえるように、PDFファイルも掲載する予定となっている。


(2017.3.27)
 開始も禁煙もつながりがカギ(記者の一言)
朝日新聞 apital 3月25日
 
 たばこ依存症を取り上げるに当たって、禁煙している患者さんを探しているとき、沖縄大学の山代寛教授から「担当患者さんで2人一緒にやめようとしている人がいる」と紹介されたのが、平仲佳子さんと高江洲孝代さんです。
 
 2人は高校時代からの友人で誕生日も同じ。ともにクリスチャンなので毎週、教会で顔を合わせるほか、なんだかんだと電話で連絡を取り合う仲だそうです。
 
 2人から取材で話を聞くうち、「ピアプレッシャー」という言葉を思い出しました。仲間からの圧力という意味です。
 
 思春期の子どもが、たばこを吸い始めてしまうのも、周りで吸っている仲間に格好いいと憧れ、吸っていない自分は格好悪いと思ってしまう、そうした「圧力」がきっかけになるという指摘があります。
 
 ですが、ピアプレッシャーはよい方にも作用します。
 
 平仲さんが禁煙外来を受診したと聞いた高江洲さんは、自分も一緒に受診します。偶然ではありますが、同じ8月6日の誕生日までにはやめようと、2人で禁煙に励むのでした。その後、再び喫煙してしまいますが、改めて2人で禁煙外来を受診するところまでこぎ着けます。
 
 2人の場合、禁煙までのプロセスに、クリスチャンのコミュニティーでのつながりも影響しています。平仲さんが「ちばなクリニック」の禁煙外来に行ったのは、禁煙に成功したクリスチャン仲間の勧めがあったからです。再度の禁煙に挑戦するのも、2度目の禁煙で成功したクリスチャンの知人からの勧めがあったからでした。
 
 禁煙外来で、主治医の山代寛さん(奥)に近況を報告する高江洲さん(手前左)と平仲さん
 
 こうした仲間同士で支援しあう形の依存症克服は、ギャンブルや禁煙の自助グループにも共通します。ことほどさように、個人の健康にまつわる行動の取り方は、仲間や所属する集団のありように、少なからず影響を受けることは、様々な研究で明らかになっています。
 
 人のつながりでもたらされる健康にまつわる行動の変化などを研究しているニコラス・クリスタキス米イェール大教授らは、米マサチューセッツ州のある町の出身者を対象にした大規模な健康追跡調査のデータから興味深い動きを見つけました。
 
 「ある人がたばこをやめると、友人、友人の友人、そのまた友人へと(禁煙の)波及効果が広がっていく。(中略)禁煙には、時間と空間での一種の同調性がある。相互につながった喫煙者グループの全体が、お互いを知らなくても、ほぼ同時にそろってたばこをやめる。反喫煙の波が全員に波及していくかのようだ。(中略)たばこをやめる決意は、バラバラの個人が1人でするわけでない。そこには直接・間接につながった個人からなるグループの選択が反映しているのである」(著書「つながり」から引用)
 
 裏を返せば、自分がどんな集団に所属しているかで、健康・不健康のリスクが減ったり増えたりしているともいえます。
 
 クリスチャンのコミュニティーに所属している2人の禁煙ストーリーは、日頃つながっている人たちとのつながりがもたらす、良い意味での副作用なのだ。そう実感しました。
 
<アピタル:患者を生きる・依存症>
http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(錦光山雅子)


(2017.3.26)
 緊急意見表明 (urgent press release) 「受動喫煙防止策は、国際標準での法整備実現を」
             国際赤十字・赤新月社連盟 会長 近衞忠W
                      世界医師会 会長 横倉義武
 
 受動喫煙防止のための法整備として「健康増進法」の改正案が、現在、政府内において審議されています。
 
 また、1万名を超えるアンケート調査によって、国民の73%以上が厚生労働省の原案(面積にかかわらず屋内は禁煙とする)に賛成しており、反対はわずか10%以下と言うことです。さらに飲食店従業員も65.4%が賛成しています。
 
 一部の小規模飲食店のみ例外とすると、そこで勤務する労働者をタバコの煙による健康被害から守ることができません。
 
 受動喫煙からすべての国民の健康を守ることこそが目指すべき、国際標準であります。
 
 我が国政府は、平成16年3月9日に「タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約」に署名し、平成17年2月27日に本条約が発効しました。この条約を確実に、また誠意をもって施行することは、日本の責務であり、かつ、国民の健康増進のためには不可欠なものと言えるでしょう。
 
 さらに、平成22年には世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)は、「タバコのないオリンピック」開催を共同で推進することとし、実際に北京、ロンドン、リオデジャネイロ、またソチ、平昌では国際標準の受動喫煙防止法のもとで行ったか、行うことになっています。
 
 このため、わたしたちは、厚生労働省の原案のとおり、法整備を進めることを要望いたします。
 平成29年3月吉日


(2017.3.26)
 受動喫煙が死因の事例は年間1万5000件。「受動喫煙防止対策」に迫る
ヤフーニュース(ホウドウキョク) 3月21日
 
受動喫煙防止対策をどのように進めるのか?
原則、飲食店も全面禁煙とする法案を厚労省は今国会にも提出すべく準備中ではあるが、与党内からも反発の声が上がっているのが実情だ。なぜ、いま厚労省は「受動喫煙防止対策」を強化、推し進めようとしているのか?
 
厚生労働省の社会保障担当参事官室企画官、野崎伸一さんが解説する。
8割以上が「非喫煙者」
まず過去50年で喫煙者の割合が20%以下まで減ってきている。その状況下で、喫煙による肺がんのリスクは当然あるが、非喫煙者でも受動喫煙による肺がんのリスクがあるということ。
具体的には、非喫煙者が受動喫煙を繰り返すことで、疾患リスクが通常の1.3倍になる。また少なくとも年間1万5000人が、受動喫煙を理由に肺がんなどの疾患で死亡しているというデータもある。
つまり、受動喫煙も健康上のリスクが非常に高いということが言える。
 
平成15年に健康増進法で「受動喫煙防止対策」を法例化
厚労省も「健康増進法」の中で、受動喫煙防止対策をすすめてきた。しかし、喫煙者は減っているにも関わらず、飲食店を筆頭に、非喫煙者はいまなお受動喫煙のリスクにさらされているのが実情。
受動喫煙に遭遇する場所や割合の調査結果を見ると、現行の受動喫煙防止対策が不十分であることが明確と言わざるを得ない。「努力義務」や「自主的取り組み」を促す対策では足りないと問題意識が、法律的な規制強化を進めようとしている背景にあるのだ。
 
それでも、日本の取り組みは世界最低ランク
WHO(世界保健機関)が、公共の場所を病院、学校、飲食店など8種類に分類し、世界各国の公共スペースにおける禁煙規制の取り組みを調査、発表している。これによれば、日本は8種類の公共の場所のうち0〜2種の場所でしか禁煙規制をしていない。つまり世界最低ランクに位置付けられている。
 
過去のオリンピック開催国が、禁煙規制を強化した理由
2010年、WHO(世界保健機関)とIOC(国際オリンピック委員会)が「た
ばこのないオリンピックを目指す」ことで合意。これ以降、五輪開催国
では喫煙ルールに罰則を伴う法規制を実施している。当然、日本もこれに沿って、喫煙規制を強化、受動喫煙の防止対策の強化をすすめ、いまの最低ランクからは上がる必要があると考えている。
 
分煙では解決にならない理由
飲食店などで多くみられる分煙の仕組みは、仕切りのない空間で、喫煙席と禁煙席と席を分けているもの。私も分煙されている喫茶店に行くことはあるが、禁煙席に座っていても、喫煙席からの煙が流れてくることがある。煙は空気に混じると目には見えないこともあるのだが、そこには有害物質が飛んでいる。つまり、非喫煙者の方は、禁煙席にいても受動喫煙のリスクから完全に保護されていない。
また、飲食店の従業員の中には、未成年者もいる、妊娠中の従業員もいるかもしれない。分煙されていても、従業員は喫煙席も業務上入らなくてはならない。そう考えると従業員の保護がまったくできていない。今のような単に席を分けるだけでの分煙では、まったく不十分だ。
 
喫煙席ではなく「喫煙専用室」
厚生労働省での提案では、「飲食店は原則禁煙。屋内に『喫煙専用室』の設置を可能」にしている。「喫煙専用室」とは、間仕切りがあり、喫煙室内の煙が外に出ないようにするのが、基本的な考え方。
すでに、一部の飲食店で見かけることもあるが、飲食スペース外に喫煙専用ブースを設置し、タバコだけを吸い、吸い終わったら席に戻るというもの。喫煙者の方には面倒をかけるかもしれないが、喫煙によって他の人の健康を害しているという意識に立てば、この程度の不便さは我慢していただくべきと考えている。
 
70%の人が飲食店の全面禁煙を望んでいる
最近の世論調査では、およそ7割が飲食店などの喫煙の全面禁止に賛成しているという結果が出ている。これは、屋内に喫煙室の設置も不可とする全面禁煙に賛成しているという意見。
(先述の厚生労働省が提案する)「喫煙専用室」を設置を認める屋内禁煙案の賛否についても、約6割の賛成を頂いている。非喫煙者の割合が8割に上っているなか、非喫煙者は当然、煙を吸いたいとは思わないので、厚労省案にもきちんと支持していただけていると思う。
 
店内禁煙化でも飲食店の売上が落ちるとは限らない
飲食店では全面禁止化によって、売上に影響が出ると不安視する声がある。そこで、全面禁煙化が売上にどのような影響を及ぼすのか調査を実施。愛知県で自主的に全面禁煙にした店舗1163店舗を対象に、全面禁煙化の前後の売り上げを比較すると、95%の店舗で変わらなかったという結果が。売上減となった店舗はわずか4%だった。
さらに、あるチェーンレストランで全面禁煙化したところ、売上が4%
増加したという結果もある。小規模な飲食店の場合だと、全面禁煙化で経営悪化を懸念する声があるが、こうしたデータから見ると、(店舗の規模に関わらず)全面禁煙導入の前後での売上の影響は大きくないと考えている。
 
屋外喫煙規制は自治体ごとにバラつきがある
海外では屋内喫煙に厳しく規制を設けていても、屋外喫煙には厳しく規制しない国もある。
ところが日本では、屋外での喫煙を制限、違反者に罰則を設けている自治体も存在する。
・歩きたばこの禁止
・携帯灰皿があれば喫煙可能
・灰皿がある場所または私有地内での喫煙可能
など、自治体ごとに規制がまちまちだ。
今回法案が成立すれば、厚生労働省としては、各市区町村・自治体ごとに法例の主旨を丁寧に説明し、屋外での喫煙規制を厳しく敷いている自治体には、国で設けた規制と調和を取っていただくよう、各自治体にお願いをしていきたい。
 
受動喫煙対策はオリンピック開催に関係なく、推し進めるべき
喫煙は個人の自由、個人の楽しみではないか?という声もある。しかし、個人の自由・楽しみのために、非喫煙者の健康が害されることが、後回しにされているのが現状。
本来は、受動喫煙対策はオリンピック開催に関係なく、推し進めるべき。また、日本も他の先進国並みに、非喫煙者の健康にも配慮できる先進国にしていきたいと考えている。


(2017.3.26)
 禁煙外来で病院職員喫煙、報酬4700万円返還
YOMIURI ONLINE 3月23日
 
 禁煙外来を設けていた島根県江津市の済生会江津総合病院(中沢芳夫院長、300床)の敷地内で職員が日常的に喫煙していた問題で、同病院が約5年分の診療報酬の自主返還額を約4700万円と算定し、厚生労働省中国四国厚生局島根事務所に報告したことがわかった。
 
 同病院は当初、返還額を約2000万円と試算していたが、実際には2・5倍近くになった。同事務所が書類を確認後、同病院は保険者らへの返還手続きを進める。
 
 同厚生局は昨年8月23日、喫煙を告発する内容の情報提供に基づいて調査し、病院内で喫煙している職員を発見。同病院に改善報告を求めるとともに、敷地内の全面禁煙を条件に同病院が受けている「ニコチン依存症管理料」などの診療報酬について、受け取る基準を満たしていないとして返還するよう文書で指導した。
 
 同病院によると、同9月に禁煙外来の診療を休止するとともに、過去の明細書を調べるなどして返還対象となる項目や患者について精査してきた。返還対象の診療報酬は「入院栄養食事指導料」や「小児科療養指導料」など21項目にわたり、同病院の禁煙外来が保険適用となった2012年以降の1万9062件(患者数1640人)で、返還額は4698万9300円。
 
 当初は返還額を約2000万円と試算して内部に通知していたが、2倍以上に膨らんだことについて、同病院は「当初の見込みより関連項目、件数が増えた」としている。
 
 同病院は3月9日付で返還額や対象患者などを記した「返還同意書」を同事務所に提出。同事務所が確認した上で、保険者の健康保険組合や自己負担した患者などに返還される。
 
 同病院では昨秋の問題発覚後、法令順守(コンプライアンス)について職員研修を実施。敷地内の全面禁煙を知らせる掲示を増やすとともに、1日4回、担当者が喫煙している職員や患者がいないか見回っているという。
 
 同病院総務課の担当者は「職員の敷地内での喫煙はなくなった。ただ、巡回に出ると敷地で吸い殻が見つかることがあった。禁煙環境の整備をさらに進めたい」と話している。(岡信雄)


(2017.3.25)
 飲食業65%が禁煙賛成 受動喫煙対策の意識調査
共同通信 47NEWS 3月24日
 
 九州看護福祉大(熊本県)などの研究チームは24日、受動喫煙対策に関する全国約1万人を対象とした意識調査で、飲食店で働く人の65%が、飲食店を原則禁煙とする厚生労働省案に賛成し、反対は18%だったとの結果を発表した。
 
 厚労省案を巡っては、飲食業界の反発などを根拠に、自民党内で反対の声が強い。たばこ規制を訴える医師らでつくる「日本禁煙学会」の作田学理事長は「反対は一部の経営者で、多くの従業員は禁煙に賛成していることが示された」と話している。
 
 調査は2月、全国の20〜70代の男女を対象にインターネットで実施。全体の73%が厚労省案に賛成した。


(2017.3.24)
 例外設ける受動喫煙対策案、「容認できず」 - 日医・今村副会長
ヤフーニュース(医療介護CBニュース) 3月22日
 
 厚生労働省が示した小規模の飲食店を建物内禁煙の対象から除外する受動喫煙防止の強化案などについて、日本医師会(日医)の今村聡副会長は22日の記者会見で、「国民の健康増進の観点から決して容認することはできない」とし、例外を設けることなく飲食店を建物内全面禁煙とすべきとの考えを示した。【松村秀士】
 
 受動喫煙防止の強化策をめぐっては、厚労省が昨年10月、飲食店やホテルなどを「原則建物内禁煙」(喫煙室設置可)とし、学校や医療機関では「敷地内禁煙」とすることを盛り込んだたたき台をまとめた。同省ではこのたたき台をベースにした健康増進法改正案を今通常国会に提出することを目指しているが、飲食業界などから一律に規制すべきではないといった反対意見が出ている。こうした指摘を受けて同省は今月1日、小規模なバーやスナックといった飲食店を建物内禁煙の対象から除外する案を示した。
 
 22日の会見で今村副会長は、飲食店などでの受動喫煙防止策について、「抜本的に取り組む姿勢を示す必要がある」と述べた。また、「日医としては、例外を設けることなく受動喫煙の防止対策を進める当初の厚労省の案(たたき台)を強く支持する」との考えも示した。
 
■喫煙の健康被害など解説した小冊子を作製
 日医は、喫煙の健康被害や禁煙外来などについて解説した小冊子を作製した。主に一般の人を対象としたもので、日医では禁煙に関するイベントで配布するほか、ホームページでも公開している。


(2017.3.23)
 たばこ全面禁煙めぐり自民党内紛 たばこ業界からの自民党議員への献金も背景に
ヤフーニュース(週刊金曜日) 3月23日
 
 東京五輪・パラリンピックに向けて厚生労働省が公表した、他人のたばこの煙にさらされること(受動喫煙)を防ぐ対策が、自民党内で激しい反発にあっている。
 
 飲食店での喫煙を原則禁止としつつ小さなバーなどは例外とした妥協案なのに、慎重派の議員が「まだ規制が厳しすぎる」と騒いでいるのだ。推進派は全面禁煙を譲った厚労省案でもやむなし、と受け入れる構えだが、慎重派の鼻息は荒く、決着の行方は見通せない。
 
 厚労省は、受動喫煙で肺がんなどのリスクが高まるとし、国内で年間約1万5000人が死亡していると推計している。にもかかわらず、今の日本の対策は努力義務にとどまり、世界保健機関(WHO)からは「世界で最低レベル」と断じられている。国際オリンピック委員会とWHOは「たばこのない五輪」で合意しており、政府としても2020年の東京五輪に向けた対策は避けられない。
 
 規制強化策を検討してきた厚労省は1日、禁煙の場で繰り返し喫煙する人に30万円以下の過料を科すといった罰則付きの案を公表した。(1)小中高校や医療機関は敷地・建物とも全面禁煙(2)官公庁や老人福祉施設は建物内禁煙(3)オフィスや飲食店(屋外テラス席も)禁煙──としつつ、(3)は建物内に喫煙室の設置を認めている。
 
 (3)の飲食店には、焦点の居酒屋や焼き鳥屋も含まれる。ただし、慎重派に配慮し、「小規模」なバーやスナックなどは喫煙可とした。厚労省は小規模の定義を「面積30平方メートル以下」とする意向だ。昨年10月に示した「たたき台」は例外を設けていなかっただけに、規制推進派は「後退」と受け止めている。それでも、慎重派は居酒屋などが規制対象として残ったことに「飲食業への打撃が大きい」とさらなる妥協を求めている。
 
 厚労省案は早くから水面下で広がり、内容を知った慎重派は不満を募らせていた。同省は3月に健康増進法改正案としてまとめ、今国会に提出することを目指しているが、それを見越した慎重派は、2月15日の自民党厚労部会に大挙して乗り込んだ。関係業界団体の代表が見守るなか、「分煙を成熟させるべきだ」「30平方メートルに何の根拠があるのか」などと推進派を責め立てた。
 
【安倍首相は沈黙】
 一見、飲食業界の応援団が多いように見える。しかし、WHOによると「喫煙規制による飲食業の減収はない」。実際、慎重派の中核は、たばこ業界の発展をうたう「自民党たばこ議員連盟」の面々だ。たばこ業界は多くの自民党への献金を怠らない。
 
 同議連の野田毅会長は「禁煙よりは分煙」と強調し、坂本哲志事務局長は「禁煙なのか分煙なのか、経営者が選択できる仕組みが必要」と訴えている。
 
 このままでは党内合意を得られないと危惧した自民党の茂木敏充政調会長は2月24日、田村憲久元厚労相や同省の二川一男事務次官らを呼んで調整に乗り出した。が、厚労官僚は動けない。塩崎恭久厚労相が「居酒屋には子どもさんも訪れる。外国人への『おもてなし』を掲げる五輪で、受動喫煙はあり得ない。妥協するな」とハッパをかけているからだ。3月3日の記者会見でも「五輪開催国で飲食業を受動喫煙禁止にしていない国は近年ない」と強調した塩崎氏に、自民党幹部は「厚労相が堅い。3月中の法案閣議決定は難しい」とこぼす。「慎重派が大多数のように見えるが、自民党内で厚労省案に反対しているのは6割ほど。東京五輪・パラリンピックを控え、醜態をさらすのが格好よくないことは慎重派も分かっている」。
 
 2月22日、国会内であった受動喫煙防止を推進する超党派の議連で、尾辻秀久元厚労相は慎重派の歩み寄りに期待を込めた。とはいえ、自民党の内紛が伝播し、民進党内も慎重派と推進派が割れ始めている。自民党内からは「100平方メートル以下」を規制の例外とする神奈川県条例を参考にすべきだ、との声も上がるものの、1月の施政方針演説で受動喫煙対策の徹底を表明した安倍晋三首相は、依然沈黙を守っている。


(2017.3.22)
 受動喫煙対策、「飲食店も禁煙に」アレルギー患者ら 塩崎厚労相に要望
ハフィントンポスト(朝日新聞デジタル) 3月18日
 
 アレルギー患者ら「飲食店も禁煙を」 厚労相に要望書
 
 厚生労働省が今国会への提出を目指している受動喫煙対策を強化する法改正案について、気管支ぜんそくなどアレルギー疾患を持つ患者、子どもの親らでつくる3団体が17日、飲食店も含めた公共の建物内を禁煙とするよう、塩崎恭久厚労相に要望書を出した。
 
 要望書では、受動喫煙によってぜんそくの発作が増える点にふれ、「大勢の人が集まる場で『嗜好(しこう)としての喫煙』が『煙に悩まされずに過ごすこと』よりも尊重されなければいけないのか」と指摘。病院や学校での敷地内禁煙、その他の建物内や乗り物内でも禁煙とする法案の早期成立を求めた。
 
 団体側によると、塩崎厚労相は「だいぶ厳しい状況だが粘り強く対策を前に進めていく」と応じたという。


(2017.3.19)
 シリーズ:今さら聞けない+ たばこと病気  様々な臓器のがん死亡リスク上昇
朝日新聞デジタル apital 3月18日
 
 2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、受動喫煙防止対策を強化する必要がある――。厚生労働省は昨年、「たばこ白書」(喫煙の健康影響に関する検討会報告書)の最新版を発表しました。たばこと健康の問題にいま改めて注目が集まっています。
 
 「たばこの害」と聞いて多くの人がまず思い浮かべるのは、喫煙とがんの関係でしょう。
 
 たばこの煙には5千種類を超す化学物質が含まれており、その中には発がん性の物質も約70種類あることが知られています。これらの物質は、細胞が分裂するときに遺伝子のコピーミスを起こさせ、がん細胞の発生につながります。
 
 たばこを吸わない人に比べて喫煙者は、肺がんで死ぬリスクが男性で4・8倍、女性で3・9倍も高くなるとの調査結果があります。こうしたデータは、国立がん研究センター「がん情報サービス」内のサイト(http://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause/smoking.html)で見ることができます。
 
 忘れてはならないのは、喫煙は肺がんだけでなく、様々な臓器のがん死亡リスクを高めるという点です。今回の白書では、喫煙者本人への健康影響として、「胃がん」や「食道がん」「肝臓がん」「膵臓(すいぞう)がん」など複数のがんについて、因果関係を「確実」と認定しています。
 
 肺から吸収された発がん物質は、血液に乗って体のあちこちに運ばれます。このため、吸い込んだ煙の通り道である肺やのど(喉頭(こうとう)、咽頭(いんとう))だけでなく、体中の様々な臓器にがんを引き起こすのです。
 
 喫煙はがんだけでなく、心筋梗塞(こうそく)などの「虚血性心疾患」や「脳卒中」などのリスクも高めます。煙に含まれる様々な有害物質の影響で動脈硬化が進み、血管が詰まりやすくなることが原因の一つです。さらに、血栓もできやすくなり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上がると考えられています。このほか、「歯周病」や「2型糖尿病」も、喫煙によって発症しやすくなることが分かっています。
 
 まわりの人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の影響も深刻です。本人はたばこを吸わなくても、受動喫煙のある人は肺がんになるリスクが1・3倍になるとの解析結果が昨年発表されました。
 
 たばこが原因で病気になると、医療費がかかったり働けなくなったりします。白書では、喫煙に伴う社会的な損失が年間で総額4・3兆円にのぼるとの試算が紹介されています。
 
 平野公康・国立がん研究センター研究員は「日本はたばこに寛容な社会だ。しかし、健康被害の大きさを考えると、もっと厳しく規制していく必要がある」と指摘します。
 
 大人による喫煙は、次の世代の健康にも悪影響を与えます。
 
 たばこを吸う妊婦から生まれた赤ちゃんは、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが高くなります。また、自宅で親がたばこを吸うことなどによる受動喫煙でも、SIDSや子どものぜんそくのリスクが高まると指摘されています。
 
 このように、健康への悪影響が様々に指摘されるたばこですが、「意志が弱いから禁煙できない」のではなく、ニコチンという依存性の物質が原因で、たばこをやめにくくなってしまいます。
 
 「日本は先進国の中でもたばこの価格が安く、屋内で喫煙できる場所も多い。たばこを吸いやすく、やめにくい社会だ」と片野田耕太・国立がん研究センター室長。喫煙による病気のリスクを社会全体でしっかりと認識し、特に受動喫煙を防ぐための具体的な取り組みを強化していくことが必要です。
 
■記者のひとこと
 日本では喫煙が原因で年に約13万人、受動喫煙で約1万5千人が死亡すると推計されています。その合計数は、交通事故や自殺で亡くなる人の数をはるかに上回っています。国民の命と健康を守るため、目先の利益にとらわれず、国レベルで実効性のある対策を進めてほしいと思います。
 
<アピタル:ニュース・フォーカス・今さら聞けない+>
http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(山本智之)


(2017.3.18)
 アレルギー疾患の患者ら、公共建物内の禁煙求める
朝日新聞デジタル apital 3月17日
 
 厚生労働省が今国会への提出を目指している受動喫煙対策を強化する法改正案について、気管支ぜんそくなどアレルギー疾患を持つ患者、子どもの親らでつくる3団体が17日、飲食店も含めた公共の建物内を禁煙とするよう、塩崎恭久厚労相に要望書を出した。
 
 要望書では、受動喫煙によってぜんそくの発作が増える点にふれ、「大勢の人が集まる場で『嗜好(しこう)としての喫煙』が『煙に悩まされずに過ごすこと』よりも尊重されなければいけないのか」と指摘。病院や学校での敷地内禁煙、その他の建物内や乗り物内でも禁煙とする法案の早期成立を求めた。
 
 団体側によると、塩崎厚労相は「だいぶ厳しい状況だが粘り強く対策を前に進めていく」と応じたという。
 
 「アレルギー児を支える全国ネット『アラジーポット』」の栗山真理子代表は「ぜんそくの患者や妊婦もみな、安心して食事ができる環境を望んでいる。飲食店の方々にも、禁煙になれば人が入るようになることに目を向けてほしい」と話した。
 
 また、全国消費者団体連絡会は17日、厚労省の受動喫煙対策案に全面的に賛同し、今国会での成立を強く望むとする要望書をまとめたと発表した。「子どもや妊婦、治療を受けている方に対し、強制力のある対策は必須」として、病院や小中学校を敷地内禁煙とする厚労省案は妥当だと評価、支持するとしている。(竹野内崇宏)


(2017.3.18)
 受動喫煙防止議連、厚労相に要望書提出
ビッグローブニュース(TBS) 3月16日
 
 受動喫煙対策の強化を求める超党派の議員連盟が、飲食店を含む建物内を禁煙にする法律を塩崎厚生労働大臣に要望しました。
 
 塩崎厚労大臣に要望書を提出したのは、受動喫煙対策の強化を訴える超党派の議員連盟です。
 
 受動喫煙対策をめぐっては、厚労省が飲食店を原則禁煙にする法律を目指している一方、自民党内からは、「飲食店が喫煙・分煙・禁煙を選べるようにすべき」など反対の声があがっています。
 
 要望書では、飲食店を含む屋内を禁煙にする法案を今の国会に速やかに提出することなどを求めました。
 
 議連は、「吸う人にも周りの人にも健康被害を与えるのは明確」「2019年のラグビーワールドカップや東京オリンピックに向けて、世界に恥ずかしくない対応をして欲しい」としています。


(2017.3.17)
 屋内「例外なく禁煙を」 法改正巡り、超党派議連が要請
朝日新聞デジタル 3月14日
 
 報道陣の取材に応じる「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」の尾辻秀久会長(左)と松沢成文幹事長=14日午後、国会内、黒田壮吉撮影
 
 厚生労働省が今国会への提出を目指している受動喫煙対策を強化する法改正案をめぐり、「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」(会長=尾辻秀久・元厚労相)は14日、飲食店などで屋内禁煙の方針を守り、分煙や例外を避けるよう求める文書を菅義偉官房長官に提出した。議連によれば、菅官房長官は「皆さんの気持ちはよくわかっている。政府としてもしっかりと対応したい」と応じたという。
 
 同議連は自民、民進、公明、共産などの国会議員56人が所属、この日の提出には8会派の計9人が参加した。文書は安倍晋三首相と菅官房長官あてで、「受動喫煙防止を徹底するため分煙や適用除外を避ける」「国際基準の規制法とする」「(2019年9月の)ラグビーワールドカップ日本大会までに施行できるよう、今国会に速やかに提出する」など4項目を求めた。15日には同様の要請書を塩崎恭久厚労相に出す。
 
 議連の松沢成文幹事長は、飲食店で小規模なバーなどを屋内禁煙の例外とした厚労省案について、「これ以上後退しないよう後押しをしていく」。尾辻会長は「全部禁じたほうが店もやりやすいのではないか。(屋内禁煙への)大きな時の流れはだれしもわかっていると信じている」と話した。(竹野内崇宏、黒田壮吉)


(2017.3.17)
 飲食店など原則禁煙法案 速やかに提出を超党派議連が要望
NHK NEWS WEB 3月14日
 
東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、受動喫煙防止策の強化を目指す超党派の議員連盟が菅官房長官と会談し、国民の健康を守るため、飲食店などの建物の中を原則として禁煙とする法案を今の国会に速やかに提出するよう求めました。
 
厚生労働省は、今の国会に飲食店などの建物の中を原則として禁煙とする法案の提出を目指していますが、自民党の「たばこ議員連盟」が容認できないとして、飲食店の経営者が、禁煙、分煙、喫煙を選択できるなどとする対案をまとめるなど、自民党内の調整が難航しています。
 
こうした中、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、受動喫煙防止策の強化を目指す超党派の議員連盟のメンバーが国会内で菅官房長官と会談し、国民の健康を守るため、飲食店などの建物の中を原則として禁煙とする罰則つきの法案を今の国会に速やかに提出するよう求めました。
 
これに対し菅官房長官は「皆さんの活動や気持ちはよくわかっているので、政府としてもしっかり対応したい」と述べました。
 
会談のあと、会長を務める自民党の尾辻元参議院副議長は記者団に対し、「自民党内の調整は厳しいとは思うが、2019年のラグビーワールドカップに間に合わせるためにも今国会への提出がタイムリミットだ。われわれは、厚生労働省の尻をたたいていく立場だ」と述べました。


(2017.3.16)
  「理解得られるまで頑張る」 受動喫煙防止で塩崎恭久厚労相
産経ニュース 3月14日
 
 超党派の国会議員でつくる「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」(会長・尾辻秀久元厚生労働相)は15日、厚労省で塩崎恭久厚労相に、飲食店などでの禁煙方針を堅持するよう文書で申し入れた。塩崎氏は「たばこを吸う権利と弱い立場の人の健康を比べると、健康が後回しにされてきた。時間をかけて理解を得られるまで頑張りたい」と応じた。
 
 厚労省は受動喫煙の防止対策を盛り込んだ健康増進法改正案を今国会で成立させたい考えだが、自民党内では規制慎重派が勢いを増しており、調整が難航している。


(2017.3.16)
 経済同友会代表幹事、受動喫煙「厳格な規制を」
TBS NEWSi 3月14日
 
 他人のたばこを吸い込む受動喫煙をめぐって、経済同友会の小林代表幹事は「健康への配慮という意味でもっと厳格な規制をするべきだ」として、早急な対策が必要だという認識を示しました。
 
 「吸わない人への健康の配慮という意味で考えると、早くそういったもの(受動喫煙)を法律で縛る、もっとリジット(厳格)な規制をすべきだと思う」(経済同友会 小林喜光代表幹事)
 
 経済同友会の小林代表幹事は、他人のたばこを吸い込む受動喫煙についてこのように述べ、規制を強化することで早急に対策を行うべきだという認識を示しました。
 
 受動喫煙対策をめぐっては、厚生労働省が、規模が小さいバーなどを除いて飲食店は原則禁煙とすることなどを盛り込んだ新たな規制案を公表しましたが、自民党の一部からは規制の強化に反対する声も出ていて、調整が難航しています。


(2017.3.16)
 飲食店の原則禁煙案、「賛成」64% 朝日新聞 世論調査
ヤフーニュース(朝日新聞デジタル) 3月14日
 
 飲食店のたばこ規制についての世論調査回答
 
 朝日新聞社による11、12日の世論調査によると、受動喫煙対策の強化策として、レストランや居酒屋などの飲食店を原則禁煙とする厚生労働省の法改正案に「賛成」は64%で、「反対」の25%を上回った。男女別では、男性の57%、女性の71%が「賛成」だった。
 
 たばこを吸うか吸わないかを聞くと、「吸わない」は77%、「吸う」は22%。男性の67%、女性の87%が「吸わない」と回答した。
 
 たばこを「吸わない」とした人で、厚労省案に「賛成」は72%、「反対」は18%。一方、「吸う」という人で厚労省案に「賛成」は38%、「反対」は52%で、賛否は逆転した。


(2017.3.15)
 受動喫煙防止 飲食店の原則禁煙は現実的だ
 YOMIURI ONLINE 3月14日
 
 他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙による健康被害は放置できない。2020年東京五輪に向けて、対策を着実に前進させたい。
 
 厚生労働省が公表した対策強化案を巡り、自民党内で推進派と慎重派の対立が深まっている。
 
 厚労省案は、小中高校や医療機関の敷地内すべてと、官公庁などの建物内を全面禁煙とした。飲食店やオフィスは原則禁煙だが、喫煙専用室を設けることは認める。度重なる違反には罰則を科す。
 
 喫煙室が設置できない小規模な飲食店のうち、主に酒類を提供するバーやスナックに限っては、例外的に喫煙可とする。
 
 厚労省は法案化を急ぎ、今国会への提出を目指す。
 
 現在は、健康増進法などに受動喫煙対策の規定があるが、努力義務にとどまる。非喫煙者の3〜4割が、職場や飲食店で受動喫煙を強いられている。罰則付きの防止策を導入する意義は大きい。
 
 飲食店について、自民党の慎重派議員らは、一律禁煙とせず、禁煙、喫煙、分煙の表示を義務づけた上で、各店舗の判断に委ねるよう主張している。
 
 この手法では、喫煙できる店で働くスタッフの受動喫煙は解消されない。上司や取引先に誘われ、入店を断れないケースも想定されよう。厚労省案が原則禁煙としたのは、現実的な判断だ。
 
 海外では49か国が、バーを含む公共の場での屋内全面禁煙を法制化している。世界保健機構(WHO)と国際オリンピック委員会は「たばこのない五輪」を進める。近年の開催地・開催予定地では、屋内禁煙が主流となっている。
 
 国際標準から見れば、厚労省案はなお見劣りする。WHOも、喫煙室設置などの「分煙」では不十分だと指摘している。
 
 飲食業界などは、客離れを懸念して、規制強化に反発する。
 
 国内外の調査では、飲食店を全面禁煙にしても、売り上げにはほとんど影響がなかった。家族連れらの来店が増え、増収になったとの報告もある。
 
 政府は、業界の理解を得つつ、段階的に屋内全面禁煙の範囲を拡大していくべきだろう。
 
 海外では、屋外での喫煙は比較的自由だ。国内では「ポイ捨て」防止のため、路上喫煙を規制する自治体も多い。屋内の禁煙化といかに調和させるかが課題だ。
 
 無論、たばこを嗜たしなむ自由は、否定されるものではない。大切なのは、非喫煙者の健康被害を防ぐ観点からの対策の推進である。


(2017.3.13)
 飲食店や職場内「原則禁煙」とする厚労省案公表…自民たばこ議連案と比較して検証
ORICON NEWS 3月11日
 
他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」への対策を盛り込んだ健康増進法改正案の基本的な考え方が、3月1日に公表された。現行法では、禁煙は多くの施設で「努力義務」だ。この日、厚生労働省が公表した改正案では、施設に応じて「敷地内」または「屋内」を「原則禁煙」とし、違反すれば「30万円以下の過料」など、規制を強化する。
 
他方、厚生労働省案に対抗して、自民党たばこ議員連盟が、3月7日、対案を発表した。「喫煙を愉しむこと」は憲法に定める幸福追求権だと主張し、対案では、飲食店は禁煙・分煙・喫煙から自由に選ぶことができ、表示を義務化する。
 
ネット上では、厚労省案について、「喫煙者が多い店に入るのためらうから、めちゃくちゃ嬉しい」と歓迎の声があがる一方で、「小さい個人店の居酒屋は潰れるぞ」などの指摘もあった。対策についてどう考えるべきか、受動喫煙に関する係争を扱う岡本光樹弁護士に聞いた。
 
●「たばこ議連は、議論の出発点を誤っている」
自民党たばこ議員連盟は、「喫煙を愉しむこと」は、憲法に定める幸福追求権だと主張しています。しかし、最高裁昭和45年9月16日判決は「喫煙の自由は、あらゆる時、所において保障されなければならないものではない。」とし、仮に権利であるとしても制限に服しやすいものにすぎない、と解釈されています。たばこ議連の主張は、最高裁判例の趣旨を正しく理解せず、人々に誤解を与えるものです。
 
また、たばこ議連の議員は、「法律で締めつけるのではなく、マナーで解決すべきだ」などと主張しているようですが、これも、今回の法案の必要性を全く理解していないといえます。現行の健康増進法や労働安全衛生法の「努力義務」規定では限界があり、依然として飲食店や職場等での受動喫煙が多いため、厚労省は、今回の法案で罰則(喫煙者:30万円以下の過料、管理者:50万円以下の過料)を導入しているのです。
 
たばこ議連は、「たばこの消費削減を目的としてはならない」という主張も行っています。しかし、日本も、たばこ規制枠組条約(168カ国以上加盟)を批准しており、締約国は、たばこの消費を減少させる措置及び受動喫煙を防止する措置を実施すべき義務を負っていますので、議連の主張は、条約に照らして誤っています。
 
この点には、税収確保を目的とした「たばこ事業法」と、たばこ削減を目的とした条約との矛盾を長年にわたり放置してきた我が国の問題が現れていると言えるでしょう。しかし、条約が法律よりも法規として優位です。
 
●「両案の対立、最も顕著なのは『職場』と『飲食店』」
小中高校、医療施設、大学、運動施設、官公庁、ホテル・旅館の宴会場、貸切バス・タクシーなどにおいても、厚労省案とたばこ議連案は規制内容が異なっています。その中でも、最も対立が顕著なのは「職場」と「飲食店」です。
 
厚労省案は、事務所(職場)について、原則屋内禁煙とし、ただし技術的基準に適合した喫煙専用室の設置は認めるという内容です。他方、たばこ議連案は、法案の対象外にして、労働安全衛生法に丸投げしています。これに対しては、強い憤りを覚えます。
 
先ほども述べましたが、現行の労働安全衛生法の「努力義務」規定で限界があるため、厚労省は、今回の法改正を提唱しているのです。たばこ議連は、そのことが全く分かっていないようです。
 
日本は、海外と比較しても、いつも顧客目線の議論ばかりが中心で、労働者の人権に対する意識が極めて薄弱だといえます。
 
飲食店での規制について、厚労省案(3月1日時点)は、30平方メートル以下のバー・スナック等は例外としつつ、それ以外の飲食店(食堂、ラーメン店、居酒屋等を含む)は、すべて原則屋内禁煙で、ただし技術的基準に適合した喫煙専用室の設置は認めるという内容です。これに対して、たばこ議連案は、飲食店は禁煙・分煙・喫煙を自由に選ぶことができ、表示を義務化するだけの案です。
 
厚労省は「国民の8割を超える非喫煙者の健康が、喫煙者の喫煙の自由よりも後回しにされている」と議連案を批判しており、私もその通りだと考えます。依然「世界最低レベル」です。
 
●「労働者の有無で線引きすべき」
上記の二案では、私はもちろん厚労省案を支持します。ただ、厚労省案にも疑問がないわけではありません。厚労省案は、なぜ30平方メートルの面積で区切るのか、なぜ酒類を主に提供する店は例外なのか、合理的根拠があるか不明です。
 
私は、労働者の有無で線引きすべきと考えています。労働者を使用しない経営者だけ、いわゆる「一人経営者」の店を例外とするといった案が合理的だと考えます。法案を通すためにどうしてもさらに譲歩が必要であれば、職場の労働者全員が受動喫煙下で働くことに積極的に同意している場合に限り、許可制の下で条件を付して、例外的に許容するというのが私の意見です。
 
あくまで屋内禁煙が原則であって、労働者の体調不良に備えて同意はいつでも撤回でき(許可も撤回される)、受動喫煙に同意しないこと及び同意を撤回したことで労働者が不利益な取り扱いを受けない保障が必要でしょう。
 
●「法律で全面禁煙にしても、売上に影響なし」との研究多数
今回の法案が、飲食店の売上に影響することを懸念する声もあるようですが、多くの研究が、法律で全面禁煙にしても、減収なし・売上に影響なし・むしろ非喫煙客が増えて売上増加、という結果を示しています。
 
個別に見れば、喫煙常連客に依存した一部の喫茶店やバーなどでは、経営努力をしなければ売上は下がるかもしれません。しかし、例外規定等により、「営業の自由」への配慮はなされているといえます。他方、現在のような労働者や顧客が望まない受動喫煙の被害を受けている状況は、「公共の福祉」に反しており(憲法22条1項、29条2項)、規制されて当然です。
 
海外諸国では、喫煙客は一旦店から出て屋外で喫煙することが習慣となっています。慣れの問題にすぎず、飲食店経営者の危惧は過剰ではないでしょうか。日本の特殊性として、路上などの喫煙規制が先に進んだという事情がありますが、厚労省は、市町村に対し、法案と調和のとれた対応を依頼するとしています。なお、近年は、コンビニの屋外灰皿に対して通行人が撤去を求める訴訟が複数起きています。将来的には、屋外における受動喫煙の防止も議論すべきでしょう。
 
非燃焼の加熱式たばこ等は、厚労省案でも、たばこ議連案でも、規制対象外になりそうです。厚労省案は、法律レベルでは一応対象に含めた上で、政令レベルで除外可能とするとしています。健康影響の知見に応じて、法律レベルよりも迅速かつ柔軟な対応を可能とするもので、合理的な制度設計といえるでしょう。
 
●「燃焼性の紙巻たばこは、いずれ製造販売を禁止すべき」
世論調査によれば、建物内完全禁煙を望む人々が、喫煙室設置や喫煙席による分煙を望む人を上回り、最大多数です。自民党たばこ議連の動きは、国民の世論とは、かけ離れています。今回の法案をめぐって、どの議員が賛成し、どの議員が反対し、また、どの議員がタバコ業界から多額の献金を受けているか、ある程度公表されていますので、国民は国会議員の動向をしっかり注視すべきだと思います。
 
2019年ラグビーワールドカップ及び2020年東京五輪に間に合うよう、また、受動喫煙に苦しんでいる人々を守ることができるよう、国際的な水準にできるだけ近い形で厚労省の法案が可決・制定されることを願います。
 
今後議論すべきことは、プライベートな空間での規制でしょう。家庭内や自動車内での子どもの受動喫煙や、近年トラブルが頻発しているベランダ・近所からの受動喫煙問題についても、法規制が議論されるべきです。
 
職場、飲食店の規制後も、それで終わりではなく、路上、公園、住居近隣、自動車内、家庭内と、受動喫煙の「他者危害」性の問題は常に残ります。こうした問題も踏まえると、私としては、燃焼性の紙巻たばこは、いずれ製造販売を禁止すべき商品だと考えます。
(弁護士ドットコムニュース)
 
【取材協力弁護士】
岡本 光樹(おかもと・こうき)弁護士
1982年岡山県生まれ。05年東大法卒、06年弁護士登録。国内最大手の法律事務所などを経て、11年に独立。企業法務や労働案件、受動喫煙に関する係争・訴訟、家事事件などを幅広く扱う。第二東京弁護士会で人権擁護委・副委員長や受動喫煙防止部会長などを務める。
事務所名:岡本総合法律事務所
事務所URL:http://okamoto.2-d.jp/akiba.html


(2017.3.12)
 ごひいきの飲食店、禁煙ならもっと行く  受動喫煙対策法案めぐる最新意識調査
J-CAST ヘルスケア 3月11日
 
 九州看護福祉大学(熊本県玉名市)と熊本市民病院の共同研究グループは、受動喫煙の実態や健康増進法の改正について行った意識調査の結果をこのほど発表した。
 
  それによると「飲食店は原則禁煙」など受動喫煙対策の強化を盛り込んだ厚生労働省の同法改正案に73%が「賛成」を表明、禁煙になった飲食店に「行く回数は増える」と答えた人が「減る」と答えた人を大きく上回った。
 
九州看護福祉大などの共同グループ、最大規模で実施
   調査は2017年2月15日から20日までの間に、インターネットによる無記名自記式のアンケート調査より行われた。対象者は約100万人のモニターのなかから、日本の人口構成の特徴を考慮し、性別、年齢、居住地域に基づき層化無作為抽出法により計1万51人をサンプリングし、男性4971人(49.4%)、女性5080人(50.5%)。このうち、習慣的に喫煙している人は1731人(17.2%)で、それ以外の人は8320人(82.7%)。
 
   研究グループによると、受動喫煙に関するわが国の学術調査として対象者数は過去最大で、健康増進法の改正をめぐっては最新の意識調査。調査結果は17年3月2日に発表された。
 
   厚労省の改正案で反対が最も強く示されているのは「飲食店は原則禁煙」の部分。調査で「料理,飲み物,接客態度は優れているが喫煙可能だった飲食店が,禁煙になったらあなたはどうしますか」と尋ねたところ、「利用する回数・人数が増える」(2284人=23.7%)「利用する回数が増える」(1846人=18.3%)を合わせ、42%が「行く回数が増える」と考えており、「回数・人数が減る」(672人=6.6%)「回数が減る」(600人=5.9%)を合わせた12.5%を大きく上回った。
 
飲食店業界側は「経営悪化」を懸念するが...
   厚労省案の「飲食店は原則禁煙」をめぐっては反対意見が根強く、10日の閣議決定を目指していた同省だが、法案提出時期を延期。自民党内ではたばこ議員連盟が7日、臨時総会を開き「飲食店は禁煙・分煙・喫煙の表示を義務化する」などとした対案をまとめた。
 
    改正案が示された直後から、飲食店業界側からは「経営悪化」を懸念する声が上がっているが、厚労省や改正案を支持する団体などからは、禁煙化が必ずしも減収につながらないことを示す調査結果や前例が提出されている。今回の調査結果は、それらを補強する格好になった。


(2017.3.11)
 原則禁煙の法案 厚労相 引き続き理解求める考え
NHK NEWS WEB 3月10日
 
塩崎厚生労働大臣は、厚生労働省が公表した飲食店などの建物の中を原則禁煙とする法案のたたき台に対し、自民党の「たばこ議員連盟」がまとめた対案について、受動喫煙を防止できないとして、引き続き、原則禁煙の案に理解を求めていく考えを示しました。
 
飲食店などの建物の中を、原則として禁煙とする法案をめぐっては、厚生労働省が今の国会への提出を目指して、たたき台を示したのに対し、自民党のたばこ議員連盟が原則禁煙とするのは容認できないとして、飲食店の経営者が禁煙、分煙、喫煙を選択し、その内容を入り口などに表示しなければならないとした対案をまとめました。
 
これについて、塩崎厚生労働大臣は閣議のあと、記者団に対し、「たばこ議連の案では、たばこを吸わない人が職場の歓送迎会や接待で相手が指定した場所へ行った際などに、望まない受動喫煙に、さらされることもある」と述べ、引き続き、飲食店などの建物の中を原則禁煙とする案に理解を求めていく考えを示しました。
 
また、塩崎大臣は、記者団が「たたき台を修正して、折衷案を模索する考えはあるか」と質問したのに対し、「自民党の厚生労働部会に、たたき台の説明を一度もしていないので、折衷案という段階では全くない」と述べ、現時点では修正は考えていないことを明らかにしました。


(2017.3.9)
 たばこ議連対案に反発 「歩み寄り考えず」
FNNニュース 3月8日
 
政府が進める受動喫煙防止対策に対し、自民党の「たばこ議員連盟」は、飲食店などは、表示をすれば、喫煙や分煙を可能とする「対案」をまとめた。
 
自民党・たばこ議連の野田 毅会長は「なんでも権力的に、いっぺん網かぶせて禁止だと、あとはお目こぼししていいというやり方は、自民党の考え方にはなじまない」と述べた。
 
自民党のたばこ議連がまとめた対案は、「喫煙を愉(たの)しむこと」も、憲法で認められている幸福を追求する権利だとして、飲食店などは、店頭の表示を義務化することで、禁煙・分煙・喫煙を可能としている。
 
厚生労働省が検討している飲食店では、原則「建物内を禁煙」とする案について、出席者からは「法律で締めつけるのではなく、マナーで解決すべきだ」など、反発する意見が出た。
対案が出されたことで、今後の調整は難航することが予想される。
 
一方、自民党たばこ議連の「対案」を受け、厚生労働省が会見し、「飲食店は公共の場である」との認識を示したうえで、「議連の『対案』は、ぜんそく患者や子どもなど、煙を吸わされるべきでない人や、非喫煙者の健康が後回しにされている」と反論した。
 
また、「厚労省案を公表したばかりなので、現時点で歩み寄りは考えていない」とし、当面は原案のまま、自民党内の理解を得たいとの考えを示した。


(2017.3.9)
 原則禁煙法案 国会提出を後押し 自民の議員連盟
NHK NEWS WEB 3月8日
 
自民党の受動喫煙防止議員連盟は、厚生労働省が示した飲食店などの建物の中を原則として禁煙とする法案について、「飲食店などでの受動喫煙の機会は依然として多く、努力義務では限界だ」として、今の国会への法案提出を後押ししていく方針を確認しました。
 
厚生労働省は、他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙の防止策を強化する法案の今国会への提出を目指していて、先週、小規模なバーなどを例外に、飲食店などの建物の中を原則として禁煙とするたたき台を示しました。
 
これを受けて、自民党の受動喫煙防止議員連盟が8日、総会を開き、会長の山東元参議院副議長は「職場や飲食店での受動喫煙の機会は依然として多く、努力義務では限界がきている。一日も早く法案を通していかなければいけない」と述べました。
 
そして、出席した議員からは「厚生労働省のたたき台は、われわれと考え方は同じで、世界に恥ずかしくない法案にすべきだ」などと賛成意見が相次ぎ、今の国会への法案提出を後押ししていく方針を確認しました。
 
一方、自民党のたばこ議員連盟がまとめた、飲食店の経営者が禁煙、分煙、喫煙を選択できるなどとする対案については、「受け入れられず、議論する余地もない」という意見が出されました。
 
また、総会ではバーなどを例外とするのはわかりにくいという指摘も出され、議連として、飲食店全体を規制の対象にできないか、具体策を検討することになりました。


(2017.3.9)
 公明党・山口那津男代表が禁煙のススメ 「喫煙による害悪はハッキリしている」
ヤフーニュース(産経新聞) 3月7日
 
 たばこの受動喫煙対策をめぐり賛否が渦巻く中、公明党の山口那津男代表は7日の記者会見で禁煙のススメを説いた。「喫煙による『害悪』ははっきりしている。健康との因果関係が立証され、たばこの煙が建物や他人に付着し、物理的な害ももたらされることがはっきりしている」と強調した。
 
 同時に「喫煙しない人がもう85%近くで、喫煙する方は1割ぐらいといわれている。その中で受動喫煙を強いてまでも喫煙せずにはいられない喫煙者は限られている」と指摘。その上で「自ら害があることを分かって喫煙するのは、その人自身の選択。その害を被りたくない人、つまり受動喫煙は規制するのが大切だ。一歩踏み出すべきだ」と述べ、対策強化の必要性を訴えた。


(2017.3.8)
 「店内禁煙」が「喫煙室」「分煙」上回る 都調査
NHK NEWS WEB 3月8日
 
受動喫煙対策の法案をめぐる議論が続く中、東京都が行った世論調査で、飲食店など建物の中は禁煙にすべきと答えた人は40%で、喫煙室の設置や分煙を挙げた人を上回りました。
東京都は、3、4年に1回、都民の健康についての意識を探る世論調査を行っていて、去年10月から11月にかけての調査の結果を公表しました。調査は、都内に住む18歳以上の男女3000人を対象に行い、56%にあたる1680人から回答を得ました。
 
この中で、「受動喫煙対策」について、6つの場所を挙げて聞いたところ、「どちらかといえば対策ができていると思う」と答えたのは、レストランや食堂が60%、ファストフード店が56%、喫茶店が39%、カラオケ店が16%、居酒屋が8%、スナックが4%となりました。
 
そして、受動喫煙を防止するために飲食店などにどのような対策を望むかについては、店内=建物の中は禁煙にするが40%、喫煙室を設置して客席では喫煙できないようにするが33%、天井から床までの仕切りで分けた喫煙席では飲食できるようにするが22%となりました。受動喫煙対策の法案をめぐる議論が続く中、建物内を完全禁煙にすべきと答えた人が、喫煙室の設置や分煙を挙げた人を上回りました。
 
このほか、受動喫煙防止対策は必要ないと答えた人は4%にとどまりました。


(2017.3.8)
 禁煙VS喫煙で永田町“煙上”? もくもく会が徹底抗戦
ヤフーニュース(テレビ朝日系(ANN) ) 3月7日
 
 たばこを巡って永田町が真っ二つです。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、政府は飲食店など建物の中では原則、禁煙とする法案を検討しています。これに対して、自民党や民進党など愛煙家の議員が「飲食店の経営が成り立たない」と猛反発。「もくもく会」という超党派の議連を作って徹底抗戦を図るなど与野党を越えて永田町が“煙上”しています。
 (政治部・大瀧翔子記者報告)
 
 この後、自民党では反対派による決起集会が行われます。政府側は愛煙家の理解を得ようと奔走しています。
 
 塩崎厚労大臣:「望まない受動喫煙に遭わないような手立てをどうしたらいいのかということを一緒に考えて頂こう」
 
 7日朝の参議院予算委員会でもこの問題が取り上げられ、オリンピック選手だった自民党の朝日議員は「海外から見ても日本は遅れている」 「2020年東京大会をきっかけに世界一健康でクリーンな日本をアピールしたい」と政府案を後押ししました。ただ、政府としては愛煙家議員の反発が強いことから、小規模なバーやスナックなどを念頭に30平方メートルを下回る飲食店を対象外とする方向で説得したい考えです。しかし、反対派は「しっかり分煙すれば問題ない」とまだまだ拳を下ろしていません。ある厚生労働省幹部は「今はまだ落としどころを探れる段階ではない」と漏らしていて、先が見通せない状況です。


(2017.3.8)
 受動喫煙防止法案、塩崎厚労相「アルバイトの人が煙にさらされている」と訴える
The Huffington Post  |  執筆者:  Chitose Wada 3月7日
 
厚生労働省が今国会に提出する方針の、飲食店は原則禁煙にすることなどを盛り込んだ「健康推進法改正案」について、塩崎恭久厚労相は3月7日、「飲食店で配膳をしている方、アルバイトの方、大学生、高校生が煙にさらされている」などと述べ、望まない受動喫煙があることを理由のひとつに挙げた。参院予算委員会で答弁した。
 
塩崎氏は「タバコを吸わない国民が8割を越えている。受動喫煙を受けなければ、がんなどで死亡せずに済んだ人は、1万5000人いるだろうと推計されている」とコメント。受動喫煙防止対策を強化する必要性を挙げた。
 
さらに、「公共の福祉に反しない限り、喫煙の自由はある」としながらも、「非喫煙者のかた、妊婦、子供さん、癌の患者の皆さん、受動喫煙禁止の法律に慣れている外国人のかたへの配慮が、喫煙の自由よりも後回しにされている」と述べ、法律の必要性を訴えた。
 
受動喫煙対策法、どんな内容?
厚労省は1日、飲食店などの建物の中を原則として禁煙にする法案について、違反した喫煙者には30万円以下の過料を科すとする法案のたたき台を公表した。 たたき台案では、居酒屋やラーメン店なども規制の対象となるが、飲食店側が喫煙専用室の設置するのを認めることや、小規模のバーやスナックは規制の例外とすることなどが盛り込まれている。小規模と定義される延べ床面積は、「30平方メートル以下」と、政令で基準を設ける。
 
受動喫煙対策については、自民党内の反対議員からは「喫茶店や小売店など小さな店舗の営業に影響が出てくる」などの意見も出ていた。これに対して厚労省は、世界保健機関(WHO)の外部組織、国際がん研究機関(IARC)がハンドブックの記述を示した。ハンドブックには「レストラン、バーを法律で全面禁煙にしても減収なし」と書かれている。
 
なお、民間調査機関の「富士経済」が3日発表した、法案が外食産業に与える影響についての調査結果によると、飲食店などの屋内の全面禁煙や罰則が実際に施行された場合、外食市場での売り上げに8401億円の影響が出ているとしている。このうち、喫煙者の顧客割合が多い「居酒屋、バー・スナック」への影響は6554億円と最も大きいとされるが、このうち居酒屋などは店舗面積で見ると50平方メートルの店舗が71.0%を占め、小規模な店舗の割合が高いという。


(2017.3.7)
 たばこ法改正、喫煙可能年齢を20歳以上に
NNN ASIA 3月6日
 
タイの国家立法議会(NLA)は3日、たばこ規制法の改正法案を可決した。これにより、喫煙可能年齢が従来の18歳以上から20歳以上に引き上げられる。4日付ネーションが伝えた。


(2017.3.7)
 上海の屋内施設、全面禁煙に バーも飲食店もダメ
朝日新聞デジタル 3月6日
 
 中国・上海市で今月から、屋内公共施設での喫煙を全面禁止する条例が実施されている。バーなど飲食店での喫煙も一切認められず、違反した喫煙者には最高200元(約3300円)、施設管理者には最高3万元(約50万円)の罰金を科す。市は3カ月間の強化期間を設け、制度の定着を図る。
 
 【写真】飲食店内に新たに貼られた禁煙標識=上海市内、冨名腰隆撮影
 
 条例によると、屋内の公共場所、オフィス、公共交通機関などはすべて禁煙となり、ホテルなどに設置されていた喫煙スペースも撤去された。学校や病院など、子供がいる場所は屋外での喫煙も禁止された。
 
 上海市は万博が開かれた2010年に公共施設での喫煙を規制する条例を制定し、その後も段階的に厳格化してきた。今回は違反喫煙者を見逃さないよう施設管理者側の罰金を高額にしたほか、違反を見つけた市民が電話で通報できるシステムも新たに設けた。


(2017.3.6)
 原則禁煙 海外では売上増も 厚労相が理解求める考え
NHK NEWS WEB 3月3日
 
塩崎厚生労働大臣は、飲食店などの建物の中を原則として禁煙にする法案のたたき台に、自民党内から飲食店の売り上げが減少するのではないかと懸念が出ていることについて、「海外の例を見ると、売り上げは大半は変わらないか、むしろ増えている」と述べ、党側に丁寧に説明をして理解を求めていく考えを示しました。
 
厚生労働省が公表した、飲食店などの建物の中を原則として禁煙にする法案のたたき台では、違反した喫煙者には30万円以下の過料を科す一方、バーやスナックなどの小規模の店を規制の例外とするとしていて、自民党内からは「居酒屋やラーメン店などは例外となっておらず、売り上げが減少するのでないか」などという懸念が出ています。
 
これについて、塩崎厚生労働大臣は閣議のあと記者団に対し、「屋内禁煙を導入している海外の例を見ると、売り上げは大半は変わらないか、むしろ増えている。自民党内には必ず減るという意見があるが、受動喫煙がなければお店に行こうと考える方も多い」と述べ、懸念は当たらないという考えを示しました。
 
そのうえで、塩崎大臣は「オリンピック開催国で、飲食業を禁煙にしていない国、受動喫煙を禁止していない国は近年にはない」と述べ、党側に丁寧に説明をして、法案の内容に理解を求めていく考えを示しました。


(2017.3.6)
 例外なき屋内禁煙に賛成7割超
BLOGOS 小宮山洋子 3月3日
 
 タバコの煙のないオリンピック・パラリンピックのためもあって、厚生労働省が法案を提出しようとしている受動喫煙防止法案が注目されています。
 
 厚生労働省は、1日、他人のタバコの煙を吸わされる受動喫煙防止策を罰則付きに強化する、健康増進法改正案の骨子を発表しました。
 
 焦点になっていた飲食店について、30平方メートル以下のバーなどに限って例外として喫煙を認めるが、レストランや居酒屋などは、屋内禁煙(喫煙専用室の設置可)とする。
 
 悪質な場合は、施設管理者に最大50万円、タバコを吸った人に最大30万円の過料を科す。
 
となっています。
 
 オリンピックの1年前に開催予定のラグビーワールドカップ日本大会までに施行が間に合うように、今の国会への法案提出を目指している、ということです。
 
 煙が全く漏れない喫煙室はないので、例外なく禁煙にしてほしいと思っています。
 
 この案でも、たばこや飲食業界などから支援を受けていることもあって自民党内に反対が多く、これは与野党を問わずにどこでもタバコを吸いたい議員もいて、調整が難航するかといわれています。
 
 そうした中で、日本禁煙学会が、昨日2日、受動喫煙対策で、すべての飲食店で例外なく屋内禁煙とする案について、7割以上の人が賛成で、他人のタバコの煙は喫煙者でも2人に1人が不快に思っている、というインターネット調査の結果を発表しました。
 
 調査は、九州看護福祉大学の川俣教授たちが、2月15〜30日に、居住地の偏りなどに配慮する方法でネットで実施し、20代〜70代の約1万人から全国から回答がありました。
 
 「例外なき屋内禁煙」に賛成は73%、反対は9%。
 
 他人のタバコの煙を不快に思う人は、非喫煙者で90%、喫煙者でも40%にのぼりました。
 
 料理屋や接客に優れている店が、禁煙になったらどうするかについては、行く回数が増えるが42%、減るが13%でした。
 
 「国民の意識は向上し、禁煙反対は少数派だと、国会議員にも訴えていきたい」というコメントが報じられていて、私もその通りだと思います。
 
 この禁煙問題については、報道でのキャスターなどのコメントでも、「それぞれの趣向の問題ですから難しいですね」などと、おざなりなものが多いのが気になります。
 
 受動喫煙で、どれだけの人の健康が損なわれ、命を落としているかなど、タバコの害については、多くのデータで出されています。
 
 もしコメントするなら、しっかり勉強してからにしてほしいと思います。


(2017.3.5)
 受動喫煙 飲食店禁煙に7割が賛成…九州看護福祉大調査
毎日新聞 3月3日
 
 他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙対策について、九州看護福祉大の川俣幹雄教授(リハビリテーション医学)らがインターネット上で調査したところ、すべての飲食店の禁煙に73.1%が賛成したことが分かった。厚生労働省はすべての飲食店を対象とする当初案から、バーなどの小規模店を例外として喫煙を認める方針に後退した。川俣教授は「国民の7割が賛成しており、例外を設けるべきではない」と話す。
 
 調査は今年2月中旬、ネット調査会社に委託し、喫煙者を含む1万51人から回答を得た。すべての飲食店の禁煙に反対する人は、9.3%にとどまった。
 
 たばこの煙にさらされた場所を複数回答で尋ねたところ、最多は飲食店(62.1%)。続いて、路上(60.4%)、パチンコ店など遊技場(59.3%)だった。他人のたばこの煙を吸う受動喫煙については、「大いに不快」「少し不快」と感じるのは計82.2%で、喫煙者に限っても計44.9%に上った。
 
 川俣教授は「飲食店従業員は受動喫煙のリスクが高く、従業員を守るのは経営者の義務だ」と、飲食店を含めた全面禁煙を訴える。【熊谷豪】


(2017.3.5)
 小池都知事 受動喫煙防止対策へ準備加速させる考え
NHK NEWS WEB 3月1日
 
東京都議会は、1日、主要会派による一般質問が行われ、小池知事は受動喫煙の防止について、「オリンピック・パラリンピックのホストシティとしての責任を果たすためにも、しっかりと取り組まなければならない」と述べて、対策に向けた準備を加速させる考えを示しました。
 
この中で、自民党の和泉武彦議員は「健康を維持し、一人一人の人生を最大限尊重する社会の実現のためにも受動喫煙防止対策は必要と考えるが知事の見解を伺う」と述べ、受動喫煙防止対策についての認識をただしました。
 
これに対し、小池知事は「都民の健康増進の観点から、また、オリンピック・パラリンピックのホストシティとしての責任を果たすためにも、しっかりと取り組まなければならない。国の動きを注視しつつ、都民の意識や、飲食店、宿泊施設の調査を行う」と述べ、対策に向けた準備を加速させる考えを示しました。(後略)


(2017.3.5)
 飲食店禁煙なら行く回数「増える」4割 「減る」の3倍
ヤフーニュース(産経新聞) 3月2日
 
 他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の防止対策として飲食店が禁煙になった場合、「行く回数が増える」と考える人が4割に上ることが2日、九州看護福祉大の川俣幹雄教授らの研究グループの調査で分かった。厚生労働省は飲食店を原則禁煙とする健康増進法改正原案をまとめたが、飲食店業界の一部が「客離れが起きる」などとして反対している。
 
 調査は全国の20代〜70代の男女約1万人を対象にインターネットで実施。「料理や飲物、接客態度は優れているが喫煙可能だった飲食店が禁煙になったらどうするか」との問いに「使用回数が増える」としたのは42%(4230人)。「減る」とした12・6%(1272人)の3倍以上だった。
 
 また、受動喫煙対策を強化する厚労省の方針には7割以上が賛成。グループは「受動喫煙は有害だという知識が普及してきたのではないか」と分析している。


(2017.3.5)
 「フィリップ モリス」紙巻きたばこから撤退表明
ヤフーニュース(テレビ朝日系(ANN)) 3月2日
 
 電気加熱式たばこの販売を伸ばしている「フィリップ モリス ジャパン」は、将来的に従来型の紙巻きたばこの販売から撤退する方針を明らかにしました。
 
 受動喫煙対策を強化する法改正を巡り、厚生労働省は、従来の紙巻きたばこに加えて電気加熱式たばこも現時点では規制の対象とする案を示しています。これについて「フィリップ モリス ジャパン」のポール・ライリー社長は、加熱式たばこについて規制対象から外してほしいとは明言しなかったものの、自社の研究で有害性成分を大幅に低減することができているとして、紙巻きたばことは異なるルールを作ってほしいと訴えました。「フィリップ モリスジャパン」は、加熱式たばこを去年4月以来、全国で300万台以上販売しています。販売台数が急速に伸びていることからライリー社長は、将来的に従来型の紙巻きたばこの販売から撤退すると明言しました。


(2017.3.4)
 受動喫煙「不快」8割=場所は飲食店が最多―調査結果
ヤフーニュース(時事通信) 3月2日
 
 他人のたばこの煙を吸う受動喫煙を不快と感じる人が全体の8割に上ることが2日、九州看護福祉大の川俣幹雄教授(リハビリテーション医学)らの調査で分かった。
 
 場所は飲食店が最多で、飲食店の従業員は他の業種よりも受動喫煙の機会が多いことも明らかになった。
 
 調査は先月15〜20日、モニター登録している全国の男女約1万人を対象にインターネットで実施。その結果、受動喫煙を不快と感じる人は全体で82.2%だった。非喫煙者では90.0%で、喫煙者でも44.9%いた。
 
 受動喫煙した場所は飲食店が最多の62.1%で、次いで路上(60.4%)、遊技場(59.3%)、コンビニの出入り口(56.7%)だった。飲食店の従業員は受動喫煙のリスクが医療従事者の2倍に上り、質問した全業種で最多だった。


(2017.3.3)
 居酒屋も原則禁煙に、厚労省の規制案
TBS News i 3月1日
 
 「世界最低レベル」と言われる日本の受動喫煙対策について、厚生労働省の新たな規制の案が政府の会合に示されました。
 
 東京・四谷にある創業60年の老舗「とんかつ鈴新」。カウンター15席の店内でカツと一緒にお酒も楽しめる人気店で、利用客の健康を考え、4年前から受動喫煙対策に乗り出しました。
 「うちみたいに12、3人しか入れないお店だと、余計、一人の方がたばこを吸っていると、皆さんに吸収されていってしまう」(とんかつ鈴新 鈴木洋一社長)
 国内では、受動喫煙が原因で脳卒中や肺がんなどにより亡くなる人が年間およそ1万5000人と推計されています。海外では飲食店や公共の場所などを禁煙にする国が多い中、日本の受動喫煙対策は「努力義務」のみ。WHOでは『世界最低レベル』と指摘されています。
 1日、厚労省は、関係省庁が集まる政府の会合で新たな規制の案を示しました。小・中・高校と医療施設は「敷地内」全面禁煙。大学や運動施設、官公庁は「屋内」全面禁煙。そして、焦点となっていた飲食店については、居酒屋なども含めて屋内「原則」禁煙としました。
 その上で、子どもが来る可能性などが少ない「バーやスナック」に限っては、例外として規模が小さい店舗のみ店内でも喫煙を認めるとしました。違反した場合、50万円以下の過料を設けることも盛り込まれました。
 一足はやく全面禁煙を実施してきたとんかつ店は・・・
 「吸おうが吸わまいが、とんかつを食べに来る。おいしいから!」(喫煙歴のある常連客)
 「やっぱり、おいしい店には行きますよね。(Q.禁煙だとしても?)禁煙だとしても!」(喫煙歴のある常連客)
Q.売り上げは落ちている?
 「いや、そんなことはないですね。逆に最近は、『禁煙ですか?』ってお客さんが入ってきて、『はい、そうです』って言うと、『良かった』って言ってくれるお客さんの方が多くなってきていますから」(とんかつ鈴新 鈴木洋一社長)
 自民党内などから、居酒屋などの屋内原則禁煙には反対の声も出ていますが、厚労省は、改正法案の今国会への提出を目指すとしています。


(2017.3.3)
 受動喫煙対策で修正案 小規模なバーやスナックは対象外
NHKニュース 3月1日
 
 受動喫煙の対策として不特定多数の人が出入りする建物の中を原則、禁煙とする法律の内容を検討している厚生労働省は、焦点となっていた飲食店について、バーやスナックなど主に酒を提供する小規模な店に限り、一定の条件の下で規制の対象から外す案を公表しました。
 
 厚生労働省は、3年後の東京オリンピック・パラリンピックの開催を前に、不特定多数の人が出入りする施設を中心に、原則、禁煙とする法案を今の国会に提出する方針で、その案の内容を1日、公表しました。
 
 それによりますと、飲食店やホテルなどの建物の中では壁などで完全に仕切られた喫煙専用の部屋以外は原則、禁煙とし、違反を繰り返した場合は喫煙した人や施設の管理者に罰金を科すとしています。
 
 一方、飲食店の業界から「喫煙室を設置する余裕がない」などと、反対意見が寄せられたことから、バーやスナック、キャバレーなど主に酒を提供する小規模な店に限って、換気などを行うことを条件に規制対象から外すとしています。対象から外すのは、延べ床面積が30平方メートル以下の店を想定しているということです。
 
 一方、酒を提供する店でも居酒屋やレストランなどは、家族連れや観光客も利用するため、規制の対象とするとしています。
 
 また、専用の喫煙室を設ける場合は、たばこの煙が外に漏れないよう、一定の水準を満たすことを条件とするということです。
 
 医療機関や学校は、敷地内を全面的に禁煙とするとしていますが、喫煙室がすでに設置されている場合は法律の施行後5年間に限って使用を認めるということです。
 
 「電子たばこ」については、健康への影響を見極めたうえで、規制対象とするかどうか判断するとしています。厚生労働省は、必要な法律の案を今の国会に提出する方針ですが、慎重論や反対意見が根強く、調整が難航することも予想されます。
 
 厚生労働省は「飲食店は、妊婦や子ども、それにがんやぜんそくの患者も利用するので、受動喫煙をなくすためにも、利用者が限定される施設以外の屋内を禁煙とすることに理解を求めたい」と話しています。


(2017.3.3)
 受動喫煙対策 電気加熱式たばこ規制対象へ
日テレニュース24 3月1日
 
 受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案をめぐり、厚生労働省は現時点で「電気加熱式たばこ」を規制の対象にするという案が提示された。
 
 受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案をめぐり、厚生労働省は1日、JTのプルーム・テックやそのほか、アイコスなども規制対象とした案を政府に提示した。
 
 「電気加熱式たばこ」は、受動喫煙による影響の十分な知見が得られていないためで、一旦規制の対象とし、今後、健康への影響がないと明らかになったものだけを政令で対象から外すとしている。


(2017.3.3)
 飲食店内は原則禁煙、違反すれば過料30万円以下 厚労省が法改正原案公表
ヤフーニュース(産経新聞) 3月1日
 
 飲食店内は原則禁煙、違反すれば過料30万円以下 厚労省が法改正原案公表
たばこ受動喫煙(イメージ)(写真:産経新聞)
 
 厚生労働省は1日、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の防止対策として、今国会提出の健康増進法改正案の原案を公表した。焦点だった飲食店は原則、建物内を禁煙とする。一方で小規模なバーやスナックを規制対象外とするなど、例外場所を盛り込んだ。電気加熱式たばこも健康影響を判断し、影響があれば規制対象とする。
 
 受動喫煙対策は2020年東京五輪・パラリンピックの開催などを目指して強化される。喫煙室を新設する場合は、新基準の下で煙が漏れ出ないかなど審査した上で、都道府県知事らが指定する。
 
 原案では、未成年や患者が利用する小中学校や医療機関は最も厳格な敷地内全面禁煙にした。大学や運動施設、官公庁は建物内禁煙で、喫煙室の設置も認めない。
 
 レストランやラーメン店などの飲食店では、喫煙室の設置を認めた上で、建物内禁煙。ただ、延べ床面積「30平方メートル以下」のバーやスナックなど小規模な酒類提供の店は妊婦や未成年者の利用が想定しにくいとして規制の対象外とした。
 
 違反した場合は、喫煙の中止や退出を指導した上で、悪質で命令に違反した場合に、30万円以下の過料に処する。


(2017.3.1)
 屋内公共スペース、全面禁煙に=上海
時事ドットコム 2月28日
 
 中国上海市のたばこ販売店の横で喫煙する男性=2013年5月(AFP=時事)
 
 【上海時事】中国上海市で3月1日から、屋内公共スペースが全面禁煙となる。オフィスや飲食店、娯楽施設、交通ターミナルなどでは、建物の内部で喫煙ができなくなり「これまでで最も厳しい喫煙規制」(地元紙・解放日報)という。
 
 上海市政府が2月28日に公表した通達によると、オフィスや飲食店、空港や鉄道駅内の分煙エリアはいずれも撤去される。未成年者が集まる学校や劇場などでは、屋外でも喫煙を禁止する。
 
 条例に違反した喫煙者には最高200元(約3300円)、喫煙を制止しなかった施設の経営者には最高3万元(約49万円)の罰金がそれぞれ科される。


(2017.3.1)
 厚生労働省の「全面禁煙」 日本禁煙学会が強気のコメント
ライブドアニュース(キャリコネニュース) 2月27日
 
ざっくり言うと
  厚生労働省が、小規模な居酒屋なども全面禁煙にする方向で議論に入った。
 
 日本禁煙学会は、現在主流の分煙では効果が薄いと指摘し、全面禁煙を支持。
 
 「アルバイトたちの健康を守ることにも繋がる」と、強気のコメントを出した。
 
小規模居酒屋も「全面禁煙」方針 日本禁煙学会は「ここで妥協してはいけない」と強気のコメント 
 喫煙者には頭の痛いニュースだ。厚生労働省は受動喫煙の防止策として、小規模な居酒屋や焼き鳥屋なども全面禁煙にする方向で議論に入った。2月25日付けで読売新聞などが伝えている。
 
未成年が立ち入らないバーやスナックは例外
 ネットでは「これは良いニュース。嫌な思いをせずに呑みに行ける」「パチンコ屋もやれ」と、賛同が集まる一方、「タバコも吸えない居酒屋なんて、行く価値もない」「厚生労働省は日本経済を壊す気かよ 禁煙店にマークを付けて、外国人向けに推奨すれば十分だろ」と、批判の声も根強い。
 
 一方で今回、アルコール類の提供が主であるバーやスナックは、未成年者が立ち入らないなどの理由から、店頭に喫煙可能の旨を掲示することを条件に例外とされる見込みだ。客の減少などの懸念から例外を設けるよう打診していた飲食店業界の声はある程度汲まれたようだ。
 
 ただ、世論は全面禁煙を支持する方向で動いている。2012年にジョンソン・エンド・ジョンソン社が屋内労働者向けに実施した調査では、6割以上が公共の場での全面禁煙に賛成している。
 
日本禁煙学会「未成年者のアルバイトたちの健康を守ることに繋がる」
 2月9日に「健康増進法改正案の改悪についての日本禁煙学会緊急声明」を出した日本禁煙学会理事の宮崎恭一氏は、今回の厚生労働省の方針について「この法案が通れば、家でも建物内でも外でも吸えないということで、日本は世界で一番たばこに厳しい国になります」と歓迎と期待をあらわにする。
 
 さらに、現在飲食店で主流の分煙では効果が薄いと指摘した上で「いくら分煙にしても、ドアの開閉によって喫煙室内の空気が外に流れ出すので、完全な分煙にはなりません。また、電子たばこならいいじゃないかとの声もありますが、ああいった機器を使っても、吐く息からはニコチンが放出されます。全面禁煙になれば、これまで煙に晒されてきた未成年者のアルバイトたちの健康を守ることに繋がります。」と、ほっとした様子だった。
 
 日本は2004年、WHOのたばこ規制枠組条約(FCTC)を批准している。この第8条には『飲食店等を含む屋内施設を完全禁煙化することによる受動喫煙の防止』という項目があり、この履行のためには、今回のような方針で進むことは避けて通れないだろう。
 
 一方で宮崎理事は、30平方メートル以下のバーやスナックに喫煙の抜け道が残されていることに関して「お店の大きさに関係なく禁煙にしたほうがいい。ここで妥協してはいけない」と、今後も完全なる全面禁煙に向けて取り組む意欲を見せた。
 
 キャリコネニュースは大手居酒屋チェーンにも取材を申し込んだが、「法案提出前なので具体的なお話は差し控えさせていただきたい」とのことだった。2020年のオリンピックを控え、愛煙家に向けられる目はますます厳しさを増すようだ。


(2017.3.1)
 京都の老舗喫茶、消えゆく紫煙
京都新聞 2月27日
 
 「コーヒーとたばこ」という喫茶店で見慣れた光景が減りつつある(京都市中京区・スマート珈琲店)
 
 紫煙をくゆらせながらコーヒーを味わい、ほっと一息−。喫茶店で見慣れた光景が、京の街から消えつつある。喫煙者の減少や観光客の増加を背景に、市内の古い喫茶店が禁煙化に相次いで踏み切っている。一方で「喫煙可」を貫く店も。時代の流れに合わせるか、創業以来のスタイルを通すのか。多様な人々が集い、文化や思想を育んできた京都の老舗喫茶店が揺れている。
 
 昨年10月、「フランソア喫茶室」(下京区・1934年創業)と「喫茶ソワレ」(同・48年創業)が、ともに全面禁煙化した。
 
 喫茶ソワレは、その2カ月前にまず分煙化を試みた。ところが、臭いへの苦情や、喫煙席と禁煙席を混同する客が絶えず、全面禁煙に。「ついにここも」と肩を落とす喫煙派の客も少なくなかったという。店主の久保尚則さん(61)は「喫煙客を排除する気はなく、苦渋の決断だった」と振り返る。
 
 フランソア喫茶室の店主、立野隼夫さん(72)は店を禁煙にした理由に「客層の変化」を挙げる。ケーキを自家製に変えた20年前から女性客や観光客が増え、「禁煙要望も多くなった」という。
 
 「変化」は、店での時間の過ごし方にも。同店は創業時から学生や芸術家、思想家などが読書を楽しみ、意見を交わすなど、「文化サロン」のような場となってきた。しかし、最近は「何時間も議論したり、本を読んだりして過ごす客は少なくなりました」
 
 一方で、「喫煙可」を続ける店もある。「スマート珈琲店」(中京区・32年創業)や、「築地」(同・34年創業)。ただ、心中は複雑なようだ。スマート珈琲店の店主、元木章さん(42)は「観光客などからの禁煙要望は強い」と悩む。
 
 築地店主の原田雅史さん(43)も、喫煙にこだわっている訳ではない。「創業時は世間の喫煙率が高く、必然的に店も喫煙可だった」といい、「祖父から引き継いだ伝統は全て守りたいが、禁煙が時代の流れなら、逆らう気はありません」
 
 京都市の喫煙率は、近年の調査で18・2%(2013年度・国民生活基礎調査)と、全国の21・6%(同)を下回る。国が飲食店を原則、禁煙化する受動喫煙対策の法案策定を進めるなか、禁煙化の流れは今後さらに加速すると予想される。
 
 フランソアとソワレは禁煙化して約4カ月たった現在、新規客やリピート客が増えたという。「喫煙可だから、と敬遠していた客も戻ってきた」(ソワレ)など、プラスの効果も出ている。
 
 創業から変わらない内装に調度品が並び、ゆったりとした時間が流れるなかで、読書や思索、会話にふける…。そんな老舗喫茶店ならではの光景から、たばこの火が完全に消える時が、遠くないうちに来るかもしれない。


(2017.2.28)
  禁煙治療を全額補助へ 三重・菰野
ヤフーニュース(朝日新聞デジタル) 2月24日
 
 三重県菰野町は、たばこの禁煙治療にかかる自己負担分への全額補助を新年度から始める。24日発表した新年度予算案に事業費約131万円を盛り込んだ。
 
 町によると、禁煙治療は現在、一定の条件を満たせば健康保険などを利用でき、治療にかかる自己負担は2万〜2万5千円という。町は保険の種別に関係なく禁煙治療に挑戦できるようにする。初年度は20歳以上の希望者45人を募集する。
 
 石原正敬町長は「嗜好品(しこうひん)に公費を使うことに議論もあったが、東京五輪に向けて受動喫煙をなくすのは全国的な流れ。禁煙に挑戦した町民のデータを今後の禁煙支援に生かすこともできる」と話した。


(2017.2.28)
 受動喫煙対策 厚労省案、例外は小規模バーやスナックのみ
ビッグローブニュース(TBS) 2月26日
 
 厚生労働省が受動喫煙対策として原則禁煙を目指していた飲食店のうち、小規模なバーやスナックに限って例外とする方針を固めたことがわかりました。
 
 受動喫煙対策をめぐっては厚労省は当初、全ての飲食店を原則禁煙にすることを目指していましたが、その後、自民党や飲食業界から反対の声が相次ぎ、規模が小さい場合は例外とすることを検討していました。
 
 関係者によりますと、厚労省は新たに居酒屋を含む主に食事を提供する飲食店は原則禁煙にする一方、酒の提供がメインとなるバーやスナックについては規模が小さい店舗に限って例外を認める方針を固めました。家族連れなどが利用する場所では受動喫煙対策を徹底する考えで、厚労省は来週にも新たな規制案を政府のワーキンググループに示す方針です。


(2017.2.28)
 小規模居酒屋、例外とせず=「飲食店禁煙」法案で検討?厚労省
ビッグローブニュース(時事通信) 2月25日
 
 「飲食店は原則禁煙」などの受動喫煙対策を盛り込んだ健康増進法改正案をめぐり、厚生労働省が小規模な居酒屋や焼き鳥屋も例外としない方向で検討していることが25日、関係者への取材で分かった。
 
 厚労省は飲食業界などの反発を受け、未成年が原則立ち入らない床面積が約30平方メートル以下の小規模なバーやスナックは例外とする修正案を検討している。
 
 ただ、居酒屋や焼き鳥屋は酒類を提供する一方、家族連れや外国人観光客も多く訪れるため、レストランやラーメン店などと同様、喫煙室の設置も可能な屋内全面禁煙が必要と判断した。例外の範囲を広げ過ぎると、規制の実効性が失われることも考慮した。
 
 厚労省は今国会への法案提出を目指しているが、自民党内で「小規模な飲食店はやっていけない」などの反対意見が根強く、調整が難航する可能性もある。


(2017.2.28)
 受動喫煙対策を掲げる議員に対する有権者の支持に係る アンケート調査結果
JIMDO.COM 2月26日
 
概要
  2,118人を対象としてインターネットアンケート調査を行った。
 
 回答者の喫煙率は全体で20.9%、男性24.8%、女性12.3%であった。
 
 回答者の多くは受動喫煙防止のための法律・条例(以下、受動喫煙防止法令)制定に前向きな意向を示した。
 
 受動喫煙防止法令制定に前向きな意向を持つ者ほど投票頻度が高い傾向を示した。
 
 受動喫煙防止法令制定に賛成する議員には、投票頻度が高い者ほど好感を持つ傾向を示した。
 
 受動喫煙防止法令制定に反対する議員には、投票頻度が高い者ほど喫煙する議員に嫌悪感を感じる傾向を示した。
 
 喫煙者よりも、非喫煙者のほうが投票に行く傾向を示した。
 
 上記より、受動喫煙防止法令の制定にあたって、賛成することが有権者の支持につながっていくと考えられる。
 
 また、喫煙する議員は、非喫煙者の支持を得るためには禁煙する必要性が示唆された。
 
 ただし、本研究の対象はインターネットアンケートサイト登録者に限定されているため対象に偏りがある可能性が否定できないため、結果の解釈には慎重を要し、今後さらなる検討が必要である。
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当ホームページについて
 2015年に実施した、受動喫煙対策を掲げる議員に対する有権者の支持に係るアンケート調査の主な結果です。
 
 第9回日本禁煙学会学術総会において発表しました。
 
 当ページの内容をPDFでまとめたものもございますので、ほしい方は問い合わせフォームよりお知らせください。
 
調査者
 Takahiro Suzuki
 Yoko Matsunami


(2017.2.27)
 受動喫煙対策、有識者会議が意見書提出
ヤフーニュース(TBS系(JNN)) 2月24日
 
 自民党内などから反発の声が相次いでいる受動喫煙対策について、23日、国のがん対策を審議する厚生労働省の有識者会議が意見書をまとめ、大臣に提出しました。
 
 受動喫煙対策をめぐっては、厚労省が飲食店を原則禁煙にする法案を今の国会に提出することを目指していますが、対策を議論している自民党の部会では反対の声が相次いでいます。
 
 こうした中、23日午後、国のがん対策を審議する厚労省の有識者会議が「受動喫煙を防ぐことが、がん予防の観点から非常に重要」とする意見書をまとめ、塩崎大臣に手渡しました。
 
 有識者会議の門田守人会長は、「タバコを吸わない人が健康影響を受けるのは我慢できない。例外を設けるという発想はあるべきではない」と主張しました。


(2017.2.27)
 「受動喫煙完全防止を」=がん対策協議会、 塩崎厚労相に要望
JIJI.COM 2月23日
 
 がん対策推進協議会の門田守人会長(中央左)から受動喫煙防止対策に関する意見書を受け取る塩崎恭久厚生労働相(同右)=23日午後、同省
 
 政府が今国会への提出を目指している受動喫煙防止法案をめぐり、がん患者や有識者らでつくる「がん対策推進協議会」の門田守人会長(堺市立病院機構理事長)が23日、塩崎恭久厚生労働相を訪れ、「受動喫煙完全防止に向け、建物内禁煙を基本とした実効性のある法的措置を」と求める意見書を手渡した。
 
 意見書は、受動喫煙により日本では年間1万5000人が死亡しており、肺がんのリスクも約3割高まると指摘。受動喫煙防止はがん予防の観点から重要なのに、日本は対策が最低レベルに分類されているとして、早急な対応を求めた。
 
 飲食店の経営悪化を懸念する慎重論に対しては、世界保健機関(WHO)の報告ではレストランやバーを全面禁煙にしても減収はないとされていることを挙げ、「国民の健康増進を図り、命を守ることを第一に考えてほしい」と訴えた。


(2017.2.26)
 屋内全面禁煙へ要望書 がん患者団体など150団体
朝日新聞デジタル 2月25日
 
 塩崎恭久厚生労働相に要望書を手渡す日本肺がん患者連絡会の長谷川一男代表(左)=24日、東京・霞が関の厚労省
 
 2020年の東京五輪・パラリンピックを前に、政府が今国会への提出を目指している受動喫煙対策を強化する法案について、がんの患者団体や医療系学会などの約150団体が24日、飲食店も含め屋内全面禁煙を求める要望書を塩崎恭久厚生労働相に提出した。記者会見で、参加団体の一つ、日本肺がん患者連絡会の長谷川一男代表(46)は「子どもや孫にたばこの害がない世界、未来をつくってほしい」と呼びかけた。
 
 法案をめぐっては、飲食業界やその支援を受ける自民党議員らの反対が根強く、政府は小規模飲食店の一部を原則建物内禁煙(喫煙室設置可)の例外とすることを検討している。
 
 7年前にステージ4の肺がんと診断された長谷川さんは喫煙歴はなく、テレビディレクター時代に受動喫煙にさらされた。「(喫煙者は)自分の喫煙で身近な人ががんになるかもしれないと想像してほしい」と訴えた。
 
 日本循環器学会などでつくる「25学会禁煙推進学術ネットワーク」の藤原久義理事長は「受動喫煙をなくせば年1万5千人の死亡を減らせる。医療者としては看過できない。面積基準による例外、喫煙室の例外は認めるべきではない」と話した。
 
 がん患者や有識者でつくる厚労省の「がん対策推進協議会」も23日、建物内禁煙を基本とすることを求める意見書を厚労相に出した。がん研究会有明病院名誉院長の門田守人会長は「他人の煙を吸わされる状況はあるべきではない」と例外を設けないよう求めた。(竹野内崇宏)


(2017.2.26)
 受動喫煙防止強化へ“屋内を完全に禁煙に”
ytv 読売テレビ 2月24日
 
 政府が今の国会に提出を目指している受動喫煙防止対策を強化する法改正について、がん患者の会などが「例外なく、屋内を完全に禁煙にすべき」との要望書を厚労相に提出した。
 
 日本肺がん患者連絡会や日本対がん協会など約150の団体は24日、受動喫煙防止対策の強化を求める要望書を塩崎厚労相に提出した。
 
 要望書では、「飲食店を含む屋内全てを完全禁煙にすべきで、喫煙室の設置を可能にすべきではない」と訴え、「小規模な飲食店の例外も認めるべきではないと」と主張した。
 
 これに対し塩崎厚労相は「しっかりと受け止め議論をしている自民党にも伝わるようにしたい」と応じた。
 
 肺がん患者(喫煙歴なし)長谷川一男さん(46)「自分ががんになったということは受け入れられると思うんですが、(受動喫煙などの)外的な要因でなったということであれば話が違う。悔やんでも悔やみきれないなと」
 
 喫煙歴がなく肺がんを患う男性は、会見で「救える命を救って欲しい」と訴えた。一方、規制強化に反対している飲食業界やたばこ関連団体は東京・錦糸町で署名活動を行った。
 
 小規模な飲食店では経営への影響が懸念されるため、客や店側が禁煙か分煙かを選択できるようにすべきだと訴えている。署名活動は全国で行われていて、近く厚生労働省などに提出する方針だという。


(2017.2.26)
 「建物内例外なく禁煙に」肺がん患者ら関係団体が要望
NHK NEWS WEB 2月24日
 
 塩崎厚生労働大臣は、飲食店などの建物の中を原則として禁煙にする法案をめぐり、肺がん患者などおよそ150の団体の代表から例外なく建物の中を禁煙にすべきだと要望されたのに対し、今の国会への法案の提出を目指す考えを重ねて示しました。
 
 厚生労働省は受動喫煙の防止策を強化するため、飲食店などの建物の中を原則として禁煙にする法案を今の国会に提出したい考えで、延べ床面積がおよそ30平方メートル以下で、主に酒を提供するバーなどの小規模の店舗を禁煙の例外とする案を検討しています。
 
 こうした中、肺がん患者や医療関係団体の代表10人が塩崎厚生労働大臣と面会し、「厚生労働省が検討している案では受動喫煙対策の徹底にならない」として、例外なく建物の中を禁煙にすることなどを盛り込んだ、およそ150の団体による要望書を手渡しました。
 
 これに対し塩崎厚生労働大臣は、今の健康増進法の努力義務規定では、受動喫煙対策の大きな進展は望めないという認識を示したうえで、「対策を徹底するための法案をまとめたい」と述べ、今の国会への法案の提出を目指す考えを重ねて示しました。日本肺がん患者連絡会の長谷川一男代表は記者会見し、「罰則つきの法案を1日も早く成立させてほしい」と述べました。
 
 法案をめぐっては、自民党内や飲食業界に「一律に原則禁煙とするのではなく、まずは分煙の推進を図るべきだ」という意見が根強くあり、調整が難航しています。


(2017.2.26)
 受動喫煙防止 「例外認めぬ」声拡大 150団体要望
毎日新聞 2月25日
 
 受動喫煙防止を求める声が広がっている。23日のがん対策推進協議会に続き、24日には肺がん患者会や学術・医療関係などの約150団体が塩崎恭久厚生労働相に「例外なき禁煙」を求める要望書を手渡した。国際オリンピック委員会(IOC)などは「たばこのない五輪」を掲げており、東京五輪・パラリンピックを控えた今は「最初で最後のチャンス」(医療団体関係者)と意気込んでいる。
 
 日本肺がん患者連絡会は「『例外』は患者視点からとても容認できない。屋内全面禁煙の方針を貫いてほしい」と、罰則付きの受動喫煙防止法成立を求めた。塩崎氏との面会後に記者会見した同連絡会の長谷川一男代表は「反対派には、この法律は子どもや孫にたばこの害が及ばない世界や未来を創るものだと考えてほしい」と訴えた。
 
 また、九州看護福祉大の川俣幹雄教授は全国約1万人を対象に実施した調査結果を公表。全面禁煙の飲食店の利用頻度について、42%が「増える」と回答。「特に変わらない」は39%、「減る」は13%だった。
 
 川俣教授は「飲食店の禁煙化で収益が減るとの懸念があるが、調査結果は逆に(収益が)増える可能性が示された。科学的なデータに基づき政策を決定すべきだ」とした。日本禁煙推進医師歯科医師連盟なども11日に緊急提言し、「例外」を認めないよう求めている。
 
 受動喫煙対策を巡っては、世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約が2005年に発効し、諸外国では相次いで建物内を全面禁煙にする法制化が進んだ。しかし、日本は対応が鈍く、国際的にも大きく後れを取っている。
 
 日本肺癌(がん)学会などの学術団体でつくる禁煙推進学術ネットワークは09年、日本も公共交通機関や飲食店を含めた建物内を全面禁煙とする法案の検討を厚労省に求めたが、大きな動きにはならなかった。五輪・パラリンピックの東京開催が決まった13年以降、各団体が東京都への条例制定を要望したが、都議会最大会派の自民党が一律規制に異議を唱え、当時の舛添要一知事は15年、受動喫煙防止対策の条例化を当面見送る考えを示していた。【細川貴代、下桐実雅子】


(2017.2.26)
 飲食店全面禁煙「当初案に賛成7割」  150団体が要望書
日本経済新聞WEB刊 2月25日
 
 日本禁煙学会や肺がんの患者会など約150団体は24日、罰則付きの受動喫煙規制を求めて、塩崎恭久厚生労働相に要望書を提出した。飲食店は建物内を原則禁煙とし、喫煙室の設置を認める厚労省の当初案について、約1万人が回答した調査で約7割が賛成しているとし、小規模店に例外措置を設けないよう訴えた。
 
 厚労省で記者会見した日本肺がん患者連絡会の長谷川一男代表は「子供や孫にたばこの害が及ばないよう規制を強化すべきだ」と話した。要望書を受け取った塩崎厚労相は改めて、今国会に健康増進法の改正案を提出するとの考えを示したという。


(2017.2.25)
 豊田市 路上喫煙防止の条例案、意見を募集 /愛知
毎日新聞 2月23日
 
 市路上喫煙防止条例の策定を検討している豊田市は、条例案を公表し、3月14日まで市民からの意見を募集している。条例案は6月市議会に上程し、11月施行を目指す。
 
 条例案によると、市中心部の豊田市駅周辺に路上喫煙禁止区域を設け、注意に従わない違反者には2000円の過料を科す。中心部では市街地再開発事業が進行中で、多機能複合施設「キタラ」が11月にオープンする予定。来訪者の増加が見込まれ、くわえたばこによるやけどなどの被害やポイ捨てによる美観の喪失などが懸念されるとして、条例策定を目指す。6〜11月には地元の要望なども聴き、具体的な禁止区域を指定する。喫煙者に配慮して、駅周辺に数カ所の喫煙スペースを設ける予定。
 
 意見は住所、名前とともにファクス(0565・71・3000)か郵送で〒470−1202 豊田市渡刈町大明神39の3 市清掃業務課へ。【中島幸男】


(2017.2.25)
 県民の生活習慣 改善
YOMIURI ONLINE 2月21日
 
◇15年度調査 飲酒、たばこ減 運動増
◇食事バランスなど課題も
 県は、県民の健康状態や栄養状況を調べた2015年度の「滋賀の健康・栄養マップ」調査の結果を発表した。09年度の前回調査に比べ、喫煙や飲酒などの生活習慣に改善がみられる一方、食事のバランスに気をつける人の割合が減るなど課題も浮き彫りになった。(生田ちひろ)
 
 調査は1986年度からおおむね5年ごとに実施。今回は県内全市町で4194世帯を選び、2015年11月に食生活や栄養状態について尋ねる「食物摂取状況調査」で8607人、喫煙や運動などに関する「生活状況調査」で1万447人の有効回答を得た。
 
 前回の結果と比べると、食生活では、バランスのとれた食事に気をつけている人の割合が20歳代で男性18・1%(1・4ポイント減)、女性33・3%(1・1ポイント減)と微減。40歳代では男性28・8%(3・4ポイント減)、女性62・1%(3・3ポイント減)となった。各世代とも男性の割合が低いのが目立つ。
 
 成人の野菜摂取量の1日平均は282・7グラム(8・1グラム増)と微増したが、若い世代ほど量が少ない傾向がある。
 
 生活習慣病のリスクを高めるレベルの飲酒をする人は男性11・7%(10・1ポイント減)、女性4・6%(1・2ポイント減)。男性では50歳代が15%を超えて最も多い。
 
 一方、30分以上の運動を週2回以上、1年以上続けている20〜64歳は男性20・4%(4・4ポイント増)、女性18・3%(4・1ポイント増)と増加。65歳以上では男女とも40%程度となっている。
 
 ただ、肥満者の割合では、女性は肥満が増える40〜60歳代で15%(1・1ポイント減)となったものの、男性は20〜60歳代で26・1%(1ポイント増)に。40歳代と50歳代の男性は、ほぼ3人に1人が肥満としている。
 
 家族と一緒に朝食をとる日がない子どもの割合は12〜14歳で15・1%(1・6ポイント増)、15〜19歳が31・6%(2・5ポイント増)と増えた。
 
 成人喫煙率は男性が29・1%(9・3ポイント減)、女性は4%(3・4ポイント減)だった。
 
 県健康寿命対策室は「健康づくりに対する意識を高めるため、啓発を進めたい」としている。


(2017.2.25)
 (声)受動喫煙対策、国会議員に憤り
朝日新聞デジタル 2月19日
 
 大学教員 井樋栄二(宮城県 61)
 
 政府が検討している受動喫煙対策を強化する法案に対して、与野党を超えて国会議員が飲食店への規制に反発している。国民の健康を軽視する姿勢に憤りを覚える。
 
 私は約20年前、米国でレストランを予約する際、禁煙席をお願いした。「どこも禁煙ですよ」と言われて驚いた。それなのに日本では、いまだに分煙でいいのではないかなどと議論をしている。
 
 日本の受動喫煙対策は世界保健機関(WHO)から「世界最低レベル」というレッテルを貼られている。愛煙家は「たばこは嗜好(しこう)品」「たばこだけを敵視するのはおかしい」と言う。しかし、たばこを吸わない人にも健康被害の危険性を無理やり負わせる点で、アルコールなど他の嗜好品と本質的に異なる。
 
 分煙には限界があるからこそ、屋内禁煙が世界標準になっているのだ。それに、先進国ではバーも居酒屋も立派に営業しているというデータもある。
 
 東京五輪を控え、待ちに待った屋内禁煙の動きがようやく出てきた。それに水を差す永田町の議論に失望を禁じ得ない。国民の健康を第一に冷静な議論をお願いしたい。


(2017.2.22)
 増える禁煙室 札幌のホテル 「全室」掲げ稼働率アップも
どうしんウェブ 2月21日
 
 禁煙を示す立て札が置かれた室内=札幌市中央区の京王プラザホテル札幌
 
 札幌市内の大手ホテルが、禁煙ルームの割合を相次いで増やしている。アジアや欧米のホテルでは禁煙が進み、増える外国人観光客の受け入れ態勢を整えるためだ。「全室禁煙」を売りに稼働率の大幅な上昇につなげたホテルもある。
 
 「最近は禁煙ルームから予約が埋まる」。京王プラザホテル札幌の宿泊担当者は、そう話す。客室約500室のうち、禁煙ルームの割合は2013年に57%だったが、徐々に増やして16年に80%とした。17年中にも86%まで上げる計画だ。
 
 禁煙ルームの客室単価は、喫煙と比べ平均約千円高いが、それでも予約が入るという。城戸博之副部長は「客室の壁紙や備品も傷みにくい。たばこの臭い消しには時間がかかるため、清掃時間の短縮にもつながる」と利点を強調する。
 
 日本ホテル協会北海道支部の宮崎誠支部長は「従業員の受動喫煙防止の観点からも、対策が進むのは良いことだ」と話している。


(2017.2.21)
 医師らの団体「屋内全面禁煙」求め緊急提言
日本テレビ系(NNN) 2月17日
 
 東京オリンピック・パラリンピックを前に、政府が進める受動喫煙対策に対し、禁煙を推進する医師らの団体が屋内の全面禁煙を求める緊急提言をした。
 
 日本禁煙推進医師歯科医師連盟・斉藤麗子会長「もうこれ以上、日本人を一人も受動喫煙で死なせない。例外なき受動喫煙対策、屋内全面禁煙を推進すべきである」
 
 禁煙を推進する医師ら約700人からなる「日本禁煙推進医師歯科医師連盟」は17日、記者会見した。この中で、屋内の分煙では受動喫煙を完全には防げない実験映像などを示しながら、屋内の全面禁煙を求める緊急提言をした。
 
 厚労省の推計では、年間1万5000人が受動喫煙が原因で死亡していて、政府は、飲食店などの屋内を原則、全面禁煙にした上で、違反した場合は罰則を設ける法案を検討している。
 
 一方、これに対し、自民党の一部の議員や飲食店などの団体は「屋内全面禁煙」では客が減り、経営への影響が懸念されるとして、「分煙」を求めている。


(2017.2.21)
 厚労相 飲食店など建物内の原則禁煙法案 今国会提出へ作業急ぐ
NHK NEWS WEB 2月20日
 
 塩崎厚生労働大臣は衆議院予算委員会で、飲食店などの建物の中を原則として禁煙にする法案について、東京オリンピック・パラリンピックを控えるなかで早期に対策を講じる必要があるとして、今の国会への提出に向け、作業を急ぐ考えを示しました。
 
 厚生労働省は他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙の防止策を強化するため、飲食店などの建物の中を原則として禁煙にする法案の具体的な内容を検討していますが、飲食やホテル・旅館などの業界が「一律の規制は問題だ」として反対し、自民党内からも批判的な意見が出されています。
 
 これに関連して塩崎厚生労働大臣は20日午前の衆議院予算委員会で、「丁寧に準備を進めていくが、海外で屋内を全面禁煙義務とする法律を施行している国が49ある中で日本は努力義務にとどまっており、全く不十分だ」と指摘しました。
 
 そのうえで塩崎大臣は「2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどを契機に受動喫煙の防止対策を徹底すべきで、可能な限り早期に実効性のある対策を講じる」と述べ、法案の今の国会への提出に向け作業を急ぐ考えを示しました。


(2017.2.19)
 禁煙飲食店ルポ 意外に好評だった
錦光山雅子 竹野内崇宏  朝日新聞デジタル 2月15日
 
 「世界最低レベル」(世界保健機関)と言われている日本の受動喫煙対策。海外から多くの旅行客らが訪れる2020年の東京五輪・パラリンピックなどを前に、国は対策を強化したい考えだが、「売り上げが減る」と飲食店業界が猛反対している。一方で、個々には禁煙に切り替える店や最初から禁煙の店も広がっている。東京と大阪でそれらの店をめぐり、わけを聞いてみた。
 
 大阪府立成人病センターのがん専門の疫学研究者で、2年前からフェイスブック(FB)で禁煙店専門のグルメページ「ケムラン」を主宰する伊藤ゆりさん(39)が案内してくれた。
 
 伊藤ゆりさん
 
 1月中旬に訪れた東京・神楽坂のパブ「ザ・ロイヤルスコッツマン」。「スコットランドビールに加え、(国産ウイスキーの)イチローズモルトの品ぞろえにびっくり。2軒目使いにもよさそう」と伊藤さんは早速FBで紹介した。
 
 店主の小貫友寛さん(39)はパリで料理の修業をした。フランスは日本よりも喫煙率が高いが、「屋内は禁煙、喫煙は外、と徹底されていた。フランスでさえこれかと感心した」。
 
 そこで6年前、開店時から店内禁煙に。「禁煙の飲み屋などやっていけない」と同業者から言われて心配したが、営業収入は安定して伸びている。「従業員の健康面からも禁煙で良かった」。2軒目のビストロレストランも禁煙にした。
 
 神楽坂のパブ「ザ・ロイヤルスコッツマン」のカウンターで話す店主の小貫友寛さん=東京都新宿区
 同じ神楽坂の小さな店が並ぶ小路沿いにある「marugame」。店主の丸亀知美さん(47)の手料理とワインを味わう。こちらも開店時から禁煙だ。「食事を楽しんでほしいから、迷いはなかった」。ただ、悩みもある。「店から出てきてたばこを吸うお客さんが多いと、小路が時々『喫煙通り』になってしまう。近所は住宅街だから心配」
 
 「marugame」で客を料理とワインでもてなす丸亀知美さん=東京都新宿区
 
 日を変え、大衆的な小規模店が軒を連ねる大阪・天満を訪れた。
 
 焼き鳥とワインの店「わっちょい」は開店5年目で、昨年5月から禁煙にした。きっかけは客がカウンターに座るなりすぐに出ていくのが相次いだことだった。店長の寺西恵莉さん(31)が後を追って理由を尋ねると、「たばこ臭いところで食事などできない」。店全体の空気がカウンターを通り、調理場の排気口に流れ込んでいた。常連客からも「1杯千円ものグラスワインを頼んだのだから、きれいな空気の中で飲みたい」。
 
 寺西さんは店員と話し合い、減収覚悟で全面禁煙に。ワインの種類を充実させるなどの努力も重ね、客単価は禁煙前より100〜200円上がった。「売り上げが増えたというと驚かれる。香りを楽しみたいワイン愛好家のニーズにこたえた」
 
 店の前に「店内禁煙です。御協力よろしくお願い致します」とお知らせがあった=大阪市の「わっちょい」
 
 JR茨木駅近く、カウンター席だけの割烹(かっぽう)「あかね」。たばこを吸わない客の予約が入る日だけ禁煙にしていたが、ほかの客が外でたばこを吸うのを見た非喫煙者の客が「自分のせいで」と気にしたため、思い切って昨冬に全面禁煙にした。売り上げは変わらず、店主の木下拓摩さん(39)は「たばこを吸わないかつてのお客さんも戻ってきた」。
 
 伊藤さんが行きつけにしているビアバー「フィールグッド・ファクター」の店主、根本武さん(右)。こちらも「開店時から禁煙」という=大阪府茨木市
 
 「ケムラン」は「煙らない」と有名ガイド「ミシュラン」をかけたもので、伊藤さんは禁煙店かつ「おいしい」と太鼓判を押せる店だけ、関西を中心に約60店を紹介してきた。ケムランの特派員を募り、紹介する店をさらに増やしたいと思っている。「全面禁煙の店なんて相当大変なのではと思いきや、どこもうまくいっている。これからも応援したい」(錦光山雅子)
 
 政府が検討している受動喫煙対策を強化する法案に対し、飲食業界は「売り上げが減る」「地方の小さな店が潰れる」などと反対している。15日午前にあった自民党厚生労働部会で、全国飲食業生活衛生同業組合連合会の担当者は「禁煙、分煙、喫煙だとステッカーで店頭表示すれば、利用者に自由に選んでもらえる」と主張した。
 
 ただ、海外ではすでに50カ国近くで飲食店などは屋内全面禁煙だ。全面禁煙によるレストランとバーの営業収入への影響を調べた海外の27報告を厚労省研究班が検証したところ、約8割の22報告が「変化なし」。「増えた」「減った」はそれぞれ2報告、3報告だけだった。雇用や店舗数への影響もほとんどなかった。
 
 国内でも、愛知県の約8500の飲食店を対象にした調査で、自主的に全面禁煙にした約1200店の94%が来客数と営業収入は「変化なし」と答え、「増えた」「減った」はわずかだった。
 
 全面禁煙の徹底を求める団体もある。政府のヒアリングで全国焼肉協会は「喫煙室があるからこの店に行こうとか、ないから行かないとかいうのは不公平。はっきり禁煙にしてもらった方が楽」と、規制するなら喫煙室も必要ないとした。


(2017.2.19)
 受動喫煙対策、永田町で火花 愛煙家議員、規制に猛反発
朝日新聞デジタル 2月16日
 
 たばこをめぐる論争が永田町で火を噴いている。2020年東京五輪・パラリンピックに向け、政府が検討している受動喫煙対策を強化する法案に対し、与野党を超えた愛煙家らが飲食店への規制に反発しているのだ。「世界最低レベル」と酷評される中、対策強化の行方はいかに。
 
 15日朝。自民党厚生労働部会に約50人の国会議員と関係団体が集まる中、河野太郎・前国家公安委員長がぶち上げた。
 
 「たばこを吸う人間が横に座った人間のことをどれだけ考えてこなかったか。日本から受動喫煙を一掃するくらいの決意でやってもらいたい」
 
 皮肉を込めた規制強化論だったが、ズラリと並んだ分煙派に火を付けた。
 
 1日40本吸うという岩屋毅・元外務副大臣は「分煙社会を洗練、成熟させるのが正しい方向。さらに強制すれば、地下に潜ってよからぬ勢力がはびこる」と主張。片山さつき政調会長代理も飲食業への打撃を指摘したうえで、「『経営が成り立たない』と言っているのに、そのままにするのは(厚労行政として)完全に矛盾している」と述べた。
 
 厚生労働省が昨年10月、飲食店を含む建物内の原則禁煙と喫煙室の設置を認める法整備のたたき台を発表。飲食店業界の反発が強いため、延べ床面積約30平方メートル以下のバーなど小規模店の一部を例外とする案を検討中だ。このため部会では100平方メートル以下を「努力義務」として例外扱いする神奈川県条例を参考に、妥協を迫る意見も出た。
 
 質疑の最終盤に発言したのは分煙派の重鎮、野田毅・前党税制調査会長。「たたき台は大幅に修正される前提だ。厚労相が言ったからといって通る自民党じゃない」とクギを刺した。厚労省が法案を修正するのか、施政方針演説で対策強化を訴えた安倍晋三首相がとりまとめに動くのか、先行きはまだ見通せない。
 
 自民党内が紛糾する背景には、業界の声もある。部会のヒアリングでは、たばこの生産者や販売者団体から「喫煙機会が減少するのは明らかで、小売店にも多大な影響が出る」「多様性・自主性・経営に全く配慮がない強圧的な規制」といった声が出た。一方で日本医師会は「国民の健康被害の問題」として、例外なき全面禁煙を求めた。
 
 論争は、民進党にも飛び火している。法案成立を目指す超党派議員連盟には長妻昭・元厚労相らが参加するが、松原仁・元国家公安委員長らが慎重派の「分煙推進議員連盟」を結成。主張はこちらも真っ二つだ。
 
 こうした政界の状況に、日本禁煙学会は規制強化に向け、たばこ業界からの政治献金を独自に集計し、ホームページで公表している。対象となった国会議員は約140人に上り、集計した理事は「献金で政策決定がゆがめられる可能性がある」と指摘する。(藤原慎一、平林大輔)
 
■日本の対策「世界最低水準」
 建物内禁煙は世界の流れだ。10年に国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)が「たばこのない五輪」の推進で合意。10年のバンクーバー(カナダ)以降の五輪開催地はいずれも、罰則付きで飲食店の建物内完全禁煙の規制を実現。14年時点で、49カ国が飲食店を含む公共の場を全面禁煙にしている。スペインでは06年に建物内禁煙とする法律の施行時に、一部飲食店で喫煙室設置を認める例外を設けたが、子どもや従業員の健康保護を強化するため、11年には喫煙室を撤去する法律が施行され全面禁煙となった。
 
 05年に発効したWHOの「たばこ規制枠組み条約」の指針では、屋内の職場や公共の場の全面禁煙と、罰則付きの法律を条約発効5年以内に施行するよう締結国に求めている。だが、日本の受動喫煙対策は罰則がない努力義務にすぎず、WHOから「世界最低レベル」と指摘されている。
 
 一昨年に施行された改正労働安全衛生法でも、従業員の健康のための受動喫煙防止対策を職場に義務づける案が、喫煙派の国会議員などの反発で努力義務へと緩められた。
 
 厚労省は昨年9月、15年ぶりに「たばこ白書」を公表。肺がんや虚血性心疾患、脳卒中などと受動喫煙との因果関係を「確実」と位置づけた。同省研究班は受動喫煙が原因で死亡する人は国内で年約1万5千人と推計。五輪を契機に世界水準の規制に追いつく狙いもあり、塩崎恭久厚労相は記者会見で「おもてなしの心として、『受動喫煙はありません』という国に変えていかなければならない」と語った。(竹野内崇宏)
 
【受動喫煙規制強化をめぐる与野党議員の反応】(敬称略)
●自民党
野田毅:たばこは禁止薬物ではなく嗜好(しこう)品だ。愛煙家も嫌煙家も権利がある。それをどう守り、両立させるかに尽きる。今は休煙中だが、多い時は1日3箱ぐらい吸っていた。
 
河野太郎:吸う人は、どれだけ横の人のことを考えて来なかったか考えてほしい。規制強化は全面的に支援する。受動喫煙は一掃する決意で取り組むべきだ。
 
宮内秀樹:20歳で吸い始め、46歳でやめた。地元で居酒屋に行くと、この規制は評判が悪い。強権的でなく、社会が理解して進む柔らかな方法が必要だ。
 
●民進党
安住淳:たばこはやめてしばらくたつ。五輪に向けて急によそ行きの服を着ようと言っても、そうはいかないのが社会。飲食店の人の声をよく聞いたらいい。
 
初鹿明博:五輪に向けて世界水準に合う規制が必要。やはり屋内全面禁煙、罰則付きは譲れない一線だ。吸わないし、議員1期目からこの問題に取り組んでいる。
 
松原仁:私は吸わないが、吸える店と吸えない店を表示し、客が選べるようにしたらいい。店の面積で縛るのは全体主義的なイメージを感じる。
 
●共産党
穀田恵二:かつて吸っていたのもあり、たばこをあしざまに言うのはよくない。人それぞれの対応の仕方で、私は反省している。
 
●社民党
又市征治:一律に規制し罰則も科すとなれば、分煙できる店はいいが、そうでない店はやめなさいという話になる。私は人に迷惑かけないよう電子たばこに替えている。


(2017.2.17)
 JTがばら撒く灰色の「政治献金」――「たばこ増税阻止」で醜いロビー活動(選択出版)
ヤフーニュース(選択) 1月10日
 
 禁煙が世の流れとなり、愛煙家が肩身の狭い思いを強いられて久しい。国際オリンピック委員会(IOC)は「たばこのない五輪」を掲げ、日本でも二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックに向け、受動喫煙防止など規制強化は避けられない。この風潮に抗って、莫大な利益と権益を死守しようと、国民の目が届かない所で詭弁を弄し、悪あがきを繰り返しているのが「日本たばこ産業(JT)」である。健康への配慮などどこ吹く風、むしろ迷惑千万と言わんばかりに利益だけを追い求め、政治献金をエサに便宜供与を促す。しかもJT株式の三分の一は財務省に保有され、政府のひも付きだ。そんな会社のロビー活動はお手盛りというほかない。禁煙が叫ばれる社会の裏側で暗躍するモンスター企業の実態を暴く。
 十月三十日夕、国会議事堂裏手のザ・キャピトルホテル東急。その大広間で自民党税調会長の宮沢洋一氏の政治資金パーティーが開かれた。二〇一七年度税制改正の鍵を握る宮沢氏の下には、自分たちの税制改正要望を何としても実現させたい各省庁のトップや企業幹部がずらりと顔をそろえた。
 そこに当然のように顔を見せていたのはJT幹部の面々で、宮沢氏にすり寄ると、なにやら耳元でこそこそとささやく姿が目撃された。宮沢氏のパーティーだけではない。今やJTは税制改正や既得権益の堅持に動いてくれそうな自民党国会議員のパーティーに必ず顔を出す代表的な企業の一つ。自民党ベテラン議員の秘書は「JTの危機感の裏返し。親方日の丸の企業が与党に頼み込むのは限りなく黒に近いのではないか」と漏らす。パーティー券の購入は政治献金と同義語だからだ。

私利私欲のたばこ増税阻止
 JTが熱心に政治家に陳情している理由は、私利私欲のためのたばこ増税の阻止である。増税で販売本数が減り、利益の減少につながると懸念しているからだ。
 
 宮沢氏のパーティー直前の十月二十五日、自民党の受動喫煙防止議員連盟の会長を務める山東昭子参院議員(元参院副議長)が菅義偉官房長官に会い「たばこ一箱の価格を一千円以上に」と要請した。たばこの大幅増税と連動した価格の想定であり、東京五輪・パラリンピックに備えた受動喫煙防止対策として、喫煙者数を減らすのが狙いである。菅氏は増税には触れなかったが「五輪を控え、いいタイミングだ」と答えた。JTは危機感を強めて、増税阻止へアクセルを踏み込んだのだ。
 
 純粋な民間企業によるロビー活動は問題視されない。しかし、JTは一九八五年の「民営化」を目指して以来、「民営」とは裏腹に、旧大蔵省、財務省から数多くの天下りを受け入れてきた「半国営企業」だ。近年でも元主計局長の涌井洋治氏を会長に迎え入れ、二〇一四年からは元次官の丹呉泰健氏が会長の椅子に座っている。
 
 政治資金規正法は、企業が補助金の交付決定通知を受け取ってから一年以内の政治献金を原則禁止している。これは補助金を受けた会社が、補助金で成立する「国との特別な関係」を維持・強固にすることを目的に、不明朗な寄付に走るのを防止するのが狙いだ。
 
 それゆえ、違反して寄付をした会社や役職員は三年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処せられる。株式の三分の一を依然国が保有しているJTによる政治献金は、補助金とは異なるものの、本質は変わらない。なぜなら、会長ポストに元財務事務次官が就いていること自体が「国との特別な関係」の証しだからだ。そんな特殊法人が政治家を資金援助したり、陳情したりすることは誰の目から見ても不明朗な癒着構造なのだ。

「二強一弱」への焦りと不安
 JTの宿願は、たばこ増税の阻止だけではない。政治家に懸命に説くのは、受動喫煙防止など喫煙規制強化への反対論である。JTは今年三月に「プルーム・テック」という「蒸気たばこ」を発売。火を使わず、紙やたばこ葉の燃焼に伴う煙が発生しない。燃焼しないから、有害物質を含むタールの発生量が劇的に減り、たばこ臭もほぼ消える?。それが謳い文句だ。
 
 米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)が発売した「加熱式たばこ(アイコス)」と同様に、有害物質の発生量が大幅に減っている。ならば、喫煙規制の点で燃焼式の通常の紙巻きたばことは明確に区別されて当然だと、JTを筆頭にたばこ業界は受け止めている。このため業界は受動喫煙防止規制の対象から、非・燃焼式たばこを外すよう求めている。
 
 ところが、嫌煙派として知られる塩崎恭久厚生労働相が、非・燃焼式たばこをも受動喫煙防止規制の対象に含めようと検討しているとの情報が広まり「JTは塩崎厚労相の動きを食い止めようと巻き返しに出た」(厚労省関係者)。
 
 JTによる醜い抵抗の極めつきは、八月三十一日、国立がん研究センターが公表した「受動喫煙で日本人の肺がんリスクは約一・三倍に」という研究結果への反応だ。JTは即座に、小泉光臣社長名で「科学的に説得力のある形で結論づけられていない」との反論をホームページで発表した。欧米では受動喫煙が健康に有害であることは常識だが、たばこ業界でJTだけが今もこれを認めていない。
 
 JTのなりふり構わぬ言動の背景には、世界的なたばこ業界の大きな地殻変動がある。これまでJTは米RJRナビスコの国外たばこ事業、英ギャラハー、米レイノルズ・アメリカンの「ナチュラル・アメリカン・スピリット」の米国外事業と相次いで買収。これにより米PMI、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)と並ぶ「世界三強」の地位を盤石にするかに見えた。
 
 しかし今年十月二十一日、英BATが米レイノルズ・アメリカンに四百七十億ドル(五兆一千億円)での買収を提案。これが成立すると、業界第二位の英BATが、首位の米PMIを売上高・利益で抜き去り、トップが入れ替わる。JTのポジションは「三強の一角」から「二強一弱の弱者」へと引きずり降ろされてしまうのだ。
 
 この地殻変動にJTの備えは万全とは言えない。なぜならJTは政府に半ば牛耳られているからだ。JT法は「政府は常時、三分の一を超える株式を保有していなければならない」と規定しているため、新株発行による資金調達は不可能だ。特殊法人のままでは「二強」へのキャッチアップは難しい。
 
 そもそも欧米で、国民の健康を司るべき政府がたばこ会社の株主などという国は存在しない。我が国の政府がJT株式を死守するのは、年間八百億円にもおよぶ莫大な配当収入が外部から見えない特別会計に算入されるため、非常に使い勝手が良いカネであることに尽きる。税収不足を補う「税の調整弁」の機能を期待しているためだ。国は税収の確保が最優先で、健康被害など後回し。その国に仕切られるJTは、健康被害に対して詭弁を弄しながら、政府と組んで利益をむさぼる狡猾なビジネスをいつまで続けていくのか。IOCが標榜する「たばこのない五輪」とJTの商魂との溝はあまりにも深い。(選択出版)


(2017.2.17)
 1箱3000円に? 世界的にタバコ規制が強化されている|話題のニュースを各国メディアはこう報じた
COURRIER JAPON 2月13日
 
喫煙者への風当たりは世界的に厳しくなっている。世界保健機関(WHO)はタバコが世界経済に年間1兆ドル(約110兆円)以上の損失を与えていると指摘。15歳以上の喫煙率を2025年までにさらに30%減らす、と宣言した。
 
米「CNN」によれば、フィンランドが各国に先駆けて「タバコ製品一掃」の政策を発表。タバコ販売店のレジ1台につき最大500ユーロ(約6万円)の負担金をはじめとする厳しい規制により、2040年までに喫煙人口を2%未満に減らすという。
 
ロシア保健省は「2015年以降に生まれた国民には、成人してからもタバコを販売しない」と発表。オーストラリアではタバコに大増税が課され、2020年には1箱3000円を超えてしまうという。
 
フランスでも、「ル・モンド」紙が「煙となって消えるタバコ産業」という見出しで、同国のタバコ産業350年の歴史が終わろうとしていると報じた。
 
フランスでは、1974年に「ヴェイユ法」が成立し、健康を害するものとみなされたタバコが、徐々に公的な場から排除されてきた。
 
企業としては、「ジタン」「ゴロワーズ」で知られるセイタはすでに外資の傘下に入っていた。そして現在の親会社である英インペリアル・タバコは、2017年夏までにフランス国内で最後に残った工場を閉鎖すると発表したのである。
 
「ル・モンド」によれば、「フランスでは、2002年?2015年のあいだに、タバコの販売量が44%減少、インペリアルの欧州での生産量も、この4年で19%減少した。工場の稼働率も、いまや50%程度だ」。同紙は別の記事でも欧州市場の状況悪化を分析し、コスト的にタバコ生産は不利になってきた、と観測している。
 
一方、米国市場の動向については、英紙「フィナンシャル・タイムズ」がこのように書いている。
 
「米国の喫煙者数は、史上最低の水準になっている。2015年の時点で、米国の成人でタバコを吸うのは15%のみ。2005年の21%から下がっている。
 
だが米国では、タバコ1箱の値段がまだ安く、国民の可処分所得も比較的高い。また、電子タバコや煙の出ない喫煙具の市場も成長しており、米国市場では利益が出やすくなっている」
 
つまり、まだ「伸びしろ」があるかもしれないというのだ。
 
「キャメル」の米レイノルズを494億ドル(約5兆6000億円)で買収した「ラッキー・ストライク」「ケント」の英BATが世界最大のタバコ・メーカーになったが、これを「悪あがきではない」と評するのは英誌「エコノミスト」。その理由は以下のようなものだ。
 
「インドネシアでは男性の4分の3が喫煙者だし、アフリカ大陸や東地中海諸国の男性の間でも、喫煙者が増えている。世界全体の喫煙率は減っているかもしれないが、人口自体は増えているので、世界ではまだ約11億人がタバコを吸っている。タバコの値段も上がっているため、2015年までの10年間でタバコの小売売上高は29%増加している」
 
同誌は「タバコは人を死に追いやるかもしれないが、そのタバコを作っている会社の健康状態は、まだまだ良好」とやや皮肉な表現で現状を報じている。


(2017.2.15)
 “最後の砦”コンビニの灰皿が消える!? 撤去進み
  受動喫煙理由に訴訟も …「本来は喫煙所に非ず」 愛煙家包囲網狭まる
産経WEST 2月1日
 
 2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、受動喫煙防止の動きが広がる中、コンビニエンスストア前に置かれた灰皿が岐路に立たされている。本来は入店前にたばこの火を消すのが目的だが、店先で喫煙する人が後を絶たず、受動喫煙を理由に住民がコンビニ相手に訴訟に発展するケースも出てきた。たばこの値上げや路上喫煙禁止条例など、愛煙家への包囲網は狭まるばかりで、喫煙人口も減少。かつて当たり前だったコンビニの灰皿が、姿を消す日も遠くないかもしれない。(加納裕子)
 
“貴重な喫煙所”、実は歩きたばこの「火消し」が目的
 昼下がり、コンビニ前の灰皿で男性サラリーマンが一服。しばらくすると、別の男性も近づき、ライターでたばこに火を付ける…。全国のコンビニ前でよくある光景だ。
 
 大阪市は御堂筋沿いや市役所周辺などでの路上喫煙を禁じる条例を平成19年に制定。コンビニ前は貴重な“喫煙所”となっている。
 
 「灰皿があるから吸う。最近では、街中で他に吸える場所もないし」と話すのは同市内の男性会社員(40)。「最近は灰皿のないコンビニも増えた。吸えると思って来たのにがっかりすることも」
と困惑ぎみだ。
 
 コンビニ業界は、灰皿は吸うためではなく、歩きたばこを入店前に消してもらうためとするが、必ずしも周知されていない。
 
 平成27年5月には、医師や看護師ら約4千人が加入する日本禁煙学会が、コンビニ前の灰皿撤去を求める要望を発表した。「灰皿が置かれると、喫煙する利用客も通行者もそこに集まって喫煙する」と指摘し、作田学理事長は「受動喫煙が健康におよぼす破壊的な影響が心配」と話す。
 
 厚生労働省は、東京五輪に向けて受動喫煙防止へ罰則付きの法制化を目指す。国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関は開催都市に「たばこのない五輪」を求めており、ロンドンやリオデジャネイロなどでは罰則を伴う防止策が導入された。
 
 国内では、東京都千代田区が14年に全国初の路上喫煙禁止条例を定めたのを機に、歩きたばこの禁止区域が広がり、近畿ではすべての県庁所在地が区域を限定した形で制定。神奈川県と兵庫県は公的施設などを禁煙とする受動喫煙防止条例も施行している。
 
名古屋でコンビニ経営者相手どり住民が訴訟 撤去へ
 昨年5月、たばこの煙にさらされ「受動喫煙させられない権利」を侵害されたとして、名古屋市昭和区の主婦、水島早苗さん(57)が同区にあるコンビニの経営者を相手取り、灰皿の撤去と慰謝料を求めて名古屋地裁に提訴した。
 
 水島さんは「子供も受動喫煙の被害にあっており、大人の一人として見過ごせない」と訴える。
 
 訴状などによると、この店舗はたばこの火を消すために灰皿を設置し、「ここでの喫煙はご遠慮ください」と張り紙をしたが、喫煙者が後を絶たなかったという。灰皿は店舗改装で撤去された。
 
 日本たばこ産業(JT)の全国たばこ喫煙者率調査によると、昨年の喫煙者率は19・3%。特に男性は昭和40(1965)年に82・3%だったが平成15(2003)年に半数以下となり、昨年(2016)は29・7%と3割を切った。
 
 こうした状況を受け、コンビニ各社も対応を急ぐ。セブン−イレブン・ジャパンは灰皿撤去の方針を打ち出し、ファミリーマートは路上喫煙禁止条例のある地域は店頭の灰皿を原則撤去、都市部の一部では店内に喫煙室を設置した。ローソンも同様の取り組みをしている。
 
 コンビニ業界などが加盟する日本フランチャイズチェーン協会は「喫煙者が減る中で、店頭の灰皿を撤去する動きはますます広がるだろう」と指摘する。


(2017.2.15)
 受動喫煙対策…小規模バー・スナックを例外とする規定に医師らの団体が反発
YOMIURI ONLINE  yomiDr. 2月13日
 
 受動喫煙対策で、政府が小規模なバーやスナックを飲食店内原則禁煙の例外とする方針を示していることに対して、医師などの団体から反発の声があがっている。
 
 日本禁煙推進医師歯科医師連盟は11日、「受動喫煙防止の趣旨に反する」との緊急提言を行った。日本禁煙学会も9日、「例外規定は認められない」とする緊急声明を出した。
 
 受動喫煙対策の強化は、2020年の東京五輪・パラリンピックなどに向け、厚生労働省が検討している。3月に健康増進法改正案を国会に提出する予定。
 
 当初、すべての飲食店を原則禁煙とする考えだったが、飲食業界などの反発を受けて、床面積30平方メートル以下のバーやスナックでは喫煙を認める方向で調整している。
 
 同連盟事務局長の大和浩・産業医科大学教授は「店の面積で喫煙可能か、禁煙かを客が判断するのは難しい。先進国では当たり前の全面禁煙の原則を徹底すべきだ」と話す。
 
元の記事を読む
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170213-OYTET50046/
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(2017.2.12)
 日本禁煙学会、マスコミのたばこ報道を強く非難
 東京五輪「受動喫煙防止」の障害になっている
J-CASTニュース 2月4日
 
 メスメディアにも責任はあるという(画像はイメージ)
 
 日本の受動喫煙対策が進まない大きな原因はマスメディアの消極的な報道姿勢だ・・・日本禁煙学会の作田学・理事長らは2017年 1月31日、外国特派員協会で記者会見し、海外のメディアに日本 の実情を訴えた。
 
 学会は06年に発足、神経内科医の作田さんはじめ、4000人の会員がいる。IOC(国際オリンピック委員会)の理念にもとづき、受動喫煙防止環境での東京オリンピック開催に協力している。その支障になっているのが報道、という。
 
 具体的な事例を挙げて説明
 作田さんはまず、 1月に掲載された電子 (加熱式) タバコのカラー全面 2ページ見開き新聞広告を示し、WHO(世界保健機関)のFCTC(タバコ規制枠組条約)13条では新聞紙面でのタバコ広告を禁じているが、日本では自主規制段階と指摘、次々に具体的な事例を挙げた。
 
 受動喫煙法案の新聞記事は反対派の意見も入れ、両論併記になる。民放局の報道番組の多くはJT(日本たばこ産業)がスポンサーなので、タバコに関するニュースは出ない。健康番組で出演者がタバコの危険性を訴えてもその部分は削除され、ほとんど放映されない。喫煙者でもある著名人が肺がんで死亡してもタバコとの関係は出ない。NHKの健康番組はタバコを取り上げてくれるが、年に1 、2 回だ。そのNHK経営委員に安倍首相はJTの元社長を任命した。
 
 JTの広告が多い夕刊紙や有力週刊誌では、禁煙派を誹謗・中傷する記事がしばしば出る。JTの国内での広告費は年間約 800億円ともいわれる。意を受けた大手広告会社はテレビ、新聞、 雑誌、ネットの反タバコ記事に常時目を光らせており、出稿停止をちらつかせる。
 
 タバコ販売・耕作者組合から献金を受けているタバコ族議員は受動喫煙防止法を妨害している。政府はJT株式を持ち、配当を受けており、財務省とJTは天下り、天上りで密接な関係にある、などなど。
 
 作田さんは「ぜひこうした日本の状況を広く知らせてほしい。日本は外圧に弱い国。みなさんの力で変えてほしい」と訴えた。(医療ジャーナリスト・田辺功)


(2017.2.3)
 2020年五輪に向け受動喫煙防止策の徹底求める=日本禁煙学会
ロイター 1月31日
 
 日本禁煙学会の作田学理事長は31日、外国特派員協会で会見し、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックが、タバコの煙のない「スモークフリー」な環境で行われるよう働きかけていく、と述べた。
 
 作田氏は、日本は、先進国の中でたばこ規制・受動喫煙防止への取り組みが遅れているとし、その理由について、政府が30%の株式を所有している日本たばこ産業(JT)が大手メディアの広告主となっていることや、同社の幹部ポストが財務省の天下り先となっていることが背景にあると指摘した。
 
 一緒に会見した宮崎恭一理事は「日本は、文明国の中の最後のたばこの砦」だと述べた。
 
 厚生労働省は2016年10月に、受動喫煙防止策の法整備に向け、公共施設の建物内を禁煙とし、飲食店などは原則禁煙で喫煙室の設置を求める、などとする法案の「たたき台」を提示した。
 
 たたき台では、学校や医療機関は建物だけでなく敷地内禁煙とし、違反者が勧告に従わない場合、施設管理者や喫煙者に罰則を適用する、としている。
 
 しかし、中小飲食店の業界団体や自民党の一部には、厳格な規制に異議を唱える声が多い。今月開かれた自民党の厚生労働部会では、法案の概要を示した厚労省に対し「小さな喫茶店や居酒屋は経営が立ち行かなくなる」「まずは分煙の推進を図るほうが効率的」など慎重な対応を求める意見が出された。
 
 厚労省健康局健康課では、法案の今国会での提出を目指すとしているが、内容については、様々な意見を受けて現在検討中だという。
 (宮崎亜巳 イレイン・リーズ)


(2017.2.3)
 「文明国として、日本は最後のタバコの砦」禁煙学会メンバー、受動喫煙対策訴える
ORICON NEWS 1月31日
 
 禁煙学会のメンバーが会見を開いた。
 
 2020年の東京五輪開催に向け、国が受動喫煙防止の規制強化に動く中、日本禁煙学会のメンバーが1月31日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開いた。同学会理事長の作田学さんは「日本は受動喫煙防止環境が発展途上国並み」と指摘し、「オリンピックまでに、世界に賞賛される受動喫煙防止環境を実現するために力を尽くしたい」と話した。
 
 政府が3月上旬に法案を提出する方針の健康増進法改正案では、飲食店やホテル内が原則禁煙となる。この点について飲食店などからは反対の声も上がるが、作田さんは「レストランやバーの中での禁煙はほとんど世界中でやられていること。我々日本人だけがシンパシーを持つのはおかしい」と批判した。
 
 同学会理事の宮崎恭一さんは「今後、屋内の喫煙も禁止すれば、諸外国から見て一番進んだ受動喫煙防止法になるはずだ。日本は文明国としては、最後のタバコの砦のような存在。強くタバコの害をアピールしていく必要がある」と述べた。
 
 会見の最後に作田さんは、会場の外国人記者に対して「ここに集まった皆さんの力をお借りして、外圧として日本政府を動かしてほしい」と訴えていた。
 (弁護士ドットコムニュース)


(2017.2.1)
 <受動喫煙防止>飲食店は原則禁煙 3月に法案提出
ヤフーニュース(毎日新聞) 1月31日
 
 他人のたばこの煙にさらされる受動喫煙対策を盛り込んだ健康増進法改正案の概要が、30日分かった。多くの人が使う場所を「敷地内禁煙」「屋内禁煙」「喫煙室設置可の屋内禁煙」と3段階で規制し、悪質な違反には過料を科す。喫煙室には排煙性能などの基準を設け、自治体が適合性を判断する制度も盛り込む。政府は3月上旬に法案を提出する方針。
 
 最も厳しい「敷地内禁煙」の対象は、未成年者や患者が利用する小中高校や医療機関。社会福祉施設、大学、官公庁、バス、タクシーなどは「屋内禁煙」とする。飲食店やホテル内、駅・ビルの共用部分、鉄道の車内も屋内禁煙とするが、喫煙室の設置は認める。喫煙室は室内を密閉したり外部に煙を排出したりする設備などの基準を定める。
 
 施設管理者には、喫煙禁止場所の位置の掲示、灰皿などの設置禁止などを義務付ける。違反には都道府県などが勧告・命令を出し、改まらなければ過料を科す。現行法は罰則なしの努力義務しかない。
 
 厚生労働省は事業所内も規制対象にする考えだが、受動喫煙対策を事業主の努力義務とする労働安全衛生法が別にあるため、今後調整する。
 
 受動喫煙対策の法制化は過去にも議員立法などの動きがあったが、実現していなかった。政府が本腰を入れる背景には、2020年東京五輪・パラリンピックを控え、国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)が「たばこのない五輪」を求めている事情がある。04年以降の開催都市はすべて罰則を伴う防止策を導入しているため、厚労省が昨年10月に制度案を示し、これに沿って法案がまとめられた。
 
 ただし、飲食店やホテル旅館業界は一律の屋内禁煙に強く反対しているほか、自民党内でも小規模飲食店への配慮を求める声がある。【山田泰蔵】
 


(2017.1.31)
 たばこ対策が正念場 受動喫煙対策「世界最低レベル」
              朝日新聞デジタル apital 1月28日
 
 日本のたばこ対策が正念場を迎えている。国は「世界最低レベル」とされる受動喫煙対策の強化を打ち出したが、飲食業界などからは反発が相次ぎ、骨抜きになる余地が残る。包装の警告表示なども世界に遅れを取っている。何が課題になっているのだろうか。
 
■全面禁煙が世界の常識
 
 他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙。厚生労働省研究班の推計によれば、命を失う人は年間約1万5千人にのぼるという。巨大災害が毎年起きているのに匹敵するような数字だ。
 
 政府は2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、公共の場の対策強化を目指している。学校や病院は敷地内禁煙、ほかは建物内禁煙とし、サービス業などは喫煙室も認める厚労省案が軸だ=表。法で定め、罰則も科す。
 
 昨秋に案が公表されると、客離れを懸念する業界団体から反発や戸惑いの声が相次いだ。喫煙室を設けにくい小規模店や、スナック、パチンコ、マージャンなど喫煙客が多いとされる業種が目立つ。今月、東京であった飲食業界などの集会でも「地域のなじみ客との文化がある」「日本型の分煙社会を」と柔軟な対応を求める声が上がった。
 
 ただ、五輪開催にかかわらず、建物内は「分煙」でなく「禁煙」が世界の流れだ。「日本の常識は世界の非常識」。政府のヒアリングで、日本医師会の代表は業界の声にこう反論した。
 
 肺がんや心臓病、脳卒中など健康影響の根拠は積み上がっている。受動喫煙に安全なレベルはなく、喫煙可の空間が残れば、出入りせざるを得ない従業員や利用者らが負わなくていいリスクにさらされる。たばこ規制枠組み条約の指針は、屋内禁煙が唯一の解決法とし、罰則付きの法規制を求めている。公共の場を全て禁煙にしたのは14年時点で英国など49カ国にのぼる。
 
 厚労省によると、今回の案は国内の現状を考慮し、英国と喫煙室を認める韓国の混合型にしたという。これに対し医師会や医学系27学会などは、喫煙室も認めない完全禁煙を求めている。喫煙室は出入り時に煙が漏れるなど完全な防止策とはみなされていない。
 
 国内の受動喫煙対策は03年の健康増進法施行で加速した。多数が利用する施設に対策の努力を求め、法を盾に分煙や禁煙に踏み切る施設が増えた。
 
 だが、施行から10年以上がたち、自助努力やマナー頼みの限界も見えてきた。厚労省の調査では、過去1カ月間に非喫煙者の4割が飲食店で、3割が職場で受動喫煙に遭っている。
 
■警告表示も周回遅れ
 
 厚労省が昨年公表した「たばこ白書」は、日本のたばこ対策は海外に比べ遅れていると指摘する。世界保健機関は対策7項目のうち「受動喫煙対策」「広告・販促・後援禁止」「脱たばこキャンペーン」が最低レベルと評価した。
 
 「健康被害の警告表示」は、条約の最小限の面積(包装の主な面の30%)を満たし、最低は免れた。しかし、推奨面積は50%以上。カナダがん協会によるランキングでは世界123位だ。
 
 今の表示の導入は05年で、財務省が見直しを検討中だ。案では、画像での警告は「今後検討」と先送りされた。カナダは01年に導入し、最新の調査では105カ国に拡大。ロゴやデザインのない包装も12年に豪州が始め、英仏などに広がる。周回遅れは否めない。
 
 国内の喫煙による死者の推計は年間12万〜13万人。国は12年、たばこをやめたい喫煙者(約38%)がやめられるようにし、喫煙率を22年度までに12%に下げる目標を掲げた。その後の下がり方は鈍く、達成が危ぶまれている。
 
 「禁煙を決意しやすい環境づくりが不十分」と地域医療振興協会の中村正和・センター長は言う。屋内禁煙、表示、値上げ、禁煙支援などを組み合わせた対策を強く進める必要があるという。健康リスクの情報提供の不足も、対策の機運が高まらない要因とみる。
 
 たばこ対策は、過去にも業界や議員らの反発で骨抜きになってきた。財務省所管のたばこ事業法が産業の発展をうたう限界も指摘される。
 
 「たばこ問題は原発問題と構造的に似ている」と日本対がん協会の望月友美子参事は言う。国策、産業、科学と社会が絡み、人間がつくった「避けられるリスク」である点も共通する。
 
 たばこ会社は、分煙の推奨、マナー広告、喫煙所整備、最近広がる加熱式たばこなど様々な形で印象の向上を図る。これらも、やめにくい環境をつくり対策を阻むと問題視されている。
 
 どれだけの命が救われるかは、今後の対策とそれを支える世論にかかっている。(編集委員・佐々木英輔)


(2017.1.27)
 フィンランド、「たばこ一掃」に本腰  喫煙人口2%未満目標
CNN 1月27日
 
喫煙人口2%未満を目指し、あの手この手の規制を導入
(CNN) フィンランド政府がたばこのない国家の実現に向けて、2040年までに成人の喫煙人口を2%未満に減らすという大胆な目標を打ち出した。普通のたばこのほか、かぎたばこ、無煙たばこ、葉巻、パイプ、電子たばこも含めてあらゆる形態のたばこの一掃を目指す。
 
先進国ではたばこの広告や商店での陳列禁止、公共の場での禁煙などが進んだことにより、この数十年で喫煙率は減り続けている。フィンランドの2013年の統計では15〜64歳の喫煙率は16%。英国は14年の統計で19%だった。
 
フィンランドでは今年から新たな対策が導入され、たばこ製品の販売や喫煙に対する規制が大幅に強化された。
 
まずたばこ販売のハードルを引き上げるため、たばこ販売業者に対して免許の取得を義務付けた。免許を取得した業者は毎年料金を支払い、各自治体で販売業者が規制を守っているかどうか監視するための費用を負担する。
 
この監視料は、レジ1台当たり年間で最大500ユーロ(約6万円)にもなる。レジが10台ある店舗は、免許料に加えて年間5000ユーロあまりを負担しなければならない計算だ。
 
自宅のベランダでの喫煙についても、煙が流れ出て近隣の迷惑になると判断すれば、住宅会社が禁止を申し立てることが可能になった。
 
たばこ使用を巡っては、規制の動きが世界的に広がっている
15歳未満の子どもが同乗している車の中では、たとえ自家用車であっても喫煙が禁止された。こうした措置は英国などでも導入されている。
 
10代の喫煙を減らす目的で、たばこや葉巻の形をしたチョコレートなどの菓子の販売も規制する。販売禁止までは踏み込まないものの、例えば小売店のポイントカードで集めたポイントをそうした商品に使うことはできなくなる。
 
電子たばこは昨年8月からたばこと同じ厳しい規制の対象となり、風味を付けることも禁止された。風味付きの電子たばこを巡っては、子どもが喫煙に興味を持つきっかけになりかねないとして論争の的になっていた。
 
たばこ使用を巡っては、世界保健機関(WHO)もがんなどの非伝染性疾患を減らす目的で、15歳以上の喫煙率を2025年までに30%減らすという目標を設定している。
しかしたばこ製品一掃の目標を打ち出したのはフィンランドが初めて。同国政府も専門家も、目標は達成できると楽観的な見通しを示している。


(2017.1.26)
 オリンピックと受動喫煙防止法 村松 弘康 先生
日本生活習慣病予防協会 2017年1月
 
 (前略)
2.受動喫煙防止法制定の必要性
(1)オリンピックと受動喫煙防止法
 2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されるが、国際オリンピック委員会(IOC:international Olympic committee)とWHOは、タバコのないオリンピック大会を開催することで協定を結んでいる。オリンピックはスポーツの祭典であるが、健康の祭典でもあるべきとの考えから、1988年冬季のカルガリー大会以降は、タバコフリー宣言をしてきた。スポーツが期せずして、タバコや他の不健康な商品の販売促進につながることがないよう、オリンピック会場内は全面禁煙とされ、会場内でのタバコ販売も禁止されているほか、タバコ会社が大会や選手のスポンサーになることも禁止されている。昭和39年(1964)の東京オリンピックでは、オリンピックのロゴマーク入りのタバコパッケージで記念タバコが販売されたが、当然ながら現在は禁止されている。
 
 2002年のソルトレイクシティ大会以降は、開催地に受動喫煙防止法や条例が新たに制定されてきた。2010年7月21日にWHOとIOCの間で「健康的な生活習慣を推進する同意書」が交わされたが、ここにも「タバコのないオリンピック大会」を開催することが盛り込まれている。
 
 近年のオリンピック開催都市では、すべて受動喫煙防止法・条例が、新たに制定されてきた(表3)。2012年のロンドン、2016年のリオデジャネイロでも、日本で言えば「立ち飲み居酒屋」に相当するパブですら屋内禁煙である。さらに、屋外でも「屋根がある場所は禁煙」と大変分かりやすく、テラス席も屋根があれば禁煙、パラソルが付いたテーブル席も禁煙である。
 
(2)厚生労働省の対策強化案(たたき台)
 2020年東京オリンピックに向けて、政府も受動喫煙防止対策の強化について真剣に検討を始めた。平成28年10月に厚生労働省から提出された“たたき台(表4)”では、医療機関と小・中・高校は「敷地内禁煙」、官公庁や福祉施設、運動施設、大学は「建物内禁煙」、飲食店やオフィスなどは「原則建物内禁煙」として一定基準を満たす喫煙室設置を認める方針となっている。この案は、近年のオリンピック開催地と比較すると甘い部類に入る。
 
(3)他国での受動喫煙防止法
 世界では現在、50か国以上で受動喫煙防止法・条例が制定されており、アジアでもタイ、ベトナム、カンボジア、シンガポール、マレーシア、台湾、インド、パキスタン、バングラディッシュなど、ほとんどの国が、飲食店やバーも含めて屋内禁煙である。ブータンではタバコの製造・販売も禁止されている。
 
 近年では韓国、ロシア、中国といった喫煙率の高い国々でも、受動喫煙防止法が制定されている。平成28年(2016)12月には、中国全土で受動喫煙法が施行された。いまや受動喫煙防止法がない主要国は、ほとんど存在しない(図3、図4)。
 
さいごに
 2020年東京オリンピックまでに、日本でも国際水準の受動喫煙防止法や条例の制定が不可欠である。また、東京オリンピックの会場は、競技によって千葉、埼玉、神奈川、静岡などの近県に分散する予定で、特にサッカーは全国各地で開催されるため、東京都の条例ではなく、日本の法律として制定することが求められるであろう。


(2017.1.25)
 「無煙が五輪の常識」 開催地で“たばこ”考える
ヤフーニュース(伊豆新聞) 1月24日
 
 受動喫煙や禁煙について語る高橋さん=伊豆市の修善寺生きいきプラザ
 
 2020年東京五輪・パラリンピック開催に向けて受動喫煙防止対策を推進する「たばこについて考える講演会」が23日、伊豆市の修善寺生きいきプラザで開かれた。日本禁煙科学会理事長の高橋裕子さんが「オリンピック・パラリンピックは無煙が常識―次世代のための大きな一歩を今踏み出そう」をテーマに講演。喫煙の影響や受動喫煙対策の必要性、禁煙方法の進化などを解説した。
 
 【喫煙リスク】慢性閉塞性肺疾患…原因の9割は「たばこ」
 
 高橋さんは、00年以降の五輪開催地が禁煙対策に取り組んだことを説明。厚生労働省も「原則禁煙」を掲げて受動喫煙防止対策の強化を予定していることにも触れ「原則禁煙が世界基準。海外から来るお客さんに『さすが伊豆市』と言われるようにしてほしい」と話した。
 
 受動喫煙に関しては「04年に出た医学的データが世界の概念を変えた」「わずかな受動喫煙も有害である。受動喫煙は完全に防がなければならないという結論が出た」と解説。分煙については「出入り口から煙が漏出してしまう。医学的には受動喫煙の防止策ではない」などと説明した。
 
 禁煙については「薬物療法の発展で、禁煙開始は以前とは比べものにならない楽な作業になった」と紹介。飲み薬、貼り薬などの効果を説明しながら「健康保険が利かない場合でも、1日の薬代はたばこ1箱と同じ500円程度。禁煙外来へ行くと保険が利き、1日150円(3割負担)程度」と勧めた。
 
 講演会は、県が同市と同学会、静岡県立大との共催で開催。飲食店、宿泊施設従業員や一般市民ら約60人が聴講した。


(2017.1.25)
 ロシアが2015年以降に生まれた人のタバコ購入を禁止する法案を検討中
Gigazine 1月21日
 
 ロシアは世界で最も喫煙者が多い国のひとつであることが世界保健機関(WHO)の調べでわかっており、未成年である15歳の13%が毎日喫煙しているというデータも出ています。この状況を重く見たロシア政府が、2015年以降に生まれた人が大人になってもタバコを購入できないようにするという法案を検討していることがわかりました。
 
 以下は世界中の国ごとの喫煙率をWHOが調査した2015年のデータ(注:男性)で、世界一喫煙率が高いのはインドネシアの76.2%で、2番目がヨルダンの70.2%、3番目がキリバス共和国の63.9%、4番目にシエラレオネ共和国の60%、5番目がロシアで59%となっており、ロシアは世界でも有数の喫煙大国であることがわかります。ちなみに、日本の喫煙率は33.7%です。ロシアでは18歳から喫煙が合法的に認められていますが、15歳の喫煙率も13%に達しており、成長期の身体への健康被害が懸念されます。
 
 この状況を打破するべく、ロシア政府は2015年以降に生まれたロシア市民のタバコ購入を禁止するという法案を検討しているとのこと。世界的に見ても最も厳しいレベルの喫煙防止法案となり、タバコの販売や屋外での喫煙を禁止しているブータン共和国に匹敵します。法案は2015年生まれのロシア市民が18歳になる2033年に発布される予定で、それ以降はロシア国内でタバコの販売が禁止されることになります。
 
 厳しい喫煙防止法案を発表することにより、2025年までにロシア国内の喫煙率を25%まで低下させるという狙いもあるとのこと。一方で、タバコの販売が禁止されることで、違法的な偽造タバコなどの製造につながることを懸念する声や、タバコの販売をどのように取り締まるのか疑問視する意見もロシア国内の政治家から挙がっているとのことです。


(2017.1.24)
 【重要】多摩キャンパスにおける全面禁煙化の実現に向けて
中央大学学生部 2017年1月16日
 http://www.chuo-u.ac.jp/campuslife/tamacampus/news/2017/01
/51580/
 中央大学では、みずからの社会的責任をも自覚しつつ、学生・教職員の受動喫煙を防止し、健康を増進するために、2016年4月1日には13ヶ所あった喫煙所のうち、4ヶ所を閉鎖しました。現在、喫煙者の多くはマナーを守って喫煙していますが、喫煙所以外で喫煙するなど、 違反者も依然として少なからず見受けられます。社会における喫煙対策等のさらなる進展も踏まえ、全面禁煙化の基本方針に沿って、本学ではさらに、2017年度と2018年度の2ヶ年計画で残りの喫煙所を全て閉鎖することとします。
 
 多摩キャンパスの全面禁煙化実現へのさらなる理解と協力をお願いします。
 
 詳細につきましては、下記添付ファイルをご覧ください。


(2017.1.24)
 飲食店、喫煙自由が35% 滋賀県初調査、全面禁煙は47%
ヤフーニュース(京都新聞) 1月22日
 
 滋賀県内18市町の飲食店で、全面禁煙を実施している店舗数の割合が47・9%に上ることが、県の初めての調査で分かった。一方、「自由に喫煙できる」とした店舗も35・0%あり、県は「今後、受動喫煙を減らすようにしていきたい」としている。
 
 調査は昨年実施。県保健所に営業を届け出ている料理店や喫茶店、バーなど1053施設から回答を得た。大津市内の飲食店は調査対象外となっている。
 
 「店内を全面禁煙にしている」は504施設、一方で「自由に喫煙できる」としたのは369施設だった。「喫煙室を設置」は37施設、「分煙しても煙の流出がある」としたのは84施設だった。
 
 店の種類別では、レストランや麺類の店舗では全面禁煙が6割超だったが、バーでは9割以上が喫煙自由だった。
 
 禁煙にしていない理由をたずねると「構造上、分煙できない」が46・9%、「利用客に喫煙者が多い」が40・6%と続いた。今後のたばこ対策については「予定がない」が73・8%と最も高く、「全面禁煙にする」は6・4%にとどまった。
 
 自由記述では「店内喫煙を規制する法制化を進めてほしい」「喫煙室設置に補助金を出してほしい」といった声が寄せられた。
 
 国は、飲食店やホテルなどに建物内での原則禁煙を求める健康増進法改正案を、20日召集の通常国会に提出する方針だ。県健康医療課は「今後もアンケートの回収を進め、禁煙・分煙の実態をより正確に把握したい」としている。


(2017.1.22)
 飲食店“原則禁煙”に賛否、戸惑う店も…
0テレ NEWS 24時  1月20日
 
 厚生労働省が受動喫煙対策のため、飲食店などでは原則禁煙を目指すというニュースが報じられ話題となっている。身近な飲食店での禁煙化の動き、店や利用者はどのように考えているのだろうか。
 
■3年前から全席禁煙のロイヤルホストでは―
 全国に200以上の店舗を構えるファミリーレストラン「ロイヤルホスト」は、約3年前にすべての店舗で全席禁煙にしたという。
 
 ロイヤルホスト・小池課長「(Q:なぜ全面禁煙を導入?)お客様に快適な空間でお食事をとっていただきたいということが1つ、もう1つは従業員にも煙のない環境で仕事をしてもらいたいと」「(Q:全席禁煙の影響は?)売り上げが若干減った店舗もございましたけども、ご家族連れや、女性客にご支持いただいた面もございます」
 
 禁煙にした直後は、売り上げが30パーセント減った店舗もあったが、3か月後には、元に戻ったという。この店では、喫煙者にも配慮するため、4、5人が入れる大きさの喫煙室を設けていた。
 
■非喫煙者はもちろん「歓迎」
 受動喫煙による死者は、年間1万5000人を超えると推計されており、厚労省は、東京オリンピック・パラリンピックの開催までに、飲食店などでは原則、建物内の禁煙を目指している。
 
 ネットでは「全面禁煙が当たり前になることを祈る」「飲食店にとっては死活問題!」「愛煙家にとってはちょっと厳しい」などの声が聞かれた。
 
 飲食店内が原則禁煙になると、一体どうなるのだろうか。街の人は―
 
 「率直にうれしいです」「結局、分煙っていっても壁がちょっとあるだけで」「あっちから煙来るもんね」(主婦2人組・20代 非喫煙者)
 
 「嫌ですよね。吸える環境の方がいいので、飲食店とか特に。分煙とか吸える環境が少しあればいい」(学生・20代 喫煙者)
 
■「吸えなくなったら別の店へ」の声も―
 一方、店側はどのように感じているのだろうか。東京・台東区にある創業60年を超える定食屋さん。この店では、全席でタバコを吸うことができる。今後、原則禁煙になる可能性について、お客さんは―
 
 「吸えなかったら、ガマンですね」「基本的に、吸えるお店を探す」
 
 店主は客離れに不安を感じているようだ。厚労省は、店内に喫煙室の設置を認めることで、原則禁煙の方向にしたい考えだ。しかし、この店では、客席を減らして、喫煙室を設置するのは費用的にも難しいという。
 
■禁煙で売り上げ1.5倍の例も
 一方、全席禁煙に踏み切った店もある。取れたての魚と、日本酒が楽しめる東京・新橋の居酒屋。以前は全席でタバコが吸えたが、2015年のリニューアルオープンを機に全席禁煙にした。当初は、全席禁煙で客足が遠のくことを心配していたそうだが―
 
 日本酒原価酒蔵・奥村さん「前の業態と比べて、毎月の売り上げが1.5倍に上がりました」「たばこの煙が気にならないというところが、お客様の来店動機になっている」
 
■医療機関、小中学校ではより厳しい条件に
 東京オリンピック・パラリンピックの開催までに禁煙化を目指しているのは、飲食店だけではない。例えば、空港や駅などでは、飲食店と同じく、建物の中に喫煙室を設けることが認められる方針だ。
 
 また、運動施設などでは、建物の中は禁煙だが屋外の敷地であれば、喫煙所を設置できる方向で検討されている。
 
 一方、医療機関や小中学校・高校では建物の中だけでなく、外の敷地でも禁煙となる方針だ。これについて医療関係者からは「お見舞いに来た家族にたばこを我慢させるのはどうか」という声もあがっていて、厚労省は、こういった意見をヒアリングした上で、法案を調整していくということだ。
 
 国中を巻き込む禁煙化の動き。厚労省は、今国会で法案の提出を目指している。


(2017.1.21)
 全面禁煙は経済損失と考える人の残念な論理 喫煙を許容するほうが経済損失が大きい
東洋経済 ONLINE 1月21日
 
 昨年来、厚生労働省を中心に進められている健康増進法改正案の概要に、複数の業界団体が反対声明を出していることが話題になっている。この改正案では飲食店での禁煙化が盛り込まれており、違反した場合は飲食店、喫煙者ともに罰せられる。同法案は1月20日招集の通常国会を通過すれば、今年前半にも施行される可能性があり、それに先んじての動きだ。
 
 健康増進法改正案では、これまで努力義務であった小中学校や官公庁、飲食店、駅・空港などでの禁煙が義務化され、罰則についても科料が加えられることとなった。なお、飲食店と交通拠点に関しては、いずれも喫煙室の設置が認められている。
 
 公共の場における喫煙に関しては、受動喫煙の危険性といった直接的な健康被害ももちろん大きなポイントだ。子どもが立ち入る可能性が高い場所ならばなおさらだが、問題は受動喫煙だけではない。
 
 直接の健康被害ではないため、“健康増進”という部分からは離れるが、喫煙者自身は気づかない悪臭などの問題も大きい。喫煙率が19.3%(男性32.2%、女性8.2%、厚労省調べ)まで減少している現在の日本社会を鑑みるならば、“料理”という商品の価値を損ねる悪臭を発する喫煙を飲食店で禁止することは、極めて合理的と言えるだろう。
 
外食産業が「反対集会」を決起
 ところが、このニュースに対して外食産業などが集まり、一律の規制に「反対集会」を開いたことが議論の扉を開いた。
 
 中でも飲食店業界の反発は大きい。1月12日に開かれた受動喫煙防止強化に対する緊急集会において、全国飲食業生活衛生同業組合連合会、日本フードサービス協会といった団体が意見を出したが、彼らの意見は実にシンプル。反対する団体の主張内容はどこも似通っている。
 
 すなわち、法的に認められた“たばこ”という嗜好品を、たのしむ人も、たのしみたくない人も、それぞれに互いが嫌な思いをすることなく共存できる“分煙先進国ニッポン”を目指すべき――というものだ。これまでも飲食業界では、分煙の徹底や店頭でのステッカー張り付けによる喫煙可否の表示などを進めてきており、一律に禁止することで「廃業に追い込まれる店もある」と経済的にマイナスとの意見も出されていた。
 
 しかしながら、こうした反対意見の多くは合理性を欠いていると言わざるをえない。社会全体で見た場合、喫煙を許容するほうが経済損失が大きいと考えられるからだ。
 
 日本におけるたばこ関連の税金は近年ほぼ一定で、年間2兆円を超える程度である(地方税含む)。2015年は2兆1500億円であり、これにたばこの売り上げに伴う消費税2900億円を加えた2兆4400億円が、たばこ関連の税収ということになる。その税率は63.1%にも及ぶ。
 
 しばしば、こうした数字が喫煙を正当化するために用いられるが、たばこによる損失は税収を上回ると考えられる。
 
 確かに日本において、たばこは“嗜好品”として供される法的に認められた商品である。「ニコチンによる依存性は微弱であり、アルコールなどよりはるかに低く自己責任」との判例があることも背景としてあるだろう。
 
世界でのたばこに対する認識とは
 筆者は多様な国や地域に取材で出かけているが、日本はたばこに対して寛容な国のひとつだ。
 
 しかしながらグローバルでのたばこに対する認識は異なる。1995年、米国における裁判で、元たばこ会社役員が「ニコチンに依存性があることを知って販売しており、またニコチンへの依存度を高める添加物を使っていた」と認めたことで、たばこの健康被害がクローズアップされて以来、依存性に関しても健康被害に関しても厳しい目が向けられている。
 
 米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention:米国疾病予防管理センター)の資料によると、肺、口腔、咽頭といった喫煙に関連する部位のがん、および冠状動脈性心臓病は喫煙率の低下とともに有意に低下する相関関係が認められているという。
 
 同様の研究は数多く見つかるが、いずれにしろたばこに健康被害があることは、喫煙者も非喫煙者も承知しており、今さら過去の事例を持ち出す必要はないだろう。
 
 やや古い数字ではあるが、医療経済研究機構による1999年の推計として年間7兆3000億円の損失が喫煙によりもたらされているとの報告がある。この数字は平均の労働寿命が短くなることによる損失が5兆8000億円も見込まれており、合計の金額には疑問がある。
 
 しかし、仮に上記の見積もりが過大であり、“たばこ販売”による経済効果と、それに対する医療費増大や寿命短縮などのマイナスがほぼ同じ程度だとしよう。だが1999年以降、次々に喫煙および受動喫煙による健康被害が確実であるとの研究結果が発表されている。腹部大動脈瘤や歯周病はその代表例だが、国立がん研究センターは脳卒中や心筋梗塞に関しても、受動喫煙だけで有意にその確率が上昇するとしている。
 
 すなわち、1999年当時の医療費増大に関する見積もりは過小だったと考えられよう。加えるならば、飲食店などが全面禁煙化に反対をしているものの、全面禁煙化により外食ビジネスは伸びるという見方もある。
 
 国内の事例をひもとくと、かつて居酒屋チェーンの「和民」が2005年に全面禁煙を実施した際には、ファミリー層の利用者は増加したものの、一般サラリーマンや宴会需要が減少。売り上げがマイナスとなったため、分煙化へと舵を切った経緯がある。
 
 しかし当時に比べ現在では成人喫煙率は10%も低下した。一貫して喫煙率が低下し続けていることを考慮すれば、社会的な影響は少ない。
 
 そのうえ、“全面的に”禁止になるのだから利用者に選択肢はない。どの店に入ろうと店内ではたばこを吸えないのだから。
 
 ショットバーなど、たばこと酒が似合う場所は存続が危ぶまれるのではないか?との懸念もある。しかし、1995年にカリフォルニア州ではレストランやバーなどでの喫煙が禁止されたが、懸念のような事態には至っていない。建物の入り口から20フィート(約6メートル)以上、離れた場所でなければたばこが吸えないというルールも加えられているが、施行から20年以上経過して、当たり前のこととして認識されている。
 
 むしろ「安心してどんな店にでも入れる」ことのほうが歓迎されていると言えよう。毎年、何度もカリフォルニアには取材で出掛けているが、バーやクラブは客であふれかえっており、たとえばサンフランシスコのダウンタウンのようにビルが建て込んだ場所では、店の近くでたばこを吸う人間を見つけることすらできない。
 
 カリフォルニアでは喫煙所の設置さえ認められていないため、すなわちその地域ではたばこを吸う人間がいないということだ。ホテルはどこの部屋を取ってもたばこの臭いに悩まされず、禁煙のレストランで“吸いたくてソワソワする”人もいない。全面禁煙も20年以上経て、社会全体がたばこがないことになじんでくる。
 
 サンフランシスコでは屋外であっても、人が多く集まる公園、あるいは街頭フェスティバルなどでも禁煙化されており、もちろん100%ではないが、仕事で訪れるツーリストの視点からみると“たばこの煙がない街”に見えるまでになってきた。
 
最終学歴が高いほど喫煙率が低い
 米国CDCは2014年、最終学歴による喫煙率の違いという数字を発表している。米国の喫煙率は13.7%と低いことも理由としてはあるが、大卒以上で7.9%、大学入学で19.7%、高卒で26.4%、高卒未満で26.5%で最終学歴が高いほど喫煙率が低い。これは所得層による喫煙率の違いと読み替えてもいいかもしれない。“禁煙化”のほうが、より高い所得層が属しているうえ、全成人の8割以上が非喫煙者となれば、禁煙化がビジネス面で不利とは考えにくい。
 
 禁煙か喫煙可なのかといった、店が提供する商品・サービスの質とは異なる差異化要因が排除されることで、かえって純粋に店の実力での勝負となるため、飲食店であれば味やサービスのレベルが向上するだろう。
 
 冒頭の話題に戻そう。もし筆者が政府案に意見を述べるならば、飲食店への喫煙室併設は許容すべきではないだろう。新たに喫煙室を併設することによるコスト負担などの問題もあるが、喫煙室の有無という業務の本質から外れた差異化要因は排除すべきだからだ。
 
 飲食店の禁煙化は、2020年東京五輪を迎えるための準備(近年の五輪開催都市はいずれも公共の場における喫煙が制限されている)と言われている。もしそうだとするならば、世界でも有数のグルメ都市である東京をさらに観光資源へと昇華させるためにも、強い気持ちをもって禁煙社会を実現すべきだろう。
 
 さて、みなさんはこの問題をどう考えるだろうか。
 愛煙家と呼ばれる人たちは、喫煙する権利を守れと言うだろう。喫煙していた時期、筆者自身もそう考えていた。しかし、副流煙による受動喫煙が大きな健康被害を呼び、グローバルでの嫌煙ムードが広がっている中、社会的に向かう方向は定まってきている。健康被害にせよ、悪臭問題にせよ、分煙化が進んだ今でも他者に我慢を強いている日本の社会が、“分煙化すれば問題ない”という意見が幻想であることを示している。


(2017.1.21)
 がんに匹敵する悪性疾患「足の狭心症」とは?
DIAMOND 男の健康 第324回
 
 血管が硬く、もろくなる「動脈硬化症」。糖尿病や高血圧症、脂質異常症(高脂血症)がリスク因子で、近年は手足に血液を送る末梢動脈の動脈硬化症:PAD(Peripheral ArteryDiseases 末梢動脈疾患) が注目さ
れている。
 
 PADの自覚症状は手足の冷え、しびれ、痛みなど。進行すると「間欠性跛行」──しばらく歩くと足の筋肉が痛み歩けなくなるが、数分休むと歩ける、という特有の症状が出てくる。「足の狭心症」として名高く、PADの7〜8割でこの症状が認められる。
 
 PADはがんに匹敵する悪性疾患だ。足の病変そのものより、全身の動脈硬化の進行が心筋梗塞や脳梗塞を引き起こし、診断後の5年生存率は7割に満たない。早期の大腸がんなら9割を超える。PADの悪質さがわかるだろう。
 
 2016年11月、米国心臓協会と米国心臓病学会は、共同でPADの診療ガイドラインを公開した。
 
 ガイドラインでは、(1)65歳以上、(2)50〜64歳で糖尿病や喫煙歴、脂質異常症、高血圧、またはPADの家族歴がある、(3)50歳未満の糖尿病患者で脂質異常症など動脈硬化の危険因子がある、(4)心筋梗塞などの既往、の4タイプを「PADのハイリスク群」と定義。早期の受診と検査を推奨している。
 
 ハイリスク群は危険因子である血圧や血糖コントロールとエクササイズが重要だ。米国のガイドラインでは全PAD症例に運動するよう推奨している。
 
 家庭でできそうなのは、週3回、30〜45分/回のウオーキング。万が一痛みが出たら、休み休みでよいので30分は歩こう。続けることが肝心なので、医師に相談しながら無理のない運動プログラムを作成するのも一案だ。
 
 このほか、血管の細胞を傷つけるタバコの煙は厳禁で、禁煙と「職場や自宅での受動喫煙の回避」が推奨されている。
 
 もう一つ大切なのは、水虫など足の感染症や傷をきちんと治療すること。足先の血流が不足していると小さな傷から壊死が始まり、命取りになりかねないのだ。すでにPADが進行していると、足先の感覚が鈍り、傷に気がつかない。たまには自分の足をじっくり、ゆっくり観察するといい。
 
 (取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)


(2017.1.16)
 禁煙すると日本だけ飲食店がつぶれるのか? 清谷 信一
アゴラ 言論プラットフォーム 1月14日
 
 飲食店など禁煙 受動喫煙防止の法案の通常国会提出目指す 塩崎厚労相(NHKニュース)
 
 塩崎厚生労働大臣は記者会見で、他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙の防止策を強化するため、飲食店などの建物内を原則禁煙とし、違反した場合は罰金を科すことなどを盛り込んだ法案を、来週召集される通常国会に提出することを目指す考えを示しました。
 
 昨年編集者に連れられていった四谷の焼き鳥屋さんが大正解でした。コース中心で少々お高いのですが、毎月行っております。味もさることながら、全面禁煙だからです。
 
 近年、焼鳥に行きたかったのですが、地元も含めて大抵焼き鳥屋は美味しくても煙草の煙もモウモウというのが通り相場です。で、タバコの煙を吸ってまで焼き鳥を食べようとは思わなかったので、焼き鳥屋に入ることがありませんでした。よくスターバックスを利用するのも、禁煙というところが大きいです。
 
 無論、喫煙可の店に入らないわけではないのですが、やはり煙が気になります。できれば前面喫煙の店に入りたい。馴染みの割烹も喫煙OKなので、個室しか使いません。
 
 別にタバコを吸うなとはいいませんが、それは吸う人が自己完結していればの話です。つまりは他人に迷惑をかけないならば、ということです。
 
 特に喘息などの発作を持っている人たちは、タバコの煙によって発作が起これば極めて苦しい、或いは死ぬような思いをすることもあります。たかがタバコでは済まないのです。昔のGFが喘息もちだったので、できるだけ喫煙可の店には入らないようにしていました。
 
 喫煙可の中には愛煙の権利を奪うなと、居丈高に飲食店での喫煙を望む人もいますが、それは他人に迷惑をかけていることを意識していないからでしょう。他のお客だけではなく、従業員も煙草の害を蒙ります。
 
 そして、店舗の方も完全喫煙にすれば客が減るといいますが、本当でしょうか。全店禁煙にすればイコールコンディションです。
 
 しかも我々日本人と比べて、遥かに堪え性がない、フランス人やイタリア人ですらできていることがなんでできないのでしょうか。
 
 先進国は勿論、途上国含めて我が国はタバコに極めて寛大な国です。未だにタバコの値段も極めて安い、英国あたりでは一箱千円を超えております。
 
 オリンピックなんぞやめれば良いと思っているぼくですが、それでもやるならば、せめてそれに合わせて完全禁煙ぐらい実施しましょうや。他所の国はやっているわけですから、それがいやならばオリンピックを辞退しましょう。このまま喫煙問題を放置してオリンピックやれば恥をかきますよ。
 
 2兆円も3兆円も使って日本の評判を落とすためのネガティブキャンペーンを自ら行う必要はないでしょう。だったらオリンピックやめましょうや。
 
 仮に飲食店でどうしても喫煙を許可するのであれば、例えば法人税を1.5倍にするとかすればどうでしょうか。それでも儲かればどうぞと。「禁煙難民」が押し寄せるからもうかるのではないでしょうか。合わせてタバコの値段も大幅に値上げするべきです。
 
 とりあえず、タバコで死のうが病気になろうが本人の勝手ですが(健保の負担を増やしていますが。それは飲酒や砂糖の摂取も同じという主張もあるでしょう)、他人様の健康を害することは正当化できません。また寝タバコなどによる火災の要因でもあります。
 
 飲食店や公共の場を喫煙にすることは大多数の国民にとって利益があると思います。また家庭内での喫煙も家族に対する暴力のようなものですから、やめるべきだと思います。


(2017.1.15)
 飲食店など禁煙 受動喫煙防止の法案に小池都知事も理解
NHK NEWS WEB 1月13日
 
 東京都の小池知事は、政府が受動喫煙の防止策を強化するための法案を検討していることについて、「その流れが必要ではないか」と述べ、法案の内容に理解を示しました。
 
 受動喫煙をめぐっては、厚生労働省が、飲食店やホテルなどの建物内を原則禁煙とし、違反した場合は施設の管理者や喫煙者への罰金を科す内容の法案を検討していますが、飲食店などの業界団体は、経営に悪影響を及ぼすなどとして見直しを求めています。
 
 これについて、小池知事は記者会見で、「3年後のオリンピック・パラリンピックのホストシティーである東京の観点からも、国のほうできっちり決めていただければと思う。政府が考えている方向性については、その流れが必要ではないか」と述べ、IOC=国際オリンピック委員会が「たばこのないオリンピック」を求めていることを踏まえ、法案の内容に理解を示しました。
 
 また、小池知事は「小規模の飲食店などへの対応策は都として何ができるか考えていきたい」と述べ、喫煙室の設置などで負担が大きい業界への支援も含め、都としての対応を検討する考えを示しました。


(2017.1.15)
 飲食店など禁煙 受動喫煙防止の法案の通常国会提出目指す 厚労相
NHK NEWS WEB 1月13日
 
 塩崎厚生労働大臣は記者会見で、他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙の防止策を強化するため、飲食店などの建物内を原則禁煙とし、違反した場合は罰金を科すことなどを盛り込んだ法案を、来週召集される通常国会に提出することを目指す考えを示しました。
 
 受動喫煙をめぐっては、厚生労働省が、飲食店やホテルなどの建物内を原則禁煙とし、違反した場合は施設の管理者や喫煙者への罰金を科す案を検討していますが、飲食店などの業界団体は、経営に悪影響を及ぼすなどとして見直しを求めています。
 
 塩崎厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で、「平成20年以降、オリンピック・パラリンピックのすべての開催国では、罰則つきの受動喫煙禁止措置を取っている。日本が今後、大勢の外国人を呼び込む中で、『日本には受動喫煙はありません』という国に変えていく使命がある」と述べました。
 
 そのうえで、塩崎大臣は「受動喫煙のない社会に向けて必要な準備を行うということで、ご理解を頂きたい」と述べ、政府与党や関係業界との調整を急いだうえで、今月20日に召集される通常国会に必要な法案の提出を目指す考えを示しました。


(2017.1.15)
  がんに匹敵する悪性疾患「足の狭心症」とは?
DIAMOND 男の健康 第324回
 
 血管が硬く、もろくなる「動脈硬化症」。糖尿病や高血圧症、脂質異常症(高脂血症)がリスク因子で、近年は手足に血液を送る末梢動脈の動脈硬化症:PAD(Peripheral ArteryDiseases 末梢動脈疾患) が注目されている。
 
 PADの自覚症状は手足の冷え、しびれ、痛みなど。進行すると「間欠性跛行」──しばらく歩くと足の筋肉が痛み歩けなくなるが、数分休むと歩ける、という特有の症状が出てくる。「足の狭心症」として名高く、PADの7〜8割でこの症状が認められる。
 
 PADはがんに匹敵する悪性疾患だ。足の病変そのものより、全身の動脈硬化の進行が心筋梗塞や脳梗塞を引き起こし、診断後の5年生存率は7割に満たない。早期の大腸がんなら9割を超える。PADの悪質さがわかるだろう。
 
 2016年11月、米国心臓協会と米国心臓病学会は、共同でPADの診療ガイドラインを公開した。
 
 ガイドラインでは、(1)65歳以上、(2)50〜64歳で糖尿病や喫煙歴、脂質異常症、高血圧、またはPADの家族歴がある、(3)50歳未満の糖尿病患者で脂質異常症など動脈硬化の危険因子がある、(4)心筋梗塞などの既往、の4タイプを「PADのハイリスク群」と定義。早期の受診と検査を推奨している。
 
 ハイリスク群は危険因子である血圧や血糖コントロールとエクササイズが重要だ。米国のガイドラインでは全PAD症例に運動するよう推奨している。
 
 家庭でできそうなのは、週3回、30〜45分/回のウオーキング。万が一痛みが出たら、休み休みでよいので30分は歩こう。続けることが肝心なので、医師に相談しながら無理のない運動プログラムを作成するのも一案だ。
 
 このほか、血管の細胞を傷つけるタバコの煙は厳禁で、禁煙と「職場や自宅での受動喫煙の回避」が推奨されている。
 
 もう一つ大切なのは、水虫など足の感染症や傷をきちんと治療すること。足先の血流が不足していると小さな傷から壊死が始まり、命取りになりかねないのだ。すでにPADが進行していると、足先の感覚が鈍り、傷に気がつかない。たまには自分の足をじっくり、ゆっくり観察するといい。
 
 (取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)


(2017.1.14)
 2020年までに全面禁煙? 飲食業界、一律規制に反対の声
TBS Newsi 1月13日
 
 レストランなどで気になるたばこの煙。世界的にみると、全ての公共の建物内での喫煙を国の法律で禁止しているのは49か国。欧米は州ごとに規制していますから、先進国の中での日本の遅れは際立っています。政府は、東京オリンピックに向けて飲食店などでの禁煙を検討していますが、業界からは反対の声があがっています。
 
 こちらは都内の居酒屋。売りは、厚切りの真鯛を贅沢に盛り付けた「ひつまぶし」など、築地直送の新鮮な食材です。日本酒は入場料を払うと原価で飲める仕組み。ただ売りは、それだけではありません。
 「全席禁煙、たばこが一切吸えない」(日本酒原価酒蔵 奥村敬三ブランドマネージャー)
 自慢の料理やお酒を最大限楽しんでもらうため、店内を全席禁煙にしているのです。
 「(たばこのにおいが)髪の毛や洋服につかないのがいい」(お客さん)
 「たばこのないところの方がお酒のおいしさを感じる」(お客さん)
 
 でも、売り上げに影響はないのでしょうか?
 「禁煙の店に変えた結果、毎月の売り上げが1.5倍くらいの推移。好評です」(日本酒原価酒蔵 奥村敬三ブランドマネージャー)
 飲食店の全面禁煙。これが当たり前の姿になるかもしれません。厚生労働省は現在、飲食店やホテルなどについて、喫煙室を除き建物内を禁煙にし、違反した場合の罰則を設ける対策を検討しています。他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙を防ぐのが目的です。
 
 対策を急ぐ理由の一つが3年後に迫る東京オリンピック。海外から来た旅行客に、たばこ事情について聞いてみると・・・
 「日本では、どのレストランでも誰でもたばこを吸うことができる。本当に驚いているよ」(アメリカ人)
 海外で先行する禁煙。対策の遅れが指摘される日本としては、オリンピックまでにルールを作りたいのです。ただ、全ての飲食店が歓迎しているわけではないようです。
 香川の焙煎所で煎られたコーヒーと、この一服。国が進める禁煙策について客は・・・
 「コーヒーとたばこを一緒に楽しめることが目的。もう来なくなる可能性もある」(お客さん)
 
 一方、店の店主も、喫煙室の設置は難しいといいます。
 「喫煙室を設置する場所はない。正直、困ります。(屋内の喫煙が)ダメと言われたら、廃業、潰れます、店」(スモーカーズカフェ・さばとら 高沖きげん店長)
 
 こんな声を受けて12日、業界団体が緊急集会を開きました。
 「(完全禁煙が大前提というのは)これはムリじゃないかと思っております」(全国生活衛生同業組合中央会 大森利夫理事長)
 参加したのは外食チェーンの業界団体などです。国が進める一律の規制に反対の意見が相次ぎました。
 「どうしても喫煙を要求するお客様もいる」(飲食店経営)
 「零細企業にとっては困ることだと思います」(スナック経営)
 “分煙などこれまで飲食業界が行ってきた自主的な取り組みに任せてほしい”としています。会には大物政治家も・・・
 「“みんなやめちゃえ”というのは、知恵のある人が言うことではない。どんな知恵があるかが一番のポイント」(石破茂前地方創生相)
 厚生労働省は、早ければ今年の通常国会にも規制に必要な法案を提出したい考えです。


(2017.1.14)
 たばこによる経済損失、年間116兆円 WHO指摘
日経新聞 速報  1月11日
 
 【ジュネーブ=共同】世界保健機関(WHO)は10日、たばこが世界経済に与える影響に関する報告書を発表、健康被害への医療費などで年間1兆ドル(116兆円)以上の損失を与えていると指摘した。特に喫煙人口が増加傾向にある途上国での被害が深刻だとして、たばこへの課税強化などの対策を求めた。
 
 事態を放置した場合には、喫煙を原因とする死者が現在の年間600万人から2030年には800万人に増加する可能性があるとした。
 
 WHOの15年の資料によると、世界の喫煙人口(15歳以上)は約11億1300万人。国別では中国が1位で約3億400万人、次いでインドの約1億500万人、インドネシアの約6800万人。日本は約2500万人で7位だった。全体の8割を中・低所得国が占めており、先進国で喫煙防止対策が効果を上げ喫煙人口が減少する一方、全体では途上国の人口増もあって減少していないとした。
 
 たばこの課税強化策などでたばこ産業の雇用などに悪影響が出るとの見方については「健康被害に伴う損失の方が多大だ」と反論した。また全ての国がたばこ1箱に約0.8ドルを増税した場合、世界全体で1400億ドルの増税効果が見込め、成人の喫煙者も最大で6600万人減るとの試算を示した。


(2017.1.13)
  「がん教育」広がる…学校で体験談、生徒「親に検診勧める」「たばこ吸わない」
ヤフーニュース(読売新聞 yomiDr.) 1月11日
 
 病気のがんについて理解を深める「がん教育」が、広がっている。患者の体験談などを聞き、命の大切さを学んだ子どもたちを通じて、社会全体で予防意識が高まることが期待されている。
 
 「『死んでしまう』と思いました。怖くて、怖くて……」。福岡市中央区の市立友泉中学校。同市在住のがん経験者、中原美夏さん(49)が語り始めると、2年生約280人が真剣なまなざしを向けた。
 
 中原さんは39歳の時、胸にしこりを感じて病院を訪れ、その日のうちに乳がんと告知された。当時、中1と小5の2人の娘がいた。「どうやって家に帰ったか覚えていません」
 
 中原さんは続けた。娘たちにがんを伝えることを考えると、涙がこぼれて台所でタマネギを切ってごまかしたこと、家族が寝静まった後、風呂場で一人で泣いたこと……。自分の母親と重ね合わせたのか、すすり泣く生徒もいた。
 
 がんは1981年から死因のトップだ。小中高校の保健分野では、生活習慣病の一つとしてがんを学ぶことになっているが、国は「がん対策推進基本計画」で不十分と指摘した。
 
 これを受け、文部科学省は2014年度からがん教育に力を入れ始め、外部講師の派遣などに取り組むモデル自治体を指定。福岡県や佐賀県など21自治体70校が実施した。今年度は熊本県、宮崎県なども加わり、26自治体137校に広がっている。
 
 昨年12月には、がん教育の推進を盛り込んだ改正がん対策基本法が成立。文科省は今年度、がんの教材や授業で外部人材を活用する際の指針を作成し、来年度からの全国展開を見据える。がん教育を実践する教員や外部人材の研修など、各地の取り組みも後押しする方針だ。
 
 今年度、小中高15校で推進する福岡市は、がんの啓発活動を行うNPO法人「キャンサーサポート」(福岡市)と連携し、がん経験者や医療従事者による出前授業を実施。子どもたちと接する教員も、がん教育に積極的に取り組んでいる点で注目されている。
 
 友泉中では、家庭科の平川成子(しげみ)教諭(49)が授業で、妊娠中だった21年前、卵巣に腫瘍が見つかったことを語った。長男を出産後に腫瘍を取り除くと、幸い悪性ではなかった。抱え続けた不安、励ましてくれた周囲への感謝……。「命の大切さをしっかりと伝えられる先生になろうと決めた」と振り返り、栄養バランスや適度な運動など、がん予防のポイントを伝えた。
 
 がん教育は生徒の心に着実に響いている。2年生の女子生徒(14)は「偏った食事をせず、運動も心がける。両親には『時間をつくって検診に行って』と伝える」と話した。男子生徒(14)は「時間を大切にして生きたい。大人になってもたばこは吸わない」と誓った。(桜木剛志)
 
■がん検診、受診率4割程度
 国立がん研究センターによると、生涯を通じてがんになる確率は男性63%、女性47%。がんで死亡する確率は男性が4人に1人、女性が6人に1人程度。2014年のがん死亡者は36万8103人で、がんの部位は多い順に、男性が〈1〉肺〈2〉胃〈3〉大腸、女性が〈1〉大腸〈2〉肺〈3〉胃――だった。
 
 一方、13年の国民生活基礎調査から推計した40〜69歳のがん検診受診率は、過去1年で肺がん42・3%、胃がん39・6%、大腸がん37・9%、2年に1回の検診が推奨されている乳がんは過去2年で43・4%。20歳以上からの検診が望ましい子宮頸(けい)がんは、過去2年で42・1%(20〜69歳)にとどまった。
 
 九州・沖縄・山口の9県の受診率は、熊本、鹿児島などが全国平均より比較的高く、福岡、長崎、山口などで低い傾向にある。
 
 国は12年6月に策定した「がん対策推進基本計画」で、「5年以内に受診率50%(胃、肺、大腸は当面40%)」を目標に掲げている。


(2017.1.13)
 喫煙による死者数、2030年までに年800万人に増加へ
ヤフーニュース(ロイター) 1月10日
 
 [ジュネーブ 10日 ロイター] - 喫煙が世界経済に及ぼすコストは年間1兆ドルを超え、喫煙に関連した死者数は現在の約600万人から2030年までに約800万人に増加するとの見通しが明らかになった。世界保健機関(WHO)と米国国立がん研究所(NCI)が10日、報告書を発表した。
 
 WHOは、2013─2014年のたばこ税の税収を約2690億ドルと推定しており、喫煙コストはこれを大きく上回る。
 
 報告書によると、世界人口に占める喫煙者の割合は減少しているが、喫煙者の総数は増加。うち約80%が低中所得国の居住者で、2030年までに現在より3分の1増加するとみられる喫煙関連死も、80%以上がこうした国々で起きるという。
 
 医療の専門家らは、喫煙は世界で唯一にして最大の予防できる死因と指摘。「年間1兆ドル以上の医療費や生産性損失の原因はたばこにある」と述べた。


(2017.1.11)
 次世代へのたばこ販売禁止 ロシアで提案
東京新聞 TOKYO WEB 1月9日
 
【モスクワ共同】9日付のロシア紙イズベスチヤは、2015年以降に出生したロシア国民について、成人になった後もたばこを買えないようにする販売禁止措置を保健省が関係省庁に提案したと報じた。
 主要国で異例となる成人へのたばこ販売禁止措置が実現すれば、禁煙化がさらに加速し、ロシア市場でビジネスを積極展開する日本たばこ産業(JT)にも影響が出そうだ。ただ、ロシアの成人年齢は18歳のため、販売禁止措置の導入は33年となる見込みだ。
 ロシアは喫煙大国だったがプーチン政権は健康被害を問題視し、2008年にWHOによる「たばこ規制枠組み条約」に加盟して対策を本格化した。


(2017.1.11)
  電子たばこにも同様の規制 NY州が控訴を棄却
DAILY SUN  NEW YORK 1月6日
 
 5日付のニューヨーク・デイリーニュースによると、マンハッタン区のニューヨーク州高位裁判所は同日、ニューヨーク市ではEシガレット(電子たばこ)を一般のたばこと同様に規制するとした第一審の判決を支持し、控訴を棄却した。
 市では2002年、飲食店やビーチなど、公共の場でたばこを吸うことを禁止するスモークフリー・エアー法が成立し、03年3月30日から施行となったが、14年4月29日に、ペン型ヴェポライザーなどの電子たばこも同条例の対象とし、これらを公共の場で吸引することを禁止する条例への修正が行われた。これを受け、喫煙者の権利を主張する団体などが、同条例は違憲であると批判した。
 非営利喫煙者擁護団体、NYC CLASHは、電子たばこと一般のたばこは異なったものであり、関連性のない対象物を一括して規制することは、州憲法に違反すると主張して高位裁判所に訴えを起こした。しかし、同裁判所は15年5月、同団体の訴えを棄却していた。
 市法律課の広報担当は同日、「立法の過程で、同条例の対象物については市民に向けて明確に特定されており、控訴審の判決に満足している」との声明文を発表した。


(2017.1.10)
 台北市、市内267校周辺の歩道を全面禁煙に きょうから/台湾
ヤフーニュース(中央社フォーカス台湾) 2016年12月26日
 
 台北市政府衛生局は26日から、全面禁煙区域に私立校31校の周辺の歩道を追加した。これで、市内267校の周辺の歩道が禁煙になった。違反者には2000台湾元(約7282円)以上、1万元(約3万6400円)以下の罰金が科される。

 衛生局健康管理処の林夢ケイ処長によると、市は2012年4月に市内
小学校1校の周辺歩道の禁煙化を実施。これを皮切りに、小中高、大学、台北アメリカンスクールの周辺などに禁煙区域を拡大していた。(ケイ=草かんむりに惠)

 観光客で賑わう寧夏夜市の近くに校舎を構える天主教静修女子中
学(高校)の蔡英華校長は、校外の歩道でタバコを吸う人の姿がよく見られ、夜間自習をする生徒に不快感をもたらしていたと周辺での喫煙による被害を説明した。

 同市ではこれまでに高校以下の学校の敷地内や室内の公共の場所
での全面禁煙を実施してきた。来年元日には市内1150カ所のバス停が新たに禁煙区域に指定される。(游凱翔/編集:名切千絵)


(2017.1.7)
 「受動禁煙」対策で遅れる日本。たばこの吸い方は変わるか
ヤフーニュース(ニュースイッチ) 1月7日
禁煙外来でサポート進める
 
 日本が受動喫煙防止対策で遅れた国であることはご存知ですか。最近増加している外国人旅行者が驚くことの一つに、たばこが自由にどこでも吸える点があるようです。欧米先進国では1990年代より屋内禁煙の法律制定が進んでいます。
 
 現在では、新興国のタイやトルコでも原則、屋内禁煙となっています。お客だけではなく飲食店などの従業員も受動喫煙から守るためです。受動喫煙で吸う副流煙には発がん性物資のヒ素が主流煙の5倍以上など、多くの有害性物質が含まれています。
 
 世界保健機関(WHO)は、たばこ規制枠組み条約で2010年2月までに飲食店なども含めて屋内禁煙を求めていました。実は日本も04年にこの条約を締結していますが、屋内禁煙は実現していません。日本の受動喫煙対策は分煙が主流です。
 
 しかし、たばこ煙が扉の開閉で喫煙室から大量に漏れ、有効ではないと言われています。また、喫煙室の存在は禁煙する意欲を阻害します。今年も国は喫煙室設置に補助金を出していますが、これは締結している条約の趣旨に矛盾しています。
 
 たばこ煙は肺がん・喉頭がん・食道がんなどの悪性腫瘍や心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞など血管の病気、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など呼吸器の病気、アルツハイマー型認知症など多くの病気の原因・増悪因子となっています。
 
 01年のデンマークの研究では喫煙により寿命が7年以上短くなる以外に、寝たきりなどの障害を持つ期間も5年長くなっています。逆に禁煙により平均余命が回復することが報告されており、禁煙は最高の病気予防と言えます。
 
 禁煙までいかず喫煙本数を減らしたり、タールやニコチンの少ない「軽い」たばこに変えるという対策をとることがありますが、これは意味がないといえます。なぜなら本数を減らそうとするとたばこの端まで1本を極力長く吸おうとしますし、「軽い」たばこに変更すると、減ったニコチンを補うために強く深くたばこを吸うようになるからです。
 
 「軽い」たばこの方が血中の有害物質濃度が高いというデータもあるくらいなので、たばこ規制枠組み条約でも「ライト」「マイルド」などの表現は禁止されています。そのため、日本のたばこメーカーの主力商品も名称が変更されています。
 
 外来禁煙は、一定の条件を満たせば健康保険が適応でき、3割負担の方で3か月合計5回の外来受診で約2万円となっています。ニコチンの貼り薬やバレニクリン(チャンピックス)という内服薬を本人の状態に合わせて処方します。
 
 喫煙者には、禁煙外来受診などのサポートで、非喫煙者には屋内全面禁煙での受動喫煙対策で、それぞれの健康生活を推進したいものです。
 
 遠藤泰之(社会医療法人 社団正志会 花と森の東京病院 内科医師)


(2017.1.6))
 新たに5つのホテルが全室禁煙化 全室禁煙のコンフォートホテルが全国12施設に
 株式会社チョイスホテルズジャパン
ValuePress 1月4日
 全国に「コンフォートホテル」「コンフォートイン」を展開する株式会社チョイスホテルズジャパン(本社:東京都中央区、代表取締役社長:村木 雄哉)は、2016年12月に、5軒のコンフォートホテルの全室禁煙化を実施しました。
 
 新たに5つのホテルが全室禁煙化全室禁煙のコンフォートホテルが全国12施設に
 
▽全室禁煙化への取り組み -Breathe Easy-
https://www.choice-hotels.jp/breatheeasy/
 
 全国に「コンフォートホテル」「コンフォートイン」を展開する株式会社チョイスホテルズジャパンは、禁煙ルームの需要の高まりにお応えするため、昨年12月、「コンフォートホテル郡山」「コンフォートホテル成田」「コンフォートホテル東京神田」「コンフォートホテル岐阜」「コンフォートホテル和歌山」の全室禁煙化を実施しました。
 
 禁煙は日本国内のみならず、世界的に大きな関心事となっています。チョイスホテルズインターナショナルでは、2016年7月までに米国内のコンフォートブランド全1,700以上のホテルにおいて全館禁煙化を実施しました。
 
 これに伴いまして、日本国内のコンフォートブランドのホテルでも、さらに禁煙化の取り組みを進めてまいります。


(2017.1.5)
 <慢性閉塞性肺疾患>認知度低下続く 長期喫煙が主因
ヤフーニュース(毎日新聞) 1月3日
 長期の喫煙などにより肺に慢性的な炎症ができる慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)の認知度が下がり続けている。禁煙で予防でき、認知度を上げれば発症者を減らせるとして、厚生労働省は2012年に認知度80%を目標に掲げ対策に乗り出したが、16年12月時点での認知度は25.0%と3年連続で低下した。啓発団体は早急な対応を呼び掛けている。
 
 COPDの知識の普及に取り組む、世界的ネットワークの日本法人、一般社団法人「GOLD日本委員会」(代表理事・長瀬隆英東京大教授)が毎年12月にインターネットで男女1万人を対象に調査を実施。COPDについて「どんな病気かよく知っている」か「名前は聞いたことがある」と回答した人の割合を合計して認知度としている。
 
 認知度は11年に25.2%だったが、厚労省が12年に国民的な健康作り運動「健康日本21(第2次)」で、がん、循環器疾患、糖尿病に次ぐ第4の生活習慣病に位置づけ、啓発に取り組んだことなどから13年には30.5%まで向上した。しかし、その後は年々低下し、16年は「どんな病気か知っている」とした人は9.0%、「名前は聞いた」人は16.0%の計25.0%にとどまった。健康日本21は、22年までに80%に向上させることを目標にしているが遠く及ばない。
 
 COPDはせきやたん、息切れなどが主な症状だが、徐々に呼吸障害が進行し重症化する。人口動態統計によると、15年に1万5749人が死亡しており日本人の死亡原因の第10位になっている。原因の約9割は長期の喫煙で、喫煙者の約2割が発症するとされる。禁煙で予防でき、薬物による治療も可能だ。
 
 同委員会は「重症化すると日常生活にも著しい障害を及ぼすため、早期に発見して治療を始めることが重要だ。早急に国を挙げて新たなアプローチで認知度向上に取り組むことが必要だ」と訴えている。【山田泰蔵】


(2017.1.5)
 [短命県から学ぶ健康]健康は自分自身の手で
yomiuri online  yomiDr. 12月28日
青森の短命や日本の長寿を分析して分かったことがあります。それは、生活習慣だけでは寿命を説明できないということです。健康診断や病院の受診率が低いことも短命の原因です。でも、その根底に何か問題があるはずです。
 
 マスコミでは、いつも青森県民がカップラーメンを食べ過ぎて短命だ、みたいな取り上げ方がされます。「じゃあ、どうしてそうなんですか?」という突っ込みはあまりありません。視聴率が取れないからでしょう。
 
 2013年に青森市で第1回平均寿命サミットを開催しました。長野、沖縄、青森の各県の関係者が健康づくりを話し合いました。
 
 そこで改めて気づいたことがあります。3県ともに、喫煙、多量飲酒などの害や、野菜摂取、運動の励行を訴えていました。ただ、もうそれらはわかりきったことなのです。問題は、喫煙率や多量飲酒者の割合が都道府県でなぜ違うのかということです。
 
 寿命対策のあり方は民主主義のそれに似ています。プライマリーヘルスケアという健康づくりの概念がありますが、これはリンカーンの演説「市民の市民による市民のための政治」に似ています。つまり、「市民の市民による市民のための健康(対策)」です。誰でも健康になる権利を持っていますが、結局は自分自身の手で健康を獲得しなければなりません。
 
 健康について教養を身につけ、行動を起こすことが大切です。健康は、天から降ってきません。
 
 リーダーの役割は、みんなが健康教養を身につけるのを支援することです。自治体も、大学も、医師会もそのリーダーです。
 
 プライマリーヘルスケアが機能しているか、つまり根元に水をやれているのかどうかが平均寿命の都道府県格差につながります。
 
 (中路重之・弘前大学教授)