(2025.8.8)
 過料1000円 「時代変わった」受動喫煙防止で
 宮崎将吾
北海道新聞 8月5日
 札幌市は市中心部の喫煙制限区域で、加熱式たばこの路上喫煙を禁じる方向で検討に入った。加熱式たばこは周囲にやけどを負わせる危険がないとして過料の対象外だったが、受動喫煙防止の観点から規制を求める声が上がっていた。他都市の例も踏まえ、来年度以降の制度変更を目指す。
 市はポイ捨て防止条例で、札幌駅周辺からススキノ地区にかけての北7〜南4条、西1〜4丁目を喫煙制限区域に指定している。路上での歩きたばこや大通公園など公共の場での喫煙を禁じ、違反者には過料千円を科している。


(2025.8.8)
 路上喫煙OKは仙台市のみ 全国20政令市で唯一禁止条例なし
ヤフーニュース(河北新報) 7月31日
 全国の政令市20市のうち、仙台市のみ路上喫煙を禁止する条例を制定していないことが、医師で県結核予防会の斎藤泰紀副理事長の調査で判明した。市は「条例で強制するのではなく、受動喫煙防止の理解を広めていく」と説明。斎藤氏は「公共空間での受動喫煙防止策が不十分」と主張する。
■医師批判「対策が不十分」 仙台市は「受動喫煙防止への理解広げる」 
 調査によると3月末現在、仙台市を除く19政令市が条例で路上での喫煙を禁止している。公園での喫煙については横浜、大阪、川崎、相模原4市が全面禁煙。一切規制の条文がないのは仙台と新潟だった。
 大阪・関西万博を控えた1月、大阪市は一部だった禁煙エリアを市全域に拡大した。市環境局は「安全で快適な生活環境の確保、国際観光都市にふさわしい環境を整備するため」と説明する。
 仙台市には歩行中や自転車走行中の喫煙を禁止する条例がある。2015年6月の市議会定例会で議員提案で成立した。JR仙台駅前のペデストリアンデッキや商店街、駅東口と楽天モバイルパーク宮城を結ぶ宮城野通などは「歩行喫煙防止重点区域」と位置付けている。
 たばこの火や灰によってすれ違いざまのやけどやけがを防止する目的で作られており、路上や公園で立ち止まって喫煙することは禁じていない。
 市は、受動喫煙対策を強化した健康増進法の改正に基づき、19年に「受動喫煙防止対策ガイドライン」を改訂。公園など子どもが多く利用する場所では「配慮が必要」「喫煙は控えることが望まれる」と、喫煙者のマナーに委ねている。
 ガイドラインに法的な強制力はない。清水充保健衛生部長は「強制ではなく、市民や事業者、市が一体となって取り組むことが望ましい」と説明。6月には受動喫煙防止を呼びかけるキャンペーンに協力、仙台城跡の伊達政宗像を黄緑色にライトアップした。
 県結核予防会の斎藤副理事長は「受動喫煙に対する市の意識が低い」と指摘する。他の医師らと組織するNPO法人禁煙みやぎ(角田市)を通じ、仙台市長選(8月3日投開票)後にも市に規制強化を申し入れることを検討している。(片桐大介)


(2025.8.8)
 タバコ1本で縮む寿命は「女性22分」「男性17分」、1箱で約7時間を喪失 英研究
woman's LABO 7月29日
喫煙で寿命が縮まる?
喫煙が寿命を縮めることを知らない人は、ほとんどいないと思いますが、「じゃあ、実際どのくらい縮まるの?」と言われて答えられる人は少ないかもしれません。そんななか「タバコ1本で20分の寿命を失う」という衝撃的な研究結果が発表されました。今回は、タバコが寿命に与える影響を調査した研究をご紹介します。英国のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのSarah Jackson氏らが、紙巻きタバコと寿命の関係性について、「Addiction」に2024年12月に報告しました。(Sarah E Jackson,Martin J Jarvis,Robert West,et al.The price of a cigarette: 20 minutes of life?.Addiction. 2025 May;120(5):810-812. doi: 10.1111/add.16757. Epub 2024 Dec 29.)
喫煙で損失する寿命を男女別に分析
(中略)
研究方法: 喫煙で損失する寿命を男女別に分析
英国の大規模かつ信頼性の高い2つの長期追跡研究を用いて調査が行われました。1つは「Million Women Study」という、1996年から開始された一般の女性約130万人を対象とした調査で、こちらは英国の女性における生活習慣と健康との関係を広範に分析しており、喫煙が女性の寿命や死亡リスクにどう影響するかを詳細に把握できる重要な資料となっています。
もう1つは「British Doctors Study」のデータが用いられました。これは1951年に開始された34,000人の英国の男性医師を対象とした研究で、医師たちに喫煙習慣の有無や量を尋ね、その後、数十年にわたって健康状態や死亡率を追跡することで、喫煙が寿命にどう影響するのかを明らかにしたものです。世界で最も影響力のある喫煙関連研究の一つとされています。
これらの研究から得られた豊富なデータを用いて、まず、喫煙者と非喫煙者それぞれの平均寿命を比較し、その差を明らかにしました。たとえば、生涯を通じてタバコを吸っていた人と、全く吸わなかった人の間で、最終的に平均してどれだけ寿命に差が出るのかを年単位で計算します。その上で、喫煙者が生涯で吸っていたと推定されるタバコの総本数を元に、「1本あたりどれだけ寿命を短くしているか」を導き出したのです。
研究結果 :女性は22分、男性は17分の寿命を喪失
研究の結果、タバコを1本吸うと女性で約22分、男性で17分、平均で20分寿命が喪失するという結果が得られました。これは1箱で6時間40分の寿命が縮むことを示しています。1日10本吸っている人は、7日間禁煙することで1日分の寿命、1ヶ月禁煙すれば10日分の寿命が改善する計算になります。すなわち、「女性の喫煙者は男性の喫煙者よりも、大切な人々と健康な状態で過ごすことができるはずの時間をより多く失う」と言うことがわかったのです。
(後略)


(2025.7.15)
 「従業員喫煙の事実を確認」『吉野家』店員が厨房内でタバコ、同社が認めるも店舗名は明かさず
ヤフーニュース(週刊女性PRIME) 7月12日
 7月10日、大手牛丼チェーン店『吉野家』の厨房で、従業員が喫煙する動画がネット上で拡散された。
「営業取り消しレベル」
「拡散された動画は約1か月前のものだそうです。投稿者によると、店員は厨房奥で紙巻きタバコを吸っていたといいます。この動画がどこの店舗で撮影されたのかはわかっていません。
 つい先日、人気ラーメン店で同様の“疑惑”が問題になったばかり。厨房で喫煙など、もってのほかですが、いつどこで誰に撮影されるかわからない昨今はより用心するべきでしょうね」(全国紙社会部記者、以下同)
 牛丼チェーン店の炎上といえば、『すき家』の異物混入騒動が記憶に新しい。
「今年1月、客に提供したみそ汁にねずみの死骸が混入していたことが明らかに。その後、3月末には利用客が持ち帰った商品にゴキブリの一部が混入していたと指摘されました。異物混入事案が相次いだこともあり、『すき家』はショッピングセンター内などの一部を除いて、全国の約1900店舗の営業を中止する事態にまで発展。4日間の営業停止期間中は清掃作業や衛生面の対策を行っていたそうです。
 『吉野家』の動画の真偽はわかりませんが、こうした問題行動に対しては真摯な台頭(?)を取るべきでしょう」
 問題になった動画は本当に『吉野家』で撮影されたものなのか。広報担当者に問い合わせてみると、「今回、一部SNSに投稿された映像について確認を行ったところ、厨房奥にあります従業員用スペースにおいて、従業員が喫煙をしていた事実を確認しました。当該従業員に対しては、社内規程および基準に基づき、厳正に対処いたしました」
 とのこと。拡散された動画に対して、ネット上では《流石に厨房内はダメやな 外なら別にいいけど》 《飲食店の厨房で喫煙は流石にないわ》 《厨房は100%ダメですね。 営業取消しレベルです》 と厳しい意見が寄せられる一方で、《タバコの吸い殻牛丼にぶち込んでるとかなら大問題だけど別に端で一服は良いのでは ?あかんの?》 《別に良くない?》  というコメントも見受けられた。
「吉野家では、喫煙に関しては、改正健康増進法の考え方に基づき管理・従業員指導を行っており、原則として屋内の従業員スペースは禁煙としています。
 再発防止のため、全従業員に対し改めて喫煙ルールの徹底を周知することと致します。なお、当該店舗の名称については、個人情報保護の観点から、公表は差し控えさせていただきます。今後このような事態が発生しないよう、衛生管理・従業員教育のさらなる徹底に努めてまいります」(前出・『吉野家』広報担当者)
 安全に「うまい、やすい、はやい」牛丼を提供してもらいたい。


(2025.7.15)
 《「たばこは精神安定剤」と語ったことも》五木ひろし 肺疾患で公演中止…50代で明かしていた「反禁煙論」
ヤフーニュース(女性自身) 7月14日
今月12、13日の公演を体調不良のため中止し、心配の声が上がっている歌手・五木ひろし(77)。
東京・明治座の発表によれば、慢性閉塞性肺疾患と気管支炎だと診断されたという。
五木は7月5日からデビュー60周年記念と銘打たれた『五木ひろし特別公演 坂本冬美特別出演」をスタートさせていた。
「五木さんは数日前からせきなどの風邪の症状が訴えていたそうで、11日の同公演後に病院で検査を受けたところ白血球の数値が異常だったため、出演を取り止めました。この公演は27日まで予定されていますが、少なくとも五木さんは19日までは休演になるということです」(スポーツ紙記者)
14日からの公演は代役を立てており、当面20日のステージ復帰を目指しているという。
71年発売の『よこはま・たそがれ』の大ヒット以来、現在も演歌界の第一線で活躍している五木。今回の公演前に報道陣から意気込みを聞かれると、「今年喜寿を迎えて、すぐ目の前に80歳。もうどこまでやれるか」「孫もいますから、孫が僕のことをわかるようになるまで、あと4、5年は頑張らないといけないですね」などと前向きにコメントしていた。
病名の発表により、ネット上では彼の喫煙歴にも注目が集まっている。
《五木ひろしが罹った病名からすると、彼はタバコを長年吸ってたのかな》
《この年代の男性は若い頃からよくタバコを吸っていたという人が多いんだろうな》
医療ジャーナリストはこう語る。
「慢性閉塞性肺疾患は生活習慣病の1つで、COPDと呼ばれることもあります。たばこの煙などの有害物質を習慣的に吸い込むことにより、肺に炎症が生じる病気です。特に喫煙習慣を持つ中高年に発症するケースが多いことから、五木さんの喫煙歴にも注目が集まっているのでしょう」
少なくともかつての五木は愛煙家だったようだ。健康をテーマにしたスポーツ紙のインタビューで彼はこう語っていた。
《仕事は楽しくやること、これが大切だ。つらいと考えたらすぐにつまってしまう。何事も気の持ちようである。
この20年間、ずっと吸っているけれど、たばこは僕にとって一種の精神安定剤だ。自分勝手な考え方だが、禁煙することで、かえってイライラするよりは、吸ってるほうがいい。周りからは、「たばこは吸わないほうがいい」って言われるがやめられない》(『日刊スポーツ』 90年12月9日付)
孫のためにも、今後はいっそう健康には留意してほしい。


(2025.7.15)
 海外でまん延「ゾンビ・タバコ」 全国初のリキッド所持容疑で20歳男ら逮捕 沖縄・浦添市 エトミデート吸引する「笑気麻酔」
沖縄タイムス プラス 7月9日
 指定薬物のエトミデートを含むリキッドを所持していたとして、沖縄県警は9日、浦添市当山の無職の男(20)と同市牧港の建築作業員の男(20)を医薬品医療機器法違反の疑いで逮捕した。県警はこのほか、同容疑で10代後半の少年を任意で調べている。認否を明らかにしていない。エトミデートの所持での摘発は全国初という。
 厚生労働省が5月にエトミデートを指定薬物に指定。所持での摘発は全国初とみられる。
 署によると、両容疑者と少年は5月26日夜、浦添市牧港にある公園のトイレで、医療などの用途以外の目的でエトミデートを含むリキッド0・838グラムを所持した疑いがある。
 3人がトイレ付近にいるのを近くの通行人が目撃し、警察に通報。駆けつけた警察官が所持品を任意で調べた。
手足がけいれんしていたという。鑑定の結果、所持していたリキッドからエトミデートが検出された。
 エトミデートを含むリキッドは電子たばこで吸引する「笑気麻酔」と呼ばれ、県内の若者たちの間で使われている。乱用すると意識混濁や手足のしびれなどの症状が出るという。
 5月に新たに指定薬物となり、同26日からエトミデートを含む製品の所持や使用、流通が禁止されている。
海外では「ゾンビ・タバコ」としてまん延し、社会問題となっている国もある。


(2025.7.15)
 市庁舎敷地で禁煙ルール破る 気仙沼市教育長が車内
で喫煙し謝罪 市民から複数の目撃情報〈宮城〉
仙台放送ニュース 2025年6月19日
宮城県気仙沼市の教育長が勤務時間中に庁舎の駐車場に
停めた自分の車の中でたばこを吸ったとして謝罪しまし
た。気仙沼市の全ての公共施設は今年度から全面禁煙と
なっていて、教育長は減給を申し出ています。
気仙沼市 小山淳教育長
「私の不適切な行為により、皆さまに不快な思いをさせ
たことを、心よりお詫びします」
気仙沼市の小山淳教育長は6月19日の市議会で自らの
「喫煙」について謝罪しました。小山教育長は今年4月
以降、教育委員会事務局の駐車場に停めた自分の車の中
で、複数回、たばこを吸っていたということです。市民
から地元新聞社に複数の目撃情報が寄せられ、報道を受
けて認めた形です。
気仙沼市 小山淳教育長
「教育を預かる身でありながら、自ら定めた規範を守ら
ず、皆さまの信頼を損ねる行為であったと深く反省して
います」
気仙沼市では5年前から、職員は休憩時間を除いて、勤
務中、禁煙とするルールを定め、今年4月からは市の全
ての公共施設で、一般市民も含めて全面禁煙としていま
した。
気仙沼市の菅原市長も定例会見で謝罪しました。
気仙沼市 菅原茂市長
「小山教育長の庁舎敷地内の喫煙については、私からも
市民の皆さまの信頼を失う行為ということで、心からお
わび申し上げたい」
教育長は市長任命の特別職のため、懲戒処分の対象では
ありませんが、小山教育長は3カ月間の減給10分の1
を申し出ています。


(2025.7.15)
 川崎市 公園の禁煙化スタート 改正条例が7月1日施行
タウンニュース 7月2日
 川崎市内の公園が7月1日から、原則として全面的に禁煙となった。一部の公園に設置された「喫煙可能スペース」以外では、公園敷地内での喫煙行為は、来年4月以降に過料の対象となる。
 市は今年3月に川崎市都市公園条例の一部を改正し、公園内で禁止する行為に「喫煙をすること」を追加した。
この改正条例が7月1日に施行され、市内に約1200ある公園での喫煙は全面的に禁止となった。例外として、常駐管理者がいる富士見公園(川崎区)や等々力緑地(中原区)など18の公園に設けられた「喫煙可能スペース」や、園内でイベントが開催される際に開設される一時的な喫煙所での喫煙は可能だ。
 市はすべての公園内に「禁煙化」を知らせる看板を掲示のうえ、巡回指導員によるパトロールを強化。禁煙のほかボール遊びやゴミの持ち帰りなど、公園のルールやマナーを紹介する動画も作成し、市のホームページで公開している。


(2025.7.15)
 日本共産党2025年参議院選挙各分野政策 31、受動喫煙対策
日本共産党Webサイト 2025年6月
https://www.jcp.or.jp/web_policy/12055.html

望まない受動喫煙の全面禁止を実行します


受動喫煙を受けている人が肺がんになるリスクは、受けていない人の1.3倍です。同様の罹患リスクは虚血性心疾患で1.2倍、脳卒中で1.3倍、乳幼児突然死症候群(SIDS)で4.7倍などとされています(国立がん研究センター発表)。
WHO(世界保健機関)の「たばこ規制枠組条約(FCTC)」にもとづき、世界の国々で、8種類(※)の「公衆の集まる場所(publicplaces)」のすべての、屋内全面禁煙を義務づける法規制が整備されています。
(※)――WHOが屋内全面禁煙を求める「公衆の集まる場所」:(1)医療施設、(2)学校、(3)大学、(4)行政機関、(5)事業所、(6)飲食店、(7)バー、(8)公共交通機関 日本政府は2018年の「健康増進法改定」で“屋内禁煙の原則義務化”を定めましたが、その内容には、▽学校・病院・児童福祉施設などの第一種施設でも、屋外なら条件付きで敷地内喫煙を可能とする、▽事務所・工場・ホテル・飲食店・鉄道などの第二種施設においては、喫煙専用室を設ければ屋内喫煙を可能とする、▽経営規模の小さい既存の飲食店(店舗面積100m2以下)は、「経過措置」の名で店内喫煙を可能とする、▽加熱式たばこについては、店内の専用室で、食事やパチンコをしながらの喫煙を認める、▽学校通学路やスタジアム等を含め、屋外の喫煙は規制しないなど、本来求められている禁止措置や国際的な到達点からすれば、“抜け穴”だらけの立ち遅れたものとなりました。
学校ではすでに9割以上が、敷地内完全禁煙となっており、第一種施設で敷地内喫煙を認めることに合理性はありません。第二種施設に喫煙専用室を設けても、受動喫煙のおそれはなくなりません。子ども、がん患者、ぜんそく患者などを受動喫煙から守るには、経営規模にかかわらず、飲食店の全面禁煙は当然の措置です。飲食店の全面禁煙については、「客足が落ちる」ことへの懸念も出されていますが、WHOが実施した国際調査は、レストランやバーを法律で全面禁煙としても減収はないと結論づけています。
加熱式たばこも、主流煙にニコチンなど健康に被害を与える物質が含まれ、それを吐き出す呼出煙には有害物質は含まれます。政府は、加熱式たばこの規制を緩めるのは健康への影響が明らかになるまでの当分の措置だといいますが、健康被害が明らかになってからでは遅すぎます。たばこ業界のなかに、加熱式たばこに軸足を移し、製造・販売を加速する動きが出ていることも無視できません。加熱式たばこも、通常のたばこと同等に規制をするべきです。
今後、「健康増進法改定」の施行5年後の実施状況を踏まえた、法律の見直しも行われる予定です。国際社会の到達点も踏まえ、厳格で実効ある規制の強化がはかられるよう求めていきます。
――日本共産党は、受動喫煙をなくし、非喫煙者の健康を守るための法改正を進めます。
――学校・医療機関・児童福祉施設などの敷地内全面禁煙、公衆が集まる場所の屋内全面禁煙へと規制を強化します。加熱式たばこも、通常のたばこと区別のない措置をとります。
――たばこのパッケージの警告表示に、健康被害に係る画像表示を義務づけるなど、啓発活動を強化します。
――「たばこ製品の陳列自体が、宣伝と販売促進にあたる」「若者が特に影響されやすい」と規定したFCTC第13条の趣旨に則り、たばこの陳列・広告への規制を実行します。
――通学路、公園、運動施設、マンションの共有部分、自宅やマイカーを含め、受動喫煙から子どもたちを守るための規制を推進します。
――たばこの需要減少や年少者の喫煙防止をはかるため、たばこの価格・課税率を引き上げます。たばこ税の税収を、たばこの害から健康を守る施策に充てていきます。
――飲食店の全面禁煙を徹底するため、必要な表示・広報に公的支援を行います。


(2025.7.15)
 タイ政府、大麻規制を再導入へ 22年の解禁政策見直し
ロイター 6月26日
[バンコク 25日 ロイター] - タイ政府は大麻を違法薬物のリストから除外した政策の見直しを進めており、近く規制が再導入される見通しだ。大麻は2022年の解禁以来、関連産業が推定で10億ドル超の規模に達しているが、業界の先行きは不透明だ。
連立政権の第2党で大麻合法化推進を掲げてきた「タイの誇り党」が、カンボジアとの国境問題を巡って最大与党「タイ貢献党」のペートンタン首相の対応を問題視して先週、連立の枠組みから離脱したことで、娯楽目的の大麻使用を新た規制する動きが勢い付いた。
タイ保健省は24日夜、娯楽目的の大麻販売を禁止し、小売店での購入の際に医師の処方箋の提示を義務付ける命令を発布した。新規制は数日以内に官報に掲載され、発効する見通し。
ソムサック保健相は24日、「大麻は将来的に麻薬に分類されることになる」と述べた。
タイは22年にアジア諸国で初めて大麻を解禁した国の1つだが、その際に業界に対する包括的な法整備は見送った。解禁以来、観光地を中心に全国で大麻を販売する店舗が急増。タイ商工会議所は以前、医療製品を含む大麻関連産業の市場規模が2025年までに12億ドルに達するとの試算を公表している。


(2025.6.24)
 スマホで「卒煙」へ 奈良・生駒市が無料禁煙プログラム、看護師のオンライン面談も
ヤフーニュース(産経新聞)6月12日
スマートフォンを活用して禁煙をサポートしようと、奈良県生駒市は、禁煙外来で受診しなくても自宅などで看護師らの面談を受けながら取り組める無料の「オンライン禁煙プログラム」を続けている。令和4年度にスタートし、今年度は今月13日正午から参加する市民らの募集を開始。半年でたばこを完全にやめる「卒煙(そつえん)」を目指すとしている。こうした取り組みをしている自治体は珍しいという。
参加者は既存のスマホ禁煙アプリで看護師や保健師ら専門職のオンライン面談の予約をとり、半年間で5回にわたる面談を受けるほか、禁煙時のイライラを緩和する禁煙補助薬の「ニコチンパッチ」か「ニコチンガム」のいずれかを選び、チャレンジ。面談による心理療法と補助薬による薬剤療法の両輪で対応する。アプリは有料だが、市のふるさと納税の寄付金をあてる。
一人ではなかなか禁煙できない人でも途中で挫折せずに「卒煙」を達成してもらうのが狙い。市によると、禁煙すると、数日で味覚や嗅覚が改善し、2〜12週間で血液循環が改善して肺機能が高まり、1カ月後以降にはせきや息切れが減るとしている。
4年度から過去3回プログラムが行われ、参加者は計64人。市健康課の担当者は「参加した人の半分程度は禁煙に成功した。ぜひ参加してほしい」と話している。
参加は市ホームページの申し込みフォームで。無料。定員30人(先着順、新規申し込み者優先)。市内に在住か市内に通勤・通学している20歳以上で、スマホを持ちアプリを利用できる人が対象(禁煙外来で受診している人は参加できない)。原則半年間のプログラムとしているが、来年3月31日まで利用できる。問い合わせは市健康課(0743・75・2255)。


(2025.6.24)
 フランス 7月1日よりビーチや公園での喫煙禁止に 明日31日は「世界禁煙デー」
France 365 5月30日
2025年5月30日(金)、明日31日の「世界禁煙デー」に先立ち、フランスでは、公園やビーチなど屋外での喫煙への規制が発表されました。レストランやカフェ、オフィスなど屋内の公共スペースでの禁煙が2007年に法令化されてから18年目にして、ようやく屋外での喫煙への規制が導入されます。
屋外の「子供がいる公共スペース」での喫煙が禁止に
7月1日より、フランス全土の公園、ビーチ、学校の前での喫煙が全面禁止になります。違反の場合、罰金135ユーロ(約22,000円/1ユーロ=約163円)が科されます。
「子供がいる場所からタバコは抹消すべき」と、フランスの労働保険連帯家族大臣、カテリーヌ・ヴォ―トラン(Catherine Vautrin)は、今回の政令が「子供を受動喫煙から守る」ことを目的とした規制であることを強調しました。
罰金より国民の「責任感」に期待
この法令順守を徹底させるために、各自治体は「禁煙パトロール」部隊を結成するか、そうでない場合は、自治体付の自治体警察(Police municipale)(注)が違反の取り締まりを行います。
今回の法令が実際どれだけ効果があるかについて大臣は、「取り締まりよりも、国民ひとりひとりが責任感をもって自主的に行動することを信じています」と述べています。
(注)フランスで一般的に「警察」という場合は、内務省付けの「国家警察」(Police nationale)を指します。これに対し、「自治体警察」は各地町村長の指揮下にあり、地域の見回り、交通違反取締り、公園の監視、市条例の施行を任務とした地方公務員で、その活動範囲はそれぞれの自治体内に限られています。

カフェのテラスは対象外、電子タバコも規制外
喫煙者専用?と言いたくなるほど、もうもうと煙が立っていることが多いフランスのカフェやバーのテラスは、規制の対象外となっています。
ヴォ―トラン大臣は今回の規制導入にあたり、「あくまで子供が多くいる場所での喫煙禁止であって、喫煙の自由を奪うものではない」と明言しています。
特に若者に人気の電子タバコも対象外ですが、今回の規制とは別に、電子タバコのニコチンの含有量を抑える政令が2026年6月末に施行されます。(後略)


(2025.6.10)
 東海道新幹線・下りの車内で乗客がタバコに火をつけ煙が充満…JR浜松駅に多数の消防車が出動し一時騒然 2024年3月に喫煙ルームは廃止
ヤフーニュース(テレビ静岡)6月2日
6月2日午後6時20分頃、東海道新幹線・下りの車内でタバコに火をつけた乗客がいるのを別の乗客が見つけ「車内で火をつけた人がいる。煙が充満している」と110番通報しました。
通報を受け県警が消防にも連絡し、JR浜松駅に多数の消防車が出動しましたが、何かに燃え移ることはなく、ケガ人もいなかったため、すでに隊員は引きあげています。
東海道・山陽・九州の各新幹線に設置されていた喫煙ルームは2024年3月に廃止され、国内すべての新幹線は全面禁煙となっています。


(2025.6.10)
 愛媛県庁がイエローグリーン「世界禁煙デー」にライトアップへ 願いは「受動喫煙させたくない」【愛媛】
ヤフーニュース(テレビ愛媛) 5月27日
愛媛県庁が「国際禁煙デー」の5月31日、イエローグリーンにライトアップされます。受動喫煙をさせたくない願いが込められています。
愛媛県によりますと、イエローグリーンに込められた願いは「受動喫煙をしたくない・させたくない」。医師会の依頼で県庁本館を「国際禁煙デー」にライトアップします。
県内の20歳以上の喫煙率は2015年が17.5%で、2022年は8.8%に減少。健康増進法が2020年4月に改正されて、多くの人が利用する施設の屋内では原則として禁煙になっています。


(2025.6.10)
 禁煙治療をオンラインで 北海道の健保や企業で助成広
がる 5月31日は世界禁煙デー 石橋治佳
北海道新聞 5月31日
  31日は世界保健機関(WHO)が定めた世界禁煙デー。国の調査では、喫煙者の2割が禁煙を希望する。2017年に解禁されたオンラインの禁煙治療は外来の対面治療に比べ、通院の手間が省けるなどのメリットがある。道内の健康保険組合(健保)や企業では、オンライン治療プログラムの費用を補助し、従業員らの禁煙を支援する動きが広がっている。
 禁煙治療は医療機関の禁煙外来で行う場合、3カ月で5回の診察を行い、公的医療保険が適用される。ただ、治療の主流だった飲み薬が製造工程の問題で21年から出荷停止が続き、現在も外来を休止する医療機関が多い。
 元々、対面とオンラインを組み合わせた治療は可能。17年に完全オンラインの禁煙治療が条件付きで認められ、この場合は自由診療となる。個人でもできるが、健保や企業がオンラインプログラムを提供する業者と契約し、かかる費用を負担して従業員がプログラムに参加することが多い。

通院の手間省け 高い継続率
 オンライン健康支援事業の「リンゲージ」(東京)は17年7月から完全オンラインでのプログラムを提供する。現在、道内3健保を含む全国約300団体に提供し、契約団体は5年前の3倍に増えた。


(2025.6.10)
 野村HD、禁煙推進策で社員の喫煙率低下−26年までに12%を目標に
ヤフーニュース(Bloomberg)5月30日
 野村ホールディングスが社内の喫煙率引き下げに向けて進めてきた取り組みが成果を上げ、社員の健康増進という目標に向けて前進している。
  従業員の喫煙率は2018年3月時点の21.4%から、24年3月期には15%近くまで低下した。
  同社は26年3月までに喫煙率を12%に引き下げる目標を掲げており、禁煙サポートの費用補助や喫煙室の撤去、ウォーキングの奨励など、さまざまな施策を実施してきた。
  野村は国内に1万4000人余りの従業員を抱えている。同社は投資家向けのプレゼンテーション資料で、今回の喫煙率低下に加え、他の健康経営への取り組みも紹介した。
  資料によれば、女性社員向けライフプラン支援策の一環として、卵子凍結にかかる費用の補助を今年4月から開始した。
  野村では17年から、従業員の禁煙に向けた金銭的支援を実施。新型コロナウイルス禍の21年には、在宅勤務中であっても業務中の喫煙は控えるよう全社員に呼びかけた。
  オフィス内の喫煙室を撤去したほか、昼休みに喫煙した社員に対しては、喫煙から45分以内に部署に戻ることを控えるよう促した。
  野村社員の喫煙率低下は、日本や他の先進国で見られるたばこ離れのトレンドと一致している。人々は喫煙に伴う健康リスクをより意識するようになっている。
  厚生労働省のウェブサイトによれば、日本政府は喫煙が認められている20歳以上の喫煙率を33年までに12%に引き下げる方針。
原題:Nomura’s Smoking Ban Starts to Pay Off as Less Staff Light Up(抜粋)


(2025.6.10)
 フランス、屋外喫煙ほぼ全面禁止へ 7月から
AFP BBNEWS  5月30日
【AFP=時事】フランスの保健相は29日、ビーチや公園、バス停など子どもが出入りできる屋外の場所での喫煙を全面禁止すると発表した。7月1日から施行される。違反者には最大135ユーロ(約2万2000円)の罰金が科される。 【図解】たばこ消費量、世界で減少傾向 カフェのテラスでの喫煙や石畳の道での歩きたばこで知られるフランスだが、近年は公共の場での喫煙規制が次第に強化されてきた。 新たな禁煙令について、カトリーヌ・ボートラン労働・保健・連帯・家族相は「ビーチ、公園、公共の庭園、学校の外、バス停、スポーツ会場」など、子どもがいる可能性のあるすべての場所を対象とすると発表。 同氏は仏紙ウエスト・フランスのインタビューで「子どもがいる場所から、たばこをなくさなければならない」と強調。喫煙の自由は「子どもたちがきれいな空気を吸う権利の前では認められない」と語った。【翻訳編集】 AFPBB News


(2025.6.10)
 “全面禁煙”病院敷地内で看護師ら男女16人が喫煙 禁煙外来の患者らに診療報酬を返還 岐阜赤十字病院
中京テレビニュース 5月26日
岐阜市にある岐阜赤十字病院の複数の職員が、禁煙となっている敷地内で喫煙していたことがわかりました。病院は禁煙外来の患者などに診療報酬を返還するということです。

岐阜赤十字病院は2005年から敷地内を全面禁煙としていますが、病院によりますと、去年12月、「職員が敷地内で喫煙している」と匿名の通報があったということです。

これを受け、職員約550人に聞き取り調査をしたところ、看護師や事務職員ら男女16人が喫煙をしていたことがわかりました。

敷地内の禁煙が条件となっていた、2006年6月から去年までの診療報酬計約450万円については、禁煙外来の患者らに返還するとしています。

対象者は約750人で、26日返還の手続きを始めたということです。

病院の担当者は「健康増進を率先して進めるべき病院においてこのような事態が発生したことを深くおわび申し上げます」とした上で、再発防止に努めるとしています。


(2025.6.10)
 禁煙啓発ポスターを寄せて 岡山県内小4〜6年コンクール
山陽新聞ニュース 5月25日
 岡山県禁煙問題協議会は、県内の小学4〜6年生を対象に、禁煙啓発ポスターコンクールの作品を募集している。7月16日必着。
 四つ切り画用紙に、たばこによる健康被害など「禁煙」をテーマに描く。喫煙を肯定する「たばこは20歳から」といったフレーズや、喫煙マナーに関する内容は審査の対象から外れる場合がある。応募は1人1点。
 県知事賞や県教育長賞など上位入賞者には図書カードが贈られる。入賞作品は学校などに配布する啓発カレンダーに採用される。
 名前、振り仮名、学校名、学年を明記し、絵の説明があれば50字以内で裏面に添えて〒700―0952、岡山市北区平田408の1、同協議会事務局「禁煙啓発ポスターコンクール係」に送る。問い合わせは事務局(086―246―6254)。


(2025.6.10)
 危険ドラッグ“ゾンビ・タバコ”に含まれる「エトミデート」国内で所持・使用禁止に
goo ニュース(テレ朝ニュース)5月26日
 今月、沖縄県は県内で「エトミデート」と呼ばれる国内未承認の医薬品成分が含まれる危険ドラッグが確認されたと発表しました。
 海外メディアによると、「エトミデート」が含まれる危険ドラッグは、海外では「ゾンビ・タバコ」と呼ばれ、タイ政府は「激しい眠気を誘発し、ひどい場合は意識不明の状態に陥ることもある」と注意喚起しています。 この危険ドラッグを巡り、厚生労働省は「エトミデート」を指定薬物とし、26日から所持や使用を禁止しました。


(2025.5.24)
 タバコ業界の約束の裏にある真実
vietnam.vn 5月22日
(PLVN) - 現在、多くの大手タバコ企業は、「煙のない未来へ向かう」、「より害の少ない」製品を開発する、公衆衛生に対する責任を強調するなどの公約を継続的に行っています。しかし、一見前向きに見えるこれらの約束の背後にある真実は何でしょうか?

2025年5月31日の世界禁煙デーに、世界保健機関(WHO)は「偽りの訴えを暴く」をテーマにした世界的なコミュニケーションキャンペーンを開始し、各国に対し、タバコ業界によるますます巧妙化する攻撃から公衆衛生、特に若い世代を守るために協力するよう呼びかけました。また、タバコ会社による誤解を招く主張の背後にある真実も明らかにします。

タバコ業界は公衆衛生を守るためにタバコの有害作用に関する科学的研究に貢献していますか?
実際、タバコ業界は喫煙と健康に関する議論を作り出し、喫煙の害に関する科学的研究を否定したり、軽視したりしてきた長い歴史を持っています。これまで、彼らの研究はタバコの有害な影響を否定することに重点を置いていました。最近、タバコの有害作用についての一般の認識が高まるにつれ、タバコ業界はユーザーを引き付け続けるために「より安全な」代替品として新製品を宣伝するようになりました。たばこ企業が提供する研究の証拠は、たばこ企業自身によって資金提供されていることが多く、客観性と透明性が保証されません。

タバコ会社は自社製品の広告やマーケティングを禁止する規制を遵守していますか?
実際、世界中のタバコ企業は、現代のメディアやコミュニティの有力者を通じて、主に十代の若者、女性、少女をターゲットにしたり、競馬やサッカーなどのスポーツ活動を後援したりするなど、多くの洗練されたマーケティングおよびプロモーション戦略を採用しています。
タバコ業界に対する訴訟も起こされており、例えば2025年2月にはニューヨーク州裁判所(米国)が、10代の若者の間での電子タバコの「流行」に寄与したとして、電子タバコの製造業者、流通業者、販売業者13社を相手取って訴訟を起こした。

タバコ業界は企業の社会的責任(CSR)を果たし、地域社会に利益をもたらしましたか?
実際、タバコ業界は、宣伝用のイメージを構築し、悪影響を隠蔽し、中毒性のある製品を標準化してユーザーを引き付けるために、企業の社会的責任 (CSR) を実践しています。

政府のタバコ規制を支持しますか?
世界中で、タバコ業界はタバコ規制活動に対して法的措置を講じてきた長い歴史を持っています。彼らは絶えず訴訟を起こしたり、訴訟を起こすと脅したり、政策決定プロセスに影響を与えてタバコ規制政策を遅らせたり弱めたりしています。

加熱式タバコ製品(IQOS)は成人専用で、従来のタバコをやめるのに役立ちますか?
実際、新しいタバコ製品は若者をターゲットにしている。世界的なタバコ業界監視団体(STOP)による最近の分析レポートによると、フィリップ モリス ジャパン(PMJ)は、成人喫煙者だけでなく、若者や学生も含め、IQOS(加熱式タバコ製品)を広く一般に受け入れてもらう計画を立てている。
フィリップモリスは、IQOS を憧れのライフスタイル製品として宣伝しています。このマーケティング戦略により、特に十代の若者など、これまで喫煙したことのない人々も新たな中毒性のある製品を簡単に入手できるようになり、学生の間での使用率が急激に増加しました。
統計によると、米国では2017年から2019年にかけて、高校生の電子タバコ使用率が11.7%から27.5%に急増しました。英国では、15歳の女子の電子タバコ使用率が2018年の10%から2021年には21%に増加しました。一方、ニュージーランドでは若者の27%が使用しています。
韓国では加熱式タバコが市場に導入されて1年が経ち、中高生の2.8%がこの製品を使用している。ベトナム保健省のデータによると、わずか2年で13〜15歳の学生の電子タバコ使用率が大幅に増加した(2022年の3.5%から2023年には8.0%)。電タバコの使用率は若年層(15〜24歳)で高く、7.3%となっています。

新しいタバコ製品は危害軽減製品ではありません。米国食品医薬品局(DFA)は、IQOS が製品内の特定物質への曝露を減らす製品であることを確認しているだけで、健康リスクの軽減に役立つ製品であることを確認しておらず、加熱式タバコが通常のタバコよりも健康に安全な製品であるとは認めていません。
タバコ会社が、害を減らすために紙巻きタバコの喫煙者に加熱式タバコ製品に切り替えるよう勧めるのには、科学的根拠がない。加熱式タバコにはニコチンが含まれており、通常のタバコと同様に中毒性があります。別の中毒性のある製品の使用を許可しながら、同時に新しい世代の中毒者(子供や女性を含む)を生み出すことで、タバコの害を軽減することは不可能です。各国からの証拠によれば、加熱式タバコ製品に切り替えても喫煙者は禁煙できず、複数の種類のタバコ製品を使用することでニコチン中毒と多くの有毒化学物質への曝露が永続化することが示されています。
WHOは「電子タバコや加熱式タバコが従来のタバコ品よりも害が少ないことを証明する証拠はない」と断言している。電子タバコや加熱式タバコ製品には、健康、特に子供や青少年の脳の発達に有害な、非常に中毒性の高い物質であるニコチンが含まれています。ミン・トラン
出典: https://baophapluat.vn/su-that-dang-sau-nhung-cam-ket-cua-nganh-cong-nghiep-thuoc-la-post549161.html


(2025.5.24)
 落ち着くため」乗務中の車掌が列車内で喫煙 運行影響なし JR西日本
毎日新聞 5月22日
  JR西日本は23日、60代の男性車掌が乗務中に喫煙していたと発表した。利用客からメールで通報があったという。車掌は同社の聞き取りに事実と認め、「落ち着くために吸った」と話している。列車の運行に影響はなかった。

 JR西によると、車掌は21日午前7時50分ごろ、京都線の上り快速列車(乗客約1000人)で新大阪―茨木間を走行中、最後部の乗務員室で電子たばこ1本を吸った。乗務中の喫煙は社内規定で禁止されており、同社は厳正に処分する方針。

 JR西の広報担当者は「お客様のかけがえのない命をお預かりしている車掌としてあるまじき行為。今回の事象を重く受け止め、再発防止に努めるとコメントした。【小坂春乃】


(2025.5.24)
 喫煙の段階的根絶法、11月施行 モルディブ
時事ドットコムニュース 4月14日
 【マレAFP時事】インド洋の島国モルディブのムイズ大統領は13日、現時点で19歳未満の人に対し、将来にわたりたばこを販売することを禁じる法律を11月1日に施行すると発表した。喫煙の段階的な根絶が狙い。

 2007年1月以降に生まれた人が対象。違反した場合の刑罰は明らかになっていない。

 モルディブでは昨年11月、喫煙年齢が18歳から21歳に引き上げられるとともに、電子たばこなどの輸入が禁じられた。同様の規制法は英国などでも導入が検討されている。


(2025.4.17)
 市立公園 全面禁煙に 受動喫煙対策として/横浜
タウンニュース 4月10日
 横浜市は受動喫煙対策の一環として、4月1日から市内全ての市立公園を禁煙とした。横浜市公園条例によるもの。多世代の憩いの場である公園を誰もが安心して利用できる環境に整え、市民の健康増進などを図る。
 市内には2724カ所(2024年3月末時点)の市立公園がある。市は公園での喫煙に関するアンケート調査を23年夏に実施。「喫煙で迷惑と感じたことがあるか」の問いに対し、「よくある」「たまにある」と答えた人は全体の約6割だった。
 この結果を受け、市は23年10月14日から11月19日にかけて市内5カ所の公園で禁煙を試行。試行前と試行中のある2日間の公園の喫煙者数を比較し、天王町駅前公園=保土ケ谷区=では、30人から2人に減少するなどの効果が見られた。その後も公園の禁煙化を望む市民の声が多かったことから、市公園条例の禁止行為に「喫煙をすること」の項目を追加し、市立公園を全面禁煙とした。
約250カ所を巡回
 条例では、たばこ事業法上の製造たばこ(紙巻たばこや加熱式たばこ)が禁止の対象。公園での喫煙は5万円以下の過料となる。市は「禁煙にご理解いただければ、その場で過料を徴収することはない」と方針を示す。
 市民や土木事務所職員の意見をもとに、喫煙が多く見られる約250カ所の公園を巡回の対象に。市の委託業者が2人1組の4班に分かれて巡回し、繁華街などの人通りの多い地域にある公園を重点的に行う。公園周辺での喫煙について、市は「喫煙を控えるようにお願いをする」という。
 公園の禁煙化に否定的な市民の声もある。市内在勤の男性(47)は「喫煙場所が限られる中、公園まで全面禁煙になるのは困る」と肩を落とす。市の担当者は「健康増進法などを踏まえ、受動喫煙対策を進める必要がある。誰もが安心・安全に公園を使えるようご理解いただきたい」と話す。
 市は公園内に禁煙を呼び掛けるステッカーを設置。ステッカーには、公園の利用ルールなどに関する相談を受け付ける専用窓口の電話番号などが記載されている。


(2025.4.17)
 モルディブ、喫煙禁止へ 07年生まれ以降、11月から
ヤフーニュース(共同) 4月15日
 【ニューデリー共同】インド洋の島国モルディブのムイズ大統領は13日、2007年1月1日以降に生まれた人に対し、たばこの販売や購入、使用を禁止することを決めた。大統領府が発表した。関連法を改正し、今年11月1日施行の見通し。地元メディアによると、より厳しく、00年以降に生まれた人への適用を求める声もある。
 たばこを巡っては、世界保健機関(WHO)の「たばこ規制枠組み条約」が05年に発効。一定の年齢に満たない人への販売禁止や受動喫煙防止を求めている。日本でも20年4月に受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が全面施行され、飲食店や職場など不特定多数の人が利用する施設は原則屋内禁煙となった。
 モルディブと同様の動きはニュージーランドで23年1月、09年以降に生まれた人が紙巻きたばこを吸えなくする法律が施行されたが、24年2月に廃止が決まった。英国でも導入が検討されている。
 モルディブでは24年11月、たばこの購入可能年齢が18歳から21歳に引き上げられ、電子たばこの輸入も禁じられた。


(2025.4.17)
 万博の“喫煙所問題” 計2か所のみの設置で人気パビ
リオン以上の行列の可能性も
ヤフーニュース(ENCOUNT) 4月10日
 大阪・関西万博が13日に開幕する中、9日は『メディアデー』として報道陣に公開され、約4500人が来場した。
 今年1月に路上喫煙が全面禁止となった大阪市で開催されるビッグイベントで、喫煙所は東ゲートの左右に1か所ずつ計2か所設置された。当初は会場外の1か所の予定とされ、大阪市内の喫煙所数が少ないという声と同様に疑問があがっていた。
 ただし、大きくは変わっていない。サイズはやや違いがある2か所あわせて100人程度入れば窮屈に感じるかもしれない。会場の広さを考えると、20〜30分近く喫煙所を探し求めるケースも出そうだ。
 この日も、愛煙家の報道陣が引っ切りなしに出入りした。半年の開催期間中、想定来場者数の最大は1日22万人ともされている。現実になれば、運営にはうれしい悩みになりそうだが、喫煙者が1%でも2200人と考えると、人気パビリオン以上の行列も考えられそうだ。


(2025.4.17)
 研究で判明!米国のたばこ規制は何人の命を救ったのか? タバコ規制により米国で400万人近い人が死亡を回避
@DIME HealthDay News 3月26日
喫煙者を減らすための公衆衛生キャンペーンやタバコ税の導入などのさまざまな対策によって、米国では過去50年間で約400万人の肺がんによる死亡が防がれたことが明らかになった。回避された肺がんによる死亡者数は、同期間に回避された全てのがん死の約半数を占めるという。
この研究は、米国がん協会(ACS)のFarhad Islami氏らによるもので、詳細は「CA: ACancer Journal for Clinicians」に3月25日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「肺がんによる死亡を回避し得た人の推定数は膨大な数に上っている。これは、喫煙防止のための公衆衛生対策の推進が、肺がんによる早期死亡の低減に大きな効果を発揮してきたことを物語っている」としている。
ただし一方で同氏は、「それにもかかわらず、肺がんは依然として米国におけるがん死の主要な原因であり、さらに、喫煙に起因する肺がん以外のがん、および、がん以外の喫煙関連疾患の罹患率や死亡率は依然として高いままだ」と、さらなる改善の必要性を強調している。
この研究では、1970〜2022年の米国健康統計センター(NCHS)による全米での死亡データを利用して、年齢、性別、人種、調査年ごとに肺がんによる死亡数の予測値を算出した上で、その値から実際に発生していた肺がんによる死亡者数を差し引くという計算が行われた。
その結果、この約50年間で385万6,240人(男性224万6,610人、女性160万9,630人)の肺がんによる死亡が回避されていたことが分かった。
この数は、この間に回避された全てのがん死(750万4,040人)の51.4%を占めていた。Islami氏は、「タバコ規制による喫煙の減少は何百万人もの命を救ってきたし、今後も何百万人もの人の命を救うことだろう。しかし、喫煙者をさらに減らし、喫煙関連疾患の死亡リスク抑制をより確実なものとするために、地域、州、国家レベルでのより強力な取り組みが必要とされている」と話している。
また同氏は、喫煙リスクの高い集団に対して、そのような取り組みをより積極的に行うことの重要性も指摘。その理由の一つとして、例えば「教育歴が高校卒業以下の集団の喫煙率と肺がんによる死亡リスクは、大学を卒業した集団に比べて5倍高い」という事実を挙げている。
ACSに対して政策提言などのサポートを行っているACSがん対策推進ネットワークのLisa Lacasse氏は、「本研究の結果は、予防可能な死亡が依然として発生しているという事実を浮き彫りにしている」と論説。「喫煙者を減らし、最終的には米国民全員のタバコによる発がんという疾病負担を減らすためのアプローチの一環として、エビデンスに基づく喫煙防止策や禁煙プログラムの継続と、そのための資金の確保が、これまで以上に求められる」と同氏は述べ、タバコ税の引き上げを含めた包括的な禁煙政策の必要性を指摘している。


(2025.4.6)
 大阪府の飲食店、客席30平米超が原則禁煙 4000店対象
日本経済新聞WEB刊 3月31日
大阪府の受動喫煙防止条例が4月1日に全面施行され、客席面積30平方メートル超の飲食店が「原則屋内禁煙」になる。府内の少なくとも約4千店が新たに対象に加わる見通しだ。13日に大阪・関西万博の開幕をひかえ、国よりも踏み込んだ対策を講じて規制を強化する。

これまでは国の健康増進法に基づき100平方メートル超の飲食店を規制対象としていたが、1日から府独自で「30平方メートル超100平方メートル以下」の店を加える。専用の喫煙室を設ければ店内でも喫煙できる。

府によると、新たに規制対象となるのは届け出があるだけでも約4千店に上る。条例に違反した喫煙者には過料3万円以下、店側には同5万円以下の罰則もある。

大阪では万博前に喫煙ルールの厳格化がすすむ。1月27日には、大阪市内全域で路上喫煙を禁じる市の改正条例が施行。加熱式たばこも規制対象となり、違反した場合は過料1000円が徴収される。

府や市は規制強化と並行して街中の喫煙所増設を進める。府は4月1日から公衆の喫煙所を設置する民間事業者への補助制度を新設する。屋外700万円、屋内300万円を上限に、経費の2分の1を補助する。


(2025.4.6)
 マカオの喫煙率が11.6%まで低下…2023年=新禁煙法施行前2011年から31.4%減
ヤフーニュース(マカオ新聞) 3月24日
 マカオ政府衛生局(SSM)は3月21日、「喫煙予防及び管理制度」に関する2021?2023年のフォローアップ及び評価報告書を発表した。 
 マカオでは、2012年に「喫煙予防及び管理法(通称:新禁煙法)」が施行された。同報告書によれば、マカオにおける15歳以上人口のたばこ・たばこ関連製品の使用率(喫煙率)は同法施行前の2011年に16.9%(たばこに限ると16.6%)だったが、2023年には11.6%(同11.2%)まで低下し、31.4%(同32.4%)減に。WHOが目標とする2025年の喫煙率30%減を達成したとのこと。  また、2023年のマカオにおけるたばこ・たばこ関連製品使用率は前年から0.5ポイント上昇の11.1%となったが、ローカル人口に限ると1ポイント低下。同局では、総体喫煙率の上昇要因として、マカオに居住する非ローカルの喫煙率が高いことを挙げた。

 このほか、報告書では歩きたばこ、新型たばこ、非たばこ製品に関する問題に対する分析も盛り込まれ、一部のストリートや広場への喫煙ゾーンを設置や新型・再流行のたばこ・非たばこ製品(例:シーシャ、ハーバルシガレット)の禁止などを検討するよう提言がなされた。
  なお、マカオローカルについては、男性の喫煙率が前年から大きく低下した一方、女性は上昇に転じており、関心を集めている。


(2025.3.25)
 JTが24年決算訂正、純利益63%減 カナダ訴訟和解費用で
日本経済新聞WEB刊 3月10日
日本たばこ産業(JT)は10日、公表済みの2024年12月期決算(国際会計基準)を訂正し、純利益が前の期比63%減の1792億円(訂正前は4%減の4633億円)となったと発表した。たばこ大手3社に対するカナダでの健康リスク訴訟の和解に伴い、訴訟損失引当金3756億円を計上した。24年12月期の配当は年194円と従来発表を変えていない。

費用計上を受け、営業利益は52%減の3234億円と最高益更新から一転、減益となった。

JTと米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)のそれぞれのカナダ法人が325億カナダドル(約3兆5600億円)を支払う和解案に合意していた。6日に裁判所の承認を経て正式に和解が成立した。

JTは和解金の頭金として少なくとも約1700億円を拠出し、残りはカナダ法人の毎年の純利益の70?85%を支払いに充てる。支払い完了まで20?30年程度かかる見込みという。

25年12月期の業績予想は変更しなかった。純利益は前期比2.5倍の4500億円となる。


(2025.3.25)
 直近1年間の受動喫煙割合が改善、都調査 - 喫煙率は21.5%
ヤフーニュース(医療介護CBニュース)3月7日
 東京都の2024年度「受動喫煙に関する都民の意識調査」によると、喫煙率は前回調査より1.1ポイント増加の21.5%だった。一方で1年間の受動喫煙の経験は9.1ポイント減の40.4%となった。【斯波祐介】
  調査はインターネットで行い、都内在住の20−79歳3,000人が回答した。  喫煙率については、加熱式以外のたばこが20.4%、加熱式たばこは14.2%だった。直近1年間での屋内外での受動喫煙は前回調査より大きく低下。受動喫煙のあった場所は「飲食店」は4.3ポイント減の19.9%、職場は1.4ポイント減の3.8%だった。 
 飲食店や職場など2人以上が利用する第二種施設の屋内を原則禁煙とする都受動喫煙防止条例や改正健康増進法の認知率は、8.4ポイント減の64.4%だった。飲食店における原則禁煙の認知度は「知っている」は14.9ポイント減の59.0%。喫煙者に限定すると77.3%が認知していた。 
 都受動喫煙防止条例の取り組みについての評価は、「良い取り組み」「やや良い取り組み」の合計は5.9ポイント減の84.6%。喫煙者に限定すると78.9%がプラスの評価をしている。


(2025.3.25)
 4月から飲食店が禁煙に 府受動喫煙防止条例が完全施行
大阪日日新聞 3月5日
喫煙室設置などの負担、重くのしかかる
 大阪市内全域で路上喫煙を禁止する改正条例の施行から1カ月。4月からは飲食店などの屋内喫煙を規制する大阪府受動喫煙防止条例の完全施行が始まる。

現状の整備状況に疑義
 横山英幸市長は万博開催までに330カ所の喫煙所を確保する考えを示しているが、現状は条例施行後も事業所や飲食店などが密集するエリア、乗降客数1万人以上の駅頭やその周辺でポイ捨てや路上喫煙が多く観測されている。
  2月19日の大阪市会建設港湾委では、喫煙所整備に関する陳情が7件上がり、自らが参画していた路上喫煙対策委の元委員からの陳情も確認できたが、当時、環境局より「1万人以上の方が利用されている駅が市内に138駅あり、それぐらいの規模の駅には、対策を講じる必要がある」という趣旨の発言があった。ところが、現状(3月時点)はその半数以上で未だ整備されていない状況だったことを受け、「速やかに整備すべき」とする意見が上がった。 
 このほかにも、問題視されていたパチンコ店の既存喫煙所を市指定喫煙所として一般開放することで数を稼ぎ、こうした場所での喫煙行為を促すことについて「ギャンブル依存症の誘発可能性がある」と、然るべき場所での整備を求める陳情が上がった。過去に維新会派が主張していたギャンブル依存症対策との矛盾が露呈する格好となった。  4月13日には万博が開幕し、国内外から多くの観光客が大阪市を訪れる。喫煙所不足の状況のままでは条例の実効性への疑念が上がっている

コロナ禍乗り越えた飲食店を直撃
 こうした状況下で、大阪市の今後の対応に注目が集まっているのが、4月からは客席面積30平方bを超える飲食店は原則、屋内禁煙となる府受動喫煙防止条例の完全施行だ。
  飲食店からは「条例の趣旨には賛成だ。ただ、今後、店内を禁煙にすることで経営への影響が心配」「コロナ禍を何とか乗り越えたが、もう資金的な余裕はない」など切羽詰まった声が上がる。」  大阪と京都の府境で飲食店を営む店主は「常連の客から『これから吸えなくなるのであれば別の地域で飲む』と言われたことがショックだった。大阪府の失政で別地域に客が流れていく可能性がある」と不満を打ち明けた。


(2025.3.25)
 水たばこで一酸化炭素中毒疑い、救急要請多発 症状から気付きにくく
毎日新聞ニュース 3月5日
  水たばこ(シーシャ)による急性の一酸化炭素(CO)中毒が疑われる救急要請(119番通報)が多発していることが、東京消防庁と日赤医療センターの研究チームの調査で分かった。若者を中心に利用が広がる水たばこは、タバコ葉を炭で加熱するため、COが発生しやすい。中毒を起こしても症状からは気づきにくく、専門家も注意を呼びかける。

  調査は、東京・渋谷や下北沢といった若者が集まるエリアなどを管轄する同庁第3消防方面本部の救急活動記録を、研究チームが分析した。2018年1月から23年6月までの5年半に、水たばこ吸引と関係する事例が64件あり、月1件のペースで発生していた。

 発症者の多くは来店客で、従業員もいた。20代が8割以上を占め、女性が56%とやや多かった。症状は意識消失が最も多く、嘔吐(おうと)、「動けない」、めまい、頭痛などが続いた。

 救急搬送されたのは41件で、軽症者が多かったが、重症者もいた。労働災害の現場で見られるような室内が高濃度に汚染され、複数人が同時に発症する例はなかった。

 水たばこは、香料などを混ぜたペースト状のタバコ葉を炭で熱し、発生した煙を水に通してパイプで吸う。世界保健機関(WHO)などによると、煙には紙巻きたばこと同様に発がん物質や重金属が含まれるほか、COはより多く含まれる。海外では水たばこの急性CO中毒事例が多数報告されている。

 一般的に、COは毒性が強いが、無色無臭のため気づかないうちに中毒症状を起こしやすい。後遺症や死に至ることもある。同庁第3消防方面本部の清水鉄也さんは「急性CO中毒は早期の酸素投与が必要になる。水たばこが関連する救急要請では、CO中毒を念頭に置いて対処すべきだ」と話す。

 都心部だけの問題ではないようだ。筑波大の村木功教授(社会健康医学)らが、水たばこを提供する全国約1400店に郵送で調査したところ、回答した191店の約6割が、客や従業員に急性CO中毒とみられるめまい、吐き気などの症状が起きる経験をしていた。

 また、産業医科大の姜英講師(公衆衛生学)らは、水たばこを提供する2店舗でCO濃度などを測定した。使用者の対面席では、最大で「2〜3時間で軽い頭痛が起きる」とされるレベルに近いCO濃度が検出された。

 姜さんは「CO濃度は水たばこで使われる炭の燃焼状態と換気の状況によって変わる。CO中毒が起こりうることを、警告表示などで利用者や従業員に知らせる必要がある」と指摘する。【下桐実雅子】


(2015.3.5)
 たばこ訴訟 JTなど大手3社 約3兆5600億円の和解案に合意
NHK NEWS WEB 3月3日
たばこがもたらす健康被害をめぐってカナダで起こされた裁判で、JT=日本たばこ産業など、たばこ大手3社が日本円でおよそ3兆5600億円を支払うとする和解案に合意しました。JTでは和解金の支払いに備えて、およそ4000億円の引当金を計上することにしています。
この裁判は、喫煙による健康リスクを十分に説明せずたばこを販売したとしてカナダの消費者らが、JTのほかアメリカのフィリップ・モリス、イギリスのブリティッシュ・アメリカン・タバコの3社の現地法人に対して損害賠償を求める訴えを起こしていたものです。
会社によりますと、裁判では、2019年にたばこ会社側の控訴が棄却されていて、去年10月、3社が和解金を支払うなどとする調停案が提示されていましたが、3社は支払いに合意したということです。
和解金は、3社で合わせて325億カナダドル=日本円でおよそ3兆5600億円で、JTでは和解金の支払いに備えておよそ4000億円の引当金を計上することにしています。
JTは「今回の合意で解決に向けて前進したと考えています。現時点で、当社の経営に大きな影響を与えるものではありません」とコメントしています。


(2015.3.5)
 3.5兆円の和解案に合意=JTなど3社、たばこ訴訟で―カナダ
dmenu ニュース(時事通信)3月3日
 カナダでたばこの健康リスクを巡る責任が問われた集団訴訟で、被告の日本たばこ産業(JT)、フィリップ・モリス・インターナショナル、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの3社が計325億カナダドル(約3兆5600億円)を和解金として支払う案に合意した。JTが3日、発表した。

 JTは和解金支払いにかかる損失引当金として、2024年度の営業費用として4000億円弱を計上する方針。3社の支払額が和解金の総額に達するまで、業績に応じて算出した費用を支払う。裁判所の承認などを経て、最終的に確定する。


(2015.3.5)
 JT、たばこ24銘柄の20円値上げを申請 5月から
日本経済新聞 WEB刊 2月3日
日本たばこ産業(JT)は3日、紙巻きたばこと加熱式たばこの計24銘柄について財務省に値上げを申請したと発表した。認可されれば5月1日から20円の値上げとなる。原材料費の高騰が理由だ。

同日付で値上げを申請した。紙巻きたばこの「キャメル・クラフト」の全18銘柄については、いずれも430円から450円に引き上げる。加熱式たばこの「ウィズ」用の全6銘柄は580円を600円に上げる。

JTは「国内のたばこ消費は高齢化などで減少傾向にある。加えて原材料費が上昇しており、品質やブランド価値を維持するため値上げに踏み切った」と説明した。


(2015.3.5)
 JTの24年12月期、純利益4%減 金融損益悪化
日本経済新聞 WEB刊 2月13日
日本たばこ産業(JT)が13日発表した2024年12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期比4%減の4633億円だった。主力のたばこ事業は海外で値上げが浸透し営業増益だったものの、イランの通貨リアルの公定レート変更に伴う為替差損を計上するなど、金融損益の悪化が利益を押し下げた。

市場予想平均(QUICKコンセンサス、4812億円)を下回った。配当は前の期と同額の年194円とした。

売上高にあたる売上収益は11%増の3兆1497億円と過去最高だった。トルコやイタリアなどを中心に、たばこの総販売数量は2%増えた。世界全体で紙巻きたばこの需要が減るなか、中間層が増える新興国での販売経路の確保や低価格帯商品の展開が奏功した。

免税販売も好調だった。24年10月に買収を完了した紙巻きたばこ専業の米ベクター・グループも寄与した。米国での紙巻きたばこのシェアは8.2%と、前年同期から約6ポイント増えた。

営業利益も4%増の6972億円と過去最高を更新した。フィリピンや英国など海外で紙巻きたばこの値上げが浸透し、採算が改善した。たばこ事業の調整後営業利益は6%増えた。

同日、25年12月期の連結純利益が前期比3%減の4500億円になる見通しだと発表した。売上収益は4%増の3兆2730億円を見込む。たばこの総販売量は1?2%減にとどまりそうだ。米ドルに対する円安の進行に伴い、葉タバコなどのコスト増も利益を押し下げる。配当は前期と同じ年194円を計画する。

株価は13日終値で3952円と、24年6月につけた昨年来高値(4622円)から14%安い。株価の上昇には、主力のたばこ事業の業績が焦点になる。

市場が縮小する紙巻きたばこに対し、煙やにおいの比較的少ない加熱式たばこへの置き換わりが進む。最大市場の日本で加熱式たばこ「プルーム」の販売数量は24年、1年で33%増えた。ゴールドマン・サックス証券の宮崎高志アナリストは「相当な資金を投じた加熱式たばこで、今後数量を伸ばしていけるのかがポイント」と話す。

日本政府は26年4月から加熱式たばこの税負担を段階的に引き上げ、紙巻きたばこと同水準にする方針。JPモルガン証券の藤原悟史氏は「加熱式たばこではシェアが低く、増税分の値上げが実施できない可能性がある」と指摘する。

寺畠正道社長は同日の決算会見で加熱式たばこについて、「しっかり投資するスタンスを変えず、適切な価格設定でシェアを伸ばしていく」と話した。


(2015.3.5)
 J1C大阪 大阪市の路上喫煙防止に伴い、2・22湘南戦からホームゲーム全面禁煙を発表
ヤフーニュース(スポーツ報知)2月19日
 C大阪は19日、22日の湘南戦以降に開催されるすべてのホームゲームにおいて、加熱式たばこを含む全面禁煙を実施すると発表した。
 1月27日に「大阪市路上喫煙の防止に関する条例」で路上喫煙禁止区域が大阪市内全域に拡大されたことを受け、決定。昨年までヨドコウ桜スタジアム内外に設置していた喫煙エリア、および灰皿の設置を廃止する。


(2025.2.3)
 大阪市内全域で27日から路上喫煙禁止
NHK 関西 NEWS WEB 1月27日
大阪市では27日から市内全域で路上喫煙が禁止となります。
市は喫煙する人に対し、およそ300か所ある喫煙所を活用してほしいと呼びかけています

大阪市は路上喫煙を禁止する条例を制定し、これまでに市役所の周辺など市内の一部のエリアを禁止区域としてきましたが、ことし4月に開幕する大阪・関西万博に向けて環境整備を進めるため禁止区域が27日から市内全域へと拡大されます。
喫煙が禁止となる場所は、市が管理する市内全域の道路や広場、それに公園など公共スペースで、喫煙が確認された場合は、1000円の過料が徴収されます。また、これまで加熱式たばこは路上喫煙の禁止の対象になっていませんでしたが、27日からは対象です。
全域での禁止に向けて市がこれまでに確保した喫煙所はおよそ300か所あり、市はホームページで区ごとの「喫煙所マップ」を公開し、喫煙する人に活用を呼びかけています。
横山市長は「取り組みを進めることでたばこの投げ捨てもなくなることを期待している。安心・安全で快適な美しいまちの実現にむけてご協力をお願いしたい」と話していました。

【路上喫煙全面禁止で街の人は】
大阪市で27日から始まった市内全域での路上喫煙の禁止について、街の人に聞きました。
20代の喫煙者の男性は「『吸うな』と言われているわけではなく、私の周りでは近くでたばこを吸われるのは迷惑だという人もいるので、これまでも喫煙所で吸ってきました。そういう人にとっては、路上喫煙が全面禁止でも何とも思わないと思います」と話していました。
50代の喫煙者の男性は「路地で吸っている人は時々、見かけますが、街なかでたばこを吸う人は減ってきたと思います。喫煙所で吸うべきなので、とてもよいことだと思います」と話していました。
また、ベビーカーを押して、買い物に来た30代の女性は「さっきも路上でたばこを吸っている人がいましたが、なかなか注意できないので、全面禁止の条例はありがたいです。大人なら喫煙者の近くを通る時に息を止めて吸い込まないようにできるかもしれませんが、小さい子どもは何ともならず心配だったので安心です」と話していました。

【路上喫煙禁止 啓発のメッセージ貼り出し】
大阪・心斎橋では、さっそく午前中から道路脇の設備に、路上喫煙の全面禁止を呼びかけるメッセージが新たに貼り出されました。また、この設備には啓発マスコットの「アカンずきん」が「迷惑たばこはアカンずきん」と呼びかけるイラストや、喫煙所の場所が確認できるWEBサイトに誘導するQRコードも掲示されています。
大阪市環境局の楠本大介路上喫煙対策担当課長は「路上喫煙によるたばこの火や煙を不快に思う人がいることや、吸い殻が捨てられると美観を損なうことから、路上喫煙の全面禁止を進めることになった。4月からは万博が始まり、国内外から多くの人が訪れることも考慮して、美しい街・大阪を推進したいと考えているので、ご理解とご協力をお願いしたい」と話していました。

【喫煙所増設しマップ公開も】
大阪市は、市内の各地に「喫煙所」を設置して、その情報をホームページなどで公開しています。
市によりますと、路上喫煙の全面禁止にあわせて、▽新たに公設の喫煙所を51か所設置したほか、▽補助金を活用した民間の喫煙所を119か所、▽パチンコ店などにある、無料開放された喫煙所123か所など、27日の時点で、あわせて313か所の喫煙所が設置されているということです。
そして、ことし4月の大阪・関西万博の開幕までにはさらに増えて、330か所になる見込みです。こうした喫煙所の情報は大阪市のホームページなどで公開されていて、「マップナビおおさか」という地図情報サイトで、スマートフォンなどでも▽最寄りの喫煙所の場所を確認できるほか、▽利用できる時間帯などを調べることができます。
ただ、「喫煙所の数が足りない」といった声もあるということで、大阪市は「今後、路上喫煙の状況を検証し、優先的に対策が必要なエリアが浮き彫りになると思うので、喫煙所のさらなる確保や、巡回指導の強化、広報の強化に努めたい」としています。

【店一部が喫煙所のケースも】
大阪市内の各地に設けられた「喫煙所」には、さまざまなタイプがあります。このうち、大阪メトロ・四つ橋線「なんば駅」近くの▽「なんば駅31号出入口喫煙所」は屋外に設置され、立って喫煙するタイプの喫煙所です。また、その近くにある、▽「ナニワ環境公共喫煙所」は建物の屋内1階部分に喫煙スペースが設けられ、椅子も用意されています。さらに、店の一画を、新たに喫煙所に改装し、誰でも無料で利用できるようにした飲食店もあります。大阪・中央区の長堀橋駅近くにある「東心斎橋喫煙所」は、ビルの地下1階にあるポールダンスバーの一画が喫煙所として提供されています。
もともとはバーのトイレだった場所を、市の補助金も活用して喫煙所に改装したということで、広さは2.5平方メートルほどあります。喫煙所と店内は入り口が別々にあり、壁で区切られていて行き来はできませんが、一部がガラス張りになっているため、時間帯によっては、喫煙所から店内のショーを見ることができるということです。取材をしていた午後の時間帯も次々に喫煙する人が訪れていました
バーの経営者によりますと、この周辺は、オフィスビルや飲食店が集まり人通りが多いことから、路上喫煙する人が多く、これまでも吸い殻のポイ捨てにも悩まされていたということです。
バーを経営するAYAさんは「歩きたばこが多くて怖かったですし、ポイ捨の掃除も大変でした。喫煙所を設置することで社会貢献できて、街のクリーン化もできて、うちの話題作りにもなるかなと思って設置しました。スタッフ、ダンサー、ビルの近隣の方など、いろいろな方に喜んでもらえたらうれしいです」と話していました。


(2025.2.3)
 横浜市「公園全面禁煙」決定の背景 全2700か所で実施、過料5万円以下も「すぐに罰則を科すとは…」
ヤフーニュース(ENCOUNT) 1月15日
改正公園条例が全会一致で可決し成立、2025年4月施行へ

 観光客に人気の山下公園をはじめ横浜市のすべての公園が4月から全面禁煙となる【写真:ENCOUNT編集部】

 横浜市が管理する約2700か所の公園を全面禁煙とする改正公園条例が、2024年9月の市議会本会議にて全会一致で可決し、成立した。施行は2025年4月1日からで、違反した場合は5万円以下の過料を科す規定がある。すでにいくつかの行政が公園禁煙化に踏み切っているなか、人口370万人超の政令指定都市にある2700か所の公園で実施されるという、その規模の大きさが話題となっている。決定に至るまでの経緯と、施行まで約3か月となるなかでの準備や今後の対策について、横浜市の担当者に話を訊いた。(取材・文=藤井雅彦)
 これも時代の流れだろうか。「他の都市の動向は調べていますし、参考にしています」と話したのは、横浜市みどり環境局公園緑地部公園緑地管理課長の関本直子さんだ
  今回の公園全面禁煙は、厚生労働省による健康増進法の改正(2018年7月改正、2020年4月全面施行)により、屋外でも受動喫煙の配慮義務が加わったことに端を発している。その決定を踏まえて、横浜市では「これまでも、例えば遊具があるような広場では受動喫煙に配慮してもらうための掲示をしてきました。実際に動物園やプールでは、すでに禁煙になっています」と関本さんは説明する。こうした現状がある上で、「横浜市は『子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ』の実現に向けて、安心と安全を確保するために禁煙を周知徹底していきたい。現状でも、喫煙者の方々には受動喫煙にならないような配慮をお願いしていますが、明確に公園全面禁煙とすることで、お子様をはじめ多くの方々に安心、安全に使っていただこうと、条例を改正して明確に位置づけることになりました」と、今回の決定に至るまでの経緯を明かした。
  禁煙化決定に向けて、横浜市はいくつかのステップを踏んできた。
  2023年7月から8月に公園内における受動喫煙対策に関するアンケートを実施。同10月から11月には市内5か所の公園で実際に禁煙とし、施行前後の喫煙者数を調査するとともに公園利用者にアンケートを行った。そして最後に2024年4月18日から5月31日にかけて、市民への意見募集(パブリックコメント)を実施。その結果、公園での全面禁煙を望む意見が全体の62.6%、分煙環境の整備を望むものの全面禁煙に賛成する意見が9.8%と、合わせて7割以上が実施に肯定的な意見となった。
  違反した場合に5万円以下の過料を科すというのは、従来から公園における禁止行為に対して規定されているものだが、金額面でのインパクトは大きい。もともと横浜市内では主要駅前を中心とした8地区を喫煙禁止地区に指定し、違反者には罰則として過料2000円を科す制度がある。今回の改正条例では、市内2700か所という膨大な数の公園を禁煙にすることになるが、今後はどのように取り締まり、違反者から過料を徴収していくのか。 
 「4月以降は、現状でよく喫煙者がいらっしゃった公園や吸い殻が落ちている公園を重点的に見回っていきます。もし見かけたらお声がけし、公園全面禁煙についてお知らせし、啓発します。タバコを吸っている方を見かけたからといって、すぐに罰則を科すとは考えていません。まずは周知徹底していくことが大切。目的は受動喫煙をなくすことですので、まずはしっかりとお伝えしていって、理解を深めていきたいと考えています」(後略)


(2025.2.3)
 ミラノで屋外喫煙禁止に 240ユーロの罰金が科される可能性
ヤフーニュース(日刊スポーツ) 1月3日
 イタリア北部のミラノ市が、今年から室外喫煙も制裁する。同国通信社ANSAなど複数現地メディアによると「今年からミラノでは、他の人と少なくとも10メートルの距離を維持できる孤立した空間を除いたすべての屋外場所で喫煙することができない」という。
 違反した場合は、40ユーロ(約6000円)〜240ユーロ(
約3万7000万円)の罰金が科せられる可能性があるという。ただし、電子タバコは適用外となる。
 今回の措置は、
ミラノ市議会が粒子状物質の削減と気候変化への対応のために20年11月に制定した「大気質法」を根拠に施行された。
 すでに21年からはバス停、公園、スポーツ施設、競技場、墓地、子供の遊び施設など、公共場所での喫煙が禁止されていた。今回の処置は、その禁煙策がさらに強化された形となった。
 イタリアで、屋外喫煙を広範囲に制限した地域はミラノが初となるという。ミラノ当局は今回の措置が、26年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪・パラリンピックを控え、大気質を画期的に改善するものと期待している。イタリアでの室内喫煙は03年から法律で禁止された。


(2015.1.14)
 大麻に関する最近の5つの発見、心臓病や脳卒中、依存症など「害」の証拠が続々
ヤフーニュース(NATINAL GUOGRAPHIC) 1月6日
鎮痛の効果への疑問、妄想や繰り返す吐き気などのリスクも
植物としての大麻からは、精神活性作用のないさまざまな製品と、テトラヒドロカンナビノール(THC)を含む精神活性作用のある製品の両方が生産される。(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALE, NATIONAL GEOGRAPHIC)
大麻に対する規制が緩和されている米国では現在、およそ5人に1人が大麻を使用している。にもかかわらず、その健康への影響については、実は長い間わからない点が多かった。しかし今、大麻に関して、これまで以上に多くのことが明らかになりつつある。
 大麻については、すでに多くのことがわかっているのではと思う人もいるかもしれない。なにしろ人間は1万2000年前から大麻を栽培し、少なくとも2500年前から精神活性物質として使ってきたのだ。一般に、大麻は痛み、吐き気、筋肉のけいれん、食欲不振、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療において、医薬品に代わる安全で自然な手段になると考えられている。  事実として、大麻ががんによる痛みの緩和に役立つという証拠はある。また、米食品医
薬品局(FDA)は、抗がん剤による吐き気や嘔吐を和らげることを目的とした2種類の合成カンナビノイド(大麻に似た作用を示す合成物質)を承認している。
 ところが今、大麻は一部の人々が考えているほど無害ではないことがわかってきた。医療研究における大麻への規制が緩和されたおかげもあり、科学者らは、大麻の使用に伴うデメリットが想定以上に大きく、肺、心臓、消化器官、精神衛生に長期的な脅威をもたらす可能性があることを明らかにしつつある。
 これはしかし、大麻が慢性的な痛みや吐き気、食欲不振などに効果がないと言っているわけではない。単に、それを確実に証明する研究がまだ行われていないというだけだ。ここ数年でわかってきた大麻に関する知見を以下にまとめた。


1. 大麻には痛みの緩和に効果があるのか?
 米国では、医療用大麻を使う理由として、特に多くの人が痛みの管理を挙げているが、研究では、一般の人々における痛みの軽減に関して、大麻の効果はまちまちであることが示されている。
 これまでに行われた信頼性の高い研究では、カンナビノイドが痛みを十分に和らげるという証拠は見つかっていない。そのため、痛みの研究で権威のある国際疼痛学会(IASP)は2021年、痛みの治療に大麻を推奨しない決定を下している。
 問題を複雑にしている要因のひ
とつは、特定の種類の痛みはプラセボ(偽薬)効果に特に影響されやすい点だ。
 2022年11月に医学誌「JAMA Network Open」に掲載されたレビュー論文では、プラセボが本物のカンナビノイドと同じような痛みの緩和をもたらすことが示されている。大麻には痛みを和らげる効果があるように見えるのは確かだが、そうした働きの一部は、プラセボに起因している可能性があるということだ。 「何かが有効なのかどうかを知るだけでは不十分です。なぜ有効なのかを知らなければ、患者に最高の治療を施すことはできません」と、スウェーデン、カロリンスカ研究所疼痛神経画像研究室のカリン・ジェンセン氏は述べている。


2. 大麻は無害ではない
 大麻の危険性はオピオイド(麻薬や鎮痛剤として働く薬物)のそれとは異なると、大麻を研究する疫学者のデボラ・ハシン氏は述べている。一方で氏は、「大麻は身体的および精神的な健康に多くの影響を及ぼす可能性がある」とも指摘している。
 専門家によると、大麻に関して、
人々はいくつかの事実を認識すべきだという。まず、現在の品種は、数十年前のものと比べてはるかに強力になっているという点。また、大麻の使用は妄想や偏執症(パラノイア)を引き起こす可能性があり、特に日常的に使う場合は注意が必要である点だ。
 大麻には依存症につながるおそれがある。
それは決して珍しいことではない。
3. 大麻使用に関連する奇妙な症候群が増えている
 大麻の常用に伴う変わった弊害として「カンナビノイド悪阻(おそ)症候群(CHS)」がある。2004年に初めて報告されたCHSは、吐き気、嘔吐、激しい腹痛の繰り返しを特徴とする。米国とカナダではCHS関連で救急外来を訪れる患者の数が2017年から2021年の間に倍増している。
 CHSは米国で年間275万人もの人々に影響を及ぼしている可能
性があると専門家は推定する。CHSの最大のリスク要因は大麻の大量使用、つまり毎日あるいは1日に複数回の使用を何年も続けることだ。 現在のところ、大麻を完全にやめることが、CHSに対する唯一の長期的な解決策であることが示されている。
4. 大麻は心臓に影響を与える可能性がある
 大麻に含まれる精神活性成分のテトラヒドロカンナビノール(THC)は血流にも影響を与えるため、心臓の問題を引き起こす可能性がある。  大麻を常習的に使用する人は、心臓発作や脳卒中などの心血管疾患を発症するリスクが高い。2024年2月に医学誌「Journal of the American Heart Association」に掲載された研究では、大麻を常用する人々では、心臓発作の発生率が25%、脳卒中の発生率が42%増加したことがわかっている。
 その原因はおそらく、
THCが動脈の血流に影響を与えるためだと考えられている。また、乾燥大麻を吸う人は、THCとともに吸い込まれる粒状物質によって心疾患のリスクが高まる。(後略)